広野ジュニアーズに1-5 あと一本に泣くも、全国で示した粘りと成長
岩手県で開催された「エンジョイ!軟式野球フェスティバル2026」に北海道代表として出場した星置レッドソックス(札幌市)は8月10日、二戸市営大平球場で行われた準決勝で近畿地区代表・広野ジュニアーズ(京都府)と対戦し、1-5で敗れた。初回に足を絡めて先制し、守ってもサインプレーでピンチを切り抜けるなど、序盤は互角の攻防を演じた。しかし、四回に勝ち越しを許すと、五回に3点を奪われ突き放された。打線は石原将伍(6年)、池内陸(5年)の二塁打などで再三走者を得点圏へ進めたが、あと一本が遠かった。それでも、全国で勝つために磨いてきた走塁や場面ごとの攻守の徹底は強豪相手にも発揮。札幌、全道の激戦を勝ち抜き、全国初戦も1点差で制してたどり着いた4強。その舞台で得た手応えと悔しさは、星置ナインに新たな物差しを与えた。
イニングスコア
◆準決勝(8月10日、二戸市営大平球場)
星置レッドソックス(北海道)1-5広野ジュニアーズ(京都府)
星置レッドソックス
100000=1
01013x=5
広野ジュニアーズ
(星)佐々木ー石原
(広)原ー谷口
▽三塁打:田中(広)
▽二塁打:石原、池内(星)、古内(広)

足で奪った先制点 守りでも流れを渡さず
全国準決勝。
相手は京都府の広野ジュニアーズ。ここまで勝ち上がってきた強豪を前にしても、星置ナインは自分たちの野球を貫いた。
初回、一死から2番・辻諒馬(6年)がレフト前へ運び、すかさず二盗。3番・渋谷侑成(6年)が死球で続き、内野ゴロを挟んで二死一、三塁とした。
ここで星置が仕掛ける。
一塁走者を動かし、相手守備が反応した隙を突いて三走・辻がホームへ。足とサインプレーを絡め、全国準決勝で貴重な先制点をもぎ取った。
その裏には一死一、三塁のピンチを背負ったが、ここでもサインプレーで相手走者を仕留めて無失点。
渡辺敦監督も「初回2死一、三塁の形からダブルスチールの形で先制し、裏の相手の攻撃で1死一、三塁のピンチをサインプレーで食い止めて主導権を握ることができました」と振り返った。
攻める走塁。
状況に応じた守り。
星置が北海道から磨き続けてきたものは、全国準決勝でも確かに機能していた。
「決して負けていない」全国で確かめた星置の武器
渡辺監督が今回、全国の舞台で大きな手応えを感じた部分がある。
走塁と、場面ごとの攻守の徹底だった。
それは全国大会へ来て突然できたものではない。
「走塁や場面毎の攻守の徹底などは、十分通用するというより、チームとして本州に来て勝つためにずっとどうするべきか考えて、改善して、都度徹底してきたことなので、やはりその点は決して負けてない」
北海道から本州へ行き、全国の強豪にどう勝つか。
体格や個々の能力だけで勝負するのではなく、一つの走塁、一つのサイン、一つの状況判断をチーム全員で徹底する。
考え、試し、修正する。
そして、また徹底する。
その積み重ねが、初回の先制点やその裏のピンチを防いだプレーとなって表れた。
渡辺監督によれば、その部分は試合後のAMF(アフターマッチファンクション)でも相手チームから評価されたという。
自分たちが信じて積み上げてきた野球は、全国でも通じる。
敗戦の中にも、確かな手応えがあった。

互角だった三回まで それでも感じた「基本」の差
先発を託されたのは、ここまでチームを引っ張ってきたエース・佐々木遥真(6年)。
二回、先頭打者への死球をきっかけに長打を浴びて1-1。なおも続いたピンチを何とかしのいだ。
打線も食らいついた。
三回には1番・石原将伍(6年)がセンターオーバーの二塁打。
得点には結びつかなかったものの、星置は全国の強豪を相手に一歩も引かなかった。
渡辺監督はクーリングタイムに入る三回終了までを「互角の展開だったと思います」と振り返る。
しかし同時に、実際に戦ったからこそ見えた差もあった。
「ベースとなる捕る、打つ、投げる、走るという基本的な能力が格段に上だった」
そして、その差は単純な技術だけではなかった。
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「球際」「執着」「負けず嫌い」――全国で見えたもう一つの差
渡辺監督は、さらに踏み込んだ。
「そもそもの打力や下位打線の粘り、役割の徹底などが、勝ち進める時と負ける時に差がある」
打線の上位だけではない。
下位打線がどこまで粘れるか。
自分に求められた役割を、一球、一打席、一つのプレーでどこまでやり切れるか。
そこに勝ち続けるチームとの差を感じた。
そしてもう一つ、指揮官が挙げたのが「球際」だった。
「そもそもの球際の強さや想いの強さ、執着や負けず嫌いな点は我々は弱い点ですし、大きく見ると北海道のチームの課題かも知れません」
あと一歩。
あと一球。
あと一本。
数字には表れにくい、ボールへの執着や勝負への強烈な思い。
渡辺監督は「今日の対戦相手の京都さんを始め、西日本のチームさんはその点が優れている印象です」と語った。
技術だけでは測れない差。
全国4強まで進んだからこそ、より鮮明に見えたものだった。
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四回、勝負の分岐点 あと一本が遠かった
勝負が動いたのは四回だった。
星置は先頭の3番・渋谷がライト前へ運んで出塁。続く内野ゴロの間に一気に三塁を陥れる好走塁を見せ、一死三塁。
勝ち越しの絶好機だった。
しかし――ホームが遠い。
この走者を返せず無得点に終わると、その裏、安打と四死球が絡んで無死満塁のピンチを迎えた。
それでも星置は崩れない。
渡辺監督は「2点差までは割り切ろう」と指示。その中で守備陣は踏ん張り、失ったのは1点だけ。
1-2。
「1失点で凌いできたので、まだ流れは五分五分でした」
勝負はまだ、どちらにも転ぶ可能性があった。
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星置に出なかった「一本」 広野は二死から仕留めた
五回、星置は再び相手にプレッシャーをかける。
二死から9番・豊岡羚眞(5年)に代わって打席に立った代打・工藤颯太(5年)がセンター前へ。
続く石原もレフト前。
二死からの連打で、再び反撃の空気をつくった。
しかし、あと一本が出ない。
そして、その裏だった。
広野は二死二塁から3連打。
星置が何度も得点圏へ走者を進めながら奪えなかった「一本」を、広野は勝負どころで重ねた。
3点を追加され、1-5。
試合の流れが大きく傾いた。
この攻防には、渡辺監督が語った「打力」「下位打線の粘り」「役割の徹底」、そして勝負への執着という差が凝縮されていた。
最後まで諦めない 池内が放った意地の二塁打
それでも星置ナインは下を向かなかった。
最終六回。
二死となり、あとアウト一つ。
5番・池内陸(5年)が振り抜いた打球はセンターの頭上を越えた。
二塁打。
4点差、二死。
それでも最後まで何かを起こそうとする姿勢を、5年生がバットで示した。
後続が倒れ、ゲームセット。
1-5。
決勝への道は閉ざされた。
しかし、全国準決勝という舞台で、星置は最後のアウトまで自分たちの野球を貫いた。

「完全に監督である私の責任」敗戦を背負った渡辺監督
試合後、渡辺監督は「力負けでした」と率直に語った。
しかし、敗戦の責任を選手たちに求めることはなかった。
今大会、チームを引っ張ってきたエース・佐々木が先発し、主将・石原がリリーフする形で戦った。そして終盤、二死から迎えた厳しい場面で佐々木を再びマウンドへ送った。
その采配について、指揮官は自らに矢印を向けた。
「今日は2死から厳しい場面で佐々木を再登板させたことが、結果としてチームとして受け身になり、良さを引き出してあげられなかった。試合後、選手にも伝えましたが、完全に監督である私の責任です。子ども達は力を出そうと一生懸命頑張りました」
全国準決勝での敗戦。
その責任を自ら引き受けた上で、渡辺監督が見ていたものは、この一試合の勝敗だけではなかった。
逆転負けを繰り返したチームが「粘れるチーム」へ
現在の6年生は4人。かつては主将・石原一人だった時期もあり、今の仲間たちが加わったのは4年生のころだった。
5年生も10人いるが、同じく4年生から野球を始めた選手が多かった。
だから渡辺監督は、基礎的な力がまだ足りないと繰り返し伝えてきた。
昨秋の新人戦、そして今春の各大会では、リードしながら守り切れず、逆転負けを喫する試合が続いた。
悔しい敗戦のたびに課題と向き合い、改善するための取り組みを重ねてきた。
そのチームが札幌予選6試合、全道大会4試合を勝ち抜いて北海道代表に。
全国初戦でも岡山県代表・邑久リーガース軟式野球スポーツ少年団の猛追を受けながら6-5で勝ち切った。
以前なら守り切れなかったかもしれない試合を、今の星置は粘り抜けるようになった。
「札幌の予選6試合、全道の4試合、そしてこっちでの初戦と、いずれも厳しい試合を最後まで粘り強く戦えたのは、彼らなりにたくましく成長したからだと思います」
全国4強は偶然ではない。
負けて、課題を見つけ、変えて、また挑む。
その繰り返しの先にたどり着いた舞台だった。
「全員を出すことはできない。でも全員をうまくすることはできる」
そして今回、渡辺監督が勝敗以上に心を動かされたことがあった。
これまで十分な出場機会を与えられなかった選手たちが、全国という大舞台で力を発揮したことだ。
代打、代走、守備。
限られた出番でも、それぞれが自分の役割を果たした。
準決勝でも五回二死から代打で登場した5年生の工藤がセンター前へ運び、反撃への火をともした。
渡辺監督が選手たちに常々伝えてきた言葉がある。
「全員を出すことはできないけど、取組で全員をうまくすることは出来るから必死についてきて欲しい」
試合に出ている9人だけを強くするのではない。
チームにいる全員をうまくする。
その思いについてきた選手たちが、全国の舞台でも動じず、自分の持ち味を発揮した。
「それに応えるように、このような大舞台でも動じずに活躍する姿には、勝敗以上に感動しました」
全国4強という結果と同じくらい、指揮官にとって価値のある光景だった。
北海道の子どもたちは「十分通用する」――だからこそ、その先へ
渡辺監督は今回の全国大会を、北海道学童野球全体という大きな視点からも捉えていた。
この夏、全国各地で北海道勢が好成績を残している。
「それが刺激にも励みにもなり、勇気を頂きながら大会で戦うことができています」
この10年間を見てきた指導者として、確かな手応えもある。
「この10年で北海道の学童野球のレベルは確実に上がり、日本中どこに行っても基本的には臆することなく戦えるようになったと思います」
今回も走塁や場面ごとの攻守では、全国の強豪を相手に十分渡り合えた。
だからこそ、その先へ進むための課題も見えた。
球際の強さ。
一球への執着。
負けず嫌いな気持ち。
そして下位打線まで含め、一人ひとりが求められた役割をやり切る徹底力。
全国で「通用した」という手応えだけで終わらせない。
全国で「足りなかったもの」まで北海道へ持ち帰る。
その両方が、この遠征で得た財産だ。
「北海道の野球のレベルが上がっていくことを強く願いますし、北海道の子達は十分通用すると思います!」
その言葉は全国4強まで勝ち進んだからこそ、より強い説得力を持って響く。
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全国4強――支えてくれたすべての人へ
最後に渡辺監督が口にしたのは、感謝だった。
「この舞台に連れてきてくれた選手、様々な負担にも快く受け入れて見守り支えてくれているチーム父母、関係者、OBの皆さん、そして応援して頂いた友好チーム、指導者様、本当にありがとうございます」
全国で戦える力を育ててくれたのは、日頃からしのぎを削る北海道のライバルたちでもある。
「北海道での試合は勿論、札幌市や手稲区の試合も十分全国大会並みに厳しいもので、そこでの切磋琢磨があるからこそ、このような大会でもいつも通りに戦うことが出来ます。心より感謝しております」
初回に先制した。
三回までは互角だった。
四回、五回にも得点機をつくった。
星置に出なかった「あと一本」を、広野は勝負どころで打った。
その1-5というスコアの中には、全国で勝つために足りなかったものと、全国でも決して負けなかったもの、その両方が詰まっている。
全国4強。
走塁や場面ごとの徹底は全国でも通じた。
一方で、球際の強さ、執着、負けず嫌いという新たな宿題も持ち帰る。
そして何より、逆転負けを繰り返していたチームが苦しい試合を粘り抜けるチームになり、出場機会の少なかった選手まで全国の大舞台で躍動した。
「全員を出すことはできない。でも、全員をうまくすることはできる」
その言葉を体現するように成長した星置レッドソックス。
全国4強という誇りと、そこで初めて知った悔しさ。全国で得た二つの財産を胸に、星置ナインはまた次の一歩を踏み出す。

協力:星置レッドソックス
