9年ぶりの聖地へ!旭川大雪ボーイズ、ジャイアンツカップ出場

9年ぶりの聖地へ!旭川大雪ボーイズ、ジャイアンツカップ出場

樽井新太、冷静なマウンドさばきで勝利を呼び込む

苫小牧の空に、歓喜の声が響いた。

 この試合の主役となったのは、先発マウンドに立った旭川大雪のエース・樽井新太(3年・東聖イーグルス出身)。強打の北空知深川打線を相手に、六回を投げてわずか3安打1失点。最速134キロのストレートに低めの変化球を織り交ぜる投球で、相手に決定打を許さなかった。

 第10回ジャイアンツカップ北海道地区予選、1勝同士で迎えた決戦の第3試合。旭川大雪ボーイズが北空知深川リトルシニアとの直接対決を4-1で制し、2016年以来となるジャイアンツカップ出場を決めた。

圧巻の投球を披露した樽井投手(旭川大雪)
圧巻の投球を披露した樽井投手(旭川大雪)

打線の援護と好判断が光る追加点

 二回、旭川大雪は先頭の7番・樽井が死球で出塁。二死二、三塁のチャンスで2番・安加賀太一(3年・愛宕スーパースターズ出身)の内野安打で樽井が生還し、2点目を奪取。この追加点が結果的に決勝点となった。

 四回裏には、再び樽井が四球で出塁し、8番・高橋宗也(3年・東川大雪野球少年団出身)がバスターでレフト線に落とすタイムリー。さらに二死から2番・安加賀が再びセンター前に運び、ダメ押しの2点を奪って4-1と突き放した。

指揮官の手腕と選手たちの成長

 試合後、西大條敏志監督は「北海道のチャンピオンになったことで、より責任を感じている」と語り、樽井の投球について「コントロールも良く、80球で六回を1失点にまとめたことが御の字。見事に投げてくれた」と称賛。

 さらに、「北空知深川の右打ちの上手い打者に対し、その辺も読みながらリードするように捕手の市川に配球を伝えた」と試合中の修正点にも言及した。

 打線についても「最近、安加賀のスイングに力がついてきた」「高橋のバスターは非常に大きかった」と振り返った。

四回、貴重なタイムリーを放った高橋選手(旭川大雪)、写真右立川選手(北空知深川)
四回、貴重なタイムリーを放った高橋選手(旭川大雪)、写真右立川選手(北空知深川)

主将・山脇の統率力がチームを再生

 チームは今春の全国大会終了後、気が緩み始めた時期があったという。そんな中、主将・山脇瑛翔(3年)がチームを引き締め、4月上旬には選手間で話し合いを実施。「全国で勝つためにはどうするか」を明確にし、再スタートを切った。

 「今年のチームは能力的には劣ると言われてきたが、自分たちの現在地を理解し、努力を重ねてきた。山脇はその中心だった」と西大條監督も評価を惜しまなかった。

本番で力を発揮する勝負強さ

 試合後、山脇は「四回に1点で抑えられたのが大きかった。緊迫した場面でも集中して守れた」と語り、最終回にマウンドへ集まった場面では「健成が“あとアウト3つ打たせるから頼んだぞ”と気合を入れてくれた」と振り返った。

 樽井は試合後、「四回に高橋君がヒットを打って自分がホームに還れたとき、イケると思った」と手応えを語る。「変化球が低めに決まっていたのが良かった。試合前に六回1~2点に抑えられればと思っていたので、その通りにできた」と笑顔を見せた。

 樽井は第2試合終了後、いち早くグラウンドに入りストレッチを繰り返していた姿が印象的だった。「監督をジャイアンツカップに連れていけて嬉しい」と言い、「開会式だけでは物足りない。準決勝、決勝の東京ドームで投げたい」と大舞台をリアルに思い描いている。

最終のマウンドを預かった前田投手(旭川大雪)
最終のマウンドを預かった前田投手(旭川大雪)

北空知深川、創部5年目の躍進 次なる挑戦へ

 一方、惜しくも敗れた北空知深川リトルシニアも創部5年とは思えぬ躍進を見せた。第一試合ではとかちインディーズを7-2で撃破。決定戦となった第3試合では、四回に2番・立川結暉、3番・柴田悠吾が連打し、4番・佐藤創太の犠飛、5番・原田羅偉玖(3年・東光・緑友BBC出身)のタイムリーで1点を返したが、その後は樽井の前に追加点を奪えなかった。

 三嶋友希監督は「完全敗北です。旭川大雪さんは良いチーム。樽井君のストレート134キロ、スライダーのコントロールも素晴らしかった。シニアでは見ないレベル」と脱帽。「実力差がわかれば、また一段上に行けるチャンスでもある」と今後への奮起を促した。

 主将の原田も「今までやってきたことが出せなかった。悔しいけれど、みんなで協力してここまで来れたのは良かった」と唇を噛んだ。

第3試合に臨んだ北空知深川ナイン
第3試合に臨んだ北空知深川ナイン
原田主将(北空知深川)
原田主将(北空知深川)
先発の菊池投手(北空知深川)
先発の菊池投手(北空知深川)
2番手にマウンドに上がった柴田投手(北空知深川)
2番手にマウンドに上がった柴田投手(北空知深川)

夢の続きは全国の舞台へ

 北空知深川はジャイアンツカップへの道は閉ざされたが、7月31日から始まる日本選手権大会に北海道代表として出場する。5年目の挑戦は、まだ続く。

 そして、北海道の頂に立った旭川大雪ボーイズは、まず8月のボーイズリーグ全国選手権大会(大阪)へ。そこでの戦いを経て、聖地・東京ドームでのジャイアンツカップに挑む。「ベスト4以上を目標に、本州の強豪にも対抗できるチームを作っていきたい」とチームは声を揃える。

 北の地から、全国の頂点を目指して――。

 夢の続きは、ここから始まる。

9年ぶりの優勝で満面の笑顔を見せる旭川大雪ボーイズ
9年ぶりの優勝で満面の笑顔を見せる旭川大雪ボーイズ

表彰選手

▽最優秀選手賞

樽井 新太(3年・東聖イーグルス出身)

▽優秀選手賞

安加賀 太一(3年・愛宕スーパースターズ出身)

原田 羅偉玖(3年・東光・緑友BBC出身)

青木 佑斗(3年・音更ビッグスターズ出身)

創部1年目でジャイアンツカップ予選の舞台へ!

創部1年目の「とかちインディーズ」が、名誉ある第10回ジャイアンツカップ北海道予選に出場した。チームはポニーリーグ所属としてこの舞台に初挑戦。結果は2戦2敗となったが、全国大会への道に立つ強豪チームとの対戦は、選手たちにとって大きな財産となったに違いない。

チーム登録選手はわずか12名。決して大所帯ではないが、その分、一人ひとりが自覚と責任を持って野球に向き合っている。とかちインディーズが掲げるのは、「野球を通して、社会から求められる資質と人間力を育む」という理念。試合の勝ち負けだけでなく、礼儀や思いやり、仲間へのリスペクトといった“人としての土台”を築くことを重視している。

選手・スタッフ・保護者が一体となり、応援される人間を目指して取り組む日々。今後さらに多くの仲間と出会い、チームとして、そして個人としての成長を続けていく。共に志を持ち、共に高め合える新たな仲間を現在募集中。とかちの地から全国へ、未来の可能性はここから広がる。

とかちインディーズ
とかちインディーズ
とかちインディーズ
とかちインディーズ

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