
札幌市つどーむが揺れたのは6年前の冬だった。都市対抗戦の決勝、札幌選抜VS苫小牧選抜の一戦に詰めかけた観客でスタンドは異例の超満員。駐車場はあふれ、路上駐車まで出るほどの熱気に包まれた。0―7で苫小牧が初優勝を飾ったあの一戦から、すでに多くの甲子園球児が誕生し、8月24日の2025札幌選抜セレクションでは、かつての主役たちが後輩を激励に姿を見せた。
観客席が埋め尽くされた都市対抗戦・決勝
2019年12月、札幌市つどーむで行われた都市対抗戦決勝。3位決定戦の頃から観客がじわじわと増え、札幌選抜と苫小牧選抜の決勝開始時にはスタンドは異例の超満員となった。駐車場は足りず、周辺道路に路上駐車が出るほど。学童野球としては異例の熱狂だった。
試合は苫小牧が7点を奪い、札幌を下して初優勝。勝敗以上に「学童野球がこれほど観客を呼び、会場全体を震わせた」ことが、人々の記憶に深く刻まれた一日だった。
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あの日の主役たちが甲子園へ
決勝を戦った両軍からは、その後12人もの甲子園球児が誕生した。
- 札幌選抜から
太田勝心(東海大札幌/丘珠オニオンズ出身)、上田就也(東海大札幌/丘珠オニオンズ出身)、高橋英汰(東海大札幌/篠路ライオンズ出身)、鈴木賢有(東海大札幌/大谷地ヤングタークス出身)、田村颯丈郎(山梨学院高/東札幌ジャイアンツ出身)、鳴海柚萊(山梨学院高/豊平カージナルス出身)、加藤大成(健大高崎高/札幌ファイヤーズ出身)、山田遼太(健大高崎高/新琴似スラッガーズ出身)、浅水結翔(北海高/星置レッドソックス出身)。 - 苫小牧選抜から
矢吹太寛(東海大札幌/沼ノ端スポ少出身)、宮崎泰地(東海大札幌/飛翔スワローズ出身)、熊野瑠威(旭川志峯/拓勇ファイターズ出身)。
春夏の甲子園で次々と名前を轟かせ、全国の舞台を沸かせた。
6年後、後輩たちへバトンを渡す
8月24日、再びつどーむに集まったのは、2025札幌選抜のセレクションに臨む学童球児たち。そしてその場に姿を見せたのは、2019札幌選抜OBの面々だった。
当時主将だった田村颯丈郎(山梨学院高/3年)は「本当の野球の楽しみを理解できるよう頑張ってください」と後輩に語りかけ、健大高崎高で主将を務めた加藤大成からも学童球児へ激励の言葉があった。
6年前、満員の観客に囲まれた舞台で全力を尽くした選手たち。世代は変われど、また次の物語を紡ごうとしている。つどーむの熱狂は、形を変えながら確実に受け継がれている。

協力:2025札幌選抜