札幌羊ヶ丘リトルシニア、冬の鍛錬が導く“次なる一歩”
中学硬式野球・札幌羊ヶ丘リトルシニアが、昨年12月11日に札幌市南区滝野の室内練習場で平日練習を行い、チーム訪問を実施した。
昨秋の秋季全道大会・リーグ戦では6戦全勝で1位通過。決勝トーナメントでは室蘭リトルシニアを下すも、2回戦で優勝した札幌北リトルシニアに逆転負けを喫し、悔しさを残した。
藤橋和男監督が語るチームの現在地、主将・瓜生逞人が背中で示す覚悟、そしてエース・高柳翔が敗戦から見出した課題。
それぞれの言葉から浮かび上がるのは、確かな成長の手応えと、次の舞台へ向かう強い決意だ。
悔しさを力に変え、羊ヶ丘リトルシニアは冬の鍛錬を通じて、再び頂点を目指す。
手応えと悔しさ、その両方を次へ――札幌羊ヶ丘リトルシニア・藤橋和男監督が語るリーグ戦と“リベンジ”の現在地
投手陣の安定と「考える野球」が支えたリーグ戦
リーグ戦を振り返り、藤橋和男監督は「一定の手応えはあった」と語る。一方で、「上には上がいるという認識は常に持っていた」とも付け加えた。その中で、選手たちは最後まで粘り強く戦い抜いたという。
特に大きな収穫となったのが投手陣だ。今大会では5人の投手を起用し、そのうち3人が先発を務めた。ローテーションを組む形で試合を進められたことは、チームにとって大きな強みとなった。新チームはストライク率が高く、安定感が際立っていた。
守備面では、予選リーグで大きなミスはほとんど見られず、落ち着いた試合運びができた。攻撃面でも、「点の取り方が良かった」と藤橋監督は振り返る。
札幌羊ヶ丘リトルシニアでは、1年生の頃から「この場面で何をすべきか」を繰り返し指導してきた。その積み重ねにより、指示がなくても状況に応じた打撃や最低限の仕事を理解し、実行できる選手が育っている。作戦がうまくいかなかった場面でも、次のプレーを考え行動しようとする姿勢が随所に見られた。


エースに託した責任と、厚みを増した投手層
リーグ戦では地に足のついた戦いを見せた一方で、強豪との対戦を通じて手応えと同時に課題も実感した。その一戦で先発を任されたのが、エース・高柳 翔(上野幌サンダース出身/2年)だった。
藤橋監督は「性格的にエースタイプではない」としながらも、これまでの練習試合で結果を残してきた点を評価。あえて責任ある立場を託すことで、さらなる成長を促したという。高柳は7回まで投げ切り、ピンチの場面でも表情を変えることなく、淡々と腕を振り続けた。
また、水本志雄(白石リトルファイターズ出身/2年)を含めた他の投手陣も安定した投球を披露。3人がそれぞれの役割を果たしたことで、チームとしての投手層の厚みを感じさせた。
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役割を明確にした打線と、チーム一丸のベンチワーク
打線は、上位で出塁し中軸で返す形を基本としながら、つなぎ役や下位打線からも得点を狙える構成を意識した。複数の形で得点できた点は、今後につながる成果と言える。
ベンチでは、出場機会が限られた選手も含め、全員が声を出しチームを支えた。怪我人が出る場面もあったが、控え選手が役割を果たし、チームとして戦い抜いた姿が印象に残った。
決勝トーナメントでは、リーグ戦ではほとんどなかったミスが重なり敗戦を喫した。「負けたら終わり」というプレッシャーが影響した部分もあったと藤橋監督は分析する。
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悔しさを糧に進むフィジカル改革と次への準備
敗戦について藤橋監督は、「終わったことは仕方がない」と前を向く。現在の合言葉は「リベンジ」。この悔しさを次への成長につなげる覚悟を、選手たちに伝えている。
フィジカル面では、近年トレーニング内容を大きく見直した。長距離走や過度なサーキットトレーニングを減らし、体幹や自重トレーニングを中心に据えた結果、体重を落とさずに体を大きくする土台が整ってきている。
今後は瞬発力向上にも重点を置く方針だ。投手陣には「インコースをしっかり投げ切ること」をテーマに掲げ、シーズンに向けた準備を進めている。
「やってみて違うと感じたら、また変えればいい」。
藤橋監督の柔軟な育成哲学が、次の成長へとチームを導いていく。


背中で示す主将の覚悟――瓜生逞人が語る「6連勝の先」に見据えるチームの未来
自分が先頭に立つ――声と行動でつくるチームの空気
瓜生逞人主将(北光ジュニアファイターズ出身/6年)がけん引する札幌羊ヶ丘リトルシニアは6連勝で決勝トーナメント進出を果たした。試合で最も意識していたのは、技術以上に「雰囲気づくり」だったという。
「まず、自分が一番気持ちを上げることを心がけていました。誰かが下を向かないように、自分から声を出して周りに声をかける。試合ではそこを一番大事にしていました」
新チーム始動直後には、練習開始前に全員で集まり、ミーティングを実施。本来の集合時間より1時間早く集まり、これからの取り組みについて話し合った。
「3年生がやってきたことをそのまま続けるだけじゃなく、足りない部分を変えようと思いました。練習時間を削るのではなく、朝早く集まって、今後どう取り組んでいくかを話しました」
そこでは目標の共有とともに、声掛けや準備、練習態度など、チームとしての課題を洗い出したという。

敗戦から見えた課題と、捕手としての責任
決勝トーナメントでは、捕手として試合全体を見渡す立場にあった。立ち上がりで失点する苦しい展開の中、室蘭リトルシニア戦では逆転勝利を収めたが、続く札幌北リトルシニア戦では悔しい惜敗となった。
「相手は最後まで攻める気持ちを持ち続けていました。でも、自分たちは点差を守ろうという気持ちに入ってしまったと思います」
ミスや油断、そしてチャンスで1点を取り切れなかった攻撃。勝敗を分けたのは、最後まで攻め切る姿勢だったと振り返る。
「捕手として、チームの流れや空気をもっと引き締められたんじゃないかという思いもあります。本当に悔しかったです」
その敗戦は、主将としての責任を改めて自覚する経験となった。
「リベンジ」を胸に――最上級生として迎える次の一年
悔しさを糧に、瓜生が見据える最大の目標は日本選手権でのリベンジだ。次は最上級生として、チーム全体をまとめる立場になる。
「冬はきつい練習やトレーニングが続きます。その中で、まず自分がしっかりやる。背中で引っ張って、みんながついてこられるようなキャプテンになりたいです」
チームとしては3年生が優勝した春季全道大会で連続優勝、そして日本選手権優勝。その先にある全国の舞台でも、一つでも多く勝てるチームを目指す。
「個人としては、みんなに頼られるキャプテンと攻撃では4番として。捕手としてチームの中心に立つ立場なので、周りをよく見て、隙のないチームを作っていきたいです」
母の勧めで野球を始め、楽しさに引き込まれた少年は、いま仲間を背中で導く主将となった。
その覚悟は、これから始まる新たな一年の土台となっていく。
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瓜生 逞人(うりゅう ていと)
札幌羊ヶ丘リトルシニア/2年
右投げ、右打ち
168センチ、78キロ
野球を始めたのは小学1年生の時に母の薦めで北光ジュニアファイターズで競技をスタートした。
家族は両親と姉の4人。
北海道選抜で得た刺激を力に――渡邉咲也が描く“全国制覇”への現在地
渡邉咲也(札幌羊ヶ丘リトルシニア・2年)は、走攻守すべてにおいてバランスの取れたプレーが持ち味の内野手だ。攻撃面では、体勢を崩されながらも粘り強く打ち返す対応力を備え、守備では遊撃手として安定感のあるプレーでチームを支えてきた。
その実力が評価され、2025年リトルシニア北海道選抜にも選出。選抜チームには以前から面識のある選手も多く、「会うのが楽しみだった」と振り返る。
「それぞれがチームの代表として選ばれているだけあって、守備のレベルが本当に高かったです。バッティングもスイングスピードが速く、驚くことばかりでした」
台湾遠征では、とにかく全力プレーを意識して臨んだ。北海道代表としての自覚を胸に、ひとつひとつのプレーに集中した経験は、渡邉にとって大きな財産となった。
冬を迎え、チームは厳しい冬季練習期間へと入っていく。現在のチーム構成は2年生のみで、人数は決して多くはない。それでも、雰囲気の良さは他チームに引けを取らないという。
「人数は少ないですが、声の部分では全然負けていません。お互いに向上を目指して言い合える関係で、切磋琢磨できる良い雰囲気だと思います」
春の開幕に向け、渡邉が掲げる目標は明確だ。
「全国に行くということ、そして日本選手権で優勝することを、チームとしても個人としても大きな目標にしています」
北海道選抜で得た刺激と自信を胸に、渡邉朔也はさらなる成長を誓う。春、グラウンドでの躍動が今から楽しみだ。
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渡邉 咲也(わたなべ さくや)
札幌羊ヶ丘リトルシニア/2年
右投げ、左打ち
175センチ、62キロ
高校野球観戦をきっかけに野球に興味を持ち、小学1年生の冬に友人の誘いで中央区の「ニュースターズ」で競技を開始。
家族は両親の3人家族。
2025年リトルシニア北海道選抜メンバー入りを果たした。
忘れられない敗戦を力に――高柳翔が見据える“試合をつくる投手”への進化
全勝のリーグ戦で得た手応えと自信
リーグ戦ではチームが全勝で突破。エースとしてその中心にいた高柳も、大きな手応えを感じていた。
「札幌真駒内の試合ですね。七回3~4安打に抑え完封で勝てたこと。当時はストレートとカーブの2球種で投げた。スピードも出ていて、抑え切れたことが自信になりました」
高柳投手のボールはストレートも少し動くボールの為、慣れない打者はミートが難しくゴロアウトを量産した。
決勝トーナメント進出を決め、迎えた室蘭戦は接戦となったが、粘り強く投げ抜いた。一方で、続く札幌北リトルシニア戦では、悔しい敗戦を経験する。
「正直、負けたあと気持ちの整理がつきませんでした。技術というより、気持ちの部分で負けてしまったと思っています」
リーグ戦を全勝で駆け抜けただけに、その一敗は強く心に残った。

課題は「打たれた後」――冬に磨く立て直しの力
高柳が今、最も強く意識している課題は「打たれた後の立て直し」だ。
「打たれてから切り替えができなかった。そこが一番の反省点です」
この冬は、その弱点を克服するための時間と位置づける。気持ちの切り替えを早くすることに加え、打たれにくくするための変化球習得にも取り組む予定だ。ブルペンでの反復練習を重ね、開幕までに投球の幅を広げていく。
「新しい変化球を磨いて、もっと安定して投げられるようになりたいです」
目標は明確だ。
チームとしては、日本選手権優勝。
そして個人としては、「試合をつくれるピッチャー」になること。
「任せてもらった試合は、しっかり試合をつくれる投手になりたい」
忘れられない敗戦は、前に進むための原動力となった。
高柳翔はこの冬、自らを鍛え直し、次のシーズンへと歩みを進めていく。
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高柳 翔(たかやなぎ しょう)
札幌羊ヶ丘リトルシニア/2年
右投げ、右打ち
173センチ、64キロ
家族は祖母と両親と姉と弟の6人。
野球を始めたのは幼稚園の年長時に、お父さんからサッカーか野球のどちらを選べと言われ当時ポルテで野球を始めた。その後、小学校に上がり2年生の時に現在もチームメートの岩佐羽琉君(2年)の誘いで上野幌サンダースでさらに野球にのめりこんでいった。



協力:札幌羊ヶ丘リトルシニア
