逆転劇と躍動の投手陣、“あと一本”の重みを胸に刻む3回戦
岡山県で開催された「第22回西日本選抜学童軟式野球倉敷大会」。
北海道代表・北海道チャンピオンシップ選抜は、鮮烈な初戦快勝から勢いそのままに3回戦へ進出した。2回戦では岡山桃太郎クラブを相手に攻撃力が爆発し、8–1で快勝。続く福井選抜フェニックスとの3回戦は、0–0のまま終盤まで続く極限の投手戦となり、わずかな綻びが勝敗を分けた。
今大会でエースとして挑んだ中川一優(東川大雪少年野球クラブ/6年)、チームを救う好投を見せた鎌田光(紋別オホーツクイーグルス/6年)、攻守で存在感を示した選手たち──木下雅博監督は選手の成長を語る一方で、「勝負の厳しさ」を強く胸に刻んでほしいと語った。
2回戦・岡山桃太郎クラブ(岡山県)
逆転の5得点、攻守噛み合い一気に流れを掴む
0–1と1点を追う二回、5番・中川一優(東川大雪少年野球クラブ/6年)がライト前で出塁。
続く7番・佐藤光臥(湧別マリナーズ/6年)がセンター前、8番・遠藤勝四郎(室蘭祝津少年野球部/6年)の内野ゴロが敵失を誘い三塁走者の中川が生還し1–1の同点に。
さらに9番・橋本 昊(星置レッドソックス/6年)がサード前へ見事なバントヒットを決め、一死満塁。
ここで1番・井出 卓(東川大雪少年野球クラブ/6年)がレフトオーバーの2点タイムリーを放ち逆転。
2番・藤野 廉(東16丁目フリッパーズ/6年)の2ランスクイズも決まり、この回一挙5得点と試合を完全に掌握した。
三回には二死三塁で7番・佐藤光臥が勝負強くライト前へタイムリー。
四回にも加点し、五回には6番・菅原蒼音(羽幌フェニックス/6年)に代わり代打・生田一翔(旭稜野野球少年団/6年)がライトオーバーの三塁打。続く8番・遠藤勝四郎がセンター前タイムリーを放ちダメ押しとなった。
投げては、先発の朝倉璃音(SKRスピリッツ/6年)が粘り、二回途中から登板した鎌田光(紋別オホーツクイーグルス/6年)が1点に抑える快投。
攻守にわたって試合巧者ぶりを発揮し、8–1で快勝した。
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木下監督(2回戦について)
「初戦で緊張する中、先制されても練習通りに逆転してくれた。
朝倉の調子が上がらないところで、無死一・二塁から鎌田がしっかり抑えたのは大きかった。攻撃にも良い流れが生まれ、自信につながる試合でした。」
◆2回戦(20日、真備総合公園軟式野球場)
北海道チャンピオンシップ選抜8-1岡山桃太郎クラブ
北海道チャンピオンシップ選抜
05111=8
10000=1
岡山桃太郎クラブ
(五回コールドゲーム)
(北)朝倉、鎌田ー遠藤
(岡)吉行、渡邊、高橋ー土田
▽三塁打:生田(北)
▽二塁打:井出(北)
3回戦・福井選抜フェニックス(福井県)
四回までノーヒットの好投、中川が見せた“本番の強さ”
強豪・福井選抜フェニックスとの激戦は、まさに一瞬たりとも気の抜けない投手戦だった。
二回には5番・中川一優(東川大雪/6年)がレフトオーバーの二塁打。
四回には2番・藤野 廉(東16丁目フリッパーズ/6年)がセンター前ヒットと二盗で無死二塁。
五回にも7番・菅原蒼音(羽幌フェニックス/6年)がレフト前へ出塁。
しかし、いずれもあと一本が出ず無得点──。
一方の守りでは、中川が圧巻の投球を披露。
四球こそ出したものの、四回まで福井打線をノーヒットに抑える堂々たる内容。
しかし五回、一死からライトオーバー三塁打を浴びると、続く内野安打で痛恨の1失点。
最終回は1番からの好打順で望みをつないだが、相手好投手の前に反撃はならず、0–1で涙をのんだ。
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木下監督(3回戦について)
「悔しくて、あと一本が出なかった。
“一球で仕留めるためにどう練習するか”を選手たちに理解してほしい。
この敗戦は必ず次の成長につながるはずです。」
◆3回戦(20日、真備総合公園軟式野球場)
北海道チャンピオンシップ選抜(北海道)0-1福井選抜フェニックス(福井県)
北海道選抜
000000=0
00001x=1
福井選抜
(北)中川ー遠藤
(福)形谷、黒﨑ー吉村
▽三塁打:南(福)
▽二塁打:中川(北)
木下監督が語る“大会で得た大きな成長”
今回の倉敷大会を終え、北海道チャンピオンシップ選抜の木下雅博監督は、一人ひとりの選手が見せた成長に強い手応えを感じていた。特に、役割を与えられた選手たちが、その期待に応えようと懸命に戦った姿が印象深かったという。
中川一優(東川大雪少年野球クラブ/6年)
監督は中川の投球を「今大会一番」と高く評価した。
「本番に強い。四球は出したが後続をしっかり抑え、堂々としたピッチングだった。福井相手に、実力を存分に発揮してくれた。」
四回までノーヒットに封じ込めた投球は、まさにエースの風格だった。
鎌田 光(紋別オホーツクイーグルス/6年)
ロングリリーフで流れを変えた二回戦の好投は、大会のターニングポイントだった。
「回を重ねるごとに自信が湧いてくる投球に変わった。チームの危機を救い、実戦で大きく成長した。」
これまでショートイニングの登板が多かっただけに、“覚醒”とも言える内容となった。
遠藤勝四郎(室蘭祝津少年野球部/6年)
2試合をフルマスクで戦い抜いた捕手の遠藤。学びの大きい大会になった。
「捕ってから送球までのスピードが、選抜に入ってから急速に良くなった。身体も大きく、安定感のある捕手です。投手陣をよく引っ張ってくれた。」
扇の要としての存在感が光った。
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藤野 廉(東16丁目フリッパーズ/6年)・橋本 昊(星置レッドソックス/6年)
大会を通して内野の要となった二人。大柄ではないが、その一球への執念がチームを支えた。
「身体は小さいが、攻守の要として本当によく頑張ってくれた。内野の中心として大会を支えてくれた。」
攻守の安定感は、選抜の戦いに欠かせなかった。
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山本 朝日(厚岸レッドブリッジ/6年)
スタメン起用された3回戦で、山本は期待に見事応えた。
「広い守備範囲で流れを止めず、攻守で貢献してくれた。スタメンで使って正解だった。」
緊張が走る場面での落ち着いた守備は、監督を大いに助けるものとなった。

その他の役割選手たちへ
選抜チームだからこそ味わえる“立場と役割”。そこで得た経験は非常に大きい。
「代打に懸けた者、代走に懸けた者、守備固めに懸けた者──自チームでは経験しない重圧のある役割を経験できた。勝負の厳しさ、裏方の大切さを学んだはずです。」
一人ひとりが与えられた場所で役割を全うし、チームを支えた。
最後に
大会を締めくくるにあたり、木下監督は裏方の支えにも感謝を口にした。
「僕が好きにやる中で、コーチの土清水さんや他スタッフの方々、保護者の方々が下支えしてくれた。本当に助かりました。」
監督・コーチ・選手、全員で掴み取った“選抜チームとしての成長”だった。
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協力:北海道チャンピオンシップ選抜
