打線爆発で全5試合45得点 苦しい終盤も折れない心で逃げ切り、北海道に再び栄冠
四国・徳島県阿南市で開催された「野球のまち阿南第14回少年野球全国大会~こども甲子園~」は7月27日、準決勝・決勝が行われ、北海道代表・岩見沢学童野球クラブが悲願の初優勝を飾った。準決勝では青森県代表・かまふせライオンズを6-5で退けると、ダブルヘッダーとなった決勝では滋賀県代表・水口少年野球団との打ち合いを10-8で制し、ついに全国の頂点へ。森拓実監督が掲げた「5年生に阿南を!」の合言葉のもと、17人全員でつかんだ歴史的な日本一だった。
イニングスコア
◆準決勝(7月27日、JAアグリあなんスタジアム)
岩見沢学童野球クラブ(北海道)6-5かまふせライオンズ(青森県)
岩見沢学童野球クラブ
03300=6
00104=5
かまふせライオンズ
(岩)渋谷、山本鈴、笹野燈ー和田、中垣
(か)吉田、神ー神、山田
▽本塁打:山本楓、笹野嵐RH(岩)
▽二塁打:吉田、新田(か)

◆決 勝(7月27日、JAアグリあなんスタジアム)
岩見沢学童野球クラブ(北海道)10-8水口少年野球団(滋賀県)
水口少年野球団
201005=8
13501x=10
岩見沢学童野球クラブ
(水)有村、本田、岩崎ー岡村
(岩)笹野燈、對馬、笹野燈ー中垣
▽本塁打:石飛RH(水)、中垣(岩)
▽三塁打:村上(水)、笹野嵐(岩)

「5年生に阿南を」 誰かのために戦い抜いた全国制覇
優勝の瞬間、選手たちの笑顔には大きな達成感があふれていた。
2年前、あと一歩届かなかった全国の頂点。今年の岩見沢学童は、その悔しさを力に変え、新たな歴史を刻んだ。
森拓実監督は、決勝後のインタビューで優勝の最大の要因をこう語った。
「この大会は前年度優勝枠があるため、優勝して『5年生に阿南を!』を合言葉に戦い続けました。全国大会はどうしても『優勝』が目標になり、自分たちのためになりがちです。でも『誰かのために戦う』ことで最後の粘りが出てくる。モチベーション高く最後まで戦えたことが勝因だったと思います」
自分たちのためではなく、後輩へバトンをつなぐため――。
その思いが、最後までチームを支え続けた。


準決勝 3発のビッグプレーで主導権
準決勝の相手は青森県代表・かまふせライオンズ。
二回、試合を大きく動かした。
8番・山本楓(6年)がセンターオーバーの2ラン本塁打を放ち3点を先制すると、続く三回には武内栄基(6年)が敵失で出塁。山本楓の中前打と相手バッテリーミスで追加点を奪い、さらに9番・伊藤聖真(6年)のスクイズで加点。最後は1番・笹野嵐太(5年)がセンターオーバーのランニング本塁打を放ち、一気に6-0までリードを広げた。
森監督は試合前の狙いについて、
「前日からバットは振れていたので迷わず振るように指示しました。緩急のある投手だったので、どのスピードを待つかを自分で決めるよう話していました。それぞれが狙ったボールを一球で仕留められたことが勝因でした」
と振り返る。
迷わず振る。
その積極性が、一気に流れを引き寄せた。

最終回の猛反撃 折れなかったエースの意地
三回裏に1点を返され迎えた大会規定最終回の五回裏。
かまふせライオンズの猛反撃で4点を失い、6-5と1点差まで迫られる。
なおも一打同点という緊迫した場面。
ベンチではタイブレークも視野に入れながら継投を準備していたという。
「上位打線は非常に力があったので、同点までは覚悟していました。山本鈴が一球で2アウト目を取ってくれたことが大きかった。そして最後は笹野燈里がエースの意地でアウトを取ってくれました」
さらに監督は、選手たちの精神的な成長についてもこう話した。
「追い込まれても折れない心が育ってきたと思います。まぁ、自分たちで追い込まれてしまうことも多いですが、それでも最後はアウトを取り切る姿は本当に頼もしくなりました」
全国制覇への扉は、この1点差を守り切ったことで大きく開かれた。

決勝 打線爆発 3回までに9得点
決勝の相手は滋賀県代表・水口少年野球団。
初回に2点を先制される苦しい立ち上がりとなったが、その裏、中垣優太(6年)がセンターオーバーの本塁打を放ち反撃開始。
二回は相手のミスを逃さず3得点。
さらに三回には長短6安打を集める猛攻で5点を奪い、試合の主導権を完全に握った。
五回にも追加点を挙げ、10-3。
全国制覇へ大きく前進した。

最後まで積み重ねた「18個のアウト」
しかし決勝も簡単には終わらない。
最終回、水口少年野球団の粘りで5点を返され、10-8。
再び2点差まで詰め寄られた。
それでも慌てることはなかった。
「目の前の打者をアウトにすることだけを考えさせました。初回のアウトも最終回のアウトも同じ。冷静に18個のアウトを積み重ねようとやってきた成果だと思います」
また、この日は外野陣の働きも光った。
「レフト武内栄基、センター増森善、ライト福田芯平の3人が最後までボールを追い続けてくれました。捉えられても失点を最小限に抑えてくれたことが本当に大きかったです」
派手な打撃だけではない。
守備でも全員が勝利へ貢献した。


全員が主役になった打線
今大会、岩見沢学童は5試合で45得点。
1試合平均9得点という圧倒的な攻撃力を披露した。
森監督は、その変化をこう分析する。
「これまでは活躍する選手がある程度決まっていて、その選手にチャンスが回るよう組み立てていました。でも今回は誰もがポイントゲッターとして活躍してくれました。冬から打撃中心で取り組んできた成果がようやく出ました」
まさに「全員野球」。
17人全員が出場し、それぞれが結果を残したことこそ、このチーム最大の強みだった。

北海道に再び優勝旗 次なる舞台は阿波踊りカップ
最優秀選手賞には笹野嵐太(5年)が選出。
優秀選手賞には中垣優太(6年)、山本楓(6年)が選ばれた。
北海道勢の優勝は2022年の深川一已バトルズ以来4年ぶり(大会開催年ベース)となる快挙。
しかし、岩見沢学童の夏はまだ終わらない。
FBC U-12全道大会を経て、8月5日開幕の「阿波踊りカップ全国学童軟式野球大会2026」に北海道代表として出場。再び徳島の地へ戻り、全国2冠という新たな夢へ挑戦する。
最後に森監督は、全国制覇を支えたすべての人へ感謝を口にした。
「全国の対戦チームから『必ず優勝してください』と声を掛けていただき、本当に力になりました。保護者の皆さんには、暑い中で氷の準備や荷物運びなど、見えないところで支えていただき感謝しています。そして選手たちは、岩見沢学童初の全国制覇という新しい歴史をつくってくれました。阿南に来た17人全員が出場し、結果を残したことが何より誇らしい。これからは中学野球を見据え、さらに自立した選手へ成長してほしいと思います」
全国の頂点に立った17人。
その胸には、勝ち取った日本一の誇りと、次なる全国の舞台へ挑む新たな夢が刻まれている。

協力:岩見沢学童野球クラブ
