4試合がもたらした確かな成長
宮城県で開催された「目指せ！愛媛・スポ少2026 2days in MIYAGI」で、北海道代表・昭和ブルーホークスが強豪ひしめく舞台で奮闘した。12月7日の準決勝では弘前レッドデビルズ（青森県）を相手にタイブレークの激闘を演じ、七回表に気迫の2点を奪い勝ち越すも、裏の守備で痛恨の逆転サヨナラ負け。しかしその悔しさを力に変えた3位決定戦では仙北MⅡBC（秋田県）に11–3の五回コールド勝ち。打撃力を存分に発揮し、堂々の3位入賞を果たした。荻原監督の言葉からは、この4試合が選手たちにもたらした大きな収穫が鮮明に浮かび上がった。
準決勝／弘前レッドデビルズ（青森県）
1–1で迎えた六回まで互いに譲らず、緊迫した展開が続いた。昭和ブルーホークスは三回、一死から1番・北川陽大（5年）がセンターオーバー二塁打を放ち、敵失で三進。続く伊勢谷爽真（5年）のレフトへの飛球が敵失を誘い、1–1の同点に追いついた。
六回には二死二、三塁の勝ち越し機を作ったもののあと一本が出ず、そのまま大会規定で七回からのタイブレークへ突入する。
七回表、一死満塁から代打・横山結人を送った荻原監督は、ここで勝負に出た。
「何としても1点がほしかったので、横山を送りエンドランを選択しました。低めの難しいボールでしたが、よく食らいついてくれました」
横山の内野ゴロの間に三走・谷口遥飛（5年）が生還し勝ち越し。さらに加藤勇次郎（4年）がセンター前に鋭い打球を放ち、この回2点を奪って3–1とリードを広げた。
しかし荻原監督は、七回裏に向かう選手たちへ「ここからが本当の勝負だ」と気を引き締めていたという。
七回裏、ショート横山瑛のファインプレーでツーアウトまでこぎつけたものの、最後は不運な打球がセンター前に落ち、内野ゴロと2点タイムリーで3点を失ってサヨナラ負け。
「横山のファインプレーで流れは来ていました。何とか逃げ切りたかったのですが、最後は野球の怖さが出ました。伊勢谷をはじめ、選手たちは本当に頑張ってくれました」
それでも監督の声には悔しさの中に選手への称賛が滲んでいた。
また、この試合での“収穫”を問うと、迷いなく伊勢谷の名を挙げた。
「前日に続き伊勢谷の投球は圧巻でした。彼自身が背番号1の自覚を持ってくれたことは、今大会で一番の収穫です」
強豪相手に互角以上の戦いを見せた準決勝は、敗れながらもチームとしての価値ある一戦となった。
◆準決勝
昭和ブルーホークス（北海道）（2）1-1（3）弘前レッドデビルズ（青森県）
昭和ブルーホークス
0 0１0 0 0 2＝3
0 1 0 0 0 0 3＝4
弘前レッドデビルズ
（七回タイブレーク）
（昭）伊勢谷－北川
（弘）山本、永野、山本－斉藤
▽三塁打：谷口（昭） 成田（弘）
▽二塁打：北川（昭） 斉藤（弘）
3位決定戦／仙北MⅡBC（秋田県）
準決勝直後の悔しさを抱えながら迎えた最終戦。しかし荻原監督はまず選手たちの心を整えることに集中した。
「勝ち進めば負けてしまう。だからこそ、3位決定戦ではうちの強みである“打ち勝つ野球”をしようと声を掛けました」
その言葉どおり、昭和ブルーホークスは序盤から攻撃のギアを上げた。
2–2の同点で迎えた三回、一死から4番・谷口、5番・畠山海李（5年）でチャンスを作り、バッテリーミスで二、三塁へ。ここで6番・干野健悟（5年）がスクイズを成功させ勝ち越しに成功する。
四回には二四球を足がかりに再び一死二、三塁の好機を作ると、2番・伊勢谷が内野安打で1点、続く3番・田村がライトオーバーの2点タイムリー。さらに畠山がランニング本塁打で畳みかけ、この回一挙5点を奪った。
「最後の試合だったので細かい指示はせず“自由に打て”と伝えました。持ち味のバッティングがしっかり発揮され、畳み掛ける攻撃ができました」
五回にも中軸が機能しダメ押しの3点。田村–北川の継投も安定し、11–3のコールド勝ちで大会を締めくくった。
大会4試合を振り返り、荻原監督はチームの新たな成長をこう語った。
「今大会では、打撃ではなく伊勢谷と田村のピッチングからリズムを作れたのが一番の収穫です。チームとして新しい流れの作り方ができました」
この言葉に象徴されるように、昭和ブルーホークスは確かな手応えを残し、次のステージへ向けて堂々と歩み始めた。
◆3位決定戦（7日、名取市民球場）
昭和ブルーホークス（北海道）11-3仙北MⅡBC（秋田県）
昭和ブルーホークス
１１１５３＝１１
２０００１＝３
仙北MⅡBC
（五回コールドゲーム）
（昭）田村、北川ー伊勢谷
（仙）小松、藤井、竹村ー竹村、小松
▽本塁打：畠山RH（昭）、茂木（仙）
▽三塁打：谷口（昭）
▽二塁打：田村、干野（昭）
2days in MIYAGI・トーナメント表
協力：昭和ブルーホークス