
8月15日から富山県で開幕する「PRIDE JAPAN全国選抜学童軟式野球大会2025富山大会」に、北海道代表として三笠スピリッツが出場する。出場権をつかんだのは、北海道チャンピオンシップ協会が主催するC-1トーナメントでの安定した戦いぶりと、上位進出によるものだ。
6年生6人を中心に、細かなサインプレーや守備意識の徹底を図り、「どうやって1点を取るか」「どうやって1点を防ぐか」にこだわり続けてきた。そんな彼らが、全国の舞台でどんな戦いを見せてくれるのか──これまで築いてきた歩みとともに紹介していきたい。
C-1トーナメントで磨いた“勝負の1点”
三笠スピリッツがこの春から夏にかけて挑んだC-1トーナメントは、まさに“1点の重み”を実感する連戦だった。
ROUND-1では遠軽南ジャガーに10-2、ときわ澄川ライオンズに5-2で連勝。ROUND-2では柏ホエールズと3-3の引き分け、美山イーグルスには3-1で勝利と着実に勝ち星を積み重ねた。
FINAL-1では、昭和ブルーホークスとの一戦が印象的だ。初回、一死三塁から“ゴロゴー”のサインプレーで1点を奪うと、その虎の子の1点を粘りに粘って守り切った。投手の制球と守備の集中力、そして試合運び。すべてが揃って初めて成立する勝利だった。
続く東海Fイーグルス戦は一転、14-3の快勝。緊張感のある接戦も、大量得点での圧勝も経験しながら、選手たちは着実に力を蓄えてきた。
FINAL-2では東川大雪少年野球クラブと対戦。最終的に7-8で敗れはしたが、全国大会への推薦を受けるに十分な内容を示した。
主将・床岡侑真が担う“背中で引っ張る”役割
バッテリーの要を担うのは、右のエースで主将の床岡侑真(6年)。投手と捕手を兼ねながら、チームの中心であり続けてきた。
冷静なマウンドさばきに加え、ここにきて制球力とボールの強さが向上。打者のタイミングを外すクイックモーションも使いこなし、投球の幅がさらに広がっている。
床岡とバッテリーを組むのは、右の本格派・笹木琉音(6年)。球威で押すタイプで、リズムよくテンポのあるピッチングが特徴だ。
一方、技巧派の森田天臥(6年)は“打たせて取る”が信条。コントロールと緩急で勝負し、試合を落ち着かせる。
そして三笠スピリッツのバッテリーには、もう一つの特長がある。監督やコーチから配球サインは一切出されない。床岡も笹木も投手と捕手の両方を経験しており、自らリードを組み立て、試合の主導権を握ってきた。試合前には相手の傾向や自分たちの状態を見つめ直し、自分たちで策を練って試合に臨む。勝敗を左右するプレッシャーの中で、自ら考える野球を徹底している姿に、チームの成熟が垣間見える。


内外野に光る“支え役”たちの確かな存在
守備の要、ショートを守るのは森田天臥(6年)。投手も務める二刀流ながら、守備時には自然と周囲に声をかけ、安定したプレーで内野を引き締める。チームの決め事として「本塁に近い走者をアウトに」という意識も徹底されており、その軸となる存在だ。
一塁の力弓煌也(6年)はショートバウンドや難しい送球をしっかり処理する頼れる存在。打球処理だけでなく、野手全体の安心感を支える。
外野陣の中心は中堅・水嶋煌(6年)。外野の司令塔として左・右両翼へ細かくポジショニングの指示を出し、自らも俊足を活かした広い守備範囲と優れた打球判断で投手を助けている。


打線は“機動力×つなぎ”が武器
攻撃陣では、1番の床岡が高い出塁率と機動力でリードオフマンとして機能。出れば揺さぶり、走ってチャンスを拡げる。
中軸には3番・力弓、4番・笹木、5番・小山琉生(6年)が並び、勝負強さと一発の期待を背負う打線の核を形成している。
5年生を中心とした下位打線も、つなぐ意識が高く、自ら出塁し、上位へと回す粘り強さを備えている。
得点パターンは多彩ではないが、“1点の価値”を知る選手たちが、どんな形でも走者を還そうとする姿勢が随所に表れている。


監督の言葉
新堂寛監督(29)は、「野球が上手ければそれでと言うものではなく、礼儀や仲間との協調や協力を促し、野球の楽しさも実感し、野球の活動を通して人間形成に繋がるよう活動しています」と話す。
全国大会を前にしては、「めちゃくちゃ楽しみです。ワクワクします。これまでの子供たちが大きく成長してきた成果が表れる。全国の舞台でどこまで通用するのか!?楽しみ。選手たちにはここまで来たからには楽しもう。自分達の野球をこの全国の舞台で表現してきます」と心境を語ってくれた。


今後のスケジュール
三笠スピリッツは富山県で開催される全国大会に向け8月14日、北海道を発つ。大会は開会式は行わず8月15日から競技開始となる。
同チームは、予選Eブロックに属し、
・8月15日(有金・9:00)初戦:松任若体スーパースターズ(石川)
・8月16日(新港・12:40)第2戦:南草津ドラゴンズ(滋賀)
と対戦予定。予選リーグ2試合の勝ち点により、17日の準々決勝、18日の準決勝・決勝への進出を狙う。

指導者・選手
<指導者>
▽監督
㉚新堂 寛(29)
▽コーチ
㉙斎藤 真智(55)
㉘土島 孝広(36)
<選手>
(背番号、氏名、ふりがな、学年、投打、身長・体重)
⑩床岡 侑真(とこおか ゆうま)
6年・右投げ、右打ち
157センチ、42キロ
①森田 天臥(もりた てんが)
6年・右投げ、右打ち
140センチ、38キロ
②力弓 煌也(ちからゆみ こうや)
6年・右投げ、右打ち
155センチ、40キロ
⑤笹木 琉音(ささき るおん)
6年・右投げ、右打ち
153センチ、42キロ
⑦水嶋 煌 (みずしま こう)
6年・右投げ、右打ち
144センチ、38キロ
⑰小山 琉生 (こやま りゅうせい)
6年・左投げ、左打ち
155センチ、49キロ
③折笠 銀弐 (おりかさ ぎんじ)
5年・右投げ、右打ち
152センチ、36キロ
④土島 夢翔 (どじま ゆめと)
5年・右投げ、右打ち
146センチ、35キロ
⑥高橋 奏馬 (たかはし そうま)
5年・右投げ、左打ち
137センチ、31キロ
⑧伊藤 空夢 (いとう あいむ)
5年・右投げ、右打ち
131センチ、31キロ
⑨中川 琢朗 (なかがわ たくろう)
5年・右投げ、右打ち
147センチ、34キロ
⑫荒井 健(あらい けん)
5年・右投げ、右打ち
130センチ、26キロ
⑯渡辺 晴仁(わたなべ はるひと)
5年・右投げ、右打ち
145センチ、33キロ
⑱松本 佳之(まつもと よしゆき)
5年・右投げ、右打ち
152センチ、44キロ
⑪飴谷 充輝(あめたに みつき)
4年・右投げ、右打ち
134センチ、36キロ
㉓土島 楓翔(どじま はやと)
3年・右投げ、左打ち
124センチ、24キロ


全国大会までの足跡
【C-1トーナメント】
<FINAL-2>
● 7-8 東川大雪少年野球クラブ
<FINAL-1>
〇 1-0 昭和ブルーホークス
〇 14-3 東海Fイーグルス
<ROUND-2>
△ 3-3 柏ホエールズ
〇 3-1 美山イーグルス
<ROUND-1>
〇 5-2 ときわ澄川ライオンズ
〇 10-2 遠軽南ジャガー


大会組合せ


協力:三笠スピリッツ