恵庭シニア、3位決定戦制し全国切符 粘りの投球と堅守でつかんだ「北海道代表」

恵庭シニア、3位決定戦制し全国切符 粘りの投球と堅守でつかんだ「北海道代表」

札幌北、とかち帯広とともに来春大阪の全国選抜へ

なお、決勝の詳細は後日、当サイトで紹介致します。

イニングスコア

◆3位決定戦(10月12日)

恵庭
2000001=3
0010000=1
大空
(恵)三浦-秋谷
(大)土門、中村、岡本-岡本、伊成
▽二塁打:深澤、岡本、佐藤(大)

四球と敵失で2点先制、最終回に貴重な1点

 試合は初回、恵庭が3つの四球と相手守備の乱れに乗じて2点を先制。立ち上がりから主導権を握った。三回に1点を返され2-1と追い上げを受けたが、ここで踏ん張ったのが恵庭の守備陣だった。

 試合終盤、恵庭1点リードの2-1のまま迎えた最終七回。恵庭は一死満塁と攻め立て、3番・髙橋央奨(深谷市リトルリーグ出身/2年)の内野ゴロの間に三走・西田悠眞(江別中央タイガース出身/2年)が本塁へ生還。貴重な追加点を奪い、3-1と試合を決定づけた。

三浦虎星が粘投 変化球駆使し要所を締める

 先発の三浦虎星(千歳桜木メッツ出身/2年)は、球速こそ突出していないものの、ストレートと変化球のコンビネーションで相手打線を翻弄。走者を背負いながらも、要所を締める安定した投球で三回以降は得点を許さなかった。守備陣も堅実なプレーでリズムをつくり、チーム全体で勝利を引き寄せた。

先発完投の三浦投手(恵庭)
先発完投の三浦投手(恵庭)

チーム一丸でつかんだ「全国への切符」

 試合後、渡邉匠監督は「スーパースターがいるチームではないが、全員で繋ぐ意識を持って戦ってくれた」と選手たちの成長を称えた。主将・城間奏良(2年)は腰のケガでこの試合に出場できなかったものの、仲間が最後まで戦い抜き、見事に全国の舞台への扉を開いた。

 恵庭リトルシニアは、札幌北、とかち帯広とともに、来春の全国選抜大会で北海道の代表として挑む。チームの“粘り”と“結束力”を武器に、さらなる飛躍を目指す。

「自分たちで動けるチームへ」渡邉匠監督が語る成長の軌跡

スーパースターはいなくても——結束力で勝ち上がるチーム

「飛び抜けた子がいるわけではない。だけど、みんなで繋いでいこうという気持ちがすごく強い」
そう語るのは渡邉匠監督。決して個の力で勝ち抜くチームではないが、それでもここまで勝ち進んできた背景には、選手たちの“見えない力”の成長があった。

「本当に、よくここまで頑張ってくれたと思います。三浦も“のらりくらり”と見えるようで、気がつけばゼロを積み重ねてきた。その粘りにバックが応えた。そうした一つひとつの“積み重ね”こそが、今のチームをつくっているんです」

主役は選手たち 自主性でつかんだ準決勝進出

このチームの特徴は“自分たちで考え、自分たちで動く”姿勢だ。

夏からチームの成長は加速し、新チームとしての土台が形になってきた。キャプテンが決勝トーナメントを欠場するアクシデントにも見舞われたが、選手たちは自ら話し合い、ミーティングを重ねながら“1日1善”というスローガンを掲げ、行動を変えていった。

「集合時間は7時半だったんですが、彼らはもっと早く来て、私たちがいないところでも声を出してストレッチしてたんです。会場が開いてなくても、準備を始めていた。もう、見ていて胸が熱くなりました」

地道な積み重ねがチームの武器

準決勝進出が決まったこのチームに、課題はあるかと問うと、監督はこう答える。

「圧倒的な選手がいるわけじゃない。だからこそ、細かい部分をしっかりやることが大事。ミート力だとか、バッティングの質だとか、まだまだ高いレベルとは言えない。でも、それでも勝ち進んでこれたのは、一人ひとりの小さな意識と行動が積み重なった結果だと思っています」

今回の大会、決勝トーナメントの舞台はまさにチームとしての“完成度”が試される場となる。

メダルの授与を受けた恵庭ナイン
メダルの授与を受けた恵庭ナイン

「みんながつないでくれた」——恵庭シニア・城間奏良主将、仲間に託した全国への切符

仲間の力でつかんだ全国への道

第52回秋季全道大会新人戦を終え、恵庭リトルシニア・城間奏良主将は、腰のケガのため3位決定戦には出場できなかった。それでも、仲間たちが見事に全国への切符をつかみ取った瞬間、チームを率いるキャプテンの目には喜びと感謝があふれていた。

「うれしいです。これまで先輩方も挑戦してきたけど、なかなかここまでたどり着けなかった。自分たちでこの舞台に立てたことが本当にうれしいです」

チームを牽引してきたキャプテンとしての責任感。そのスタートは、昨冬に始まった。

「キャプテンになったとき、“絶対やってやろう”という気持ちでいました。でも、僕ひとりで引っ張ったわけじゃない。みんなが姿勢を見せてくれて、僕に教えてくれたんです。みんなでつくり上げたチームです」

第3位の恵庭リトルシニア
第3位の恵庭リトルシニア

ミーティングで生まれた一体感

このチームの強みは、選手間のコミュニケーションだ。
城間主将は、人数の多いチームをまとめるため、仲間と何度もミーティングを重ねた。

「僕ひとりでまとめるのは難しかったので、副キャプテンや仲間と一緒に“こうしていこう”と話し合ってきました。戦略や気持ちの部分も含めて、全員で意見を出し合ってチームをつくってきたんです」

初めはバラバラだったというチームが、一つにまとまっていったきっかけも、日々のミーティングと仲間の存在だった。

「最初は本当にまとまっていなくて、全然ダメでした。でも、みんなで“マシンでバント練習したほうがいいんじゃない?”って意見を出して、すぐに実行したんです。そういう小さなことを気づかせてくれたのが、副キャプテンの中山絆(野幌ファイターズ出身/2年)や千葉恵太(北広島イーストグローリー出身/2年)、そして同じ外野の髙橋龍雅(恵み野ロイヤルズ出身/2年)でした。仲間に支えられて、もう一度チームをつくり直そうと思えました」

 6月下旬に開幕したKOKAJI CUP全道大会・準々決勝で優勝した「とかち帯広」に敗れた悔しさを経て、チームは再び歩き出した。
「監督から“ここからまた1から作っていこう”と言われて、全員で新しい気持ちになれたんです」

「みんながつないでくれた」全国へ、次の挑戦

 恵庭リトルシニアの施設内にある砂浜を利用した、砂浜ダッシュなど、きつい練習も仲間と共に乗り越えてきた。
「砂浜練習も、みんなで苦しいのを乗り越えるから意味がある。あれで気持ちも強くなりました」

そして迎えた全国への切符をつかんだ瞬間。
城間主将は、仲間への感謝を改めて口にした。

「自分は出場できなかったけど、みんながつないでくれた。本当に仲間のおかげです。まずは全国に出場できたことがうれしい。でも、次の目標は“全国優勝”。もっと練習して、もっと強くなって、全国で恵庭の野球を見せたいです」

鹿児島で野球を始め、今は北海道の地でチームをまとめるキャプテン。
城間奏良主将の目は、すでに次のステージを見据えている。

〇城間 奏良(しろま そら)
恵庭リトルシニア/2年
右投げ・右打ち
身長161センチ、体重62キロ。

家族は両親と4人兄弟の6人家族。沖縄出身で、父の仕事の都合により北海道へ転勤となった。小学生の頃はレスリングや水泳にも取り組み、最終的に野球の道を選んだ。学童時代は千歳タイガースに所属し、6年時には全日本学童マクドナルド・トーナメント南北海道大会に千歳支部代表として出場。2回戦の緑苑台ファイターズジュニア戦では、秋谷哲汰(恵庭リトルシニア/2年)とともに柵越え本塁打を放った。

城間主将(恵庭)
城間主将(恵庭)

あと一歩届かず──全国切符目前で涙の大空シニア

 大空リトルシニアは、勝てば来春3月に行われる全国選抜大会への出場権を掴む大一番で惜しくもあと一歩届かなかった。
 一番難しい初回の立ち上がり、四球と守備のミスが重なり、恵庭チームに2点を先制される苦しい展開からのスタートとなった。

 二回には二死から7番・深澤昊(佐呂間ライオンズ出身/2年)が左中間を破る二塁打でチャンスを作るも、後続が倒れて無得点。続く三回、一死から1番・伊成輝将(網走ブルージュニアーズ出身/2年)が内野安打で出塁し、3番・岡本大輝(遠軽東イースターズ出身/2年)がレフトオーバーのタイムリー二塁打を放ち1点を返した。四回には6番・佐藤蒼介(北見ビクトリー出身/2年)がセンターオーバーの二塁打で再び好機を演出したが、あと一本が出ず得点にはつながらなかった。

 投手陣は、先発の土門琉人(佐呂間ライオンズ出身/2年)を皮切りに、中村魁李(釧路ゴールデンモンキーズBBC出身/2年)、岡本の3人がマウンドに上がった。いずれもポテンシャルの高い投手陣で、ひと冬越えての成長が楽しみな顔ぶれだ。

3位決定戦に挑んだ大空リトルシニア
3位決定戦に挑んだ大空リトルシニア

協力:一般財団法人 日本リトルシニア中学硬式野球協会 北海道連盟

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA