風を読み、流れを支配した王者の野球 新陽スターズも死力尽くす激闘の札幌支部決勝
学童野球最高峰「高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」につながる札幌支部大会の準決勝2試合と決勝が5月24日、札幌市・美香保公園球場で行われた。決勝では東16丁目フリッパーズが新陽スターズを9-2の五回コールドで下し、11年連続優勝を達成。6月20日から日高支部で行われる南北海道大会への切符を手にした。
すでに南空知支部代表・岩見沢学童野球クラブ、函館支部代表・函館本通JBC、千歳支部代表・柏ホエールズなど、道内各地の強豪も続々と代表権を獲得。全国を懸けた戦いは、いよいよ本格化していく。
イニングスコア
◆決 勝(5月24日、美香保公園野球場)
東16丁目フリッパーズ9-2新陽スターズ少年野球団
東16丁目フリッパーズ
51102=9
01100=2
新陽スターズ少年野球団
(五回コールドゲーム)
(東)高野、市橋、中本ー中本、小野寺
(新)三田村、松井、内海ー内海、坂東
▽三塁打:市橋(東)
▽二塁打:橋本、佐藤(東)
強風を味方につけた王者の猛攻 初回5得点で主導権を奪う
決勝当日の美香保公園球場は、強風が吹き抜ける難しいコンディションだった。
しかし、その風すらも味方につけたのが東16丁目フリッパーズだった。
新陽スターズは強打の東16丁目打線を警戒し、外野を深めに守るシフトでスタート。だが、王者は初回から一気に襲いかかる。
先頭の原夢輝太(6年)が四球で出塁すると、続く橋本昊(6年)の高々と上がった飛球は、風に押し戻されセンター前へ落下。二死二、三塁から5番・中本准太郎の外野飛球が強風の影響もあり落球を誘い、2点を先制した。
勢いは止まらない。
6番・市橋桔平(6年)のライトオーバー三塁打、8番・山内奏人(6年)の2点タイムリーなどで一挙5得点。打者9人の猛攻で、試合の流れを完全に掌握した。
二回には四番・佐藤忠將(6年)がセンター前適時打。三回には主将・小野寺佑亮(6年)の好走塁をきっかけに、原がライト前へタイムリー。さらに五回、佐藤が右中間を破る2点タイムリーで試合を決定づけた。
「みんなでつないで、低い打球を意識してできたことです」
試合後、主将・小野寺は優勝の要因をそう語った。
ライナー性の打球を徹底し、つなぎながら相手へ圧力を掛け続ける――。それこそが、東16丁目フリッパーズが長年積み上げてきた“勝つ野球”だった。
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四番の覚悟――佐藤忠將、勝負強さで導いた11連覇
今年の東16丁目フリッパーズ打線を支える四番・佐藤。大舞台でも変わらぬスイングでチームを引っ張り、11連覇達成の中心を担った。
優勝が決まった瞬間について問われると、佐藤は照れくさそうに笑みを浮かべながらも、確かな達成感をにじませた。
笹谷武志監督も、佐藤の成長を高く評価する。
「以前は雑な部分もあった。でも毎日怒られながら(笑)、少しずつ変わってきた。この2日間は、本当に大事な場面で結果を出してくれた」
チームを勝利へ導く一本――。四番としての責任を、佐藤はそのバットで示した。
6月20日から始まる南北海道大会へ向けて、個人目標には「ホームラン5本」を掲げる。
そして、チームの目標はただ一つ。
「優勝です」
最後に南北海道大会への意気込みを問われると、力強く言い切った。
「とにかく打ちます」
頼れる四番の一振りが、再び東16丁目フリッパーズを全国へ近づける。


「まだまだなんです」――11連覇王者が見据える“次の3勝”
投げては、高野恭佑(6年)が準決勝、決勝のダブルヘッダーで先発マウンドを任された。
「今までで一番良かったと思います」
そう振り返った右腕は、力強いストレートでゲームを支配した。
「右打者のインコースに抜けないように意識しました。しっかり指に掛けようと思って投げていました」
準決勝、決勝ともに試合をしっかり作り、王者に安定感をもたらした。笹谷武志監督も「立ち上がりの守りが重要な試合で、そこをきちっとやってくれた」と高く評価する。
さらに中継ぎの市橋、そしてパワー系右腕・中本へとつなぐ継投策で、新陽スターズ打線を4安打2失点に抑え込んだ。
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重圧の“マック予選”に挑んだ新陽スターズ あと一歩届かなかった南北海道大会への切符
一方、新陽スターズも意地を見せた。
二回、一死二塁から木村有翔(6年)のセンター前タイムリーで1点。三回には敵失を足がかりに満塁の好機を作り、井平向(6年)の内野ゴロの間に追加点を奪った。
しかし、三番手・中本の威力ある直球の前に反撃は続かず、あと一歩届かなかった。
試合後、井上太監督は悔しさをにじませながらも、選手たちを労った。
「このマックだけは特に雰囲気が違う。少し消極的になってしまったかな。でも頑張ったと思います」
独特の重圧が漂う“マック予選”。その空気を乗り越えた経験は、新陽スターズにとっても大きな財産になるはずだ。


“気持ちの成長”が生んだ11連覇 王者の挑戦は終わらない
11連覇達成後も、笹谷監督の口から出たのは「まだまだ」という言葉だった。
「見始めた頃は下手くそでしたよ(笑)。でも魅力があったんです」
アウトカウントを忘れる。打ち上げてはいけない場面で打ち上げる――。粗削りながらも、選手たちには他にはない力があったという。
「細かい部分を全部できるタイプじゃない。でも、持ち味を伸ばしたかった」
初回に5点を奪ったあと、守備陣へ「ランナーなしの感覚で守れ」と声を掛けたのも、子どもたちのプレッシャーを和らげるためだった。
「子どもたちは“点を取られたくない”って思うんです。だから、こっちが明確にしてあげないと」
その言葉には、勝利だけではない“学童野球指導者”としての哲学が詰まっていた。
そして今大会、指揮官が最も成長を感じたのは“気持ち”の部分だった。
「不安とか恐怖は絶対ある。でも最後は、気合と根性で乗り越えるしかない。それだけやってきたんだから、と」
その積み重ねが、11連覇という結果へつながった。
だが、王者の視線はすでに次へ向いている。
6月20日から始まる南北海道大会――。
「あと3つ、必ず取る。その気持ちを、これから子どもたちに植え付けていきたい」
全国への道は、まだ終わらない。

11連覇、その先へ――“実質12年連続”で全国を見据える東16丁目フリッパーズの常勝哲学
東16丁目フリッパーズは再び、“全国制覇”という頂へ向かって走り出す。
これで東16丁目フリッパーズは11年連続となる南北海道大会出場を決めた。さらに、2018年は前年の全国制覇による推薦出場のため、札幌支部予選および南北海道大会を免除され、直接全国大会へ出場。そこも含めれば、“実質12年連続”で全国への舞台へ歩み続けていることになる。
北海道学童野球界の先頭を走り続ける――。
その歴史の重みは、単なる連続出場記録ではない。毎年チームが入れ替わる学童野球において、世代を超えて勝ち続ける難しさは計り知れない。
だからこそ笹谷武志監督は、「まだまだなんです」と繰り返す。
過去の実績に酔うことなく、その年の選手たちと向き合い、一から積み上げる。その姿勢こそが、東16丁目フリッパーズの“常勝”を支えている。


協力:札幌軟式野球連盟
