
10月25日に苫小牧市で開幕する「北海道学童軟式野球都市対抗戦」に出場する2025留萌選抜チーム。
10月4日、石狩市スポーツ広場で取材を行い、古滝監督、稗田コーチ、永田隼翔主将(留萌JBC/6年)をはじめ、チームを支える選手たちに話を聞いた。
人口減少が進む地域にあっても「野球が好き」という純粋な思いで集まった18人。仲間と声を掛け合い、チームワークを武器に全道の舞台へ挑む。
守備に安定、攻撃も多彩──留萌選抜、週1ナイター練習で本選へ照準
留萌選抜チームは、週に1度、苫前町古丹別の苫前町野球場で練習を重ねている。平日のナイター練習に加え、週末には強化試合を行い、試合勘と連携を確認してきた。
10月4日には石狩選抜、札幌選抜との練習試合を実施。これまでに約10試合をこなし、18人の選手たちは実戦を通して調子を上げてきた。大会本番までの期間は、自チームの活動と並行しながら、週1回のナイター練習でチームの完成度をさらに高めていく。
今年の留萌選抜は、投手力の安定と堅守が持ち味だ。攻撃面でも、好投手を相手にしても対応できる打者が揃い、バランスの取れたチームに仕上がっている。
背景には、今夏の「阿波おどり全国学童軟式野球大会2025」で北海道代表として全国ベスト4に進出した留萌JBC、そして管内大会で互角の戦いを見せた羽幌フェニックスの存在がある。
留萌選抜は、留萌JBC・羽幌フェニックス・留萌ニュースターズの3チームで構成される。セレクションは6月上旬に羽幌町営野球場で行われ、23〜25人の中から18人が選抜された。
今年のチームは、体格の大きな選手が多く、全体的にフィジカル面でも頼もしさが増している。
10月4日の取材時には古滝裕監督が不在だったため、稗田一栄コーチにチームの現状を聞いた。
「例年は人数が少なく、希望者全員が入ることも多かったですが、今年は久しぶりにセレクション形式を取りました。何より重視したのは“元気の良さ”。プレー技術も大事ですが、大舞台で堂々と自分を出せるかを見ました」と話す。
今年の留萌管内は、各チームが大会上位に進出するほど活発で、スケジュール調整が難しい中での選抜だったという。
「練習試合は少なめでしたが、ポテンシャルの高い子が多く、違うポジションでもこなせる順応性があります。守備の連携を詰めれば、もっと良いチームになります」と、手応えと期待を語った。
苫小牧での本選開幕(10月25日)まで残された時間はわずか。
週1回の限られた練習を積み重ね、選手たちは静かに闘志を燃やしている。

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守りのチームに宿る地域の誇り──古滝裕監督が語る、留萌の野球への願い
チームを統率する古滝 裕監督は、留萌地域の現状を踏まえながら、選手たちへの思いを語る。
「今、留萌管内には少年団が3チームしかありません。来シーズンは2チーム減少。少子化もあって野球を続ける環境が厳しくなっている。それでも、こうして“野球が好き”な子どもたちが集まってくれることが何より嬉しい」
その上で、この大会に込めた願いをこう続ける。
「この経験をきっかけに、みんなで中学・高校と地元で野球を続けてほしい。外に出る子も多いけど、“またこのメンバーでやりたい”と思えるようなチームにしたい」
戦い方については「1番から7番までは長打があり、守りの安定感もある。うちは“守って勝つチーム”。噛み合えばどこにも負けない」ときっぱり。
「全国を目指す気持ちは全員一緒。あとは、どれだけ自分たちの野球ができるか」と語った。
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声と笑顔でチームをひとつに──留萌選抜の要
永田隼翔主将が示す“主将の背中”
留萌JBCの主将でもある永田隼翔主将は、チームの中心として常に全員を引っ張る存在だ。
「外野も内野も声をかけ合って、ランナーの確認や次のプレーを意識しています。みんな元気いっぱいで、試合中も雰囲気がとても良いです」と話す。
選抜ゆえに、最初は遠慮もあったというが、いまでは自然に声が飛び交う。
「副キャプテンにも相談しながら、困っている選手がいたら正確に指示を出すようにしています。チームワークを大事にしたいです」と語る。
特に元気のいい選手を尋ねると、「田所颯斗君です」と即答。
「隼翔、颯斗で頑張ります!」と明るい笑顔を見せた。
目標を問うと、「1回戦から全力で挑み、元気いっぱいで勝ちを重ねて、優勝して2月の全国大会に行きたいです」と力強く意気込みを語った。
〇永田 隼翔(ながた・はやと)
留萌JBC/6年
右投げ・右打ち 158cm/52kg
チームでも選抜でも1番・遊撃手を務め、プレーのみならず精神的支柱としても仲間を支える。
野球は小学2年生から始め、家族は両親と妹の4人。
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冷静と強気、2人の右腕が留萌選抜の勝利を導く
緩急自在のコントロール右腕・森光悠月
羽幌フェニックスの森光悠月投手は、捕手の構えるコースにしっかりと投げ分け、緩急を巧みに使って打者を翻弄する右腕だ。
プレースタイルについて「一番の持ち味はコントロール。フォームでタイミングをずらしたりして、打者のタイミングを外すことを意識しています」と冷静に語る。
試合では先発を任されることが多く、「四死球を出さないように、ゲームを壊さず流れを作ることを意識しています」と投手としての責任感をのぞかせた。
自宅では、寝転がって天井に向かってボールを投げる“スナップ練習”を行い、リリース感覚を磨いているという。
「大会では、ゲームを壊さないように一人ひとりしっかり投げ、球数を意識しながら丁寧に投げたい」と都市対抗戦への意気込みを語った。
〇森光悠月(もりみつ・ゆづき)
羽幌フェニックス/6年
右投げ・右打ち 154cm/48kg
投手兼三塁手としてプレー。打順は6〜7番を務め、攻守両面で存在感を放つ。
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強気で攻める安定感抜群の右腕・川崎駿太
留萌JBCの川崎駿太投手は、持ち前のコントロールと強気の投球で打者を打ち取る安定感のある右腕だ。
「ピタリとコントロールよく投げたい。強気のピッチングで、傾向にとらわれず自分らしく投げ切るのが目標です」と力強く語る。
全国大会の登板経験もあり、マウンド上では冷静な表情を崩さない。
「味方のエラーがあっても下を向かないように気をつけています。すぐに気持ちを切り替えることを意識しています」と精神面の成長ものぞかせた。
さらに、「コントロールをもっと良くするために、足の踏み込み位置やフォームが崩れないよう意識しています」と再現性を高める努力を続けている。
「都市対抗戦では3位以内に入って全国大会に出場したい。ピッチャーとして登板し、ミスのない投球でチームに貢献したい」と意気込んだ。
川崎駿太(かわさき・しゅんた)
留萌JBC/6年
右投げ・右打ち 155cm/40kg
内外野どちらでも守れる万能型の選手だが、この選抜チームでは投手に専念する。打撃では8番、9番を任される予定だ。
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留萌選抜の打線を引っ張る2人
伊藤陸翔「勝負強い一打で流れをつくる」
チーム一番の大柄・伊藤陸翔(いとう・りくと/留萌JBC)は、攻撃においてチームの要となる存在だ。
持ち味を尋ねると「バッティングです」と即答。
打席で心がけていることは「力が入りすぎないようにすること」。冷静さの中に強い勝負心が光る。
チームでは、走者が得点圏に進んだ場面で一本が期待される打者のひとり。
選抜チームとして意識している点については、「声はもちろん、走塁でも相手の隙をついてどんどん次の塁を狙いたい」と語った。
都市対抗戦に向けては、「上位3位以内に入れるよう、絶対頑張ります!」と力強く意気込みを見せた。
〇伊藤陸翔(いとう・りくと)
留萌JBC/6年
右投げ・右打ち 170cm/80kg
パンチ力を評価され、打線の中軸を任される。大会では指名打者(DH)としての出場が見込まれる。
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菅原蒼音「遠くへ、次へ──つなぐ打撃でチームに勢いを」
羽幌フェニックスの菅原蒼音(すがわら・あおと)は、チームの攻撃を支える中軸打者。
「自分の一番の持ち味はバッティングです」と即答するように、打撃への自信と情熱は人一倍だ。
「遠くに飛ばすこと、そして次のバッターにつなぐことを意識しています。チームの得点につながる打撃で流れを作りたい」と力を込める。
都市対抗戦までに「もっとミート力を高めたい」と課題を掲げ、「絶対勝って全国に行きます!」と目を輝かせた。
〇菅原蒼音(すがわら・あおと)
羽幌フェニックス/6年
右投げ・右打ち 160cm/62kg
鋭い打球と勝負強さを評価され、打線の中軸を担う。守備では一塁を守り、チームを支える存在だ。
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指導者・選手
<指導者>
(背番号、氏名)
▽監督
㉚古滝 裕
▽コーチ
㉙稗田 一栄
㉘宍戸 隆則
<選手>
⑩ 永田 隼翔(ながた はやと)
6年/留萌JBC
右投げ、右打ち
⓪ 大滝 晴日(おおたき はるひ)
6年/留萌ニュースターズ
右投げ、右打ち
① 川崎 駿太(かわさき しゅんた)
6年/留萌JBC
右投げ、右打ち
② 伊藤 陸翔(いとう りくと)
6年/留萌JBC
右投げ、右打ち
③ 菅原 蒼音(すがわら あおと)
6年/羽幌フェニックス
右投げ、右打ち
④ 田所 颯斗(たどころ はやと)
6年/羽幌フェニックス
右投げ、右打ち
⑤ 長谷川 悠惺(はせがわ ゆうせい)
6年/留萌JBC
右投げ、左打ち
⑥ 土清水 京(つちしみず けい)
6年/羽幌フェニックス
右投げ、左打ち
⑦ 砂原 瑛太(さはら えいた)
6年/羽幌フェニックス
右投げ、右打ち
⑧ 黒川 大護(くろかわ だいご)
6年/羽幌フェニックス右
投げ、右打ち
⑨ 松浦 稜真(まつうら りょうま)
6年/留萌JBC
右投げ、右打ち
⑪ 宍戸 晴哉(ししど せいや)
6年/羽幌フェニックス
左投げ、左打ち
⑫甚伊 宥李(じんい ゆうり)
6年/留萌ニュースターズ
右投げ、右打ち
⑬ 阿部 翔向(あべ かなた)
6年/留萌JBC
左投げ、左打ち
⑭ 佐々木 明衣(ささき めい)
6年/羽幌フェニックス
右投げ、右打ち
⑮ 荒井 桜介(あらい おうすけ)
6年/留萌JBC
右投げ、右打ち
⑯ 空橋 瑞來(そらはし みずき)
6年/留萌ニュースターズ
右投げ、右打ち
⑱ 森光 悠月(もりみつ ゆづき)
6年/羽幌フェニックス
右投げ、右打ち




協力:2025留萌選抜チーム