初の日本選手権へ――とかち帯広リトルシニア、42年目の悲願を胸に全国へ

初の日本選手権へ――とかち帯広リトルシニア、42年目の悲願を胸に全国へ

「最弱だからこそ負けない野球を」 機動力と執念を武器に北海道代表が神宮の舞台へ挑む

悲願の初出場 42年積み重ねた歴史を全国へ

 1984年創立のとかち帯広リトルシニアにとって、日本選手権出場は長年追い続けてきた目標だった。

 あと一歩届かなかった先輩たちの思いを受け継ぎ、今季は北海道予選を勝ち抜いて初の切符を獲得。決勝では札幌新琴似リトルシニアに敗れたものの、準優勝という結果でチームの歴史に新たな1ページを刻んだ。

 さらに今春には全国選抜大会も経験。初戦敗退という結果に終わったが、その悔しさは選手たちの中に今も強く残っている。

 その経験が、日本選手権へ向けた原動力となっている。

(写真・とかち帯広リトルsニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

基礎を磨き続けた守備と機動力 ”負けない野球”が最大の武器

 チームづくりの土台となっているのは、徹底した基礎・基本の積み重ねだ。

 昨秋から試合前のわずかな時間も無駄にせず、ゴロ捕球や手投げによるフライ捕球などを繰り返し行い、守備力向上に取り組んできた。

 まだ失策はあるものの、積み重ねた成果は確実に表れ始めているという。

 投手陣は5人による継投が基本。そのうち4人が球速135キロまで伸ばしており、全国でも戦える投手力に大きな手応えを感じている。

 一方、攻撃は長打力に頼らない。

 走者を出し、盗塁、スクイズ、エンドランなど多彩な機動力を絡めながら、一つずつ次の塁を奪っていく。

 「長打は正義」と言われる野球界にあって、とかち帯広リトルシニアは足を使い、相手守備へ絶えずプレッシャーをかけ続ける野球を貫いてきた。

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルsニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

強い気持ちをつくる仕組み 共通言語「JK」が支える組織力

 このチームの最大の特徴は、技術だけではない。

 監督は「野球は1試合の中でボールが動いている時間はわずか20分もない」と話す。

 だからこそ、プレーが止まっている時間に何を考え、どんな準備をするかが勝敗を左右すると考えている。

 そこで取り組んでいるのが、強い気持ちをつくるためのトレーニングと仕組みづくりだ。

 チームでは「JK」という共通言語を設け、「情報共有」「事前の声」「実際に行動する」という意識を全員で共有している。

 精神面と組織力を高めることで、試合中の判断力や集中力を維持し、ミスを減らすことにつなげている。

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

「5B+E」ゼロへ――細部を磨き、初の日本選手権へ挑む

 「5B+E」とは、四死球、バントミス、ボーンヘッド、ベースランニングミス、バッテリーミス、そして失策(E)を指す。全国の強豪相手には、一つのミスが流れを変え、一つの隙が勝敗を左右する。だからこそ、監督は「5B+Eをゼロに近づけること」をチーム全体の最重要課題として掲げ、徹底した反復練習を重ねている。

 投手陣は新たな球種の習得や制球力の向上、さらなる球速アップを目指す一方で、守備では送りバントへの対応や投内連携、ベースカバー、バックアップ、ランダウンプレーを細かく確認。バッテリー間の意思疎通も磨き上げ、「記録に残るミス」だけでなく、「記録には残らない判断ミス」まで徹底的に減らしていく。

 さらに、チーム最大の武器である機動力にも磨きをかける。リード、スタート、次の塁を狙う判断など、一つひとつの走塁技術を見直し、ベースランニングミスをなくすことで、一点を奪う野球を完成形へ近づける。

 課題に挙げる打撃も、本番まで妥協はない。フォームや打席での意識を一から見直し、一本でも多くの安打、一点でも多くの得点につながる打撃を追い求めている。

 全国の舞台では、派手なプレーよりも、四死球を与えないこと、確実に送りバントを決めること、走塁で判断を誤らないこと、バッテリーが隙を見せないこと、そして失策をしないこと――そんな当たり前を積み重ねたチームが最後に勝ち残る。

 42年目にして初めてつかんだ日本選手権への切符。悲願の全国初勝利、そしてその先へ――。とかち帯広リトルシニアは「5B+Eゼロ」の野球を完成させ、北海道代表として堂々と全国の舞台へ挑む。

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

「最弱だからこそ負けない野球を」 北海道代表の誇りを胸に

 森監督は日本選手権初出場という立場を冷静に受け止める。

 「初出場なので、日本選手権出場チームの中では最弱だと思っています」

 その一方で、こう力強く続けた。

 「最弱だからこそ、『負けない野球』を大切にして勝ちにこだわる、とかち帯広リトルシニアらしい試合をしてきます」

 監督就任5年目。これまで多くの監督や理事、審判から支えられ、励まされながら歩んできた。

 「いつも気にかけていただいている皆さまに、勝つことで感謝を伝えたい」

 その言葉には、初舞台へ挑むチームの覚悟がにじんでいた。

 創部42年目でたどり着いた悲願の日本選手権。

 北海道代表・とかち帯広リトルシニアが掲げるのは、派手さではなく、粘り強く最後まで勝利を追い求める「負けない野球」。

 全国の舞台で、その真価が試される。

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

ベンチ入りメンバー

指導者

▽監督
㉚森 徹(もり とおる)(50)

▽コーチ
㊵藤原 潤(ふじわら じゅん)(41)

㊿大崎 勝也(おおさき かつなり)(33)

▽記録員(スコアラー)
小瀬 淳(こせ じゅん)(42)

選手

① 山田 岳(やまだ がく)
3年・柳町イーグルス出身
右投げ、右打ち
167センチ、62キロ

★主将
② 菊池 春馬(きくち はるま)
3年・柳町イーグルス出身
右投げ、右打ち
170センチ、64キロ

③ 眞野 優(まの すぐる)
2年・稲田タイガーズ出身
左投げ、左打ち
166センチ、58キロ

④ 中村 倖音(なかむら ゆきと)
2年・帯広ウエストマリナーズ出身
右投げ、右打ち
174センチ、58キロ

⑤ 杉本 朔弥(すぎもと さくや)
3年・新得町野球少年団出身
左投げ、右打ち
163センチ、58キロ

⑥ 山田 朔太郎(やまだ さくたろう)
3年・若葉野球少年団出身
右投げ、右打ち
175センチ、72キロ

⑦ 栩内 巧太(とちない こうた)
3年・士幌ファイターズ出身
右投げ、左打ち
172センチ、64キロ

⑧ 浦城 尚(うらき なお)
3年・帯広ウエストマリナーズ出身
右投げ、右打ち
170センチ、59キロ

⑨ 小瀬 朔(こせ さく)
2年・Nexus BBC出身
右投げ、左打ち
181センチ、70キロ

⑩ 竹腰 瞬(たけこし しゅん)
3年・帯広ウエストマリナーズ出身
右投げ、左打ち
165センチ、55キロ

⑪ 堂山 瑚虎(どうやま ことら)
3年・大空ジャイアンツ出身
右投げ、右打ち
168センチ、71キロ

⑫ 髙松 伶丞(たかまつ りょうすけ)
3年・明和ブルーサンダース出身
右投げ、右打ち
172センチ、71キロ

⑬ 田中 慶都(たなか けいと)
3年・上士幌アローズ出身
右投げ、右打ち
165センチ、65キロ

⑭ 藤山 将吾(ふじやま しょうご)
2年・豊成ファイターズ出身
右投げ、右打ち
160センチ、55キロ

⑮ 中村 柚葵(なかむら ゆずき)
2年・Nexus BBC出身
右投げ、右打ち
169センチ、53キロ

⑯ 甲山 大雅(こうやま たいが)
2年・帯広ウエストマリナーズ出身
右投げ、右打ち
163センチ、71キロ

⑰ 久慈 望夢(くじ のぞむ)
1年・中標津丸山ファイターズ出身
右投げ、右打ち
174センチ、60キロ

⑱ 清水 琉碧(しみず るい)
2年・士幌ファイターズ出身
右投げ、右打ち
173センチ、58キロ

⑲ 新岡 陽希(にいおか はるき)
2年・幕別野球少年団出身
右投げ、右打ち
173センチ、78キロ

⑳ 田村 紀秋(たむら きしゅう)
1年・札内南ライオンズ野球少年団出身
左投げ、左打ち
151センチ、36キロ

㉑ 田中 慶志(たなか けいし)
1年・上士幌アローズ出身
右投げ、右打ち
156センチ、40キロ

㉒ 鳴海 瑛仁(なるみ ひでと)
1年・(少年団調査中)出身
右投げ、右打ち
166センチ、65キロ

㉓ 山内 栄人(やまうち えいと)
1年・(少年団調査中)出身
左投げ、左打ち
168センチ、50キロ

㉔ 堂山 龍槻(どうやま たつき)
1年・(少年団調査中)出身
右投げ、右打ち
149センチ、44キロ

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

日本選手権大会までの軌跡

◆決 勝
● 5-9 札幌新琴似

◆準決勝
〇 6-5 とかち帯広

◆準々決勝
〇 8-5 恵庭

◆3回戦
〇 8-0 苫小牧西

◆2回戦
〇 7-2 札幌豊平東

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

日本選手権大会トーナメント表

日本選手権トーナメント表(拡大版)
日本選手権トーナメント

協力:とかち帯広リトルシニア

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