「最弱だからこそ負けない野球を」 機動力と執念を武器に北海道代表が神宮の舞台へ挑む
中学硬式野球のとかち帯広リトルシニアが、7月31日に東京都・神宮球場などで開幕する「エイジェックカップ 第54回日本リトルシニア日本選手権大会」へ北海道代表として出場する。競技は8月1日にスタートし、とかち帯広リトルシニアは同日、所沢球場第2試合で関西連盟・五條リトルシニア(奈良県)と対戦する。
日本選手権北海道予選では決勝で札幌新琴似リトルシニアに敗れたものの、準優勝で創部42年目にして悲願の日本選手権初出場を決めた。今春には全国選抜大会も経験したが、初戦敗退という悔しさを味わった。その経験を糧に、再び全国の舞台へ挑む。
悲願の初出場 42年積み重ねた歴史を全国へ
1984年創立のとかち帯広リトルシニアにとって、日本選手権出場は長年追い続けてきた目標だった。
あと一歩届かなかった先輩たちの思いを受け継ぎ、今季は北海道予選を勝ち抜いて初の切符を獲得。決勝では札幌新琴似リトルシニアに敗れたものの、準優勝という結果でチームの歴史に新たな1ページを刻んだ。
さらに今春には全国選抜大会も経験。初戦敗退という結果に終わったが、その悔しさは選手たちの中に今も強く残っている。
その経験が、日本選手権へ向けた原動力となっている。

基礎を磨き続けた守備と機動力 ”負けない野球”が最大の武器
チームづくりの土台となっているのは、徹底した基礎・基本の積み重ねだ。
昨秋から試合前のわずかな時間も無駄にせず、ゴロ捕球や手投げによるフライ捕球などを繰り返し行い、守備力向上に取り組んできた。
まだ失策はあるものの、積み重ねた成果は確実に表れ始めているという。
投手陣は5人による継投が基本。そのうち4人が球速135キロまで伸ばしており、全国でも戦える投手力に大きな手応えを感じている。
一方、攻撃は長打力に頼らない。
走者を出し、盗塁、スクイズ、エンドランなど多彩な機動力を絡めながら、一つずつ次の塁を奪っていく。
「長打は正義」と言われる野球界にあって、とかち帯広リトルシニアは足を使い、相手守備へ絶えずプレッシャーをかけ続ける野球を貫いてきた。


強い気持ちをつくる仕組み 共通言語「JK」が支える組織力
このチームの最大の特徴は、技術だけではない。
監督は「野球は1試合の中でボールが動いている時間はわずか20分もない」と話す。
だからこそ、プレーが止まっている時間に何を考え、どんな準備をするかが勝敗を左右すると考えている。
そこで取り組んでいるのが、強い気持ちをつくるためのトレーニングと仕組みづくりだ。
チームでは「JK」という共通言語を設け、「情報共有」「事前の声」「実際に行動する」という意識を全員で共有している。
精神面と組織力を高めることで、試合中の判断力や集中力を維持し、ミスを減らすことにつなげている。


「5B+E」ゼロへ――細部を磨き、初の日本選手権へ挑む
「5B+E」とは、四死球、バントミス、ボーンヘッド、ベースランニングミス、バッテリーミス、そして失策(E)を指す。全国の強豪相手には、一つのミスが流れを変え、一つの隙が勝敗を左右する。だからこそ、監督は「5B+Eをゼロに近づけること」をチーム全体の最重要課題として掲げ、徹底した反復練習を重ねている。
投手陣は新たな球種の習得や制球力の向上、さらなる球速アップを目指す一方で、守備では送りバントへの対応や投内連携、ベースカバー、バックアップ、ランダウンプレーを細かく確認。バッテリー間の意思疎通も磨き上げ、「記録に残るミス」だけでなく、「記録には残らない判断ミス」まで徹底的に減らしていく。
さらに、チーム最大の武器である機動力にも磨きをかける。リード、スタート、次の塁を狙う判断など、一つひとつの走塁技術を見直し、ベースランニングミスをなくすことで、一点を奪う野球を完成形へ近づける。
課題に挙げる打撃も、本番まで妥協はない。フォームや打席での意識を一から見直し、一本でも多くの安打、一点でも多くの得点につながる打撃を追い求めている。
全国の舞台では、派手なプレーよりも、四死球を与えないこと、確実に送りバントを決めること、走塁で判断を誤らないこと、バッテリーが隙を見せないこと、そして失策をしないこと――そんな当たり前を積み重ねたチームが最後に勝ち残る。
42年目にして初めてつかんだ日本選手権への切符。悲願の全国初勝利、そしてその先へ――。とかち帯広リトルシニアは「5B+Eゼロ」の野球を完成させ、北海道代表として堂々と全国の舞台へ挑む。


「最弱だからこそ負けない野球を」 北海道代表の誇りを胸に
森監督は日本選手権初出場という立場を冷静に受け止める。
「初出場なので、日本選手権出場チームの中では最弱だと思っています」
その一方で、こう力強く続けた。
「最弱だからこそ、『負けない野球』を大切にして勝ちにこだわる、とかち帯広リトルシニアらしい試合をしてきます」
監督就任5年目。これまで多くの監督や理事、審判から支えられ、励まされながら歩んできた。
「いつも気にかけていただいている皆さまに、勝つことで感謝を伝えたい」
その言葉には、初舞台へ挑むチームの覚悟がにじんでいた。
創部42年目でたどり着いた悲願の日本選手権。
北海道代表・とかち帯広リトルシニアが掲げるのは、派手さではなく、粘り強く最後まで勝利を追い求める「負けない野球」。
全国の舞台で、その真価が試される。

ベンチ入りメンバー
指導者
▽監督
㉚森 徹(もり とおる)(50)
▽コーチ
㊵藤原 潤(ふじわら じゅん)(41)
㊿大崎 勝也(おおさき かつなり)(33)
▽記録員(スコアラー)
小瀬 淳(こせ じゅん)(42)
選手
① 山田 岳(やまだ がく)
3年・柳町イーグルス出身
右投げ、右打ち
167センチ、62キロ
★主将
② 菊池 春馬(きくち はるま)
3年・柳町イーグルス出身
右投げ、右打ち
170センチ、64キロ
③ 眞野 優(まの すぐる)
2年・稲田タイガーズ出身
左投げ、左打ち
166センチ、58キロ
④ 中村 倖音(なかむら ゆきと)
2年・帯広ウエストマリナーズ出身
右投げ、右打ち
174センチ、58キロ
⑤ 杉本 朔弥(すぎもと さくや)
3年・新得町野球少年団出身
左投げ、右打ち
163センチ、58キロ
⑥ 山田 朔太郎(やまだ さくたろう)
3年・若葉野球少年団出身
右投げ、右打ち
175センチ、72キロ
⑦ 栩内 巧太(とちない こうた)
3年・士幌ファイターズ出身
右投げ、左打ち
172センチ、64キロ
⑧ 浦城 尚(うらき なお)
3年・帯広ウエストマリナーズ出身
右投げ、右打ち
170センチ、59キロ
⑨ 小瀬 朔(こせ さく)
2年・Nexus BBC出身
右投げ、左打ち
181センチ、70キロ
⑩ 竹腰 瞬(たけこし しゅん)
3年・帯広ウエストマリナーズ出身
右投げ、左打ち
165センチ、55キロ
⑪ 堂山 瑚虎(どうやま ことら)
3年・大空ジャイアンツ出身
右投げ、右打ち
168センチ、71キロ
⑫ 髙松 伶丞(たかまつ りょうすけ)
3年・明和ブルーサンダース出身
右投げ、右打ち
172センチ、71キロ
⑬ 田中 慶都(たなか けいと)
3年・上士幌アローズ出身
右投げ、右打ち
165センチ、65キロ
⑭ 藤山 将吾(ふじやま しょうご)
2年・豊成ファイターズ出身
右投げ、右打ち
160センチ、55キロ
⑮ 中村 柚葵(なかむら ゆずき)
2年・Nexus BBC出身
右投げ、右打ち
169センチ、53キロ
⑯ 甲山 大雅(こうやま たいが)
2年・帯広ウエストマリナーズ出身
右投げ、右打ち
163センチ、71キロ
⑰ 久慈 望夢(くじ のぞむ)
1年・中標津丸山ファイターズ出身
右投げ、右打ち
174センチ、60キロ
⑱ 清水 琉碧(しみず るい)
2年・士幌ファイターズ出身
右投げ、右打ち
173センチ、58キロ
⑲ 新岡 陽希(にいおか はるき)
2年・幕別野球少年団出身
右投げ、右打ち
173センチ、78キロ
⑳ 田村 紀秋(たむら きしゅう)
1年・札内南ライオンズ野球少年団出身
左投げ、左打ち
151センチ、36キロ
㉑ 田中 慶志(たなか けいし)
1年・上士幌アローズ出身
右投げ、右打ち
156センチ、40キロ
㉒ 鳴海 瑛仁(なるみ ひでと)
1年・(少年団調査中)出身
右投げ、右打ち
166センチ、65キロ
㉓ 山内 栄人(やまうち えいと)
1年・(少年団調査中)出身
左投げ、左打ち
168センチ、50キロ
㉔ 堂山 龍槻(どうやま たつき)
1年・(少年団調査中)出身
右投げ、右打ち
149センチ、44キロ

日本選手権大会までの軌跡
◆決 勝
● 5-9 札幌新琴似
◆準決勝
〇 6-5 とかち帯広
◆準々決勝
〇 8-5 恵庭
◆3回戦
〇 8-0 苫小牧西
◆2回戦
〇 7-2 札幌豊平東

日本選手権大会トーナメント表
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協力:とかち帯広リトルシニア
