
徳島県阿南市で開催中の「野球のまち阿南第13回少年野球全国大会」に北海道代表として出場した札幌オールブラックスが、27日のダブルヘッターで全国の壁に真っ向から挑んだ。
2回戦では地元・藍住南タイガースに21-4の大勝を収めたが、続く準々決勝では、身長178センチ・最速116キロという“中学生級”の投手を擁するANAN BASEBALL CLUBに2-3と惜敗。ともに6安打ずつの接戦を展開し、ベスト8入りを果たした。生野勇輝監督は「球速の基準も、暑さへの耐性も北海道とは違う。育成や戦い方を考えさせられた」と語り、全国の舞台で得た“課題”と“手応え”を胸に、次なる戦いへ歩を進める。
爆発打線で21得点!札幌オールブラックス、2回戦を四回コールドで圧勝
2回戦の相手は、地元・徳島県代表の藍住南タイガース。試合は初回から札幌オールブラックスの打線が勢いを見せ、わずか4回で21点を奪う猛攻を展開。21-4の四回コールドで快勝し、準々決勝へと駒を進めた。
初回、2番・奥山夕生(6年)のレフトオーバーとなるタイムリー二塁打などで3点を先制。続く二回には、相手守備の乱れにも乗じて、打者一巡の猛攻で6点を追加。中でも1番・吉田陽翔(6年)の粘り強い出塁が好機を生み、攻撃に勢いをもたらした。
三回には、5番・川村塁翔(6年)がレフト前へ2点タイムリーを放ち、さらに7番・太田海翔(6年)がセンターオーバーの2点タイムリー三塁打。この回も5点を奪って試合を決定づけた。
圧巻は四回。再び2番・奥山がランニングホームランを放ちスタンドを沸かせると、8番・米田稟之輔(6年)も左中間への柵越えホームランを放つなど、4回だけで7点を追加。全打順が抜群の集中力で振り抜き、まさに“打線がつながった”内容となった。
投げては先発・今田善(6年)が落ち着いた投球でリズムを作り、奥山との継投で勝利を締めくくった。
攻守にわたって主導権を握った札幌オールブラックスは、圧倒的な内容で2回戦を突破。勢いそのままに、次戦・準々決勝へと向かった。


強豪撃破まであと一歩――札幌オールブラックス、全力の準々決勝惜敗
そして迎えたダブルヘッター2試合目、準々決勝の相手は、同じく徳島県の強豪・ANAN BASEBALL CLUB。相手のエースは、身長178センチ、最速116キロを誇る“中高校生級”の圧倒的存在感を放つ右腕だった。全国屈指の速球派を前にしながらも、札幌オールブラックスは粘り強く食らいつき、互いに6安打ずつの接戦に持ち込んだ。
初回、2番・奥山夕生(6年)が左中間を破る三塁打でチャンスを広げると、続く3番・長谷川瑛斗(5年)の内野ゴロの間に1点を先制。さらに二回には、6番・対馬智大(6年)が内野安打で出塁し、すかさず二盗。捕手の送球が逸れる間に三塁へ進み、9番・境出蓮寿(6年)がレフト前に弾き返して2点目を加えた。
しかし三回裏、相手の集中打で3失点を喫し逆転を許す。反撃を狙った札幌オールブラックスは、五回・六回と再三得点圏に走者を送り込むも、あと1本が出ず、2-3で惜しくも敗れた。
それでも、最速116キロの剛腕相手に得点を重ね、終盤まで勝利を視野に入れた戦いぶりは、まさに堂々たるものだった。全国の舞台で実力を証明した札幌オールブラックスの挑戦は、次なるステージへと続いていく。


生野監督が語る“学び”と“次への決意”
試合後、生野監督は「今大会の投手を見ると、105キロを超える投手がざらにいて驚いた。球速も育て方も北海道とはまったく違う印象を受けた」と全国のレベルを肌で感じた様子。「投手育成を含め、見直す点があると実感させられた」と、技術だけでなく環境・意識面での課題にも言及した。
また、気候の違いによる影響も大きかった。「熱中症になる選手は出なかったが、やはりダブルヘッターとなると北海道の子は動きが鈍くなる。一方で本州の選手はあまり変わらない。全国で勝つには、暑さ対策も重要な課題だと感じた」と語り、勝負の世界において“慣れ”が左右する局面があることを認めた。
全国ベスト8の結果は、決して悲観すべきものではない。現地での交流戦を経て、選手たちは29日に甲子園球場のミュージアムを訪れ、大阪観光を楽しんだ後に帰札。8月1日からは札幌市つどーむで開幕する全道少年軟式野球大会に、札幌支部代表として再び戦いの舞台に立つ。初戦は8月4日、第5試合で西胆振代表のOVER PRIDEとブルージュニアーズ・旭ベースボールクラブの勝者と対戦予定だ。
「この経験を次につなげたい」と語る生野監督の言葉通り、札幌オールブラックスの挑戦は、ここで終わらない。北海道から全国へ――その道のりを切り拓く大きな一歩が、確かに刻まれた。
イニングスコア
◆準々決勝(27日、福井グラウンド)
札幌オールブラックス(北海道)2-3ANAN BASEBALL CLUB
ANAN-BBC
000300=3
110000=2
札幌オールブラックス
(A)早川ー伊沢
(札)今田、対馬ー川村
▽三塁打:吉村(A)、奥山(札)
▽二塁打:今田(札)
◆2回戦(27日、福井グラウンド)
札幌オールブラックス(北海道)21-4藍住南タイガース(徳島県)
札幌オールブラックス
3657=21
1030=4
藍住南タイガース
(四回コールドゲーム)
(札)今田、奥山ー川村
(藍)古川ー中谷
▽本塁打:奥山RH、米田(札)、古川(藍)
▽三塁打:太田、今田(札)
▽二塁打:奥山(札)、冨士(藍)