旭川道北・北広島Fビレッジ・旭川大雪それぞれの現在地と決意
中学硬式野球・ボーイズリーグ北海道支部の春季大会が開幕し、今シーズンの戦いが幕を開けた。開会式では14チームが集結し、それぞれの冬の積み重ねを胸に新たなスタートを切った。
選手宣誓を務めた旭川道北ボーイズの副主将・古屋悠が掲げた「支え合い、励まし合い、全力で戦い抜く」という言葉は、今大会に臨むすべてのチームの姿勢を象徴するものだった。
チーム名を改称し新たな一歩を踏み出した北広島Fビレッジボーイズ、昨夏全国準優勝の実績を背負い“現在地”を見つめる旭川大雪ボーイズ――。それぞれが異なる背景と課題を抱えながらも、目指す先は同じ“全国の舞台”だ。
冬の鍛錬の成果を試す春。そして3年生にとっては限られた時間の中で迎える勝負のシーズン。ここから始まる一戦一戦が、これまでの積み重ねの“答え合わせ”となっていく。
全国へ続く道のり、その起点――春季大会が示す“現在地”
今季のボーイズリーグ北海道支部は、春季大会を皮切りに長丁場のシーズンへと突入する。開会式にはBチームを含む14チームが一堂に会し、それぞれが冬の鍛錬の成果を胸に力強い行進を見せた。
今大会は単なる開幕戦ではなく、その先に続く各大会へとつながる“起点”でもある。ゼット旗争奪第35回春季北海道大会をスタートに、スポーツ報知杯、春季リーグ戦(全国一次予選)、北海道選手権(全国二次予選)と、全国へと直結する戦いが段階的に待ち受ける。
各チームにとって、この春は現在地を測る重要な時間だ。冬に積み上げてきた技術やフィジカル、そしてチームとしての完成度が、実戦の中で問われる。試合を重ねるごとに見えてくる課題と手応え――その積み重ねが、夏の大一番へとつながっていく。
特に3年生にとっては、残された時間が限られている。ひとつひとつのプレー、ひとつひとつの試合が、すべて結果へと直結するシーズン。その緊張感の中で、チームとしてどれだけ結束できるかが勝敗を分ける。
春はまだ序章に過ぎない。しかし、この時期に見せる姿勢こそが、そのチームの“本質”を映し出す。中学球児たちの挑戦は、ここから本格化していく。

選手宣誓に込めた覚悟――古屋悠が誓った“支え合い”と最後の3カ月
開会式で選手宣誓の大役を担った旭川道北ボーイズの古屋悠(豊岡・東旭川合同チーム出身)。堂々とした言葉の一つひとつには、チームへの思いと、限られた時間への覚悟がにじんでいた。
「僕たち3年生は、あと3カ月しかプレーすることができません。悔いのないように、この時間を大切に過ごしたい――」
宣誓の中で特に強調したのは、“支え合い”の重要性だという。
「試合ではうまくいかないことの方が多いと思います。でも、そんな時こそ励まし合い、支え合って戦い抜く。その姿を見せたかったです」
今回、キャプテン不在の中で副主将として宣誓を任された古屋。話を受けたのは3月下旬。自ら言葉を考え、何度も練習を重ねて本番に臨んだが、「途中で言葉が飛んでしまった部分もあった」と苦笑い。それでも、会場には確かな熱量が伝わる内容だった。
チームの現状については、手応えを感じている。
「春は調子が上がらないことが多いんですが、今年は練習試合2試合とも勝っています。投手陣も良く、打線もつながってきています」
チームの強みは、決して人数の多さではない。
「人数は少ないですが、その分チームワークや声掛け、ベンチワークは強みです。練習量も確保できるので、そこはプラスに捉えています」
その裏には、昨秋の悔しさがある。選手権予選、そしてリーグ戦での敗戦。特に札幌手稲戦での敗北は、古屋に大きな気づきをもたらした。
「球が速いだけでは通用しないと感じました。そこから球の質とコントロールを見直しました」
この冬は体重管理と体の使い方を徹底的に見直し、下半身主導のフォームへと改善。実戦でもその成果は現れており、「ストレート一本でも空振りやファウルが取れるようになってきた」と成長を実感している。
チームとして掲げるのは、もちろん全国の舞台だ。
「まずは選手権で勝ち進み、全国の切符をつかむこと。そして全員で楽しんで戦いたい」
昨年の全国はベスト8。その先へ――。
「今年はベスト4、さらにその上を目指したい」
選手宣誓で誓った“支え合い”の精神とともに、古屋悠はチームの中心として最後の夏に挑む。限られた時間の中で、どこまで自分たちを高められるか。その答えは、これからの戦いの中にある。

古屋 悠(ふるや・ゆう)
旭川道北ボーイズ/3年 副主将
右投げ・右打ち
173センチ、73キロ
ポジションは投手で今年の3月計測時で最速134キロを記録した。今季のうちに目標である140キロオーバーを目指す!
野球歴は小学2年生からファイターズアカデミーを経て少年団へ。
家族は両親と兄の4人。
選手としての特長は下半身主導の投球フォームと向上心、チームを鼓舞するリーダーシップだ。
北広島の名を背負い、新たなスタートへ――「北広島Fビレッジ」誕生の背景
昨年12月、これまで「札幌北広島ボーイズ」として活動してきたチームが、新たに「北広島Fビレッジ」へと名称を変更し、新たな一歩を踏み出した。チーム名改称の背景には、地域認知と全国大会での誤解を防ぐという、現場ならではの課題があった。
山田徹監督は、これまでのチーム名についてこう振り返る。
「全国大会に行った際、『札幌北広島ボーイズ』だと広島県のチームと間違われることがあったんです」
こうした経験を踏まえ、チームは名称の見直しを決断。近年、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」の開業により、“北広島”という地名の認知が全国的に高まったことも後押しとなった。
さらに今回の改称では、「Fビレッジ」という実在する地名をチーム名に取り入れた点も大きなポイントだ。山田監督は「“Fビレッジ”自体が地域として確立されてきている。地名として通じる言葉を入れることで、より明確に“どこのチームか”が伝わると考えました」と説明する。単なるイメージではなく、地域そのものを背負う名称としての意味合いが込められている。
一方で、チーム状況については「名称変更の影響で選手が増えたということはない」と冷静に分析する。実際には改称前から入団が進んでおり、現在は1年生が25人と大きなボリュームを形成している。
ただし、上級生の2年生は6人と少数精鋭。こうした構成が「出場機会の多さ」や「成長環境の良さ」として評価され、入団の動機の一つになっている可能性もあるという。
「やりやすい環境だと感じてくれている部分はあるかもしれませんね」と山田監督。明確な理由は断定しないものの、チームの雰囲気や環境が選手たちにとって魅力的に映っていることは間違いなさそうだ。

明るさと積極性でチームを牽引――主将・大橋亮太が描く「北広島Fビレッジ」の現在地
新たなチーム名「北広島Fビレッジ」としてスタートを切った今季。その中心でチームを牽引するのが、大橋亮太主将(平岡カウボーイズ出身/3年)だ。
チームは昨年12月に名称を「北広島Fビレッジ」へと改称。大橋主将は、その変化について「もともと明るく元気なチームでしたが、自分たちが最上級生になってからは、より一層“声”を意識するようになりました。とにかく全力で、常に声が出ているチームを目指しています」と語る。新チームとしての自覚が、グラウンド上の活気に直結している。
この冬、チームが重点的に取り組んできたのは、打撃の積極性と守備の連携強化だ。
「昨年は初球から仕掛ける意識が弱く、守備でも連携ミスが目立っていました。そこを改善するために、打撃は初球からどんどん振っていくこと、守備はミスを減らすことを徹底してきました」
その成果は、すでに実戦の中で表れ始めている。「オープン戦でも、ストライクと判断したら迷わず振るという意識が全員に浸透してきました」と手応えを口にする。冬場の打ち込みと基礎練習の積み重ねが、チーム全体のスタイルとして形になりつつある。
個人としての目標については、「バッティングでチャンスをつくり、次につなげる打者になること。そして投手としては、ここ一番で抑えられる存在になりたい」と攻守両面での成長を掲げる。打順は流動的ながら、オープン戦では1番や2番、3番を任されるなど、攻撃の起点としての期待も大きい。
チームとしての目標は明確だ。「夏の選手権で優勝して、大阪に行くこと」。その言葉には、主将としての責任と覚悟がにじむ。
「一戦一戦を大切に戦って、必ず大阪に行けるように頑張ります」
新たな名を背負い、進化を続ける北広島Fビレッジ。その先頭に立つ大橋主将の存在が、チームの未来を大きく左右する。明るさと積極性――その両輪で、頂点への道を切り拓いていく。

大橋 亮太(おおはし・りょうた)
北広島Fビレッジボーイズ/3年 主将
ポジションは三塁手、投手、捕手、遊撃手と、ユーティリティーな存在だ。
右投げ、右打ち
165センチ、51キロ
家族は両親と兄2の5人。
野球は5つ上兄の影響で小学2年生から平岡カウボーイズで競技をスタートさせた。
攻撃ではまだ決まっていないものの、オープン戦時では主に1~3番を担った。
攻守にわたるユーティリティ性と、チームを鼓舞する明るさ・声が持ち味だ。
昨夏G杯準優勝の旭川大雪ボーイズ “現在地”を測る春――西大條監督が語る課題と手応え
昨夏の全国ジャイアンツカップで準優勝に輝いた旭川大雪ボーイズ。全国の頂点まであと一歩に迫った実力チームは、新チームでもその歩みを止めていない。3月に行われた全国春季大会には北海道代表として4年連続出場。初戦では東広島ボーイズを8-1で下し、続く2回戦では明石ボーイズと激闘を演じるも、9-10のサヨナラ負けで涙をのんだ。
それでも西大條敏志監督は、現状を冷静に見つめている。
「昨年のチームがジャイアンツカップ準優勝という結果を残している以上、簡単に外せるチームではないと思っています」
新チームはこの春にかけて、毎週のように練習試合を重ねてきた。対戦相手もリーグの垣根を越えた強豪が並び、実戦を通じてチームの完成度を高めてきたという。
「いろいろな相手と試合をしてきましたし、丁寧に積み上げてきたつもりです」と振り返る一方で、指揮官の口からは課題も率直に語られた。
「正直なところ、明石ボーイズさんには力負けしていると感じる部分もあるんです。接戦ではありましたが、“これではまだ足りない”と」
全国の舞台で突きつけられた現実。その差をどう埋めるかが、今チームの大きなテーマとなっている。
そんな中、5月10日に全国準優勝の札幌北リトルシニアと17日には青森山田リトルシニアとの対戦が予定されている。今春の全国大会で大きな結果を残した強豪との“全国強豪対決”とも言える一戦は、旭川大雪にとって現在地を測る絶好の機会だ。
「強いチームとやることで、自分たちの立ち位置がはっきりする。それが大事だと思っています」
西大條監督は、これまで積み上げてきたものの“答え合わせ”と位置づける。ただ、その道のりは決して平坦ではなかった。
「正直、怒ってばかりでしたよ」と苦笑いを浮かべる指揮官。それでも、選手たちが感じている危機感は確かなものだ。
「このままでは通用しないという思いは、チーム全体が持っているはずです」
春の全国で得た経験を無駄にしないために――。旭川大雪ボーイズは今、自らの限界を押し広げる過程にある。
昨年全国準優勝の看板に甘えることなく、再び頂点を目指す挑戦は続く。次なるステージで、その進化の度合いが問われる。

協力:公益財団法人 日本少年野球連盟 北海道支部
