六回に一挙5点、タイブレークで深澤が決めた 決勝は函館港西との北海道対決
中学硬式野球の「第15回日本リトルシニア東日本選抜野球大会」は8月11日、モエレ沼公園野球場で準決勝が行われ、北海道代表の大空リトルシニアが東北連盟代表・宮城大崎リトルシニア(宮城県)を9-8で破り、初の決勝進出を決めた。六回表を終えて2-7。敗戦が目前に迫る中、その裏に打者一巡の猛攻で一挙5点を奪い同点。タイブレークとなった七回に再び1点を勝ち越されたが、その裏、深澤昊(佐呂間ライオンズ出身/3年)が殊勲の一打を放ち劇的なサヨナラ勝ちを収めた。最後まで諦めず、心を一つに戦い抜いた大空ナイン。土壇場で見せた驚異の粘りで、初の決勝への扉をこじ開けた。
イニングスコア
◆準決勝(8月11日、モエレ沼公園野球場)
恵庭リトルシニア(北海道)9-8宮城大崎リトルシニア(東北)
宮城大崎
0110141=8
0100152=9
大空
(宮)阪﨑、只埜、佐々木、青山-佐藤颯
(大)深澤、武田、土門-武田、中村、武田
▽三塁打:伊成(大)
▽二塁打:小堤、上山(宮)、武田(大)
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「大空も跳ね返す力を持っている」――5点差でも消えなかった勝機
六回表が終わった。
スコアは2-7。
あと一度の攻撃を残し、大空は5点を追っていた。
決勝進出へ、あまりにも高く見える「5点」という壁。それでも、大空ベンチに諦めの空気はなかった。
冨田大介監督は六回裏の攻撃を前に選手たちを集めた。
「円陣では、強いチームはどこも終盤で跳ね返す力を持っている、大空もそれが出来る力を持っていると思う! 高めに浮きがちな相手投手の球をしっかり見極め、まずはランナーを貯めて行こう!って話をしました」
指揮官の言葉通り、まず走者をためることから反撃は始まった。
先頭の1番・深澤昊(佐呂間ライオンズ出身/3年)が敵失で出塁。続く2番・山中巽(網走ブルージュニアーズ出身/3年)が四球を選ぶ。
次打者の内野ゴロで一死二、三塁。
ここから、大空の猛反撃が始まった。
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2-7から一気に7-7 つながった打線、止まらない大空
まずバッテリーミスで1点を返す。
なおも好機は続き、4番・岡本大輝(遠軽東イースターズ出身/3年)がレフト前へタイムリーを放った。
5番・榎本蒼太(摩周ジャガーズ出身/3年)、6番・鹿野玄夢(美幌旭ベースボールクラブ出身/3年)が連続四球を選び、一死満塁。
大空の勢いは、もう止まらなかった。
7番・伊成輝将(網走ブルージュニアーズ出身/3年)の内野ゴロが相手守備のミスを誘い、さらに1点。
そして8番・武田真治(中標津ホルスタイン野球少年団出身/3年)がレフトオーバーへ運ぶ2点タイムリー二塁打。
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ついに、追いついた。
2-7から7-7。
一挙5得点。
崖っぷちまで追い込まれていた大空が、土壇場で試合を振り出しに戻した。
一人で5点を取り返したわけではない。出塁し、つなぎ、四球を選び、後ろへ託す。
冨田監督が掲げ続けてきた「心を一つに全員野球」が、最も苦しい場面で形となって表れた攻撃だった。
タイブレークで再び勝ち越される それでも大空は下を向かない
大会規定により六回終了時点で時間制限を迎え、七回から一死満塁で始まるタイブレークへ突入した。
マウンドには土門琉人。
七回表、先頭打者への押し出し四球で1点を失い、7-8。
せっかく追いついた直後、再び宮城大崎にリードを許した。
だが、ここで崩れなかったことが大きかった。
土門は後続を三振、センターフライに仕留め、失点を最少の1点に食い止めた。
冨田監督も、この粘りを勝負のポイントに挙げる。
「土門が四球で押し出しをしましたが、その1点で踏ん張ったのは大きかったですし、タイブレイクではうちに分があると感じました」
その言葉には理由があった。
七回裏、大空の攻撃は今大会好調の1番・深澤から始まる。
指揮官には、勝負できるという感触があった。
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最後は深澤――劇的サヨナラで決勝への扉を開く
そして七回裏。
ドラマは待っていた。
打席には深澤。
今大会、大空打線をけん引してきたリードオフマンが、最後の最後で仕事をやってのけた。
捉えた打球はライトの頭上を越えた。
走者2人が生還。
9-8。サヨナラ。
5点差を追いつき、タイブレークで再び勝ち越され、それでも最後にひっくり返した。
大空ナインが歓喜に沸いた。
2年ぶり2度目の東日本選抜出場で、初の決勝進出。
あと一歩で敗戦というところから何度も踏みとどまり、自分たちの手で決勝への道を切り開いた。
この日の大空が見せたのは、単なる逆転劇ではなかった。
苦しい時こそ声を掛け合い、走者を一人ずつため、次へつなぐ。守っては最少失点で耐え、最後まで勝利を信じる。
積み重ねてきた「大空らしさ」が凝縮された一戦だった。

「心を一つに全員野球」 感謝を形にする最後の一戦へ
冨田監督がチームに掲げてきた言葉がある。
「心を一つに全員野球」
そして指導方針の中心に置いてきたのが、
「観ている人に感動を与える全力プレー」
だ。
5点差を追いつき、タイブレークをひっくり返した準決勝は、まさにその言葉を選手たち自身がグラウンドで体現した試合となった。
冨田監督は初の決勝を前に、選手たちへの思いと周囲への感謝を口にした。
「大空は常々選手たちには『心を一つに全員野球』をスローガンに掲げ、『観ている人に感動を与える全力プレー』を指導方針の中心に置いています。今はそれを選手達が見せてくれています! 明日も同じです、保護者の皆様、応援してくださった皆さんに感謝を形にして恩返しをしたいと思います!」
決勝の相手は、同じ北海道代表の函館港西リトルシニア。
北海道勢同士による頂上決戦となった。
大空が勝っても、函館港西が勝っても初優勝。
そして北海道勢にとっては4年ぶり4度目となる東日本選抜制覇が懸かる。
崖っぷちの5点差から、心を一つにしてつかみ取った決勝への切符。
残すは、あと一戦。
「心を一つに全員野球」――。
感謝を力に変え、大空ナインが東日本の頂点へ挑む。

協力:大空リトルシニア
