
中学硬式野球・リトルシニア北海道連盟が主催する春季全道大会で、札幌大谷リトルシニアがついに歓喜の初勝利をつかんだ。5月10日、Dブロック第4戦で札幌南リトルシニアと対戦し、189センチ右腕・阿部唯人の力投と打線のつながりで7-0の五回コールド勝ち。開幕から3連敗を喫していたチームにとって、まさに「新しい勝ち筋」を示した価値ある一戦だった。
イニングスコア
◆Dブロック(5月10日、札幌大谷グラウンド)
札幌大谷7-0札幌南
札幌大谷
00331=7
00000=0
札幌南
(五回コールドゲーム)
(大)阿部、国広-晒谷
(南)田中、小林、寺井、堀田-渡邊
▽本塁打:高桑(大)

目覚めた大器・阿部!札幌大谷リトルシニア、ついにトンネル脱出
中学硬式野球・リトルシニア北海道連盟が主催する春季全道大会で、札幌大谷リトルシニアがようやくその一勝を手にした。5月10日、札幌大谷学園グラウンドで行われた第4戦。Dブロックの札幌南リトルシニアとの一戦に、7-0(五回コールド)で快勝し、リーグ戦4戦目にして待望の初白星となった。
ここまで札幌新琴似、札幌西、釧路といずれもロースコアの接戦を落としてきた札幌大谷。チームに漂う重たい空気を吹き飛ばしたのは、身長189センチ・体重89キロという規格外の3年生右腕、阿部唯人(札苗スターズ出身)だった。
初の先発マウンドとなった阿部は、雨がちらつく難しいコンディションと味方の失策にも動じることなく、4回を投げて7四球ながら6奪三振・無失点。力強いストレートで要所を締め、ピンチを乗り越えていった。
均衡が破れたのは三回。8番・晒谷朋樹(2年・札苗スターズ出身)のセンター前ヒットを皮切りに、四球で満塁とし、3番・阿部が右中間を破る2点タイムリーで試合を動かす。さらに5番・高桑蒼大(3年・美唄キングフェニックス出身)もライト前に運び、3点目を奪った。
四回にも再び阿部が2点タイムリーを放ち、五回には高桑が左翼スタンドへ豪快なソロ本塁打。見事な打線のつながりで、札幌南を突き放した。
試合後、有賀良太監督は「3連敗してこれ以下は無い、という気持ちで臨んだ」と苦しかった日々を振り返りつつ、「これまでチャンスを生かせなかったが、繰り返し練習してきた成果がようやく出た」と選手たちの成長を称えた。
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札幌大谷“覚醒”の一戦 阿部の投打に高桑の一発が呼応
一方、攻守にわたって躍動した阿部は、「甘くならないよう心がけたが、変化球が抜ける場面もあり課題も見えた」と冷静に自己分析。打撃については、「これまでチャンスで凡退ばかりだったので、ライナーを意識して繋ぐ気持ちで打席に入った」と語る。投手としては2年冬から本格的に練習を始め、ようやくその努力が実を結び始めた。投打でチームを救った阿部の姿に、救世主としての期待が高まっている。
また、この試合で公式戦初本塁打を放った高桑は、「真ん中に来たストレートを思い切り振り抜いた。打った瞬間、越えたと思った」と笑顔を見せた。
高桑は、美唄の自宅を朝5時に出発し、当然ながら他の選手たちよりも遅い帰宅となる。限られた時間の中でいかに集中して練習するか、その術は自然と身につくだろう。覚悟と努力に裏打ちされた日々の積み重ねが、大事な場面でチームを救ったと言える。
札幌大谷リトルシニアはすでに春季全道大会・決勝トーナメント出場の可能性こそないが、目指すはこの先の日本選手権。阿部と高桑というキープレーヤーの成長こそが、チームに新たな勝利をもたらすカギとなる。
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札幌南、あと一本が出ず 決勝T進出へ課題修正に挑む
一方、札幌南リトルシニアも初回から二死二・三塁、さらに満塁といった好機をつくるも、あと一本が出ず無得点に終わった。先発の田中大陽投手(3年・西岡ビックサン出身)は序盤こそテンポ良く投球を進めたが、中盤に入り捕まり失点を重ねた。
これでチーム成績は2勝2敗。最大の目標はもちろん日本選手権であるが、ひとつの通過点として掲げていた春季全道大会・決勝トーナメント進出は達成した。
ここからは一戦一戦を着実に勝ちきり、日本選手権へ向けた弾みとしたいところだ。
この日の試合では、スタメン外野陣に山名真生(2年・緑ヶ丘パワーズ出身)、寺井柊(2年・南スーパースターズ出身)といった2年生を起用。試合には敗れたものの、若手起用でチーム全体の底上げを図る意図が見えた。
今後、3年生が修学旅行などで不在となる時期も見据え、全体の選手層を厚くする戦略が進められている。
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協力:一般財団法人日本リトルシニア中学硬式野球協会北海道連盟