創部9年目を迎えるピースベースボールクラブへ、1月11日、札幌市南区・北ノ沢で行われた冬季練習を取材した。
2年生主体のチームで昨秋の北海道秋季クラブ選手権大会を制し、2月に広島県で行われる全国大会への出場権を獲得。
チームを率いる髙山基樹監督に、昨年の熊本遠征を経験した3年生世代が、今のチームにどのような影響を与えているのかを3つの視点で聞いた。
熊本遠征で得た“全国基準”が、新チームの成長を支えている
「遡ると、昨年の夏に熊本県で行われた全国大会での経験が大きいですね。
3勝1敗という成績でしたが、全国でも通用したという感覚を持って帰ってくることができました」
髙山監督はそう振り返る。
当時は中学3年生が中心のチームだったが、その舞台には中学2年生の選手も数人出場していた。
「その時に出場した2年生の選手たちが、今のチームを引っ張っています。
熊本での経験が自信となり、プレーにも表れています。その影響は非常に大きいですね」
当時3年生とともに戦った2年生は、
左腕エースの籏本暖士(金山ファイターズ出身/2年)、
武笠恵士(南線ファイターズ出身/2年)、
主将の若林知弥(緑丘ホーマーズ出身/2年)、
鈴木頼人(稲穂ホークス出身)の4人。
新人チームへ切り替わった際も、主力ピッチャー、外野手、セカンドといったセンターラインを中心に、その経験が今のプレーへとつながっている。
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守備を軸に培われた、表には出にくい“見えない力”
ピースベースボールクラブの特徴として、髙山監督が挙げるのが守備への意識だ。
「うちは、ただ打つチームではありません。
どちらかと言えば、守備を重視しています。
“点を与えない守り方”が、少しずつ身についてきていると感じています」
試合の中では、苦しい場面も少なくなかった。
それでも、目立たない立場の選手たちが腐ることなく、2年生同士で認め合いながら取り組んできた姿があった。
「一生懸命やれば、必ず成長する。
そのことを選手たち自身が実感できているのは、大きな収穫です」
熊本遠征で見た全国レベルの戦いが、技術面だけでなく、姿勢や意識の部分にも確かな影響を与えている。

2月全国大会は“勝負”よりも“確認”の場
2月に控える広島県での全国大会について、髙山監督は冷静な視点を持っている。
「これまでは4月にピークを合わせてチームを作ってきましたが、今回は2月に大会があります。
例年より2か月早い仕上がりが求められます」
今回の全国大会は、「勝ちにいく大会」というよりも、経験を積ませる場として位置づけている。
「どこまでできるのかを、実戦の中で確認したい。
試合間の調整や対応力も含めて、見ていこうと考えています」
その一環として、1月5日には屋内施設「つどーむ」を借り、
練習試合・入団式・卒団試合・卒団式を1日で実施。
世代の節目を大切にしながら、現在も練習を重ねている。

【OBの活躍】受け継がれる歩み、広がる舞台
ピースベースボールクラブは、OBの活躍も目覚ましい。
1期生の村野唯斗さん(札幌新陽高出身・20)は、現在愛媛マンダリンパイレーツに所属し、NPB入りを目指してプレーを続けている。
3期生では人数の少ない学年ながら、由仁中学校と合同出場した際、
当時チームメートだった窪田洋祐(札幌日本大学高出身)が、
オリックス・バファローズからドラフト4位指名を受けた。
さらに4期生では、
大友慧人(札幌旭丘高)、
川村侑(札幌手稲高)、
田中琥太郎(札幌静修高)
の3人が、それぞれ高校で新チームの主将を務めている。
熊本遠征で得た経験は、過去の財産ではなく、今を動かす力となっている。
その積み重ねが、2年生主体のチームを全国の舞台へと導いた。
ピースベースボールクラブの歩みは、確実に次の世代へと受け継がれている。
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キャプテン若林くんが体現する“声の力”
チームの空気を動かし、全国の舞台へ導く覚悟
「おはようございます!」
誰よりも先に、誰にでも――。
キャプテン・若林くんの一日は、必ず“声”から始まる。
突出した個の武器があるわけではない。だからこそ、自分にできる最大限でチームに貢献する。その答えが「声を出し続けること」だった。
全国大会を目前に控えた今、若林くんが大切にしている役割と覚悟、そしてキャッチャーとしての視点に迫った。
「チームの雰囲気は、自分が変える」――キャプテンとしての覚悟と“声の役割”
「なるべく全員に、自分から声をかけるようにしています」
若林くんがキャプテンとして最も意識しているのは、日々のコミュニケーションだ。
練習前の「おはよう!」、何気ない一言の声かけを欠かさない。それは、単なる挨拶ではない。
「チームの雰囲気を良くしたいんです」
自分には、誰もが認めるような突出した武器があるわけではない。だからこそ、“声”で貢献する。
声が出ていないと感じた時は、自分が率先して出す。明るく、前向きな空気をつくる。その積み重ねこそが、キャプテンとしての役割だと若林くんは捉えている。
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全国大会を見据えて――「全力で勝ちにいく」ための現在地
北海道の2月。屋外での十分な練習が難しい時期だ。
それでも、全国大会が決まっている以上、立ち止まるわけにはいかない。
「期間が早まったことより、全国へ行けることの喜びの方が大きいです」
先輩たちが全国の舞台で3勝を挙げる姿を、間近で見てきた。
その経験があるからこそ、目標ははっきりしている。
「まずは1勝。そこから勝ち進んで、超えていけたら」
焦りではなく、前向きな覚悟。
“全力で勝ちにいく”という姿勢が、チーム全体の軸になっている。
キャッチャーとして、投手陣を支える視点と責任
若林くんのポジションはキャッチャー。
投手を支え、試合全体を見渡す役割を担う。
「ピッチャーへの声かけは、常に前向きに。リードでミスがあっても、切り替えて次に進むことを意識しています」
エースは、籏本暖士(金山ファイターズ出身/2年)。
左投げでストレート系を武器にする投手だ。
「ストライク率はそこまで高くはないと思いますが、決め球の威力があります。打たせて取るというより、しっかり勝負するタイプ。ピンチでも自分の投球を崩さない、メンタルの強さがあります」
右の柱として欠かせない存在が、武笠恵士(南線ファイターズ出身/2年)。
変化球を多く持ち、配球を考えながら組み立てる投手だ。
「籏本にはストレートを活かすリード、武笠には変化球を混ぜて駆け引きを重視します。タイプが違うので、それぞれの良さを活かすことを大事にしています」
1年生では、左腕の堀口 悠(緑ヶ丘パワーズ出身/1年)も控える。
学年や経験が異なる投手陣をまとめるうえで、若林くんが大切にしているのは“信頼”だ。
「ピッチャーが思い切って投げられるように、信頼して声をかける。それがキャッチャーとしての役割だと思っています」
打撃では、結果に関わらず全力プレーを貫く。
たとえミスフライでも一塁まで走り切る。
「全力プレーが相手へのプレッシャーになるので、そこはこだわっています」
印象に残っているのは、北海道秋季クラブ選手権大会・決勝の南空知BBC戦。
一死三塁、3ボールから積極的に打ちにいき、左中間を破るタイムリーを放った一打だ。
全国大会を経て、その先へ
2月の全国大会後には、全日本少年・札幌支部予選が控える。
「全国で得た改善点を、4月・5月には全部出し切れるようにしたい」
声で空気をつくり、守備で投手を支え、全力プレーで流れを呼ぶ。
若林くんの“声の力”は、これからもチームの中心で鳴り続ける。
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若林 知弥(わかばやし ともや)
ピースベースボールクラブ/2年
右投げ、右打ち
173センチ、64キロ
野球を始めたのは小学3年生の夏、周りの友達から誘われたことと父が野球好きだったことから緑丘ホーマーズで競技をスタートした。
家族は両親と弟の4人。
「伸びるストレートを、次の段階へ」
籏本暖士が全国大会で見据える成長の現在地
武器と課題──ストレートとコントロールの両立
籏本暖士の投球スタイルの軸にあるのは、伸びのあるストレートだ。
本人も「伸びのあるボールを投げられるところが強み」と語るように、その直球は自分の持ち味として明確に意識している。
一方で、昨年の秋の大会予選を通して、コントロール面に課題を感じた。
精度が安定せず、「もっと磨かなければいけない」と強く思ったという。
自分の武器を生かすために、何が足りないのかをはっきりと認識した大会だった。
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全国大会の位置づけと現在の仕上がり
一方で、昨年秋の大会予選では明確な課題も見えた。
それがコントロール面だ。
「精度が安定しなかった。もっと磨かなければいけないと思った」
結果だけでなく、自分の投球内容を振り返り、何が足りなかったのかを言葉にできる点に、成長への意識がにじむ。
伸びのあるストレートを“武器”として生かすためには、狙ったところに投げ切る力が不可欠。その現実を、秋の大会がはっきりと示していた。
球数削減と成長への取り組み──全国の舞台で掴みたいもの
試合で意識しているのは、球数を減らし、自分のペースでゲームを作ること。
無駄な球を減らし、試合をコントロールする投球を目指している。
そのために、シャドーピッチングや投球動画の確認を行い、気づいたことをノートに書き留めている。
感覚だけで終わらせず、振り返りを通して次につなげる日々だ。
ストレートに加え、チェンジアップも含め、全国大会を通してさらに成長した自分の姿を思い描いている。
この舞台で得る経験すべてが、次のステップへの糧となる。
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籏本 暖士(はたもと はる)
ピースベースボールクラブ/2年
左投げ、左打ち
174センチ、65キロ
持ち味は伸びのあるストレート。
「流れを生み、勝利につなぐ1番打者」
武笠恵士が全国の舞台で貫きたい“役割”と覚悟
1番・二塁手として担う役割──内野の要として
武笠恵士は、チームで主に1番打者を任されるリードオフマンであり、内野の要として二塁を守る存在だ。
試合の入りをつくり、守備では内野全体を支える。その役割を自然に担っている選手の一人である。
昨秋の北海道秋季クラブ選手権大会で最も印象に残っている試合として挙げたのが、準決勝・函館ベースボールクラブ戦だ。
「なかなか点が入らない場面でも、みんなでバッティングや声かけなどを通して良い流れを作り、そのまま勝ち切れた試合が一番気持ちよかったです」
試合の内容以上に、“流れ”を全員でつかみ取った感覚が、強く心に残っている。
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武器は堅守と小技──その土台を支える日常の積み重ね
武笠の武器は、堅実な守備と小技を利かせたプレーにある。
ただ、そのプレーを支えるためには、日常の地道な取り組みが欠かせない。
「股関節が堅いので、守備でも影響を受ける。だから柔軟やストレッチを心掛けています」
自分の体の特徴と向き合い、弱点を理解したうえでケアを続ける姿勢が、安定した守備力につながっている。
派手さはなくとも、積み重ねがプレーの質を高めている。
全国大会で見せたい姿──周りを見る力と100%の準備
全国大会に向けて、武笠は自分に求める姿を明確に描いている。
守備では「自分だけの世界に入るのではなく、周りを見て気を配れる選手でいたい」。
内野手として、状況を共有しながらプレーする意識を大切にしたいと語る。
バッティングでは、小技だけに頼らず、チャンスで打つことにも挑戦する。
「打てなければ、どうにかチームのために出塁する」
1番打者としての役割を、どんな形でも全うする覚悟がある。
「全力疾走や基礎的なことは、絶対に欠かさずやっていきたい」
さらに、サインプレーや連係プレーも含め、全国の舞台で100%を出し切るための準備を重ねてきた。
与えられた役割を理解し、徹底する。
武笠恵士は、全国大会でも変わらずチームの“流れ”をつくる存在であり続けようとしている。
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武笠 恵士(むかさ けいと)
ピースベースボールクラブ/2年
右投げ、左打ち
167センチ、51キロ
野球を始めたのは兄の影響で小学1年の冬から南線ファイターズで競技をスタートした。
チームでは1番のリードオフマンを担い、二塁手として出場した。
フォトグラフ

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協力:ピースベースボールクラブ
