11連覇の先に“全国制覇”――東16丁目フリッパーズ、磨かれた結束力で札幌頂点へ

11連覇の先に“全国制覇”――東16丁目フリッパーズ、磨かれた結束力で札幌頂点へ

風を読み、流れを支配した王者の野球 新陽スターズも死力尽くす激闘の札幌支部決勝

イニングスコア

◆決 勝(5月24日、美香保公園野球場)

東16丁目フリッパーズ
51102=9
01100=2
新陽スターズ少年野球団
(五回コールドゲーム)
(東)高野、市橋、中本ー中本、小野寺
(新)三田村、松井、内海ー内海、坂東
▽三塁打:市橋(東)
▽二塁打:橋本、佐藤(東)

強風を味方につけた王者の猛攻 初回5得点で主導権を奪う

決勝当日の美香保公園球場は、強風が吹き抜ける難しいコンディションだった。

 しかし、その風すらも味方につけたのが東16丁目フリッパーズだった。

 新陽スターズは強打の東16丁目打線を警戒し、外野を深めに守るシフトでスタート。だが、王者は初回から一気に襲いかかる。

 先頭の原夢輝太(6年)が四球で出塁すると、続く橋本昊(6年)の高々と上がった飛球は、風に押し戻されセンター前へ落下。二死二、三塁から5番・中本准太郎の外野飛球が強風の影響もあり落球を誘い、2点を先制した。

 勢いは止まらない。

 6番・市橋桔平(6年)のライトオーバー三塁打、8番・山内奏人(6年)の2点タイムリーなどで一挙5得点。打者9人の猛攻で、試合の流れを完全に掌握した。

 二回には四番・佐藤忠將(6年)がセンター前適時打。三回には主将・小野寺佑亮(6年)の好走塁をきっかけに、原がライト前へタイムリー。さらに五回、佐藤が右中間を破る2点タイムリーで試合を決定づけた。

 「みんなでつないで、低い打球を意識してできたことです」

 試合後、主将・小野寺は優勝の要因をそう語った。

 ライナー性の打球を徹底し、つなぎながら相手へ圧力を掛け続ける――。それこそが、東16丁目フリッパーズが長年積み上げてきた“勝つ野球”だった。

優勝旗を手に取る小野寺主将(東16丁目)
優勝旗を手に取る小野寺主将(東16丁目フリッパーズ)
試合後、インタビューに答えてくれた小野寺主将(東16丁目フリッパーズ)
試合後、インタビューに答えてくれた小野寺主将(東16丁目フリッパーズ)

四番の覚悟――佐藤忠將、勝負強さで導いた11連覇

 今年の東16丁目フリッパーズ打線を支える四番・佐藤。大舞台でも変わらぬスイングでチームを引っ張り、11連覇達成の中心を担った。

 優勝が決まった瞬間について問われると、佐藤は照れくさそうに笑みを浮かべながらも、確かな達成感をにじませた。 

笹谷武志監督も、佐藤の成長を高く評価する。

 「以前は雑な部分もあった。でも毎日怒られながら(笑)、少しずつ変わってきた。この2日間は、本当に大事な場面で結果を出してくれた」

 チームを勝利へ導く一本――。四番としての責任を、佐藤はそのバットで示した。

 6月20日から始まる南北海道大会へ向けて、個人目標には「ホームラン5本」を掲げる。

 そして、チームの目標はただ一つ。

 「優勝です」

 最後に南北海道大会への意気込みを問われると、力強く言い切った。

 「とにかく打ちます」

 頼れる四番の一振りが、再び東16丁目フリッパーズを全国へ近づける。

右中間に2点タイムリーを放つ佐藤
右中間に2点タイムリーを放つ佐藤
打線の軸を担う四番の佐藤(東16丁目フリッパーズ)
打線の軸を担う四番の佐藤(東16丁目フリッパーズ)

「まだまだなんです」――11連覇王者が見据える“次の3勝”

投げては、高野恭佑(6年)が準決勝、決勝のダブルヘッダーで先発マウンドを任された。

 「今までで一番良かったと思います」

 そう振り返った右腕は、力強いストレートでゲームを支配した。

 「右打者のインコースに抜けないように意識しました。しっかり指に掛けようと思って投げていました」

 準決勝、決勝ともに試合をしっかり作り、王者に安定感をもたらした。笹谷武志監督も「立ち上がりの守りが重要な試合で、そこをきちっとやってくれた」と高く評価する。

 さらに中継ぎの市橋、そしてパワー系右腕・中本へとつなぐ継投策で、新陽スターズ打線を4安打2失点に抑え込んだ。

準決勝・決勝と先発を任された高野投手(東16丁目)
準決勝・決勝と先発を任された高野投手(東16丁目)
高野投手(東16丁目フリッパーズ)
高野投手(東16丁目フリッパーズ)

重圧の“マック予選”に挑んだ新陽スターズ あと一歩届かなかった南北海道大会への切符

 一方、新陽スターズも意地を見せた。

 二回、一死二塁から木村有翔(6年)のセンター前タイムリーで1点。三回には敵失を足がかりに満塁の好機を作り、井平向(6年)の内野ゴロの間に追加点を奪った。

 しかし、三番手・中本の威力ある直球の前に反撃は続かず、あと一歩届かなかった。

 試合後、井上太監督は悔しさをにじませながらも、選手たちを労った。

 「このマックだけは特に雰囲気が違う。少し消極的になってしまったかな。でも頑張ったと思います」

 独特の重圧が漂う“マック予選”。その空気を乗り越えた経験は、新陽スターズにとっても大きな財産になるはずだ。

決勝まであっぱれの躍進で勝ち上がってきた新陽スターズ
決勝まであっぱれの躍進で勝ち上がってきた新陽スターズ
準優勝の新陽スターズ
準優勝の新陽スターズ

“気持ちの成長”が生んだ11連覇 王者の挑戦は終わらない

11連覇達成後も、笹谷監督の口から出たのは「まだまだ」という言葉だった。

 「見始めた頃は下手くそでしたよ(笑)。でも魅力があったんです」

 アウトカウントを忘れる。打ち上げてはいけない場面で打ち上げる――。粗削りながらも、選手たちには他にはない力があったという。

 「細かい部分を全部できるタイプじゃない。でも、持ち味を伸ばしたかった」

 初回に5点を奪ったあと、守備陣へ「ランナーなしの感覚で守れ」と声を掛けたのも、子どもたちのプレッシャーを和らげるためだった。

 「子どもたちは“点を取られたくない”って思うんです。だから、こっちが明確にしてあげないと」

 その言葉には、勝利だけではない“学童野球指導者”としての哲学が詰まっていた。

 そして今大会、指揮官が最も成長を感じたのは“気持ち”の部分だった。

 「不安とか恐怖は絶対ある。でも最後は、気合と根性で乗り越えるしかない。それだけやってきたんだから、と」

 その積み重ねが、11連覇という結果へつながった。

 だが、王者の視線はすでに次へ向いている。

 6月20日から始まる南北海道大会――。

 「あと3つ、必ず取る。その気持ちを、これから子どもたちに植え付けていきたい」

 全国への道は、まだ終わらない。

これからの戦いについて話す笹谷監督(東16丁目)
これからの戦いについて話す笹谷監督(東16丁目)

11連覇、その先へ――“実質12年連続”で全国を見据える東16丁目フリッパーズの常勝哲学

 東16丁目フリッパーズは再び、“全国制覇”という頂へ向かって走り出す。

これで東16丁目フリッパーズは11年連続となる南北海道大会出場を決めた。さらに、2018年は前年の全国制覇による推薦出場のため、札幌支部予選および南北海道大会を免除され、直接全国大会へ出場。そこも含めれば、“実質12年連続”で全国への舞台へ歩み続けていることになる。

 北海道学童野球界の先頭を走り続ける――。

 その歴史の重みは、単なる連続出場記録ではない。毎年チームが入れ替わる学童野球において、世代を超えて勝ち続ける難しさは計り知れない。

 だからこそ笹谷武志監督は、「まだまだなんです」と繰り返す。

 過去の実績に酔うことなく、その年の選手たちと向き合い、一から積み上げる。その姿勢こそが、東16丁目フリッパーズの“常勝”を支えている。

メダル授与を受ける東16丁目フリッパーズ
メダル授与を受ける東16丁目フリッパーズ
札幌支部代表の東16丁目フリッパーズ
札幌支部代表の東16丁目フリッパーズ

協力:札幌軟式野球連盟

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