ファーストストライクを逃さず長打攻勢 「21アウト」を全員で使い切り、決勝進出へ
中学硬式野球の「第15回日本リトルシニア東日本選抜野球大会」に北海道代表として出場している大空リトルシニアが8月10日、モエレ沼公園野球場で行われた準々決勝で信越連盟代表・上田南リトルシニア(長野県)を10-4で破り、4強入りを決めた。二回、深澤昊(佐呂間ライオンズ出身/3年)の走者一掃となる3点タイムリー三塁打を口火に一挙4得点。三回以降も攻撃の手を緩めず、深澤、太田珀雅(北見美山イーグルス出身/3年)、佐藤蒼介(北見ビクトリー出身)の三塁打など長打を絡めて10得点を奪った。冨田大介監督が大会前から求めてきた「ファーストストライクから積極的に振る」姿勢が結実。守ってもミスを引きずらず、仲間がカバーする“大空らしさ”を貫いた。2試合22得点。勢いだけではない、確かな成長を携えて決勝進出を懸けた準決勝へ挑む。
イニングスコア
◆準々決勝(8月10日、モエレ沼公園野球場)
大空リトルシニア(北海道)10-4上田南リトルシニア(信越)
大空
0410311=10
0010201=4
上田南
(大)土門、小西、岡本-武田
(上)櫻井、掛川-武田
▽三塁打:深澤、太田、佐藤(大)、井上(上)
▽二塁打:山中、中村(大)、武田、相場(上)
二死から一気に4点 深澤が試合を動かす
初回は両チーム無得点。
均衡を破ったのは二回だった。
大空は二死から満塁の好機をつくると、打席には1番・深澤昊。ここで深澤が右中間を破った。
走者3人が次々とホームへ。走者一掃の3点タイムリー三塁打で、一気に試合の流れを大空へ引き寄せた。
なおも二死三塁。続く2番・山中巽(網走ブルージュニアーズ出身/3年)も右中間へ二塁打を放ち、深澤が生還。二死から長打を連ね、一挙4点を奪った。
大空がこの試合で見せたのは、単なる好調さではない。
冨田監督が選手たちに求め続けてきた「迷わず振る」という姿勢だった。
「以前にもコメントしましたが、結果を求めるあまり、打席で慎重になりすぎる傾向がありました。東日本選抜野球大会では、ファーストストライクから積極的に振っていくよう意識づけしました。今日のヒットの大半がファーストストライクでした」
結果を欲しがるほど、打者はボールを見たくなる。
だが、全国クラスの投手を相手に好球を何球も待つ余裕はない。来た球を仕留める。
その意識が、この日の大空打線に一本の芯を通していた。
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小技でもぎ取った5点目 伊成のスクイズが決勝点
大空の強さは、長打だけではなかった。
4-0で迎えた三回。
4番・岡本大輝(遠軽東イースターズ出身/3年)がライト前安打で出塁すると、5番・榎本蒼太(摩周ジャガーズ出身/3年)がバントヒットで続く。
犠打で一死二、三塁。
ここで7番・伊成輝将(網走ブルージュニアーズ出身/3年)がきっちりとスクイズを決め、5点目を奪った。
上田南がその裏に1点を返したため、結果的にこの1点が決勝点となった。
振れるところでは思い切って振る。
送るべきところでは送り、1点を取りにいく。
冨田監督が準決勝を前に語った「21アウトを上手に使って1点でも多く取る攻撃」を、この場面ですでに体現していた。

追い上げを許さない 五回3点で再び突き放す
5-1で迎えた五回、大空打線が再び動いた。
上田南に流れを渡さないためにも欲しかった追加点。ここで大空は長打を絡め、一挙3点を奪って8-1とリードを広げた。
上田南もその裏に2点を返し、食い下がる。
それでも大空は止まらない。
六回に1点、さらに七回にも1点。中盤以降も得点を積み重ね、最後まで相手に流れを明け渡さなかった。
この日は深澤に加え、太田珀雅、佐藤蒼介も三塁打。山中、中村にも二塁打が飛び出した。
初戦の仙台東部戦で12得点。この日は10得点。
2試合で計22得点。
しかし、その数字以上に大きいのは、打者たちの中から「迷い」が消えつつあることだった。

ミスの「次」を変えた大空 仲間が仲間を救う
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攻撃だけではない。
守りにも、大空の成長が表れていた。
先発・土門琉人(佐呂間ライオンズ出身/3年)から小西明由叶(網走JBCユナイト出身/2年)、岡本へとつなぎ、上田南打線を4得点に抑えた。
もちろん、試合の中でミスは起こる。
冨田監督もそこを否定しない。
「順位決定戦を戦い抜けて、精神的にもタフになったと思います。中学生ですから、やっぱりミスは出ます。ただ、ミスを続けないことを意識させています」
エラーの直後に安打を許す。四死球を重ねる。
一つのミスから傷口が広がり、試合そのものを失うことは少なくない。
だからこそ大空が大切にしているのは、ミスをゼロにすることではなく、ミスの「次」をどうするか。
「今大会はミスがあっても、次を落ち着いて、周りがカバーして戦っている感じです」
誰かがミスをすれば、次の選手がアウトを取る。
投手が苦しめば、野手が助ける。
一人で取り返そうとしない。
順位決定戦など厳しい戦いを重ねてきた経験が、チームにそんな粘りを植え付けていた。
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「21アウト」をどう使うか 大空の野球は変わらない
初戦12-3。
準々決勝10-4。
2試合22得点で、いよいよ4強まで勝ち上がった。
打線は乗っている。
だが、冨田監督に「準決勝だから」という特別な野球をする考えはない。
「戦い方は常に同じです。21アウトを上手に使って1点でも多く取る攻撃、21アウトを少しでも早く取って失点を抑える守り。ゲームセットまで、それぞれの役割を全力で果たすだけです!」
野球は七回制なら、攻撃にも守備にも21個のアウトがある。
その21アウトをどう使い、どう奪うか。
豪快な三塁打も、送りバントも、スクイズも同じ「1点」へ向かう手段。守備でも、一つのミスに立ち止まらず、次のアウトを全員で取りにいく。
「ゲームセットまで、それぞれの役割を全力で果たす」
その積み重ねこそが、大空の勝ち筋だ。
迷いなく振り抜く打線。
ミスの後を支え合う守備。
そして21アウトをチーム全員で使い切る野球。
あと一つ勝てば決勝。
大空ナインは自分たちのスタイルを変えることなく、東日本の頂点へ、また一歩踏み出す。

協力:大空リトルシニア
