「挑戦する日高」16人が心を一つに全道制覇へ 昨年3位を超える戦いに挑む

「挑戦する日高」16人が心を一つに全道制覇へ 昨年3位を超える戦いに挑む

5チームから集った少数精鋭 藤井孝介監督が育む「会話しやすい空気」 主将・白石瑛太郎「みんなで全国大会へ」

指導者・選手

指導者

▼監督 
藤井 孝介(ふじい こうすけ)
所属:えりも新栄野球スポーツ少年団

▼コーチ 
佐藤 克光(さとう かつみ)
所属:うらかわ野球少年団

幌村 克巳(ほろむら かつみ)
所属:みゆきフェニックス

選手

★主将
⑩白石 瑛太郎(しらいしえいたろう)
所属:日高西部JBC
149センチ、43キロ

①髙橋 奏多(たかはしかなた)
所属:みゆきフェニックス
165センチ、68キロ

②田代 塁徠(たしろるき)
所属:えりも新栄野球スポーツ少年団
157センチ、45キロ

③松井 耀正(まついようせい)
所属:みゆきフェニックス
165センチ、65キロ

④佐々木 翼(ささきつばさ)
所属:日高西部JBC
140センチ、32キロ

⑤齋藤 颯祐(さいとうそうすけ)
所属:みゆきフェニックス
161センチ、68キロ

⑥後藤 太助(ごとうたすけ)
所属:新冠野球スポーツ少年団
139センチ、38キロ

⑦山道 琉生(やまみちりゅうせい)
所属:みゆきフェニックス
168センチ、58キロ

⑧阿部 楓(あべかえで)
所属:日高西部JBC
149センチ、42キロ

⑨五十嵐 崇翔(いがらしたかと)
所属:えりも新栄野球スポーツ少年団
145センチ、33キロ

⑪長瀬 由侑(ながせゆう)
所属:日高西部JBC
144センチ、36キロ

⑫佐藤 琉羽来(さとうるうく)
所属:新冠野球スポーツ少年団
139センチ、35キロ

⑬奥山 廉太(おくやまれんた)
所属:新冠野球スポーツ少年団
152センチ、45キロ

⑭南沢 蓮偉(みなみざわれい)
所属:えりも新栄野球スポーツ少年団
162センチ、45キロ

⑮工藤 有莉(くどうゆり)
所属:みゆきフェニックス
157センチ

⑯下山 颯稀(しもやまさつき)
所属:ホワイト⭐スターズ
156センチ

写真・日高選抜提供
写真・日高選抜提供

5月24日のセレクションから始まった16人の物語

 今年の日高選抜のスタートは5月24日。

 セレクションでは、選手それぞれに希望する守備位置を第2希望まで提出してもらい、守備、打撃、タイム走、紅白戦などを通して力を見極めた。

 ただ、藤井監督はその一日だけですべてを判断しようとはしなかった。

 普段の大会で見せるプレーも参考にしながら選考を進め、最終的に5チームから16人が選ばれた。

 技術だけで選んだわけではない。

 藤井監督が重視したのは「日高選抜で頑張ろう」という姿勢だった。一生懸命さが伝わってくる選手。その思いも選考の大切な基準とした。

 日高選抜として都市対抗戦に挑むのは今回が10度目。昨年は過去最高となる3位に入った。

 その歴史を受け継ぎ、今年の16人が新たな一歩を踏み出した。

藤井監督の話に真剣な表情で耳を傾ける日高選抜の選手たち。
藤井監督の話に真剣な表情で耳を傾ける日高選抜の選手たち。

「少数精鋭」だからこそ、一人ひとりの力を勝利へ

 藤井監督は日高選抜をこう表現する。

「日高選抜は少数精鋭で結束力の高いチームです。選抜された一人ひとりの力をチームの勝利につなげる責任を強く感じています。限られた時間の中でも心を一つにし、このチームだからできる野球をつくりたいです」

 選抜チームは、年間を通じて活動する単独チームとは違う。

 普段は別々のユニホームを着て、ときには対戦相手として向き合う選手たちが集まる。個々の能力が高くても、それだけで一つのチームになるわけではない。

 だからこそ藤井監督が大切にしているのが「会話しやすい空気」だ。

「遠慮があるままだと連携は深まりません。ミスを責めないこと、声を出しやすくすることが短期間での一体感につながると思っています」

 浦河、静内を主な活動拠点に、各大会終了後は週1回、ナイターで練習を重ねてきた。

 結成当初にあった選手同士の距離も、時間とともに縮まっている。

 今では打席に向かう仲間へ声を掛け、ベンチでも互いを支え合う。16人の集まりから、一つの「日高選抜」へ。その輪郭は少しずつ鮮明になってきた。

写真・日高選抜提供
写真・日高選抜提供

他チームの大切な選手を「預かる」という責任

 選抜チームを率いるうえで、藤井監督にはもう一つ大切にしていることがある。

 それは、それぞれの所属チームから大切な選手を預かっているという責任だ。

「野球の技術や勝敗だけでなく、怪我なく成長できること、仲間と支え合うこと、そしてこの経験が今後の人生の力になることを大切に指導しています」

 選手を送り出す所属チームがあり、家族がいる。

 その思いを受け止めながら、一人ひとりを尊重して向き合う。

 勝つための選抜であると同時に、子どもたちが次のステージへ進むための選抜でもある。

 藤井監督の言葉には、勝敗だけでは測れない選抜チームの役割がにじむ。

写真・日高選抜提供
写真・日高選抜提供

掲げるテーマは「挑戦」 前向きに、攻める

 今年の日高選抜を一言で表すなら――。

「挑戦するチーム」

 藤井監督はそう言い切る。

 前向きに、攻めていく。

 攻撃では打線の力を前面に出し、ヒットや長打から得点を奪う。守っては外野陣の広い守備範囲と内野陣の堅実なプレーを生かし、投手を中心に打たせて取る野球を目指す。

 一方で、課題もはっきりしている。

 打撃だ。

 打つ力そのものはある。しかし、実戦の勝負どころでその力を発揮し、得点につながる「一本」を出せるか。

 都市対抗では各地区を代表する好投手との対戦が待っている。

「選抜ということで一流のピッチャーが来るので、いい場面で打てるかどうかがカギになると思います」

 一本が試合を動かす。

 一本が流れを変える。

 そして、その一本を誰が打つのか。

 日高選抜が上位へ進むための大きなポイントになりそうだ。

写真・日高選抜提供
写真・日高選抜提供

重い球の髙橋、勝負強い白石 個性豊かな戦力がそろう

 投手陣で中心として期待されるのが髙橋奏多(みゆきフェニックス/6年)。恵まれた体格を生かした重い球と、安定したコントロールを持ち味とする。

 主将の白石も、仲間の中で「ここを見てほしい選手」として髙橋を挙げ、「髙橋奏多選手のピッチングです」と期待を寄せる。

 攻撃では齊藤颯祐(みゆきフェニックス/6年)と白石瑛太郎(日高西部JBC/6年)がキーマンとなる。

 齊藤は鋭いスイングから強い打球を放つ打者。白石は勝負どころで力を発揮できる勝負強さが持ち味だ。

 守備で注目されるのは田代塁徠(えりも新栄野球スポーツ少年団/6年)。所属チームでは捕手経験が多くない中、日高選抜では捕手という重要なポジションを任された。持ち前の強肩を武器に、投手陣を支える役割が期待される。

 さらに、藤井監督が大会を通して大きく伸びてほしいと期待するのが阿部楓(日高西部JBC/6年)。「伸びしろ十分」と評価する一人で、大舞台をきっかけに一気に存在感を高める可能性を秘める。

 そして派手さだけでは測れない存在が佐々木翼(日高西部JBC/6年)だ。高い守備力を持ち、複数の役割をこなせる万能型。藤井監督はチームを陰で支える「縁の下の力持ち」として信頼を寄せている。

 それぞれの所属チームで中心を担ってきた選手が集まるからこそ、藤井監督は「実力だけでなく、信頼関係と共通理解」を重視する。

 個の力を、日高の力へ。

 その融合が始まっている。

写真・日高選抜提供
写真・日高選抜提供

主将・白石瑛太郎 全力プレーと元気で16人をつなぐ

 そんなチームの先頭に立つのが、主将の白石瑛太郎(日高西部JBC・6年)だ。

 藤井監督は白石を「全力プレーと持ち前の元気でチームを支える主将」と評する。

 主将を任されたとき、白石は素直に喜んだ。

「とてもうれしかったです。チームを全力で引っ張って行こうと思いました!」

 選抜チームには、普段ならライバルとして対峙する選手が集まる。

 まとめる難しさはないのか。

 白石から返ってきた答えには、日高地区ならではの距離の近さと、選抜野球の面白さが表れていた。

「普段から対戦機会が多くて仲がいいので、難しさはあまりないです。選抜の楽しさは、いつもは対戦相手の怖い選手が味方についていることです」

 昨日まで警戒していた強打者が、今日は頼れる仲間になる。

 打ち取るために考えていた投手が、今度は同じ勝利を目指して腕を振る。

 選抜だからこそ味わえる特別な時間だ。

 白石が感じる今年の日高選抜の強みは「走攻守のバランスが良いところ」。

 そして都市対抗では、勝つことだけにとらわれず、仲間と野球を楽しむ気持ちも忘れない。

「チームワークを大切に声を掛け合い、楽しく全力で野球をしたいです」

主将の白石(日高選抜)
主将の白石(日高選抜)

強豪選抜との実戦を重ね、10月の本番へ

 日高選抜は、本番だけを見据えているわけではない。

 8月16日の十勝音更選抜との実戦を皮切りに、9月13日には苫小牧選抜、岩見沢選抜と対戦。9月19、20日には留萌交流大会に参加する。

 10月に入ってからも3日に札幌選抜、4日に函館選抜、12日に恵庭選抜、18日には千歳選抜、西胆振選抜との実戦を予定している。

 道内各地区の選抜チームとぶつかりながら、自分たちの現在地を知る。

 その中でも藤井監督が常に意識しているのが札幌選抜だ。

「どのチームも『選抜』なので対戦を楽しみにしています。常に意識しているチームは札幌選抜です。札幌選抜を相手に自分たちの力を試したいです」

 強い相手と戦うことを恐れない。

 むしろ、自分たちがどこまでできるのかを確かめる舞台として楽しみにする。

 まさに「挑戦するチーム」だ。

写真・日高選抜提供
写真・日高選抜提供

「まずは1日目を突破」その先に見据える頂点

 都市対抗戦は短期決戦。

 一つのミス、一つの好プレー、一本のヒットで流れが大きく変わる。

 藤井監督が勝ち上がるために必要だと考えているのは「一球一球に集中する力」。

 目標を問われると、指揮官は足元を見つめる。

「まずは1日目を突破したいです」

 一方、主将の白石が見据える場所はさらにその先にある。

「チームとしての目標は、全道制覇をして、みんなで全国大会に行くことです。個人としては、大きな声でチームを盛り上げてチームを優勝に導くことです」

 一戦ずつ勝ち上がる藤井監督の視線。

 頂点を目指して仲間を鼓舞する白石の思い。

 表現は違っても、目指す方向は同じだ。

写真・日高選抜提供
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勝敗の先にある「成長」を胸に

 都市対抗戦が終われば、16人は再びそれぞれの所属チーム、そして次のステージへと歩み始める。

 だからこそ藤井監督は、この限られた時間に勝敗以上のものを残したいと願う。

「野球の技術だけではなく、仲間と支え合うこと、感謝すること、苦しい場面でも前を向くことを経験してほしいです。勝敗の先にある成長こそが、これからの人生の力になると願っています」

 5チームから集まった16人。

 最初は違うユニホームを着たライバルだった。

 だが、会話を重ね、声を掛け合い、互いのプレーを知るにつれて、その関係は変わってきた。

 今は同じ「日高」の名を背負う仲間だ。

 昨年の日高選抜が残した3位という過去最高成績。その続きを今年の16人が描く。

「支えてくれる全ての人への感謝を力に変えて、選抜の誇りを胸に全力で戦います」

 藤井監督の言葉を胸に――。

 少数精鋭の日高選抜が、苫小牧の舞台で「挑戦する野球」を貫く。

写真・日高選抜提供
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フォトフラフ

写真・日高選抜提供
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協力:2026日高選抜チーム

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