
2024年まで公式戦未勝利――そんなチームが今、全道の舞台に立とうとしている。北広島市で活動する北の台Cファイターズは、第46回スタルヒン杯全道スポーツ少年団軟式野球交流大会に石狩管内代表として出場を決めた。
プロ野球・日本ハムファイターズの本拠地・エスコンフィールドのある街で、野球を愛する子どもたちが静かに、しかし確実に成長している。「野球を面白くないと思わせたくない」と語る川村耕治監督のもと、苦難の1年を越えた選手たちは、仲間とともに泣き、笑い、勝利を積み重ねてきた。
いま、希望の風が北広島を吹き抜けている。
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北の台Cファイターズ、挑戦と成長の夏へ――激アツ7月、2年連続の全道舞台へ出陣!
北広島市内で活動する北の台Cファイターズを7月3日にチーム訪問。同チームは、7月19日から旭川市で開催される「第46回スタルヒン杯」に、石狩管内代表として2年連続の出場を果たす。
選手たちの多くは北の台小学校、一部は西の里小学校から通う。平日は火・木曜の16時15分から約3時間、保護者やコーチの協力のもとで練習を行い、土日は大会や練習試合に励んでいる。監督・コーチの常駐が難しい中でも、地域ぐるみで選手を支える姿勢がチームに根付いている。
7月12日には全道少年千歳支部予選も控え、「スタルヒン杯前の実戦機会」として挑戦。3連勝すれば、8月1日から札幌市・つどーむで開催される全道少年大会への出場も叶う。7月は、まさに「激アツの1ヶ月」となる。
昨年未勝利――チームはゼロから始まった
2024年、北の台Cファイターズは新人戦で1勝も挙げられなかった。川村監督も「夏も秋も、全部1回戦負けでした」と振り返る。しかし今年、チームは変わった。
目標は「北広島市内大会での優勝」。だが今季ここまでに、スタルヒン杯地区予選と全道少年地区予選という2つのタイトルを手にし、堂々の“躍進”を見せている。
技術的な成長だけではない。「精神的に大人になったことが一番大きい」と監督は語る。かつては6点差を逆転されたり、あとアウト1つから敗れたりとメンタル面の弱さが露呈する場面も多かったが、今年は違う。「途中で切れる子がいなくなった。劣勢でも“まだイケる”という空気がある」と手応えを語る。

下克上の象徴――スタルヒン予選・決勝
その象徴的な一戦が、スタルヒン杯・石狩管内予選の決勝、大曲ファイターズ戦だ。二回表に6失点し0-6と大きくリードを許したが、四回・五回・六回で7点を奪い、逆転サヨナラ勝ち。見事、全道切符を手にした。
こうした粘りの背景には、試合中のベンチ内の様子を動画で記録し、選手と一緒に振り返る独自の取り組みがある。プレー以外の課題にも向き合い、「試合は勝ったけど、ここは反省しよう」と日々、成長へとつなげている。
強打と機動力、つなぐ野球が武器
チームは剛速球で三振を量産するタイプではない。だが、打線には“突破力”がある。1~5番が攻撃の核となり、6~9番がしっかりと上位につなげる。走塁では相手バッテリーにプレッシャーをかけ、甘い球を誘う工夫も光る。
「それぞれの持ち場を理解し始めている」と監督も手応えを感じている。

記憶に残る、勝利の瞬間
川村監督が「印象深い」と語ったのが、千歳支部予選1回戦・千歳桜木メッツ戦。タイブレーク突入の接戦で、最後は4番打者のセンターオーバーで逆転サヨナラ勝ち。「正直、支部で通用するのか心配だった。でも、勝てたことで自信がついた」と振り返る。
また、シーズン初戦で迎えた双葉スピリッツ戦(北広島地区予選1回戦)も忘れがたい。2-1で勝利し、チームは涙。「みんなで初めて“勝つ喜び”を味わった」。その後の8連勝につながる大きな1歩となった。
“野球が好き”を原点に
「野球って面白くないかも、と思わせたくない」と話す川村監督。その想いが、チームの空気、成長の源となっている。
昨年は勝利を知らなかった子どもたちが、今、仲間とともに戦い、泣き、笑い、そして夢の舞台へと歩んでいる。
北の台Cファイターズの下克上は、まだ序章にすぎない。

北海道学童野球の夢舞台「スタルヒン杯」――全国大会への切符を懸けた熱戦、今年も旭川で開幕へ
北海道全域の学童軟式野球チームが一堂に会する伝統の大会「第46回スタルヒン杯争奪全道スポーツ少年団軟式野球交流大会」が、今年も旭川市の旭川ドリームスタジアムなどを舞台に開催される。本大会には、各管内予選を勝ち抜いた16チームが出場。“学童野球の国体”とも称される全国スポーツ少年団軟式野球交流大会の出場権を懸け、トーナメント形式で白熱の戦いが繰り広げられる。
この大会は、名投手ヴィクトル・スタルヒンの功績を称えるとともに、スポーツ少年団の交流促進と活動の発展を目的に開催されており、北海道の学童野球界において特別な意味を持つ。子どもたちにとって、全国大会出場は大きな夢であり、目標でもある。勝利の先にある“全国の舞台”を目指し、各チームはこの大会に全力を注ぐ。
昨年の第45回大会では、深川ヤングスターズが43年ぶり2度目の優勝を果たし、全国切符を手にした。決勝では星置レッドソックスを4-2で破り、最優秀選手賞には同チームの広瀬丞映選手が選出された。監督や保護者の熱意、そしてチーム全体が一丸となってつかんだ勝利は、地域にとっても大きな誇りとなった。
一方、道内各地で行われている予選でも熱戦が展開されている。たとえば、オホーツク管内予選では紋別球場で決勝が行われ、遠軽西ファイターズと紋別オホーツクイーグルスが対戦。六回を終えて3-3の同点と接戦となり、タイブレークに突入。延長七回、八回でも決着がつかず、最終的に規定により抽選での勝敗決定となった。抽選の結果、遠軽西ファイターズが5-0で勝利した。
地域の期待と誇りを背負った代表チームたちが、いよいよ旭川に集結する。
スタルヒン杯は、北海道の学童野球における最高峰の舞台であり、選手たちにとっては大きな成長の場であり、夢の扉でもある。この夏、未来のスターたちによる熱き戦いから目が離せない。
“打って投げてチームを導く”精神的支柱・田中優雅 スタルヒン杯で悲願の頂点を狙う!
石狩管内代表としてスタルヒン杯に出場するチームの中心に立つのが、田中優雅(6年・右投右打)。投打で抜群の存在感を放つ彼は、精神面でも仲間を鼓舞するチームの支柱だ。試合ごとに進化を遂げるチームとともに、今大会での優勝を目指し「みんなで勝ちたい」と熱い思いを胸に躍動する。
投げてはスピードボールで打たせて取る安定感のある投球。打っては主に2番を任され、長打力も兼ね備える攻撃型の2番打者として存在感を放つ田中優雅。春先の練習試合では千歳C・Sライズ戦でなんと柵越え本塁打を3本放つなど、非凡な打撃力を見せつけた。石狩管内予選・代表決定戦の大曲ファイターズ戦では、2打席連続のエンタイトルツーベースを記録するなど、勢いに乗ると止まらない打者だ。
チームにおいても「精神的支柱」としての役割を担い、「他のチームよりも挨拶がしっかりできて、元気がある」と語るように、明るくまとまりのある雰囲気を作る立役者でもある。「チームの雰囲気もみんな盛り上がっていて、すごく良い感じ」と笑顔で語るその目は、自信と責任感にあふれていた。
昨年秋のミーティングを機に、チームは少しずつ変化を遂げたという。「今年に入ってから、勝つたびにチームがどんどん強くなっていった」。その歩みの先にあるのが、北海道の頂点を懸けたスタルヒン杯だ。
「自分が活躍することよりも、みんなで協力して勝ちたい」。その言葉には、エースで4番ではなく“柱”としての覚悟がにじむ。「昨年の先輩たちは2回戦で負けてしまったけど、僕たちは優勝できるよう頑張ります」と目標を口にした。
152センチ・46キロ、小学1年生のときに兄の影響で野球を始めた少年が、今ではチームの大黒柱に――。田中優雅と仲間たちの挑戦が、今、スタルヒン杯の舞台で始まる。
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スタルヒン杯で輝きを放つメンバーたちの決意
チームの1番・捕手を務める久保櫂音(6年)は、「キャッチャーとしてピッチャーをしっかりリードし、キャッチャーフライなども確実に処理して、チームの勝利に貢献したい」と意気込む。
4番を任される白川歩翔(6年)は、攻守両面での活躍を誓う。「バッティングではたくさんヒットを打ってホームランも狙いたい。ピッチャーとしては相手打線を崩し、苦しい展開でも攻撃に良い流れをもたらしたい」と力を込める。
5番・センターの宮澤侑士(6年)は守備と勝負強さに自信を見せ、「普段はセンターを守っているので、センターゴロをしっかり処理したい。攻撃では、大事な場面で一本打てるように頑張りたい」と語る。
6番・投手兼二塁手の乗田敬士朗(6年)は、「ピッチャーとしてはいつも通りの投球を心がけ、先発して完投勝利を目指したい。セカンドではダイビングキャッチなどで守備でも貢献し、バッティングでは長打を打ってチームに勢いをつけたい」とマルチな活躍を誓う。
6〜9番を任される一塁手・蔦川敦人(5年)は、「スタルヒン杯ではヒットを打ってチームに貢献したい。そして優勝して、全国大会に行きたい」と目を輝かせた。
9番・ライトの本多栞菜(6年)は、「大きなフライをしっかり捕ることと、バントや小技で出塁して、次の1番バッターにつなげられるように頑張りたい」とチームプレーへの意識をのぞかせた。

指導者・選手
<指導者>
責任者:乗田 淳之介
▽監督
㉚川村 耕治
▽コーチ
㉙宮澤 祐介
㉘田中 大樹
<選手>
(背番号、氏名、ふりがな、学年)
★主将
⑩田中 優雅(たなか ゆうが)6年
⓪佐藤 颯真(さとう そうま) 6年
①乗田 敬士朗(のりた けいしろう)6年
②久保 櫂音(くぼ かいと)6年
③宮澤 侑士(みやざわ ゆうし)6年
④政石 旭陽(まさいし あさひ)6年
⑤白川 歩翔(しらかわ あゆと)6年
⑥金澤 空太(かなざわ そらた)6年
⑦高山 夏凪(たかやま なぎ)5年
⑧本多 栞菜(ほんだ かんな)6年
⑨蔦川 敦人(つたがわ あつと)5年
⑪澤 湊仁(さわ みなと)5年
⑫新沼 青葉(にいぬま はるのぶ)5年
⑬山下 惣士(やました そうし)5年
⑭福田 晴也(ふくだ はるや)5年
⑮世永 竣也(よなが とうや)5年
⑯藤井 侑大(ふじい ゆうと)5年
⑰小林 奏宇(こばやし そう)5年
⑱工藤 泰生(くどう たいせい)5年
㉑山口 瑛心(やまぐち えいしん)4年
㊲島崎 煌晟(しまざき こうせい)5年
㊳鈴木 慶(すずき けい)5年
⑲伊東 蓮稀(いとう はずき)4年
⑳大越 直人(おおこし なおと)4年
㉒今井 雄琉(いまい たける)4年
㉓金澤 陽太(かなざわ はるた)4年
㊴佐藤 蒼汰(さとう そうた)4年
※3年生以下は未掲載
スタルヒン杯までの軌跡
石狩管内代表決定戦
〇 7-6 大曲ファイターズ (サヨナラ勝ち)
〇 7-0 いずみ野ドリームズ
千歳支部予選
〇 9-3 みどり台シャークス
〇 8-7 大曲ファイターズ
〇 5-4 桜木メッツ (サヨナラ勝ち・タイブレーク)
北広島地区予選
〇 5-3 大曲ファイターズ
〇 1-0 イーストグローリー(サヨナラ勝ち)
〇 2-1 双葉スピリッツ

スタルヒン杯・トーナメント表

フォトグラフ






協力:北の台Cファイターズ