浜谷監督「ミスの多さが来年への宿題」 主将・西村颯真はチームの団結力に手応え 北広島中央・木村侑煌主将も敗戦を糧に全国での飛躍誓う
中学硬式野球のリトルシニア北海道連盟が主催する「第53回秋季全道大会新人戦」は10月17日、札幌麻生球場で3位決定戦が行われ、苫小牧リトルシニアが北広島中央リトルシニアを7-6で下し、3位入賞を果たした。1点を追う五回、1年生の清水亮聖(拓勇ファイターズ出身/1年)が走者一掃の3点三塁打を放つなど一挙5得点で逆転。最終回には北広島中央の猛追を受けたものの、1点差で逃げ切った。試合後、苫小牧の浜谷千春監督は「ミスの多い試合だった」と課題を口にする一方、秋の戦いを通じた選手たちの成長に手応えを示した。主将の西村颯真(北星有珠の沢ホークス出身/2年)もチームの団結力が強まったことを実感。惜しくも敗れた北広島中央の木村侑煌(東16丁目フリッパーズ出身/2年)主将は「負けた時ほど習得できるものがある」という指揮官の言葉を胸に、全国の舞台での飛躍を誓った。両チームは来年3月、大阪府などで開催される全国選抜大会への出場を予定しており、正式な出場チームは来年2月に日本リトルシニア中学硬式野球協会から発表される。
イニングスコア
北広島中央
0300003=6
100150x=7
苫小牧
(北)磯野、大浦、伊藤、松田-渡邉
(苫)佐藤、佐々木-西村
▽三塁打:清水(苫)
▽二塁打:小林正(北)、西村、丸山、和嶋(苫)
清水の一打で試合をひっくり返す 苫小牧が五回に一挙5得点
3位の座を懸けた一戦は、最後まで勝敗の行方が分からない接戦となった。
苫小牧は初回に1点を先制したものの、二回に北広島中央の集中打を浴びて3失点。四回に1点を返し、2-3と1点差に迫った。
試合が大きく動いたのは五回だった。
苫小牧は四球や相手の失策も絡めて同点に追いつくと、一死満塁の絶好機を迎える。
ここで打席に立ったのは、3番・清水。
清水は右中間を鋭く破る走者一掃の3点タイムリー三塁打を放ち、一気に6-3と逆転。さらに4番・西村が左翼へ犠牲フライを打ち上げ、この回5点目を奪った。
1点を追う展開から一転、7-3と4点のリードを築いた。
投げては先発の佐藤柊真(飛翔スワローズ出身/2年)から、五回に佐々木孝太郎(泉野イーグルス出身/2年)へ継投。2人の投手で北広島中央打線に立ち向かった。
しかし、北広島中央も簡単には引き下がらなかった。
七回、3番・木村、4番・渡邊漣(新札幌スターズ出身/2年)の連続安打などで好機をつくると、6番・細野世羅(岩見沢学童野球クラブ出身/2年)が左前適時打。相手の失策も絡めて3点を返し、ついに1点差まで詰め寄った。
それでも苫小牧は最後のアウトを奪い、7-6で逃げ切った。
大きな逆転劇と、最終回の冷や汗をかく展開。両チームにとって、勝敗だけでは語れない課題と収穫が残る一戦となった。

浜谷監督「自分たちのミスでチャンスを潰している」 3位入賞にも厳しい評価
試合後、苫小牧の浜谷千春監督から最初に出たのは、喜びよりも反省の言葉だった。
「今日はミスの多い試合だった。来年に向けての宿題ですね」
3位入賞を果たし、来春の全国選抜大会出場を見据える位置まで勝ち上がった。それでも指揮官が見つめているのは、さらに上を目指すために必要なチームの完成度だ。
特に気になっているのが、攻撃面での細かなミスだった。
「うちはそれほど打てるチームではないので、機動力を使いながら攻めなければならない。それなのに走塁ミスで自分たちのチャンスを潰してしまっている」
準決勝の札幌新琴似戦でも、攻撃の流れをつくりながらミスで好機を逃す場面があったという。
「せっかくいい感じに攻めているのに、自分たちのミスで潰してしまう。そういうところがなくなれば、もう少しいいチームになるし、得点力も上がると思います」
一方、秋の大会を通じて確かな成長も感じている。
「1年生、2年生ともに、投手陣を含めてみんなレベルアップしてきたかなと思います」
雨による日程変更もあり、投手の起用には一定の余裕が生まれた。そうした巡り合わせも味方につけながら、チームは上位まで勝ち進んだ。
ただ、投手陣についても現状に満足しているわけではない。
「投手陣にはもう少し頑張ってもらわないといけない。素材的には悪くないので、この冬にしっかり鍛えれば、ある程度のところまではいけると思います」
球速についても、現在の120キロ台から130キロ台へと引き上げることを一つの目標に挙げた。
浜谷監督によると、苫小牧は選手数が比較的少ないこともあり、新チームになっても公式戦経験のある選手が残るケースが多いという。それが秋の大会で結果を残す一因にもなっている。
しかし、一冬を越えれば他チームの選手たちも大きく成長してくる。
「新3年生がグッと力をつけてくるので、差が縮まってしまうところもある」
秋に結果を残したからこそ、冬の過ごし方が重要になる。
浜谷監督の言葉には、全国の舞台を見据えた期待と厳しさがにじんでいた。

「試合を重ねるごとに団結力が強くなった」 西村主将が語る秋の成長
試合終了後、苫小牧の西村主将に率直な心境を尋ねると、返ってきたのは「うれしいです」という飾らない一言だった。
最終回に1点差まで迫られたものの、最後は勝ち切った。
その西村が今大会を振り返って最も成長を感じているのは、個々の技術以上にチーム全体のまとまりだった。
「試合をやっていくにつれて、だんだんチームのまとまりというか、団結力が強まっていって、それが勝ちにつながったと思います」
予選リーグから決勝トーナメントへ。
試合を重ねる中で、仲間同士の信頼関係が深まり、苦しい場面でも一つになって戦えるようになってきた。
一方、主将自身もチームの課題を冷静に受け止めている。
「細かな連係プレーだったり、走塁ミスだったり、そういうところが今日も結構目立ったので、全国大会に向けて頑張っていきたいです」
浜谷監督が指摘した課題と、西村主将が感じた反省点は重なる。
勝利の喜びを味わった直後であっても、次に向けて修正すべき部分を見失っていない。
打撃では五回に貴重な犠牲フライを放ち、捕手としても投手陣を支えた西村。
主将としてチームをまとめながら、来春に向けてさらに高いレベルを目指す。
3位入賞は一つの成果であり、同時に新たな挑戦の出発点でもある。

西村颯真(にしむら・そうま)
苫小牧リトルシニア・2年/主将・捕手
北星有珠の沢ホークス出身
右投げ、右打ち
174センチ、64キロ
小学1年生の冬に野球を始めた。幼少期に北海道日本ハムファイターズの清宮幸太郎選手に顔が似ていると言われたことをきっかけに、ファイターズの試合を見るようになり、野球が好きになった。将来は兵庫県の高校への進学に関心を持っているが、志望校はまだ決まっていない。
北広島中央・木村主将「負けた時ほど習得できるものがある」 悔しさを成長の力に

一方、あと一歩届かなかった北広島中央。
七回に3点を返し、1点差まで追い詰めた粘りは、チームが秋の戦いを通じて培ってきた力を示すものだった。
試合後、木村主将は悔しさを胸に秘めながらも、前を向いていた。
「いつも監督が『負けた時ほど習得できるものがある』とおっしゃっているので、この負けを生かして、これから絶対に負けないチームづくりをしていきたいです」
木村がチームの成長として挙げたのは、接戦でも慌てずに戦える精神的な強さだ。
「リーグ戦から接戦を結構制してきているので、1点差のゲームでも慌てることなく、全員が冷静に試合を進められるチームになってきたと思います」
その言葉を裏付けるように、この日の最終回も4点差を諦めることなく攻め続けた。
しかし、木村はチームの課題についても明確な答えを持っていた。
「ランナーがたまってしまった時などに、自分たちの持ち味である全員で声を出すことができなくなる時がある。そこが課題だと思います」
苦しい場面でこそ声を掛け合い、チーム全体で流れを変える。
その姿勢を徹底できるかどうかが、来春の全国で勝ち進むための鍵になると考えている。
冬の強化について尋ねると、木村は攻守両面でのレベルアップを掲げた。
「打線がつながるチームにしたいです。守備でもエラーゼロを徹底できるチームにしたいと思っています」
勝てなかった悔しさを、ただの悔しさで終わらせない。
監督から教えられてきた言葉を自らの成長につなげようとする姿に、主将としての強い責任感が感じられた。

木村侑煌(きむら・ゆうき)
北広島中央リトルシニア・2年/主将
東16丁目フリッパーズ出身
右投げ右打ち
160センチ、59キロ。
小学1年生から野球を始める。兄が野球をしていたことが競技を始めるきっかけとなった。家族は両親と兄、弟妹の6人。年下の兄弟一人も大曲ファイターズで野球に取り組んでいる。
勝った苫小牧、敗れた北広島中央 ともに全国を見据える冬へ
3位決定戦は苫小牧の勝利で幕を閉じた。
しかし、両チームの主将が語った言葉には共通するものがあった。
苫小牧の西村は、チームの団結力が高まったことに手応えを感じながら、細かな連係や走塁の精度向上を課題に挙げた。
北広島中央の木村は、接戦を戦い抜く精神面での成長を感じる一方、苦しい場面での声掛けや守備の安定を求めた。
そして浜谷監督も、3位入賞という結果に満足することなく、走塁や投手力の底上げを強調した。
全国の舞台を見据えれば、今大会で見つかった課題は決して小さくない。
それでも、秋の実戦で経験した逆転、接戦、そして敗戦は、選手たちにとって大きな財産になるはずだ。
来春3月の全国選抜大会を目指す両チーム。
北海道の厳しい冬を越え、どれだけ成長した姿を見せられるか。
苫小牧と北広島中央、それぞれの新たな挑戦が始まる。


協力:日本リトルシニア中学硬式野球協会 北海道連盟
