
5月5日、石狩郡月形町の月形町野球場で開催された「ゼット旗争奪 第34回春季北海道大会」の決勝戦で、旭川大雪ボーイズが札幌北広島ボーイズを12対1の四回コールドで下し、堂々の9年連続・12度目の優勝を果たした。
冬場に積み上げたトレーニング、そして全国大会で味わった悔しさを胸に秘めた選手たちが、グラウンドで見せたのは“心・技・体”の結晶だった。
最優秀選手賞(MVP)には、準決勝の札幌手稲ボーイズ戦で好投を見せた樽井新太選手(3年・東聖イーグルス出身)が選ばれた。
なお、札幌北広島ボーイズは10年ぶりの準優勝を果たした。
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「冬の努力が春に咲いた」旭川大雪ボーイズ、圧巻の毎回得点で9連覇達成!
決勝の舞台は、まさに“完成されたチーム力”の証明だった。
先制点を奪ったのは旭川大雪ボーイズ。1点リードで迎えた二回、6番・樽井新太(3年・東聖イーグルス出身)がレフト前ヒットと二盗でチャンスメイク。続く荻子理人(3年・神楽少年野球団出身)の絶妙なバントがライン際に転がると、内野安打で一・三塁に。ここで打席に立った高橋宗也(3年・東川大雪野球少年団出身)が内野安打を放ち、樽井が本塁へ滑り込み2点目を追加。結果的に、これが決勝点となった。
勢いに乗った打線はこの回だけで5点、続く三回にも相手投手の乱れに乗じて5点を加え、四回にも加点。毎回得点で12-1とし、試合は四回コールドで幕を閉じた。
マウンドを託された前田健成(3年)は、旭稜野球少年団出身の右腕。直球と変化球のコンビネーションで四回2安打1四球1失点の好投を披露。マウンド上からは思わず声が漏れるほどの力投でチームをけん引した。
この日の登板が評価され優秀選手賞にも選ばれた。
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「今大会、準決勝1失点、決勝1失点。投手陣の頑張りと、冬場に取り組んだ成果が出た」と語ったのは西大條敏志監督。前田の精神的な成長にも触れ「後輩の面倒を見たり、生活面も含め大人になってきた」と目を細める。
その前田は、昨年春に124キロを記録した直球が、左手小指骨折からの復帰を経て、132キロまで成長。この冬は毎日4キロのランニングを自らに課し、下半身強化に努めた。その結果が、今大会の剛速球と安定感に表れていた。
「全国では全然ストライクが入らず悔しかった」と振り返る春の大会。その経験が「ストレートは通用する」という自信を与えた。目指すはジャイアンツカップ出場、そして全国ベスト4。
準決勝で好投しMVPに輝いた樽井新太も「制球力がつき安定した投球ができるようになった」と語り、サンドボールやセラチューブを使ったトレーニングで力を蓄えてきた。目標は「仲間とともにジャイアンツカップ出場」。力強い言葉に未来への期待がにじむ。
決勝で3打数2安打を記録した1番打者・大波蓮唯(3年・永山中央野球少年団出身)は、「バットを立てる意識に変えたら振り抜きが良くなった」と話し、チームの北海道選手権優勝と全国出場を見据える。


札幌北広島ボーイズ、10年ぶりの準優勝に込めた未来への種まき──「高校で輝くために」
一方、10年ぶりの準優勝を果たした札幌北広島ボーイズ。山田徹監督は「ダブルヘッダーを見据えた投手起用で力尽きてしまった。大雪ボーイズを止める力が足りなかった」と悔しさをにじませた。
優秀選手賞には、3年生の千葉優輝(3年・3年・千歳ガッツ出身)が選出された。
同チームには3年生21人が所属し、A・Bの2チーム体制で全員が公式戦に出場する機会を得ている。「中学野球で終わらせず、高校で輝いてほしい」――そんな指導陣の願いが、選手たちの姿勢にも表れていた。
勝者にも、敗者にも、それぞれの春があった。
“努力は嘘をつかない”――その言葉を胸に、彼らは次なる舞台「北海道選手権」へと歩みを進めていく。


イニングスコア
◆決 勝(5月5日、月形野球場)
旭川大雪ボーイズ12-1札幌北広島ボーイズ
旭川大雪ボーイズ
1551=12
0010=1
札幌北広島ボーイズ
(四回コールドゲーム)
野球用品
(旭)前田-市川
(北)桒原、帰山、安部-永富
▽三塁打:大波(旭)
◆準決勝(5月5日、月形野球場)
札幌北広島ボーイズ(8)1-1(3)苫小牧ボーイズ
札幌北広島ボーイズ
00000108=9
10000003=4
苫小牧ボーイズ
(八回タイブレーク)
(北)石田、永山-永富
(苫)中岡、経塚、中岡、渡邊-加賀谷
▽二塁打:弥勒院、永山(北)、渡邊、経塚(苫)
旭川大雪ボーイズ6-1札幌手稲ボーイズ
旭川大雪ボーイズ
0031200=6
0001000=1
札幌手稲ボーイズ
(旭)樽井、金子-市川
(手)武内、林-武田
▽三塁打:大波(旭)
▽二塁打:前田(旭)、武内、武田(手)
協力:公益財団法人日本少年野球連盟北海道支部