
学童野球の最高峰「高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会第45回マクドナルドトーナメント南・北海道大会」の2回戦、準決勝6試合が2会場で行われた。準決勝では東16丁目フリッパーズが、柏ホエールズを8−1の五回コールドゲームで、拓勇ファイターズがみゆきフェニックスを9−6の五回時間切れで下し、それぞれ決勝進出となった。東16丁目フリッパーズの決勝進出は優勝した2022年以来、3年ぶりとなる。拓勇ファイターズも優勝した2013年以来、12年ぶりとなる。マクドナルドでの対戦は2013年大会で一度対戦。そのときは拓勇が勝利している。
拓勇ファイターズ、歓喜の全国切符!打ち勝った執念の逆転劇
◆準決勝
拓勇ファイターズ(苫小牧支部)9−6みゆきフェニックス(日高支部)
みゆきフェニックス(日高支部)
23010=6
3402x=9
拓勇ファイターズ(苫小牧支部)
(み)髙瀬、長崎ー長崎、髙瀬
(拓)清水、松崎、橘ー佐藤
▽二塁打:長崎、海馬澤(み)、尾関(拓)

6月29日、三石緑ヶ丘公園球場で行われた準決勝。勝てば「全国マクドナルド・トーナメント」または「高野山旗全国大会」への出場が決まる大一番で、拓勇ファイターズ(苫小牧支部)がみゆきフェニックス(日高支部)との壮絶な打撃戦を9−6で制し、11年ぶりの全国大会出場を決めた。
試合は両チームの打線が火を噴くシーソーゲーム。勝敗を分けたのは2回の攻撃だった。3−5と2点を追う展開で、4番・澤向晴翔(6年)がライトオーバーの三塁打を放ち、打線がつながってこの回一挙4点の逆転に成功。試合の主導権を奪い返した。
4回には1点差に詰め寄られたものの、その裏に5番・相川斗哉(6年)のタイムリーなどで2点を追加し、リードを再び3点に広げた。投げては清水亮聖(6年)、松崎柊真(6年)、橘 皇佑(6年)の継投で粘るみゆき打線をなんとかしのぎ切り、試合終了の瞬間、ベンチからは歓喜の声があがった。
試合後、山村寛文監督は「子どもたちが頑張ってくれました。点を取られても、粘り強く取り返してくれた」と称えた。2回戦での接戦・豊浦シーガルス戦を経ての準決勝。「あの試合があったから、今日の集中力につながった」と手応えを語った。
最後に「決勝は、相手に胸を借りるつもりでぶつかりたい」と全国を見据えながらも、あくまで一戦一戦を大切にする姿勢を見せた。
2013年以来となる全国切符。歓喜に湧くベンチの光景が、それまでの努力を物語っていた。

地元の雄・みゆきフェニックス、あと一歩及ばずも胸を張る奮闘
一方、地元・日高支部からの出場で多くの声援を背に戦ったみゆきフェニックスも、堂々たる戦いぶりを見せた。
初回、4番・長崎修汰朗(6年)のタイムリーで先制すると、2回には9番・工藤有莉(5年)のスクイズや、2番・海馬澤來徳(6年)の左中間を破るタイムリー二塁打で一挙3点を奪い逆転。4回にも相手守備のミスを突き1点を返すなど、最後まであきらめない粘り強さが光った。
試合後、幌村克巳監督は「この暑さの中、子どもたちは本当によく頑張ってくれた。守りのミスはあったが、打撃面では想像以上に成長を見せてくれた」と、選手たちの成長に目を細めた。
「子どもたちはまだまだこれから。来週にはFBC U12日高支部予選も始まる。気持ちを切り替えて、また一から作り直します」と力強く語った。
2回戦では前年度優勝チームを相手に堂々の快勝を収め、大会を大いに盛り上げた地元の誇り・みゆきフェニックス。あと一歩届かなかったものの、その奮闘は確実に観る者の心を打った。

【豪打でつかんだ準決勝】みゆきフェニックス、圧巻のグランドスラム!昨年王者を打ち破る
◆2回戦
みゆきフェニックス(日高支部)11−2岩見沢学童野球クラブ(南空知支部)
岩見沢学童野球クラブ
10010=2
0920x=11
みゆきフェニックス
(五回コールドゲーム)
(岩)大矢、吉田、柳谷、笹野燈、広瀬ー柳谷、大矢
(み)長崎、白川ー高瀬、長崎
▽本塁打:松井(み)
▽二塁打:工藤、斉藤、長崎、松井(み)

1点を追う展開となった地元・日高支部代表のみゆきフェニックスは、二回に一気に試合の流れを変えた。
9番・工藤有莉(5年)のタイムリー二塁打で同点に追いつくと、続く満塁の好機で5番・松井耀正(5年)が放った打球はセンターの柵を越える豪快なグランドスラム。これで一気に試合をひっくり返した。さらにこの回は打者13人を要し、合計9点を奪う猛攻を見せた。
三回にも再び5番・松井が2点タイムリーを放つなど打線の勢いは衰えず、投げてはエース・長崎修汰朗(6年)と白川愛都(6年)の継投で、前年度覇者・岩見沢学童野球クラブの追撃を五回2失点に抑え込み、堂々の準決勝進出を決めた。

岩見沢学童野球クラブは、今大会で優勝旗を返還。初戦では室蘭祝津少年野球部を退け、連覇へ向けて順調な滑り出しを見せたものの、2回戦でみゆきフェニックスの圧倒的な攻撃力に屈した。
試合後、小松連史監督はこう語る。
「みゆきフェニックスに対して、いろいろと対策を練り、継投策も含め準備してきましたが、二回の満塁ホームランで一気にやられてしまいました。元々打力があるチームとは聞いていましたが、さすがでした」
昨年の栄光を背負いながら戦ってきた選手たち。常に比較され、見えないプレッシャーを感じながら今大会を戦い抜いた。その中で悔しさを糧とし、次のステージに向かう強さを示した。
「FBC-U12の空知支部予選が控えているので、気持ちを切り替えてまた挑戦します」と小松監督は前を向いた。
この日の勝者と敗者。スコアの差以上に、全力を尽くした選手たちの姿に拍手が送られた。試合後のベンチでは、涙をこらえながら唇を噛みしめる選手たちの姿があった。敗戦の悔しさが、それぞれの胸に確かに刻まれていた。

【目に見えない力で球場を魅了】拓勇ファイターズが逆転勝ち 小さな勇者・豊浦シーガルスが全力プレーで観客の心をつかむ
◆2回戦
拓勇ファイターズ(苫小牧支部)5−3豊浦シーガルス(西胆振支部)
豊浦シーガルス
000300=3
00131x=5
拓勇ファイターズ
(豊)岡本、山口、岡本、藤田ー藤田、井嶋
(拓)橘、松﨑ー佐藤
▽三塁打:藤田(豊)、尾関(拓)
▽二塁打:荒井、佐藤(拓)

1−3と2点を追いかける展開となった拓勇ファイターズ(苫小牧支部)は四回、7番・佐藤光士郎(6年)、1番・清水亮聖(6年)らのタイムリーで一気に3点を奪い逆転に成功。さらに五回には二死から相手のミスに乗じて1点を加え、最終スコア5−3で豊浦シーガルス(西胆振支部)を振り切った。
打線がつながった拓勇は終盤の勝負どころで集中力を発揮し、粘る豊浦を突き放す形で2回戦を突破した。
一方、敗れた豊浦シーガルスは、6年生わずか2人という編成ながらも、4年生・5年生を加えた小柄な選手たちがひたむきにプレー。回を重ねるごとに観客を味方につけ、目に見えない“応援したくなる力”を放ちながら、全力で挑んだ。
三塁打を放った藤田倫太朗(6年)や、バッテリーを務めた藤田倫・井嶋 浬(5年)の奮闘も光った。終盤は疲れが見える中でも最後まで諦めず、今大会で最も観客の心を動かしたチームの一つとなった。
試合後、入船克敏監督は晴れやかな表情でこう語った。
「今回の学童大会は、本当に楽しかった。6年生2人が中心となって、1プレー1プレーを一生懸命やってくれました。正直、力の差は大きかったと思いますが、選手たちが最後まで諦めずに頑張ってくれたおかげで、互角の戦いができました。もう悔いはありません」と球場をあとにした。
