「勝ち切る力」を求めて――空知滝川リトルシニア、課題と覚悟の現在地

「勝ち切る力」を求めて――空知滝川リトルシニア、課題と覚悟の現在地

3勝3敗――「よくやった」では終われない現実

空知滝川リトルシニアは、秋季全道大会・リーグ戦でAブロックに所属し3勝3敗。決勝トーナメント進出まで、あと1勝に届かなかった。
庭野恭輔監督はこの結果を、決して満足できるものとは捉えていない。

「周りからは“よくやった”と言ってもらえますが、自分としては喜べる結果ではありません。悔しさのほうが大きい。振り返ると、もう少し“試合の流れを変えられる選手”が必要だと感じました。特に投手を中心に、味方のミスをカバーできる存在が、まだ少ないのが現状です」

投手(空知滝川リトルシニア)
投手(空知滝川リトルシニア)
捕手(空知滝川リトルシニア)
捕手(空知滝川リトルシニア)

勝敗を分けた「流れ」の正体・庭野監督インタビュー

リーグ戦では、小樽リトルシニア戦、石狩中央リトルシニア戦で勝利を挙げた一方、札幌栄リトルシニア戦、岩見沢リトルシニア戦では苦しい展開を強いられた。

「簡単に勝てる試合は一つもありませんでした。どれだけ早く“自分たちの流れ”に持っていけるか、それがすべてです。
札幌栄さんとの試合は、モエレ沼公園グラウンドという初めての環境もあり、入り方が甘くなってしまいました。その流れを翌週の岩見沢戦まで引きずってしまった。逆に、小樽戦や石狩中央戦では、流れを自分たちのほうに引き寄せることができた。それが勝因でした」

内野手(空知滝川リトルシニア)
内野手(空知滝川リトルシニア)
外野手(空知滝川リトルシニア)
外野手(空知滝川リトルシニア)

最優先課題は「体の強さ」

監督が現在、最も重要視しているのがフィジカル面の強化だ。

「今は“体の強さ”をつけることが最優先です。他チームと比べても、体力面の差を感じる場面が多かった。
うちは昔から冷静さや堅実さを大切にしてきたチームですが、それを実践するためにも、土台となる体の強さが必要だと感じています」

ランニングする空知滝川リトルシニア
ランニングする空知滝川リトルシニア
スローボール打ちを行う空知滝川ナイン
スローボール打ちを行う空知滝川ナイン
昨秋導入したスローボールマシン=(空知滝川)
昨秋導入したスローボールマシン=(空知滝川)

残された時間をどう使うか

リーグ戦敗退後の大空リトルシニア戦のあと、庭野監督は選手たちに強く語りかけたという。

「実質、練習できる回数は100回ほどしかありません。『今日はいいや』という気持ちでいては、負けたチームには絶対に追いつけない。
北海道連盟には32もの強豪チームがあります。その中で勝ち抜くには、1回1回の練習を無駄にしてはいけない。中学野球のカウントダウンは、もう始まっています」

一方で、「ラストイヤー」という意識については、まだ手探りの選手も多いのが実情だという。

羽打ちを行う空知滝川ナイン
羽打ちを行う空知滝川ナイン
羽打ちを行う空知滝川ナイン
羽打ちを行う空知滝川ナイン

新たな力を求めて

中学途中からの新入団選手について尋ねると、現時点ではまだいないとのこと。ただし、声掛け自体は続けている。

「中学3年の最後の1年は、受験もあります。だからこそ、タイミングは慎重に見極めています」

環境整備を進めながら、選手一人ひとりの意識と体を鍛え直す――。
あと一歩で届かなかった舞台を見据え、空知滝川リトルシニアは、静かに、しかし確かな覚悟をもって次のシーズンへと歩みを進めている。

ティバッティングに励む空知滝川ナイン
ティバッティングに励む空知滝川ナイン
マシンによるバント練習の様子(空知滝川リトルシニア)
マシンによるバント練習の様子(空知滝川リトルシニア)

逆境を越えた“秋”を胸に空知滝川――新主将・錦織唯人が見据える全国への道

逆転サヨナラに刻まれた成長と、3勝3敗の現実

キャプテンとして迎えた初めての秋。
空知滝川リトルシニアの新主将・錦織唯人が最も印象に残った試合として挙げたのは、小樽リトルシニア戦だ。先に5点を失う苦しい展開でも、誰一人下を向かず声を切らさずに戦い続け、終盤に逆転してサヨナラ勝ち。「最後まで気持ちを切らさず戦い抜けたことが一番印象に残っています」。捕手として、投手陣が自ら修正しながら粘る姿に、確かな成長を感じ取った。

一方で、結果は3勝3敗。決勝トーナメント進出には届かなかった。「悔しい気持ちの方が強いです」。とりわけ大空リトルシニア戦は、途中まで互角以上に戦いながら勝ち切れなかった一戦として胸に残る。勝負どころで一歩足りなかった現実が、主将としての責任感をより強くした。

敗戦から学んだ“地に足をつける”という教訓

秋のリーグ戦では、環境の影響も大きな学びとなった。
モエレ沼球場という素晴らしい舞台で戦えた一方で、「逆に浮かれてしまった部分があった」と錦織は振り返る。恵まれた環境に気持ちが左右され、平常心を保てなかったこと――それもまた敗戦から得た教訓だ。

この秋を通して、チームのメンタルは確実に強くなってきているという。ただし、真に強いチームになるためには、どんな舞台でも“地に足をつける”姿勢が欠かせない。その認識を共有できたことは、冬、そして来季へ向けた大きな財産となった。

スローボール打ちを行う錦織主将(空知滝川リトルシニア)
スローボール打ちを行う錦織主将(空知滝川リトルシニア)

冬を越え、全国へ――主将が描く来季の青写真

これから始まる冬期練習。
錦織がキャプテンとして最も大切にしたいのは、「やらされる練習」ではなく、「自分たちから動く雰囲気」づくりだ。「きついトレーニングが続きますが、主体的に取り組めるチームにしたい」。声を出し、下を向かず、姿勢で引っ張る――それが自らに課した役割である。

来シーズンの目標は明確だ。
個人としては、声と姿勢でチームを支えること。チームとしては「全国出場」。2年前、1年生として全国の舞台を見ているからこそ、その思いは強い。

チームの鍵を握る存在として名前を挙げたのが、ケガで離脱中の松本唯楓。復帰すれば攻守で勢いをもたらす存在だという。投手陣はエース・井上頼を中心に、菊島らが控え、錦織自身も状況に応じてマウンドに立つ。役割が明確になりつつある新チームは、悔しさを糧に、冬を越えて春へと歩みを進める。

逆境の秋は終わった。
その経験を力に変えたとき、主将・錦織唯人が思い描く「全国への道」が、現実のものとして見えてくるはずだ。

錦織主将(空知滝川リトルシニア)
錦織主将(空知滝川リトルシニア)

錦織 唯人(にしこり えいと)
空知滝川リトルシニア/2年
右投げ、右打ち
174センチ、68キロ
野球を始めたのは兄の影響で、小学1年生のときに滝少ホワイトベアーズで競技をスタートした。
家族構成は両親と兄の4人家族。
ポジションは捕手、投手、中堅手を兼任し、打順は1番または4番を任されている。

ケガと向き合いながら――全国を見据える静かな覚悟空知滝川リトルシニア・松本唯楓(2年)

無理を承知で立ち続けた“2年生の夏”

 肩の痛みを自覚したのは、夏の全国切符が懸かった日本選手権北海道予選だった。
「“今シーズン最後までやり切ろう”と思って、無理を承知で投げ続けました」。北ガス杯、ZETT杯と大会は続き、痛みを抱えたまま出場を重ねたが、やがて「本当に投げられなくなってしまった」と振り返る。秋の新人戦でも代走などでチームを支えたものの、本人にとっては歯がゆさの残る時間となった。

再発した肩のトラブルと向き合う現在

 診断は、肩甲骨が異常に出っ張る状態。肩の柔らかさに加え、テイクバックで無理に腕を上げすぎたことが一因とされた。
この症状は小学6年生のときにも経験し、その際は約1年をかけて回復している。「春に間に合うかは、まだ分かりません」。現在はリハビリに専念し、慎重に回復を待つ日々が続く。

守備位置が変わっても、揺るがぬ“全国への思い

投げられなくなってからは外野(センター)を中心に、状況に応じてファーストも守る。「今はファーストをやっています」。完治後にやりたいポジションを問われると、答えは迷いなく「ピッチャー」だった。
打撃面では片手一本のスイングを取り入れ、センターオーバーを放つなど存在感を示す。自身の武器は、広い守備範囲と高い盗塁成功率。「足には自信があります」。肩が万全になれば打順1番の可能性も示唆されている。
何よりの願いはただ一つ。「野球が好きなので、チーム全体で全国に行きたい」。空知滝川リトルシニアの未来を背負う存在として、松本唯楓は静かに、しかし確実に次のステージへと歩みを進めている。

松本唯楓(空知滝川リトルシニア)
松本唯楓(空知滝川リトルシニア)

松本 唯楓(まつもと いぶき)
空知滝川リトルシニア/2年
右投げ、右打ち
170センチ、56キロ
野球を始めたのは小学1年生のとき。父の影響で滝少ホワイトベアーズに入団した。
家族構成は、両親と姉、弟の5人家族。
昨年の日本選手権北海道予選の頃から右肩に痛みを感じながらも試合に出場し続け、その後も北ガス杯、ZETT旗杯と無理を重ねて出場を続けたことで症状は悪化。フルスタメンでの出場が難しくなり、代走や守備のみでチームを支える日々が続いた。
現在は今春の活躍を目標に、焦らず療養とリハビリに専念している。

ランニング前の空知滝川ナイン
ランニング前の空知滝川ナイン

協力:空知滝川リトルシニア

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