「自分で考え、自分で動く」本郷イーグルス 総合力で日本一への挑戦!

「自分で考え、自分で動く」本郷イーグルス 総合力で日本一への挑戦!

走塁はノーサイン、打撃は「圧倒」を目指す 5年生を中心に高まる総合力で先輩たちを超え、全国の頂点へ

就任7年目の井上監督 「子どもが自分で考える野球」を目指して

創立60年を迎えた本郷イーグルスを率いる井上直樹監督は、今季で就任7年目。監督就任前の約2年間のコーチ時代を含めると、指導歴は約9年になる。

きっかけは長男が小学3年生の時、本郷イーグルスに入団したことだった。

当初は指導者ではなく、平日の練習を手伝う一人の父親だった。当時は水曜日と日曜日が主な練習日。平日に当時の監督が来られないこともあり、水曜日の練習を任されるようになった。

その後、コーチを約2年間務め、監督に就任。以来、子どもたちの成長を第一に考えながらチームを率いてきた。

近年の本郷イーグルスは数々の大会で存在感を示している。昨季はFBC U-12で東16丁目フリッパーズを破って初優勝するなど、多くのタイトルを獲得した。

その強さを受け継ぎ、さらに上を目指そうとしているのが現在の5年生を中心とした新チームだ。

井上監督の話に耳を傾ける選手達(本郷イーグルス)
井上監督の話に耳を傾ける選手達(本郷イーグルス)

5年生10人が中心 「総合力が高く、偏りがない」

新チームは5年生10人を中心に構成される。

今年の6年生が3人と少ないこともあり、5年生は早い段階から一学年上の相手と戦う機会に恵まれてきた。さらに昨季、数々のタイトルを獲得した6年生たちのプレーを間近で見てきたことも大きい。

井上監督が新チームを一言で表現するなら「総合力」だ。

「偏りがないというか、ピッチャーもほとんどみんなできますし、みんな打てるし、みんな走れる。総合力は高いと思います」

投手を務められる選手は7人ほどに上り、複数のポジションを守れる選手も多い。誰か一人の力に依存するのではなく、それぞれが複数の役割を担えることが大きな武器となっている。

しかし、ここまで順風満帆だったわけではない。

春から夏にかけては、6年生とのフィジカル差を埋めようと強いボールを投げる練習などにも取り組んだが、一時は4人ほどの故障者が出た。捕手も相次いでコンディションを崩し、急きょ新たな捕手を育てなければならない時期もあった。

そこで井上監督は練習内容を大きく見直した。

「ただ闇雲に投げるんじゃなくて、実戦に近い守備と、実戦に近い打撃をする。投げることも大事ですけど、そこはキャッチボールでしっかりやるようにしています」

故障という苦い経験が、現在の練習スタイルを生み出すきっかけにもなった。

5年生(本郷イーグルス)
5年生(本郷イーグルス)

「一生懸命やれ」と言わなくても一生懸命になる練習

井上監督が大切にするのは、子どもたちが自ら夢中になれる環境づくりだ。

「小学生なので、こっちが『やれ、やれ』と言っても意味がないと思うんです。自分たちが楽しくできるルールを作る。一生懸命やれと言わなくても、勝手に一生懸命になるのがベストなので」

取材日に行われていた打撃練習にも、その考えが凝縮されていた。

選手たちはグループに分かれ、打者は10球を打つ。守備側はヒットやエラーを許せば、その数に応じてスクワット。打者も10球の中で結果を残せなければスクワットが待っている。

さらに、打者には「同じ場所へ2球続けて打たない」というルールも設けられている。右へ打ったら次は違う方向を狙う。単にバットを振るのではなく、狙った場所へ打球を運ぶ意識を持たせることでバットコントロールを磨いている。

一見すると普通の打撃練習。しかし、そこには打撃、守備、判断、集中力を同時に高める仕掛けがある。

「普通にバッティング練習をすると、どうしても守備側がだらけることがあります。でもゲーム性を持たせれば、守る方も一生懸命になる。子どもなので、そこははっきり出ますよね」

だからノックを延々と続ける必要もないという。打者が狙いを持って打ち、守備側も一本を必死に止める。その繰り返しそのものが実戦的な守備練習になる。

低学年についても習熟度に応じてグループを分ける。まだキャッチボールを身につける段階の選手、動く走者をアウトにする実戦的な動きを覚える選手など、それぞれに合った課題へ取り組ませている。

ゲーム性を取り入れた実戦練習に取り組む本郷イーグルスの選手たち
ゲーム性を取り入れた実戦練習に取り組む本郷イーグルスの選手たち

最大の武器は走塁 盗塁は基本的にノーサイン

攻撃、守備、走塁――。その中で井上監督が特にこだわるのが走塁だ。

選手たちに「攻撃で一番大事なのは何だ」と聞けば、答えは迷わず「走塁」だという。

単に足が速ければいいわけではない。

無死三塁、一死三塁、二死三塁では、同じ三塁走者でも求められる判断は変わる。二塁走者も同様だ。アウトカウント、点差、打球、相手守備の位置を見ながら「今、この走者の目的は何か」を考えさせる。

「ノーアウト三塁なら無理をする必要はない。でもワンアウトになれば考え方は変わる。必ず今は何が目的なのかを考えて走るようにしています」

盗塁も基本的にはノーサインだ。

「走るのが当たり前なんです。走らなかったら『じゃあ、いつなら行くの?』という話になります」

もちろん、自由に走らせて終わりではない。

練習試合では井上監督がスコアブックだけでは残らないプレーを細かくメモする。「盗塁できる場面でスタートを切らなかった」といった記録も残し、試合後に選手へ問い掛ける。

なぜ行かなかったのか。あのアウトカウントなら何を考えるべきだったのか。

答えを一方的に与えるのではなく、問い掛けながら選手自身に考えさせていく。

ベースランニングに励む選手達(本郷イーグルス)
ベースランニングに励む選手達(本郷イーグルス)

「大人がベンチにいなくても試合ができる」ことが強み

本郷イーグルスの野球を象徴するのが「ノーサイン」だ。

もちろんスクイズなど重要な局面ではベンチから指示を出すこともある。しかし基本的には、グラウンドにいる選手たち自身が状況を判断する。

「自分の考え方としては、ノーサインがベストだと思っています」

井上監督が新チーム最大の強みとして挙げたのも、技術そのものだけではなかった。

「自分たちでできることだと思います。極端な話、大人がベンチにいなくても試合が成立するというか、自分たちでちゃんと試合を作っていける。そこに大人が本当に大事な部分だけ、ちょこちょこっと伝える。それぐらいで、基本的には何もしなくても勝手にやります」

選手自身が考え、判断し、動く。

その力こそ、本郷イーグルスが目指してきた野球の土台となっている。

ベースランニングに励む選手達(本郷イーグルス)
ベースランニングに励む選手達(本郷イーグルス)

「好きなものは勝手に上手くなる」ゲーム性を野球へ

井上監督の言葉で印象的だったのが、子どもとゲームの関係を野球に置き換えた考え方だ。

「子どもたちって、ゲームとか好きなものはめちゃくちゃ上手くなるじゃないですか。それを野球にすればいいだけの話なんです」

やらされる100回より、自分から夢中になる10回。

練習には競争やゲーム性を取り入れ、スイングスピードを定期的に測るなど、仲間同士で自然に競い合える環境も作っている。

「競い合いっていうのは大事だと思います。必ずゲーム性を持たせるようにしています」

楽しさの中に競争があり、競争の中に考える場面がある。その積み重ねによって、子どもたちは知らず知らずのうちに野球を覚えていく。

ゲーム性を取り入れた実戦練習に取り組む本郷イーグルスの選手たち
ゲーム性を取り入れた実戦練習に取り組む本郷イーグルスの選手たち

さらに伸ばすのは「打撃」 上限のない攻撃力を磨く

新チームをこれからどこまで伸ばしたいのか。

井上監督の答えは明確だった。

「とにかく打撃ですね」

その理由も興味深い。

「守りには限界があるじゃないですか。ゼロで守れれば、それ以上はない。でも打撃は点数に上限がない。だから今は、とにかく打撃を伸ばしています」

平日の練習では、キャッチボールの後に3人一組のペッパーを行い、その後は長い時間バットを握る。走塁については土日の練習や練習試合後などを利用して確認するが、すでに基本的な考え方が浸透しているため、現在は打撃強化に多くの時間を割いている。

目指すのは、1-0を守り切るだけの野球ではない。

全道の舞台について問われると、井上監督は力強く言った。

「圧倒したいですね。打撃と走力で圧倒したい。1対0とかではなくて、とことん点数を取りたいです」

練習に励む岩谷主将
練習に励む岩谷主将

新チームが掲げる目標は「日本一」

昨季の6年生は数多くのタイトルを獲得した。

その姿を間近で見てきた現在の5年生たちにとって、先輩たちは憧れの存在でもある。

一方で井上監督は、現在の5年生について「昨年の6年生が5年生だった時と比べても、今のチームの方が上」と評価する。

大きな自信となったのが、今年の高円宮賜杯全日本学童札幌支部予選での戦いだった。6年生が少ない中、5年生以下を中心とする布陣でベスト4まで進出。あと一歩まで上位チームを追い詰めた経験から、井上監督の中で来季への思いが一気に強くなった。

「春の段階で、来年はマックだな、それしかないなと思いました」

新チームが掲げる大きな目標は二つ。

今秋のエネサンス北海道大会制覇。そして来季、高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会、いわゆる「マクドナルド・トーナメント」での日本一だ。

「新チームは日本一です。マクドナルドを狙いたいと思っています」

昨季のチームを超える。

そして、その先にある全国の頂点へ――。

60年の歴史を持つ本郷イーグルスに、また新たな世代が育ち始めている。

5年生中心のチームを支える3人の6年生

新チームへの期待が大きい一方、井上監督がしっかりと目を向けているのが、今季を戦う3人の6年生だ。

3人はいずれも野球経験が決して長いわけではない。下級生である5年生に経験豊富な選手がそろい、大事な試合で5年生が先発することもある。

普通なら心が折れても不思議ではない。

それでも3人はチームを離れず、少しでも試合に出ようと努力を続けてきた。

「彼らなりに、かなり努力したと思います。一歩間違ったら野球が嫌になってしまうと思うんです。5年生の方が経験があって、大事な試合では5年生が出ることもある。その中でも、少しでも試合に出たいという気持ちは伝わってきました」

だからこそ、井上監督は6年生たちに繰り返し伝えている。

小学生の今だけで、自分の可能性を決めてほしくない――。

「小学生なんて、まだ土台です。大事なのは中学以降。仮に今、試合に出られなくても、中学以降でこの経験が糧になればいい。今の経験は絶対に無駄じゃないから、最後まで一生懸命やりなさいと話しています」

時には厳しい言葉も投げ掛ける。

「今の段階で自分の可能性を決めるな、と。まだ10歳、11歳ぐらいしか生きていないんだから、今の段階で『自分は野球に向いていない』とか『硬式は無理だ』とか、そんなことを決める必要はない。一生懸命やっていれば目標だって変わる。変わったら変わったでいい。でも今、自分で可能性を決めつけるなということは強く言っています」

目の前の試合に出場することだけが、小学生の野球の価値ではない。

悔しさをどう受け止め、そこからどう努力するか。その経験もまた、次のステージへ進むための大切な土台になる。

新チームが大きな目標へ向かって進む一方、最後のシーズンを戦う6年生にも、それぞれの成長がある。

井上監督が見つめているのは、勝敗の先に続いていく選手一人ひとりの野球人生だ。

練習に励む6年生
練習に励む6年生
6年生(本郷イーグルス)
6年生(本郷イーグルス)

厚みある5年生打線 複数ポジションをこなす選手たち

新チームの打線には、個性豊かな5年生が並ぶ。

上位打線の一角を担う選手は、パンチ力のある打撃と高い走力が持ち味。投手、捕手、遊撃をこなすなど守備でも幅広く、井上監督は将来を見据えて捕手としての成長にも期待を寄せている。

加藤悠真も1年生から本郷イーグルスで経験を積んできた選手で、投手、捕手、遊撃をこなす。複数のポジションを高いレベルで担えることがチーム編成に大きな幅を与えている。

3番を担う岩谷 駿(5年)は、状況に応じた打撃のできる器用さが魅力。バントを含めた小技にも対応し、打率も高い。長打だけではなく、狙った場所へ打球を運ぶ技術で打線をつなぐ。

中軸には園部 悠(5年)。力強いスイングで打線に迫力を与える存在だ。

今野應臣(5年)は三塁守備に定評があり、井上監督が「守備職人」と評する選手。春先には課題のあった打撃も、シーズンを重ねるにつれて上向いてきた。

長谷川翔(5年)は1年生からチームで経験を積み、4年生だった昨季にはFBCでも中堅を守った。俊敏な動きと広い守備範囲が大きな武器で、井上監督も「センターに置いておけば安心できる」と信頼を寄せる。

さらに佐藤友高(5年)、原渕玲(5年)、佐藤恵澄(5年)らが下位打線を争う。小柄ながら二塁を守る原渕をはじめ、それぞれが特徴を持ち、チーム内競争を生み出している。

そこへ割って入るのが3年生の井上樹龍だ。

井上監督が「捕る、投げる、打つという基本のレベルが高い」と評価する選手で、1年生時にはエネサンス北海道大会で右翼を守った経験も持つ。学年に関係なく力があれば試合に出る環境の中で、5年生中心の布陣に食い込もうとしている。

誰か一人が突出するのではなく、投げられる、守れる、走れる、そして打てる選手が数多くいる。

井上監督が新チームを「総合力が高い」と表現する理由は、こうした選手層の厚さにも表れている。

「勝ちにこだわれるチームに」 新主将・岩谷駿が目指す頂点

本郷イーグルスの新チームで主将を務めるのが、5年生の岩谷駿だ。

キャプテンに決まった時、真っ先に浮かんだのは「チームを引っ張りたい」という思いだった。

「勝ちにこだわれるチームにしたいです」

岩谷が描くのは、ただ勝つだけではなく、本郷イーグルスらしく攻撃力で相手を上回る野球だ。

「圧倒的な打撃力で、圧倒して勝ちたいです」

一方で、新チームの一番の強みを尋ねると、答えは「つなぐところ」だった。

「誰かが出たら、次の人につなぐという意識があります」

一人の力だけに頼らず、打線全体でつないで得点する。井上直樹監督が重視する「自分たちで考える野球」は、すでに新主将の中にも根付いている。

主将が感じる課題は走塁

チームの強みを語る一方で、岩谷は課題もしっかりと見ている。

さらに高めたいと考えているのが走塁だ。

中でも挙げたのは、二盗のスタート、リードの大きさ、そして次の塁へ進むためのシャッフルなど、細かな動きの部分だった。

「二盗のスタートだったり、リードの大きさ、その次の動きにつなげるシャッフルが、まだ足りないと思います」

本郷イーグルスでは、盗塁を基本的にノーサインで行う。

選手自身が試合状況を読み、走れる場面を判断しなければならない。その野球を実践するからこそ、岩谷も走塁の細部にまで目を向けている。

チームメートの動きで気になる部分があれば、声を掛けることもあるという。

また、試合中に苦しい場面を迎えた時、主将として意識しているのは仲間を落ち着かせることだ。

「全員が楽に、冷静になれるように声を掛けています」

苦しい時ほど冷静に。

その意識は、井上監督が求める「自分たちで判断する野球」にもつながっている。

強かった先輩たちを超えたい

現在の5年生たちが大きな目標としているのが、昨季の6年生だ。

FBC U-12をはじめ、数多くの大会で優勝を経験した先輩たち。その姿を間近で見てきた岩谷たちにとって、大きな憧れであると同時に「超えたい存在」でもある。

まず見据えるのが、エネサンス北海道大会だ。

「去年の6年生たちが優勝できなかった大会なので、優勝したいです」

先輩たちが届かなかった頂点に、自分たちが立つ。

それが新チームにとって、まず目の前にある大きな目標となっている。

1番、3番を任される左打者

打線では1番、または3番を任されることが多い。

トップバッターとして攻撃のきっかけを作ることもあれば、中軸として走者を返す役割も担う。

自身の打撃で持ち味として挙げたのは「小技」だ。

長打だけを求めるのではなく、状況に応じた打撃で次へつなぐことを大切にしている。

例えば二死二塁なら、自分の一本で走者を返したい。

そんな意識を持ちながら打席に立っている。

憧れの選手を尋ねると、答えは「お兄ちゃん」。

現在も中学野球でプレーする兄の姿を追いながら、岩谷自身も小学1年生から野球を続けてきた。

その少年が今、新チームの先頭に立っている。

目標は「日本一のピッチャー」

岩谷が見据える場所は、北海道の頂点だけではない。

チームとして目標に掲げるのは、高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会、いわゆるマクドナルド・トーナメントでの日本一だ。

そして個人としての目標も大きい。

「日本一のピッチャーになることです」

新チームの主将として仲間を引っ張りながら、自身も全国トップクラスの投手を目指していく。

まずはエネサンス北海道大会。

そして来季、その先に待つ全国の舞台へ。

強かった先輩たちを超え、日本一へ――。

岩谷駿を中心に、本郷イーグルスの新チームは大きな目標へ向かって歩み始めている。

主将の岩谷駿(本郷イーグルス)
主将の岩谷駿(本郷イーグルス)

【プロフィール】
岩谷 駿(いわや・しゅん)
5年 左投げ・左打ち
143センチ、34キロ
小学1年生から野球を始める。きっかけは、現在も中学野球でプレーする兄の存在。新チームでは主将を務め、打線では1番、または3番を任される。小技を生かした状況対応力を持ち味とし、チームでは投手としても期待される。目標は「日本一のピッチャーになること」。

「本郷の走塁といえば加藤」へ 次の塁を狙い続ける加藤悠真

本郷イーグルスの新チームで、走攻守にわたって存在感を見せる5年生の加藤悠真。

井上直樹監督からもバランスの取れた選手として期待される中、自身が「一番の武器」と言い切るのが走塁だ。

塁に出た瞬間から考えていることはシンプルだ。

「とにかく次の塁を狙います」

ただ闇雲にスタートを切るわけではない。

相手投手、捕手の力量を見極めながら、「このタイミングなら行ける」と判断する。投手の動きや癖にも目を配り、次の塁を奪うチャンスを探している。

「ピッチャーとキャッチャーのレベルを見て、これぐらいなら、このタイミングで行けるなというのを考えます」

井上監督がチーム全体に求める「自分で判断する走塁」。

その考えを、加藤はグラウンド上で体現しようとしている。

「走塁では誰にも負けたくない」

「誰にも負けたくないところは?」と尋ねると、答えは迷わなかった。

「走塁です」

本郷イーグルスは、盗塁を基本的にノーサインで仕掛ける。

走者自身が相手バッテリーや試合状況を見て判断するからこそ、足の速さだけではなく、観察力やスタートの技術も必要になる。

加藤が目指すのは、チーム内で「走塁の選手」として誰よりも認められる存在だ。

「本郷の走塁といえば加藤、と言われたいです」

それは、自身の特徴をよく理解しているからこそ出てくる言葉でもある。

一つ先の塁を狙う姿勢。

一瞬の隙を見逃さない判断。

その積み重ねで、攻撃の流れを変えられる選手を目指している。

守備力アップへ 自主練習でイレギュラー対策

一方、現在特に力を入れているのが守備力の向上だ。

中でも課題として挙げるのが、イレギュラーバウンドへの対応。

「イレギュラーにも対応できるようになりたいです」

そのため、自主練習ではあえて不規則に跳ねるボールを使って壁当てを行っているという。

どこへ跳ねるか分からない打球を最後まで見て対応する。

普段のチーム練習だけでなく、自宅でも自分なりに工夫しながら課題と向き合っている。

新チームには実力のある5年生がそろう。

その中で加藤がライバルとして意識するのは、打撃力の高いチームメートだ。

相手の力を認めながらも、「負けたくない」という気持ちは強い。

互いに競い合う環境が、加藤自身の成長にもつながっている。

兄を追って小学1年生から野球の道へ

野球を始めたのは小学1年生の9月。

きっかけは4歳上の兄だった。

兄が野球をする姿を身近で見ながら、自身もグラウンドへ。

以来、本郷イーグルスで経験を積み重ねてきた。

5人兄弟の真ん中として育ち、現在は新チームを支える一人となった。

1年生から続けてきた野球の中で身につけた走塁感覚は、今では大きな武器になっている。

そして、その先に描く夢もはっきりしている。

「みんなを引っ張れるプロ野球選手に」

将来の夢はプロ野球選手。

ただプロになることだけが目標ではない。

「みんなを引っ張っていけるプロ野球選手になりたいです」

自分のプレーでチームを勢いづけ、仲間を引っ張る存在になる。

その第一歩が、今の本郷イーグルスでの一つひとつのプレーだ。

塁に出れば、迷わず次を狙う。

守備では自ら課題を見つけ、自主練習で克服しようとする。

「本郷の走塁といえば加藤」

そう呼ばれる存在を目指し、加藤悠真は自分の武器をさらに磨いている。

加藤悠真(本郷イーグルス)
加藤悠真(本郷イーグルス)

【プロフィール】
加藤 悠真(かとう・はるま)
5年 右投げ、右打ち
150センチ、38キロ
小学1年生の9月に、4歳上の兄の影響で野球を始める。5人兄弟の真ん中。走塁を最大の武器とし、相手投手や捕手の力量、動きを見ながら積極的に次の塁を狙う。現在は守備力向上にも力を入れ、自主練習ではイレギュラーバウンドへの対応を意識した壁当てに取り組む。将来の夢は「みんなを引っ張っていけるプロ野球選手」。

豪快なフルスイングが武器 木野唄生「長打力では負けたくない」

本郷イーグルスの新チームで、打撃力を武器に存在感を示す5年生・木野唄生。

自分の一番の武器を尋ねると、迷わず「バッティング」と答えた。中でも注目してほしいのが、思い切りのいいフルスイングから生まれる長打力だ。

「一番見てほしいのは長打力です」

小柄ながら、打席では力強くバットを振り切る。その長打力については「負けたくない」と強い自信をのぞかせる。

井上直樹監督が新チームの大きなテーマに掲げるのも打撃力の向上だ。日頃からバットを握る時間を多く設け、ゲーム性を取り入れながら打線全体のレベルアップを図っている。

その中で木野は、自身の持ち味をさらに伸ばそうとしている。

「羽打ち」で磨くミート力 自主練習は約1時間

長打力が持ち味だからといって、ただ強く振ることだけを考えているわけではない。

現在、木野が特に意識しているのはミート力の向上だ。

チーム練習とは別に、自宅では羽を打ったり、小さなバットでボールを捉えたりする練習を続けている。

「家では羽打ちをしたり、小さいバットでボールを打ったりして、ミート力を上げる練習をしています」

自主練習に取り組む時間は約1時間。

小さな対象を正確に捉える練習を繰り返し、バットの芯でボールを捉える感覚を磨いている。

豪快な長打の裏側には、地道な反復がある。

「遠くへ飛ばす」という自らの長所をさらに生かすためにも、まず確実にボールを捉える。その意識でバットを振り続けている。

父とのキャッチボールから始まった野球

野球を始めたのは小学1年生の冬だった。

きっかけは父とのキャッチボールだ。

「お父さんとキャッチボールをしていたら楽しくなって、野球を始めました」

最初に所属したのは清田区のチーム。その後、4年生の冬に本郷イーグルスへ移ってきた。

新しい環境に飛び込み、現在はレベルの高い5年生がそろう新チームの中で、自らの武器を磨いている。

練習では打撃だけでなく、仲間と競いながら走るメニューにも全力で取り組む。本郷イーグルスが大切にする「楽しみながら本気になる」練習環境の中で、木野も着実に力を伸ばしている。

打撃で目指すのは佐藤、守備では山縣

木野には、プレーの参考にしているプロ野球選手もいる。

打撃で目標とするのは、北海道日本ハムファイターズの佐藤 龍世選手。守備では北海道日本ハムファイターズの山縣 秀選手を目標に挙げる。

自らの武器である打撃をさらに伸ばす一方、守備でも高いレベルを目指す。

その先にある直近の個人目標は、来年の北海道日本ハムファイターズジュニア入りだ。

「ファイターズジュニアを目指しています」

そして、チームとして目指す場所についても答えは明確だった。

「6年生になったら、マックで優勝です」

目指すのは、高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会、マクドナルド・トーナメントの頂点。

全国の舞台で勝つためにも、自慢の打撃力をもっと高めたい。

豪快なフルスイングと、それを支える毎日の地道な練習。

木野唄生は「長打力」という自らの武器を磨きながら、本郷イーグルスの強力打線を担う一人として成長を続けている。

木野唄生(本郷イーグルス)
木野唄生(本郷イーグルス)

【プロフィール】
木野 唄生(きの・うたう)
5年 右投げ、左打ち
136センチ、39キロ
小学1年生の冬、父とのキャッチボールをきっかけに野球を始める。清田区のチームを経て、4年生の冬に本郷イーグルスへ。最大の持ち味はフルスイングから生まれる長打力。自主練習では羽打ちや小さなバットを使った練習でミート力向上にも取り組む。個人目標は北海道日本ハムファイターズジュニア入り。チームでは来季のマクドナルド・トーナメント優勝、日本一を目指す。

「ランナーは絶対に返す」 打撃の要・園部悠が担う中軸の責任

本郷イーグルスの新チームで、井上直樹監督が「打撃の要」として期待を寄せる5年生・園部悠。

力強いスイングから長打を放つ左打者で、自身も一番の持ち味として長打力を挙げる。

しかし、打席で考えているのは遠くへ飛ばすことだけではない。

走者を置いた場面で打席に入る時、園部が強く意識することがある。

「ランナーを絶対に返す、という気持ちで打席に入っています」

中軸を担う打者として、求めるのは自分の一本を得点につなげること。

新チームには打撃力の高い選手が数多くそろう。その中でも園部は、走者をかえす役割を担う打者として打線に厚みを加えている。

長打力で打線をけん引

園部の大きな持ち味は、力強いスイングから生まれる長打力だ。

打席ではしっかりとボールを捉え、持ち前のパワーを生かして長打につなげる。

井上監督は新チームについて「みんな打てる」と評し、現在の練習でも特に打撃強化へ多くの時間を割いている。

園部にとっても、レベルの高い仲間たちとの競争は自身を成長させる大きな刺激となっている。

チーム内に好打者が何人もいるからこそ、その中で結果を残し続けることが求められる。

互いに競い合いながら打撃力を高め、本郷イーグルスの得点力を支える打者を目指している。

日本一へ、この冬に「全部」伸ばす

新チームが見据えているのは、目の前のエネサンス北海道大会、そして来季の高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会、マクドナルド・トーナメントだ。

目標は日本一。

そこへ到達するために、この冬に自分のどこを伸ばしたいのか。

園部は「バッティングと守備力」と答え、さらに走塁についても課題として挙げた。

打つだけでは全国の頂点には届かない。

守って、走って、打つ。

自分自身のプレー全体をレベルアップさせなければならないことを、園部自身も理解している。

個人として目指しているのは「とにかく打てるバッター」。

走者がいる場面で一本を放ち、チームに得点をもたらす。現在の持ち味をさらに磨き、どんな相手からも打てる打者になることを目指している。

年中からボールを追い、5年生の夏に本郷へ

園部が野球に触れ始めたのは年中の頃。

その後、小学3年生の冬頃から東16丁目フリッパーズでプレーし、5年生の夏に本郷イーグルスへ移った。

新しい環境に飛び込んでからまだ長い時間が経ったわけではないが、今では新チームの中軸を担う存在として期待されている。

これまで強豪チームで経験を積んできただけに、全国で勝つことが決して簡単ではないことも知っている。

だからこそ、「日本一」という言葉を目標だけで終わらせるつもりはない。

憧れは大谷翔平 投打で高みを目指す

憧れの選手は大谷翔平。

「バッティングと二刀流のところです」

園部自身も打撃だけでなく投手としてプレーする。

長打を放ち、マウンドでもチームに貢献する。そんな投打両面で活躍できる選手を目指している。

チームの目標を聞けば、答えははっきりしている。

「マックの全国大会で優勝することです」

まずは目の前のエネサンス北海道大会で頂点へ。

そして来季は、全国の頂点へ。

走者を背負った打席で「絶対に返す」という強い気持ちを胸に、園部悠は本郷イーグルスの得点源としてバットを振り続ける。

園部悠(本郷イーグルス)
園部悠(本郷イーグルス)

【プロフィール】
園部 悠(そのべ・ゆう)
5年 左投げ、左打ち
148センチ、45キロ
年中の頃から野球に親しみ、小学3年生の冬頃から東16丁目フリッパーズでプレー。5年生の夏に本郷イーグルスへ移る。長打力を持ち味とする左打者で、走者を置いた場面では「絶対に返す」という意識で打席に立つ。憧れの選手は大谷翔平で、打撃と二刀流に魅力を感じている。個人目標は「とにかく打てるバッター」。チームでは来季のマクドナルド・トーナメント優勝、日本一を目指す。

「難しい打球ほど捕りたい」 広い守備範囲が武器の長谷川翔

本郷イーグルスの新チームで、外野守備の要として期待される5年生・長谷川翔。

井上直樹監督も「守備範囲が広い」と信頼を寄せる長谷川自身、一番の持ち味として挙げるのが、その守備力だ。

「守備範囲の広さは誰にも負けたくないです」

打球が上がれば素早く反応し、落下地点へ向かう。

特に長谷川が燃えるのは、簡単な打球よりも捕れるか捕れないかという球際のプレーだ。

試合中、守備に就いている時にどんなことを考えているのか尋ねると、返ってきた答えが印象的だった。

「難しい球を打ってこい、と思っています」

普通なら飛んできてほしくないような難しい打球を待っている。

「自分が捕ってやる」。

そんな気持ちで守備に就くことが、長谷川にとって試合の楽しさにもなっている。

父との自主練習で磨く「球際」

広い守備範囲は、持って生まれた運動能力だけで身についたものではない。

長谷川は日頃から父と一緒に自主練習を行い、特に球際のプレーを繰り返し磨いている。

ノックを受けながら、ぎりぎり届くかどうかという打球にも果敢に挑む。

そうした練習を積み重ねる中で、少しずつ強い打球や難しい打球にも対応できるようになってきた。

井上監督によると、長谷川は昨季、4年生ながらFBC U-12でも中堅を守った経験を持つ。

「動きが速くて、守備範囲がすごく広い。センターに置いておけば安心できる」

一学年上の選手たちと大きな舞台を経験してきたことも、現在の守備への自信につながっている。

次に伸ばしたいのは「バッティング」

守備には強い自信を持つ一方、自分自身の課題もしっかりと見つめている。

これからさらに磨きたいところを尋ねると、答えは「バッティング」だった。

新チームには打撃を得意とする選手が多い。

その中で自分も打撃力を高め、守備だけではなく攻撃でもチームに貢献できる選手になることを目指している。

井上監督も、長谷川について「飛距離があるタイプではないが、しっかり打てる」と評価する。

自慢の守備力に打撃力が加われば、チームにとってさらに大きな存在となる。

目標は「もっとチームに貢献すること」

新チームがまず目指すのは、エネサンス北海道大会の頂点。

長谷川も「全道優勝」をチームの目標に掲げる。

その中で自身が目指しているのは、派手な個人成績ではなかった。

「もっとチームに貢献できるようになりたいです」

難しい打球をアウトにする。

そして、課題としている打撃でも一本を放つ。

自分のできることを増やし、その力をチームの勝利につなげたい。

「難しい打球ほど捕りたい」と目を輝かせる長谷川翔。

広い守備範囲と球際への強さをさらに磨きながら、今度はバットでも本郷イーグルスを支える存在を目指していく。

長谷川翔(本郷イーグルス)
長谷川翔(本郷イーグルス)

【プロフィール】
長谷川 翔(はせがわ・かける)
5年 右投げ・右打ち
135センチ、32キロ
広い守備範囲を最大の持ち味とし、外野守備で高い能力を発揮する。父との自主練習ではノックを受け、球際の難しい打球への対応力を磨いている。昨季は4年生ながらFBC U-12でも中堅を守った経験を持つ。現在は打撃力の向上を課題に掲げ、守備だけでなく攻撃でもチームに貢献できる選手を目指している。

フォトグラフ

まだキャッチボールがおぼつかない低学年の選手にも、優しく丁寧に指導する本郷イーグルスのコーチ
まだキャッチボールがおぼつかない低学年の選手にも、優しく丁寧に指導する本郷イーグルスのコーチ
低学年はランダンプレーを繰り返し行っていた。
低学年はランダンプレーを繰り返し行っていた。
指導者の話に真剣な表情で耳を傾ける低学年の選手たち
指導者の話に真剣な表情で耳を傾ける低学年の選手たち
4年生(本郷イーグルス)
4年生(本郷イーグルス)
3年生(本郷イーグルス)
3年生(本郷イーグルス)
2年生(本郷イーグルス)
2年生(本郷イーグルス)
1年生(本郷イーグルス)
本郷イーグルス
本郷イーグルス

協力:本郷イーグルス

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