“弟分”が歴史を変えた――旭川大雪ボーイズ(B)、兄超えの初優勝

“弟分”が歴史を変えた――旭川大雪ボーイズ(B)、兄超えの初優勝

旭川大雪勢として9年連続10度目の頂点――。
4度目の兄弟対決で初めて“Bチーム”が制した、歓喜と屈辱が交錯した春の決勝戦

イニングスコア

◆決 勝(5月10日、三笠市営球場)

旭川大雪ボーイズ
0100551=12
1000⑪1x=13
旭川大雪ボーイズ(B)
(旭)田渕、鶴田、杉原ー茂木
(B)鶴羽、藤村、西野ー馬道
▽本塁打:二瓶RH(旭)
▽三塁打:杉原2(旭)、藤村(B)
▽二塁打:林、神元朔、上野(旭)、鶴羽、馬道2(B)

オーダー表・旭川大雪ボーイズ
オーダー表・旭川大雪ボーイズ
オーダー表・旭川大雪ボーイズ(B)
オーダー表・旭川大雪ボーイズ(B)

◆準決勝(5月10日、三笠市営球場)

苫小牧ボーイズ
0010200=3
100600x=7
旭川大雪ボーイズ(B)
(苫)石崎、前川、仲林ー佐藤
(旭)鈴木、藤村ー馬道
▽三塁打:長崎(苫)
▽二塁打:中岡、太田(苫)

第3位の苫小牧ボーイズ
第3位の苫小牧ボーイズ

旭川大雪ボーイズ
2000022=6
3001100=5
札幌豊平ボーイズ
(旭)二瓶、山本、神元朔ー茂木
(豊)工藤、長谷川ー上口
▽三塁打:二瓶2、渡辺(旭)
▽二塁打:上口2、長谷川(豊)

第3位の札幌豊平ボーイズ
第3位の札幌豊平ボーイズ

五回、一挙11得点――“弟分”が起こした大逆転劇

 試合は序盤、3年生主体の旭川大雪ボーイズが主導権を握った。

 しかし、1-6と5点を追う五回、旭川大雪ボーイズ(B)が試合をひっくり返す。

 4安打、7四死球、さらに相手失策も絡み、一挙11得点。兄貴分の隙を逃さず、一気に流れを奪った。

 なおも12-11と1点差に迫られた六回には、9番・馬道偉丸(愛宕スーパースターズ出身/2年)が、この試合2本目となるセンターオーバーの二塁打を放ちチャンスメーク。続く1番・藤村優太(東川大雪野球少年団出身/2年)がセンターオーバーのタイムリー三塁打を放ち、これが決勝点となった。

 投げては先発・鶴羽連斗投手(永山西クラブ出身/2年)が序盤、ストライク先行の投球で強力打線を翻弄。五回途中で藤村、西野琉生(近一チャレンジャー出身/2年)へつなぎ、11失点しながらも逃げ切った。

石谷知嗣コーチ(38)「格上相手に、スタートだけは負けるな」

 試合後、旭川大雪ボーイズ(B)を率いた石谷知嗣コーチ(38)の表情には、歓喜だけではない複雑な感情もにじんでいた。

 本来、“勝つべき側”として見られていたのは3年生主体の旭川大雪ボーイズ。その“兄”を相手に、“弟分”が勝利したことで、手放しでは喜び切れない部分もあった。

 それでも石谷コーチは、試合前から一貫して選手たちへこう伝えていた。

 「相手は年上の格上。初回から絶対に負けないように。スタートだけは意識させました」

 決勝だから特別なことをやるのではなく、「結局、いつも通りのプレーしか出ない」と平常心を徹底させた。

 ジャイアンツカップ期間中には、兄チームとの紅白戦や練習試合も数多く経験。「紅白戦で3年生が負けた記憶は、ない」というだけに、この勝利はBチームにとって特別な意味を持つものだった。

 「打ったというより、3年生側にミスも出た。自分たちがミスをしたら負けるという話はベンチでもしていました」

 勝ちながらも冷静さは失わない。

 特に存在感を放った馬道については、「もったいないくらい打ってくれた」と笑みを見せた一方、「走塁意識や守備力はまだまだ課題」とも語った。

表彰を受ける旭川大雪ボーイズ(B)
表彰を受ける旭川大雪ボーイズ(B)

鶴羽連斗、強力打線へ真っ向勝負 「全国との差を知った」

 決勝のマウンドを託された鶴羽連斗投手(永山西クラブ出身/2年)は、序盤から堂々たる投球を見せた。

 「先輩たちは強打者が多いので、コースを意識して投げました」

 高いストライク率を武器に、打たせて取る投球を展開。四球で崩れることなく、テンポ良くアウトを積み重ねた。

 「ファーストストライクが取れている時は良かった」

 自らの投球を冷静に分析する。

 ただ、五回には疲れも見え始めた。

 「やっぱり疲れもありましたし、上位打線と3回目の対戦は難しかったです」

 それでも全国大会を経験してきた2年生右腕は、「北海道とは全然違った。相手投手の球も打者もすごかった」と全国で感じたレベル差を糧にしている。

 今後へ向け、「メンタル面の乱れをなくしたい。バッティングももっと良くしたい」と課題を見据えた。

鶴羽投手(旭川大雪ボーイズB)
鶴羽投手(旭川大雪ボーイズB)

扇の要・馬道偉丸 “兄貴分”相手に見せた覚悟

 強力な3年生打線を相手に、最後までマスクを被り続けたのが馬道偉丸(愛宕スーパースターズ出身/2年)だった。

 リード面で投手陣を支え、打っては2本の長打。攻守で勝利へ大きく貢献した。

 それでも試合後、まず口にしたのは反省だった。

 「バッティングは良かったんですけど、ブロッキングで後ろに逸らした場面もあったので…」

 紅白戦では一度も勝てなかった3年生主体チームとの勝利にも、「嬉しいんですけど、ちょっと喜びづらい部分もあります」と複雑な胸中を明かした。

 打撃面では、「シンプルにバットを出すことだけを意識した」と語り、「前の打者への配球を見て、甘い球が来たら絶対に叩こうと思っていた」と勝負強さを発揮した。

 捕手としても、「好きなコース、嫌なコースは分かっていた」と相手打者の特徴を理解した上でリードしていた。

 「まずは3年生を支えたい」

 その言葉には、“弟分”としての覚悟もにじんでいた。

二塁打を放つ馬道(旭川大雪B)
二塁打を2本放つ馬道(旭川大雪B)

11点差から猛追――“兄貴分”が見せた執念

 敗れた旭川大雪ボーイズも、全国経験世代の意地を見せた。

 1-12と11点差を追う五回、3番・二瓶結登(東川大雪野球少年団出身/3年)がランニング2ラン本塁打を放つなど、一挙5得点。

 さらに六回には、3番手で登板した杉原汰一(紋別オホーツクイーグルス出身/3年)が打席でライト線を破るタイムリー三塁打を放つなど、再び5得点。

 11点差をついに1点差まで縮めた。

 七回にも1点を返し、あと一歩まで迫ったが、最後は届かなかった。

ランニングホームランを放ちハイタッチする二瓶選手(旭川大雪)
ランニングホームランを放ちハイタッチする二瓶選手(旭川大雪)
三塁打を放つ杉原(旭川大雪)
三塁打2本を放った杉原選手(旭川大雪)

西大條敏志監督(59)「一番嫌な相手に負けた」

 試合後、西大條敏志監督(59)は敗戦を真正面から受け止めていた。

 「正直、ぐちゃぐちゃですよね」

 ゴールデンウイーク期間中は午前3時半起床の移動も続き、「3年生は体力的にも落ちている。バットも振れていないし、動きも鈍い」と語る。

 しかし、問題は疲労だけではない。

 「まだ幼いんですよね」

 春の全国大会を経験しながらも、“勝ち続ける集団”へ変わり切れていない現実を厳しく見つめていた。

 前日のスポーツ報知杯でも札幌ボーイズ相手に12-11の乱打戦。「試合の“次”がまだない」と語る。

 だからこそ、この敗戦を必要な敗戦とも捉える。

 「一番嫌な相手に負けた。Bに負けたんです。これが一番効くと思う」

 名前を挙げたのは、神元、二瓶の両選手だった。

 「影響力もあるし、絶対的な能力もある。去年の空気感を知っている選手たちが、本気にならないと厳しい」

 目指すのは北海道王者、そしてジャイアンツカップ連続出場。

 「切り替えじゃない。本気になること」

 敗戦の悔しさを飲み込みながら、西大條監督の視線はすでに次の戦いへ向いていた。

準優勝の旭川大雪ボーイズ
準優勝の旭川大雪ボーイズ

表彰選手

最優秀選手賞

鶴羽 連斗(旭川大雪ボーイズB)

優秀選手賞

藤村 優太(旭川大雪ボーイズB)

神元 朔 (旭川大雪ボーイズ)

上口 翔平(札幌豊平ボーイズ)

仲林 晃仁(苫小牧ボーイズ)

最優秀選手賞の鶴羽選手
写真左最優秀選手賞の鶴羽選手

協力:公益財団法人 日本少年野球連盟 北海道支部


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