安達匡謹監督が描く「守備から攻撃へ」の勝ち筋 主将・新名乃々花は「絶対日本一になって帰る」と決意
11月21日に高知県・愛媛県を舞台に開幕する「ベストフレンドマッチ四国2026中学女子軟式野球大会」に、U-15女子北海道選抜が挑む。過去2度の全国優勝を誇る北海道勢は、道内各地から選ばれた精鋭18人で3度目の頂点を目指す。昨年は悔し涙を流した全国の舞台。今年は、その悔しさを知る選手たちが再び四国へ向かう。チームを率いる安達匡謹監督が掲げるのは「守備から攻撃へ」。豊富な投手陣と機動力を武器に、1点差の接戦を勝ち切る野球だ。そして、チームの先頭に立つのは主将の新名乃々花(JBC北海道/3年)。指揮官と主将、それぞれの言葉から、日本一奪還に懸ける思いと北海道選抜の現在地に迫った。
全国24チームが四国に集結! 女子野球の普及と交流を掲げ、北海道選抜も3度目の頂点へ挑む
中学女子軟式野球の全国交流大会「ベストフレンドマッチ四国2026」が11月21~23日、高知県と愛媛県を舞台に開催される。北海道代表のU-15女子北海道選抜をはじめ、全国各地から24チームが参加予定。女子野球の普及・振興と選手同士の交流を目的に、熱戦が繰り広げられる。
大会の原点は2016年。全日本軟式野球連盟による中学女子全国大会の創設を機に、四国4県の選手強化と交流を目的として始まった。2018年から高知県で交流大会として開催され、2019年にはトーナメント方式を導入。その後、全国各地からチームが集まる大会へと発展してきた。
今年も実力派が顔をそろえる。注目は2024年の全日本中学女子軟式野球大会を制した神戸レッドガールズ、2025年の同大会で準優勝した三重高虎ガールズ、2023年優勝の京都シャイニングヴィーナス。さらに、四国の交流大会で近年優勝を重ねてきた徳島AWA-MUSUME BBS、地元の高知家ガールズなども北海道のライバルとなりそうだ。
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4時間の選考で見極めた「勝てる選手」 守備と走塁を重視した18人
全国の舞台で勝つために、どんな選手が必要なのか。
安達監督がセレクションで重視したのは、派手な打撃や突出した身体能力だけではなかった。限られた約4時間の中で見極めようとしたのは、選手一人ひとりのプレーへの姿勢、基本技術、そして走塁に対する意識だった。
「チームとしては走塁意識の高いチーム、最少失点での勝利を目指すため、守備・走塁に特化した選手を特に選考させていただきました」
基本的なプレーを確実にこなし、次の塁を狙う意識を持つ。そんな選手たちが集まった。
安達監督は、選ばれた18人について「機動力についてはものすごく力のある選手が多い」と手応えを口にする。
目指すのは、相手を力で圧倒する野球だけではない。確実にアウトを重ね、失点を最小限に抑え、わずかな好機を得点につなげる。
その戦い方を実現するための18人が選ばれた。
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練習回数を減らした理由 短期集中で求める「質」と「考える力」
今年の北海道選抜は、チームづくりにも変化を加えた。
例年より練習回数を大幅に減らし、短期集中型へと切り替えたのだ。
限られた活動期間の中で、単に練習量を増やすのではなく、一回一回の質を高めることを重視している。
「現時点での完成度は、悪くないと思います。少ない練習時間・回数の中で、質を求めています」
選手たちは普段、それぞれ異なるチームでプレーしている。当然、サインプレーや守備の約束事にも違いがある。
戸惑う場面もあるというが、安達監督は選手たちの取り組みを評価する。
「今のところ本当によく頑張ってくれています」
今年は練習試合や紅白戦を多く設定し、実戦経験を積ませてきた。特に紅白戦では、最初から走者を置いた状況をつくり、どうすれば得点できるのかを選手自身に考えさせている。
指示を待つのではなく、自ら状況を判断する。
全国大会で訪れる一瞬の勝負どころ。その場面で生きる判断力を、今から磨いている。
一方、技術だけでは選抜チームは完成しない。
シルバーウイークの合宿では、選手同士のレクリエーションも取り入れた。互いを知り、コミュニケーションを深める時間を意識的につくった。
安達監督は「全体的に仲がよい」と話す。
ただし、仲の良さと試合での連係は別物だ。
今後はリモートでの活動も活用しながら、一人ひとりの個性を理解し、18人が一つのチームとして戦える状態を目指す。
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昨年3試合を投げ抜いた宮本を軸に 今年は「誰かに依存しない継投」
北海道選抜の大きな武器となるのが、豊富な投手陣だ。
中心として期待されるのは、昨年の全国大会で3試合連続完投を果たした左腕・宮本乃々夏(札幌ブルーシェー北発寒ファイヤーズ出身/2年)。
その経験と実績は、今年のチームにとっても大きな財産となる。
しかし、安達監督が描く投手起用は、昨年とは異なる。
「昨年3連投、三完投した宮本が中心になるとは思いますが、今年は計算できる投手が多いため、誰かに依存しない継投を試していきたいと思います」
昨年の全国を経験した山下 紬(JBC HOKKAIDOー西部ホワイトファング出身/3年)、新名に加え、試合をつくることができる投手が複数そろった。
安達監督も、投手力は昨年度より高いと感じている。
先発投手を長く引っ張ることにこだわらず、早めの継投で相手打線に対応する構想だ。
捕手陣も充実している。
新名、上中歩那(JBC HOKKAIDOー北郷サラブレッツ出身/2年)の2人に加え、昨年の全国大会を経験した岡川志穂(七飯中学校ー七小野球スポーツ少年団出身/2年)も控える。投手との相性を見極めながら、適材適所でバッテリーを組む考えだ。
守備の要となるのは遊撃手・荒井紬希(JBC HOKKAIDOー富原ドルフィンズ出身/3年)。
安達監督は、その堅実さに大きな信頼を寄せる。
「ショートの荒井は堅実で、ほとんどミスが出ません。全国大会経験も豊富でとても期待しています」
外野では菊地 里(オホーツクスマイリーズー遠軽西ファイターズ出身/3年)を中心に、声を掛け合いながら守備を引き締める。
確実に取れるアウトを逃さない。
その積み重ねこそ、北海道選抜が目指す最少失点の野球を支える土台となる。

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攻撃のキーマンは水木 機動力で揺さぶり、好機に一本を
攻撃面で安達監督が期待を寄せるのが、水木咲玖(札幌ブルーシェー札苗スターズ出身/2年)だ。
紅白戦や練習試合では、毎試合のように安打や出塁を記録している印象があるという。
さらに、走塁能力だけでなく、教えられたことを吸収する早さも魅力だ。
「走塁にも長けており、飲み込むのがとても早く、とても楽しみな選手の一人です」
水木が出塁し、機動力で相手を揺さぶる。
そんな展開が増えれば、北海道の攻撃はより厚みを増す。
安達監督が理想とするのは、先制点を奪い、走塁で相手守備にプレッシャーをかけ続ける試合展開だ。
「何としても先制点を取り、走塁でかき回すことができれば今年も面白いところまでいくかなと思います」
ただし、課題も明確だ。
昨年の全国大会では、大事な場面であと一本が出ず、悔し涙を流した。
投手陣が踏ん張り、守備で粘っても、最後に得点できなければ勝利には届かない。
安達監督は、守備のサインプレーの徹底とともに、攻撃力の強化を全国大会までの重要課題に挙げる。
得点パターンを複数つくり、どんな展開でも1点を奪えるチームへ。
昨年の悔しさを繰り返さないための準備が続いている。
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「守備から攻撃へ」 1点差ゲームを勝ち切る北海道の勝ち筋
全国大会では、普段対戦する機会の少ない地域のチームとぶつかる。
投手の球質も、打者の特徴も異なる。
その中で、北海道がどんな野球を貫くのか。
安達監督の答えは明快だった。
「守備から攻撃へという考えのもと1点差ゲームで勝ち切る試合にします」
確実にアウトを取る。投手が最少失点で踏ん張る。そして、チャンスで一本を出す。
接戦で勝敗を分けるものとして、安達監督が真っ先に挙げるのは守備力だ。
一つのミスから流れが変わり、一気に崩れてしまうこともある。
だからこそ、声を掛け合い、互いを支え、チームとして戦うことを求めている。
華やかな大量得点よりも、1点を守り抜き、1点を奪い切る。
北海道選抜が目指す全国での戦い方が、そこにある。
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主将・新名乃々花 「誰よりも声を出す」不安を抱えながら引き受けた大役
主将インタビュー
18人をまとめる主将を任されたのは、新名乃々花(JBC北海道・3年)。
捕手、投手、外野をこなす選手で、昨年の全国大会も経験している。
主将に指名された時、最初に感じたのは喜びだけではなかった。
「うまくチームをまとめられるか不安ですが、自分ができることを全力でやっていこうと思いました」
北海道各地から集まった選手たち。
初めて一緒にプレーする仲間もいる。
限られた時間の中で、それぞれの個性を理解し、一つの方向へ導くのは簡単なことではない。
それでも新名には、自分なりの主将像がある。
「誰よりも声を出して元気にプレーすることです」
自身が主将に選ばれた理由についても「常に声をきらさないところだと思います」と話す。
苦しい展開になった時、仲間に掛けたい言葉は「みんなで最後まで頑張ろう」。
難しい言葉ではない。
しかし、接戦で苦しくなった時こそ、そんな声がチームを支える。
新名が目指すのは、プレーと言葉の両方で仲間を引っ張る主将だ。
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主将が語る18人の強み 「打線の強さは全国でも通用する」
安達監督が守備と走塁を重視する一方で、新名主将が全国でも通用すると感じているのは「打線の強さ」だ。
長打を狙える選手もいれば、足を使ってチャンスを広げる選手もいる。
新名は、北海道選抜の攻撃陣についてこう語る。
「攻撃は長打を狙える選手もいれば機動力のある選手もいます」
攻撃で頼りになる選手として名前を挙げたのは、福原慶乃(Gratias Wish BCー帯広光南アトムズ出身/3年)と山下。
守備では荒井と菊地 里/3年)に信頼を寄せる。
「守備はみんな守備範囲が広く、ピッチャーが安心して投げられると思います」
さらに、投手陣についても「試合を作れる選手が多く隙を与えません」と自信を見せた。
監督が描く堅守と機動力の野球。
主将が感じる打線の力。
両者がかみ合えば、北海道選抜の戦い方はさらに広がる。
ただ、新名も現時点での課題を感じている。
それは「団結力」だ。
仲が良いだけでなく、試合の苦しい場面で同じ方向を向けるか。
誰かがミスをした時に支え合えるか。
全国大会までに、18人の結束をさらに強める必要がある。
新名自身は捕手として投手を支え、声掛けでチームを盛り上げたいと考えている。
グラウンドの中心から、北海道の18人を一つにする。
その役割を担う覚悟がある。

「今年は嬉し涙を」 監督と主将が共有する昨年の悔しさ
昨年の全国大会。
北海道選抜は、目標に届かず悔し涙を流した。
その悔しさを知る選手たちが、今年もチームに残っている。
安達監督は、今年の全国大会に向けた思いをこう語った。
「昨年、悔し涙を流した大会でした。その悔しさを知る選手も多く残っているので、今年は選手たちと嬉し涙を流せるように戦います」
全国大会は、選手たちにとって中学野球の集大成でもある。
普段の所属チームとは違う緊張感。
試合に出られない悔しさ。
全国には、自分たちを上回る力を持った選手もいる。
安達監督は、そうした経験を高校野球につなげてほしいと願っている。
その一方で、勝利への思いに迷いはない。
新名主将も、昨年の悔しさを胸に、力強く言い切った。
「去年悔しい思いをしたので今年は絶対日本一になって北海道に帰ってきます」
昨年の悔し涙を、今年こそ嬉し涙に変える。
その思いは、監督も主将も同じだ。
11月21日、四国の地で始まる新たな挑戦。
北海道選抜の18人は、3度目の全国制覇を目指して、残された時間を一つひとつ積み重ねていく。
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全国大会・組合せ
※対戦カードは決まり次第掲載いたします。
協力:U-15女子中学北海道選抜チーム
