
この夏、北海道の中学硬式野球選手が世界の舞台で堂々と戦った。苫小牧リトルシニアの上原優馬投手(3年)は第12回BFA U-15アジア選手権で唯一の北海道代表として選出され、日本の準優勝に大きく貢献。さらにリリーフ投手としてベスト11入りを果たした。洞爺湖リトルシニアの藤田大雅選手(3年)は全米選手権で、日本代表の優勝・大会10連覇に力を添えた。千歳リトルシニアの髙田優作投手(3年)はフランスで行われたヨーロッパ選手権プレ大会に出場し、果敢な投球でチームを優勝に導いた。北海道の3選手が示した力強い歩みは、これからの高校野球へ向けて大きな期待を抱かせる。
苫小牧リトルシニアの誇り――上原優馬、アジア準優勝の原動力に
第12回BFA U-15アジア選手権(台湾・台南、8月17日~23日)。日本代表18人の中で、北海道から唯一選ばれたのが苫小牧リトルシニアの上原優馬投手だった。
選考は厳しい条件を満たした者だけが進める「デジタルチャレンジ」。バッティング、ピッチング、フィールディングの映像や自己PR動画を提出し、さらに50m走6.9秒以下、球速120km/h以上、遠投80m以上、そして特筆すべき技能を持つことが求められる。指定5団体に所属していることも条件のひとつだ。そうした難関を突破し、最終候補40人から18人に残った。
182センチ、73キロの恵まれた体格から繰り出す速球と安定した投球術でチームを支え、日本は台湾に次ぐ準優勝。さらに、大会上位3チームから選ばれる「ベスト11」ではリリーフ投手として名前を刻んだ。日本代表からはわずか3人の選出で、その中に名を連ねたことは快挙といえる。北海道を代表する存在として、彼の成長ぶりは今後も大きな注目を集めそうだ。
■プロフィール
上原 優馬(うえはら ゆうま)
苫小牧リトルシニア・3年
右投左打/182センチ、73キロ
ポジションは投手・内野手・外野手
藤田大雅、全米選手権で味わった悔しさと手応え
一方、アメリカ・イリノイ州で行われた「MCYSA全米選手権大会」には洞爺湖リトルシニアの藤田大雅選手(KRファイターズ出身)が日本代表の一員として参加。外野と一塁を守る左のスラッガーは、強豪ひしめく舞台で様々な国の選手と対戦し、忘れられない経験を重ねた。
「アメリカの選手や色々な国の選手がいて、自分は打者として出場しました。素晴らしい選手が沢山いて、すごくいい経験になりました」と振り返る藤田。ただ同時に、「自分のバッティングが思うようにできなかったことが悔しさでもあり、課題として持ち帰ってきました。良いところで良いスイングができるよう次の高校野球に向けて頑張っていきたいです」と言葉を続けた。
結果的に日本チームは優勝を飾り、10連覇という偉業を達成。仲間とともに大舞台を勝ち抜いた実績はもちろん、藤田自身が悔しさを次の成長の糧としたことが、今後の飛躍につながっていくだろう。
■プロフィール
藤田 大雅(ふじた・たいが)
洞爺湖リトルシニア・3年
KRファイターズ出身
左投左打/172センチ・65キロ
ポジションは外野兼一塁手
髙田優作、ヨーロッパの地で掴んだ学び
さらに、フランスで7月に開催された国際大会「ヨーロッパ選手権」のプレ大会に出場したのが千歳リトルシニアの髙田優作投手(春日ライオンズ出身)だ。日本リトルシニア中学硬式野球協会が編成した「オールリトルシニア」の一員として参加し、積極的にバットを振ってくる欧州スタイルの打者を相手に堂々と投げ抜いた。
「野球のスタイルとしてはあまりバントとか細かな野球は行わず、積極的にバットを振ってくるスタイルに学べるところは沢山ありました」と振り返る。印象に残った選手について問われると、「チームのキャプテンを担い、ショートを守った川村心太郎(奈良西リトルシニア/3年)選手。身体もガッチリしていて、バッティングも良くて肩も強い、本当に凄い選手でした」と話し、北海道の枠を超えて選手を見る視野を広げた。
日本は髙田の活躍もあり見事優勝。世界基準のプレーを肌で感じたこの経験は、高校での投球スタイルをさらに磨く大きな糧となるはずだ。
■プロフィール
髙田優作(たかだ ゆうさく)
千歳リトルシニア・3年
春日ライオンズ出身
左投左打/170センチ、62キロ
ポジションは投手兼外野手
.jpg)
<発行人>
アジア、アメリカ、ヨーロッパ。異なる舞台で戦った北海道出身の3人は、それぞれに挑戦し、勝ち取り、学び、悔しさを胸に刻んだ。上原優馬の「世界に通じる投球」、藤田大雅の「悔しさを糧にする打撃」、髙田優作の「異文化に触れた投球」。そのすべてが未来へ続く大きな財産となる。次のステージで彼らがどんな成長を遂げるのか、期待は高まるばかりだ。
協力:一般財団法人 日本リトルシニア中学硬式野球協会北海道連盟