岩見沢リトルシニア、新チームの挑戦と世代をつなぐ力

岩見沢リトルシニア、新チームの挑戦と世代をつなぐ力

谷口正行監督インタビュー

「気持ちを前面に出せるチームに成長してほしい」

岩見沢リトルシニアの新チームはここまで3試合を戦い、2勝1敗。「手ごたえもあるし、課題も見えてきた」と谷口正行監督は語る。

「7月末に合宿を行い、チームとしての意識を持たせてきたんですけど、思ったより野球を理解して動いているかなという感じがしています」と、指導の中で確かな成長を感じている様子だ。

一方で、主力選手のケガも響いた。「キャッチャー奥山のケガはやはり大きかったですね」と振り返る。それでも初戦・余市リトルシニア戦に勝利を収めたことがチームに勢いをもたらした。
「相手のエラーで点数を取ったんですけど、まず勝てたのが勢いになった。この時期の勝利は自信になります。逆に、うちのエラーで敗れた札幌栄リトルシニア戦は大きな教訓になりましたね」と、手応えと課題の両面を口にした。

守備面については「キャッチボールなどの基本的な部分はいい感じです」と評価する一方で、攻撃面については「点数を取る力がまだまだ個々に足りない。ランナー二・三塁でしっかり点を取ることが課題」と指摘。
さらに「気持ちの強さが少し弱い。初球から思い切って振っていける選手になってほしい」と積極性を求めた。

成長著しい千葉投手(岩見沢)
成長著しい千葉投手(岩見沢)

成長著しい選手としては、背番号1の千葉瑛太投手(岩見沢学童野球クラブ出身/2年)を挙げる。
「前回の大会ではピリッとしない部分もありましたが、この間の札幌栄戦では立ち上がりからいい感じで入れました。キレも出てきたし、マウンドさばきも落ち着いてきて焦らず投げられるようになってきた」と評価。
「もう少しボールに強さが出てくればさらに上を目指せる」と期待を込めた。

練習で大切にしていることについては「うちのチームはまず気持ちをしっかり出すこと。元気を出すことですね。そこから野球につながっていく」と強調した。

体格面については「体の大きな子が揃っているチームではないが、普段からこれだけのフルサイズの球場で練習できているのは強み」と話し、環境を活かした成長にも期待を寄せる。

新チームはまだ課題を抱えつつも、守備の堅さと成長著しい選手たちの存在が光る。谷口監督が求める「気持ちを前面に出す姿勢」を身につけたとき、このチームはさらに大きく飛躍するだろう。

谷口監督の話に耳を傾ける岩見沢ナイン
谷口監督の話に耳を傾ける岩見沢ナイン

人間力を磨き、高校へとつなげていく

3年生が日本選手権を終えた後、岩見沢リトルシニアは7月末に夏合宿を実施。泊まり込みで行った合宿は、技術面の強化に加え、チームワークを深めることを大きな目的としていた。谷口監督は「普段は見られないそれぞれの素顔が見え、少しずつ成長を感じることができた」と振り返る。

今年の3年生は昨秋、リーグ戦を戦い抜き決勝トーナメントへ進出。昨年準優勝の実績があるだけに、どうしても比較される部分はある。しかし谷口監督は「僕たちは僕たちのスタイルで、元気にやっていきたい」と前を向いた。

印象に残った遠征や合宿については「やはりチームワークを築くことが大きな目的だった」と話し、選手同士の関係性を重視していることがうかがえる。

また、卒団を控える3年生への思いについてはこう語る。
「日本選手権は残念な結果でしたが、多くの選手が高校でも野球を続けたいと言っています。中には転校してきた子や、中学2年の冬から入部した子もいて、それぞれの時間は違いますが、どの子も充実した時間を過ごしてきた。これからは中学での経験を活かし、高校で活躍してほしい」

谷口監督が最も大切にしているのは「人間力」だ。
「野球の技術だけでなく、人間力を磨いて高校につなげていく。それがうちの方針。ここでの経験をしっかりと次につなげてもらいたい」

岩見沢リトルシニアからは、これまでも北海高校などに進み、その後も野球を続ける選手が数多く巣立っていった。谷口監督の言葉には、選手たちへの愛情と、高校以降の野球人生を見据えた深い思いが込められていた。

グラウンド挨拶する岩見沢ナイン
グラウンド挨拶する岩見沢ナイン

チームを変える言葉と渋谷キャプテンの決意

 チームを率いる渋谷旺佑(2年)キャプテンは、監督から授かった大切な言葉を胸に刻んでいる。
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」。
古くから伝わるこの名言をスローガンに据え、チーム全員が日々の練習に励んでいる。

 練習や試合を盛り上げるのは、声を絶やさないムードメーカーたちだ。投手兼内野手の砂田翔斗(岩見沢学童野球クラブ出身/2年)をはじめ、周囲を勇気づける存在がいることで、自然とベンチの雰囲気も熱を帯びる。特に投手の高田悠哉(SLIDオニオンズジュニア出身/2年)の声に引き込まれるように、仲間たちが一体となって盛り上がっていく様子は、まさにチームの強みとなっている。彼らはいずれも2年生で、まさに今のチームを支える世代だ。

チームの強みと課題を見つめて

 秋の大会が開幕した中で、チームの調子は悪くない。公式戦でも勝ちを重ねているが、キャプテンは「チャンスで打てない場面がまだある」と課題を冷静に分析する。昨年は先輩たちが秋の大会で優勝を果たした。比較されることも少なくないが、渋谷キャプテンは「自分たちは自分たちの良さを出していきたい」と強調する。その良さとは、どんな状況でも勝利を信じ、最後まで粘り抜く強い気持ちだ。

 ただし、まだ克服すべき壁もある。送りバントを確実に決める場面や、得点を取り切る勝負強さが足りないことをキャプテンは痛感している。「絶対に決めたい、絶対に点を取りたい」という気持ちを、もっと形にしていくことが次のステップだと話す。

 選手たちは「全国に行く」という強い気持ちをすでに共有している。

 これまでの対戦相手の中で特に印象深かったのは、9月14日に岩見沢市営球場で行われた札幌栄リトルシニア戦だ。最終回、こちらの選手がバントを試みたものの打球は小フライに。しかし、その打球を札幌栄リトルシニア2年の吉田悠太選手がダイビングキャッチで好捕。流れを断ち切られる大きなプレーとして、強く心に残っている。こうした一瞬の勝負どころをものにできるかどうかが、全国の舞台へとつながる鍵となるだろう。

〇渋谷 旺佑(しぶや おうすけ)
2年・岩見沢学童野球クラブ出身
右投げ、右打ち
162センチ、52キロ
新人戦では9番・二塁手として出場することが多く。守備では一歩目速く打球に対しての執念が一番の持ち味。

渋谷主将(岩見沢リトルシニア)
渋谷主将(岩見沢リトルシニア)

渋谷主将が認めるキーマン・奥山君

攻守で存在感、勝負強さを追い求めて

「この選手が打つとチームが乗る」――そんな存在が奥山勝太(岩見沢学童野球クラブ出身/2年)だ。彼の一打がチーム全体の流れを変える。まさに勝利の鍵を握る男として、仲間たちの期待を背負っている。

 岩見沢学童野球クラブ出身でキャッチャーを務める奥山君は、渋谷主将から「チームのカギを握る選手」と評されている。これまでの3試合の中で、自身の持ち味を最も発揮できたのは空知滝川リトルシニア戦の第2打席だったという。
「0-1と劣勢の場面で、二・三塁のチャンスにレフト前へ同点打を打てた」――そう振り返り、日々のチーム練習に加え、家庭での自主練習にも余念がない。

 チームはここまで3試合を戦い、2勝1敗と順調に駒を進めている。奥山君は「守備が安定していることが勝利につながっている」と分析しつつ、「課題はチャンスで一本を打てるかどうか。打力向上が必要」とも語る。打撃強化に向けた取り組みにも意欲的だ。

また、憧れのプロ野球選手として同じ捕手の小林誠司選手(読売ジャイアンツ)の名を挙げ、「特に守備については自分も近づきたい」と目標を口にした。

〇奥山 勝太(おくやま しょうた)
2年・岩見沢学童野球クラブ出身
右投げ、右打ち
175センチ、59キロ
新チームでは指のケガもあってDHでの出場となっているが、そのバットスイングはケガを感じさせないほど力強い。気持ちの強さが光る選手であり、本来であれば1番または6番打者、そして捕手としてチームを支える存在だ。持ち味のバッティングでは広角に打ち分ける

チームのカギを握る奥山選手(岩見沢)
チームのカギを握る奥山選手(岩見沢)

チームの元気印・砂田君

声で流れをつくるムードメーカー

 チームの練習や試合で誰よりも声を出し、仲間を盛り上げる存在――それが砂田翔斗(岩見沢学童野球クラブ出身/2年)だ。キャプテンの奥山主将からも「チームのムードメーカー」と評されている。本人に普段のチームの様子を聞くと、「元気はあると思います」と笑顔で答えた。

 さらに「自分が声を出そうという気持ちは常にあります。リズムをつくって、攻撃につなげたい」と語り、意識して仲間を鼓舞していることがうかがえる。

 現在のチーム状態については「まあ、ぼちぼちという感じ」と冷静に分析。守備と打撃の完成度について尋ねると「まだ勝負強いバッティングができていないところがある」と課題を口にした。

 その上で「残塁を残さず、効率よく攻撃を終わらせることが目標です」と具体的な改善点を示した。声でチームを勢いづけるだけでなく、勝負どころでの攻撃力強化にも目を向けている。

 声で流れを呼び込み、仲間の背中を押す砂田君。プレー以外の面でも大きな存在感を発揮する彼の存在が、チームの雰囲気を前向きにし、勝利への原動力となっている。これからの試合でも、砂田君の明るい声がグラウンドに響き渡るだろう。

〇砂田 翔斗(すなだ しょうと)
2年・岩見沢学童野球クラブ出身
右投げ、右打ち
174センチ、55キロ
投手兼一塁手として出場。

岩見沢リトルシニア・2年生
岩見沢リトルシニア・2年生

3年生の声

1年前の自分に伝えたいこと、後輩へ残す言葉

日本選手権を終え、高校野球への新たな一歩を踏み出す岩見沢リトルシニアの3年生たちに話を聞いた。テーマは「もし1年前に戻れるとしたら、どんなことを一年間の自分や後輩に伝えたいか」。

ある選手は「技術です。1歩目の速さや反応をもっと磨いておけばよかった」と答える。最後の大会を振り返り、「あの場面であと一歩早く動けていれば」と悔しさをにじませた。

別の選手は「練習への取り組み方、そして切り替えの速さ」と強調する。
「試合で同じミスをしてしまい、次の打席に引きずったことも多かった。イライラしたり落ち込んだりして、チームに迷惑をかけたこともありました。日々の練習から意識できていれば違ったと思う。でも、失敗を経験したからこそ今はそう思える。後輩たちには同じ思いをしてほしくない」と語った。

また別の選手は「岩見沢シニアでの3年間がとにかく楽しかった」と笑顔を見せる。
「卒団はまだこれからですが、みんなと一緒にやれたことが一番の思い出です。途中から硬式野球野球に興味を持って入団したけど、本当に入ってよかった。試合での結果以上に、素晴らしい仲間や指導者に出会えたことが大きな財産です」と振り返った。

それぞれ違う言葉を口にしながらも、数人の思いに共通していたのは「仲間と過ごした時間の尊さ」だ。これまでの経験を胸に、高校野球という新たな舞台での挑戦が始まる。

岩見沢リトルシニアの3年生
岩見沢リトルシニアの3年生

1年生チーム、全国切符を獲得

JAL沖縄 Rookies Baseball Cup予選で3連勝

8月に行われた「JAL沖縄 Rookies Baseball Cup」北海道予選会で、岩見沢リトルシニアの1年生チームが全国大会への切符を手にした。

初戦は札幌中央・空知滝川との連合チームに12-1で快勝。続く2回戦では13-12と激しい打撃戦を制し、勢いに乗った。代表決定戦となった余市リトルシニア戦でも10-6で勝利し、見事3連勝で全国大会出場を決めた。

中でも栗山ロッキーズ出身の伍石虎太郎をはじめ、将来性豊かな選手たちの活躍が光った。攻撃面では打線のつながりがよく、機動力を生かした攻撃も持ち味だ。

谷口正行監督は「野球の技術や体力はまだこれから。ただ、打つ・走る・投げるの各プレーで楽しみな選手が揃っている」と語り、選手たちの成長に期待を寄せた。

全国の舞台でどんな戦いを見せてくれるのか。1年生チームの挑戦に注目が集まる。

岩見沢リトルシニア・1年生
岩見沢リトルシニア・1年生

OBの活躍も目覚ましい

クラーク記念国際高3年・辻田丞投手がプロ志望届提出

 岩見沢リトルシニアOBの活躍が光っている。クラーク記念国際高校3年の辻田丞投手が、この秋プロ志望届を提出した。身長185センチの恵まれた体格を持つ大型右腕で、スリークォーターから投げ込む最速148キロのストレートが最大の武器。高校3年夏には4試合に登板し、計23イニングで30奪三振をマークするなど圧倒的な投球を見せた。

プロ入りが実現すれば、2018年に埼玉西武ライオンズから育成ドラフト2位で指名された大窪士夢氏以来となる。大窪氏も岩見沢リトルシニア出身で、高校時代は北海高校に所属。198センチの長身を武器に投手として活躍した。西武ライオンズでは育成選手として在籍し、プロ野球の舞台を経験している。

現在は古巣の岩見沢リトルシニアに戻り、主に投手陣の指導にあたっている大窪氏。OBが築いた伝統を受け継ぎ、次世代の選手たちを育てている。辻田投手がその背中を追い、プロの扉を叩く日も近い。

選手のピッチングを見守る大窪コーチ(岩見沢)
選手のピッチングを見守る大窪コーチ(岩見沢)

練習体験会

小学6年生を対象に硬式野球体験会を開催しますので是非ご参加ください。

○日  時 ①令和7年9月25日(木曜日) 18:00 ~ 20:30
      ②令和7年9月30日(火曜日) 18:00 ~ 20:30
      ③令和7年10月12日(日曜日) 9:00 ~ 12:00 及び 13:00 ~ 16:00
      ④令和7年10月13日(月曜日) 9:00 ~ 12:00 及び 13:00 ~ 16:00
○会  場 ①②は岩見沢市栗沢球場(ナイター練習)
      ③④は岩見沢市みずほ公園野球場
○申 込 等 E-mail:info@iwamizawa-senior.com
○球団HP https://iwamizawa-senior.com

フォトグラフ

スローイング練習を繰り返した捕手陣(岩見沢)
スローイング練習を繰り返した捕手陣(岩見沢)
実戦練習が繰り返された岩見沢リトルシニア
実戦練習が繰り返された岩見沢リトルシニア
シートノックにも力が入る岩見沢ナイン
シートノックにも力が入る岩見沢ナイン
岩見沢リトルシニア・3年生
岩見沢リトルシニア・3年生

協力:岩見沢リトルシニア

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