「噛み合わなかった力」を、今度は一つに――札幌豊平ボーイズ・黒岩公二監督が語る現在地と、その先

「噛み合わなかった力」を、今度は一つに――札幌豊平ボーイズ・黒岩公二監督が語る現在地と、その先

個の力はある――だからこそ足りなかった「チーム力」

昨年のドリスポカップから秋の大会を振り返り、黒岩監督はこう語る。

「チームが完全にでき上がる前の大会でした。個々の力が結果として出た大会だったと思います」

一方で、全国一次予選やリーグ戦、トーナメントを戦う中で見えたのは、別の側面だった。

「力はあるのに、うまく噛み合わなかった。そこが正直なところですね」

原因は明確だった。

「一番はチーム力です。個々の能力は十分ある。でも、一人ひとりの役割理解や意思疎通が足りなかった。
“できる選手が多い”からこそ、逆に噛み合わなかった部分もありました」

与えなくてもいい点を与えてしまうミス。
勝ちたい、全国へ行きたいという強い気持ちが、かえって空回りする場面もあった。

「練習では本当に上手な選手たちなんです。でも、試合になるとうまく噛み合わない。
最後は“気持ち”の部分だったと思っています」

黒岩監督の話に耳を傾ける札幌豊平ボーイズナイン
黒岩監督の話に耳を傾ける札幌豊平ボーイズナイン

寒空の下で積み上げるもの――結果につながる“確認作業”

では、その課題にどう向き合っているのか。
黒岩監督の答えは、意外なほどシンプルだった。

「細かく“こうだ、ああだ”と言うよりも、気持ちを入れて練習することを大事にしています」

札幌豊平ボーイズは、冬でも外で練習を行う。

「寒い中でも、よくやってくれています。この積み重ねが自信になって、結果につながってくれればと思っています」

他チームと比べることはしない。
ただ、自分たちに必要な量と質を、誰よりも積み上げる。

「うちは一番練習しないと強くなれない。
一番バットを振って、一番走って、何でも“一番”を目標にしています」

その積み上げは、目先の勝利だけを見ていない。

「この3年間は、中学野球のためだけじゃない。
高校野球、その先につながる時間だと思っています」

冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン

誰かではなく、全員で――そして3年生が残したもの

今シーズンのカギを握る選手を問われても、黒岩監督は特定の名前を挙げない。

「誰、という考えはありません。その日の先発ピッチャーが一番のカギだと思っています」

投手は6人。
全員が先発できる力を持ち、打線も「何番でも打てる選手が揃っている」という。

「誰かに頼るチームではありません。全員で勝ち抜くチームです」

その土台を築いたのが、卒団した3年生たちだ。

「本当によく頑張ってくれました。結果だけを見れば物足りなさを感じる人もいるかもしれませんが、彼らはやり切ったと思います」

体も心も、これからさらに成長していく世代。
OBが今でも練習に顔を出す光景に、黒岩監督は確かな手応えを感じている。

「一人ひとりが目標を持ち、『何のためにやるのか』『何のために練習するのか』を理解してくれれば、
チームは一回りも二回りも大きくなる。その頑張りは、必ず夏に結果として表れます」

噛み合わなかった力を、今度は一つに。
札幌豊平ボーイズは、静かに、しかし確かに前へ進んでいる。

冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン

「声と行動で流れを変える」
札幌豊平ボーイズ主将・高橋 禅が背負う覚悟

昨秋のドリスポカップ・秋季北海道大会で準優勝。
あと一歩で頂点に届かなかった悔しさを胸に、札幌豊平ボーイズは新シーズンへ歩みを進めている。
チームの先頭に立つのが、主将・高橋 禅。
右投げ左打ち、165センチ・55キロの主将は、自らを「声と行動で引っ張るキャプテン」と位置づけ、強い責任感をもってチームと向き合っている。

高橋 禅主将(札幌豊平ボーイズ)
高橋 禅主将(札幌豊平ボーイズ)

「自分が迷えば、チームも迷う」――主将就任で芽生えた責任感

キャプテンに就任してから、高橋主将の意識は大きく変わった。

「キャプテンとしてチームを引っ張っていく存在でなければならない。
自分が迷えばチームも迷うし、自分がしっかりチームをけん引すれば、チームも乗っていくと思っています」

自分の言動一つで、チームの雰囲気や流れが変わる。
その自覚が、高橋主将の行動の軸になっている。

「自分の行動でチームは変わると思うので、責任を持ってやっています。
チームが沈んでいる時には、まずキャプテンが雰囲気を変える言葉をかけられるように努めています」

プレーで引っ張るタイプではないと自己分析する一方で、
“声”と“行動”こそが自分の役割だと強く認識している。

「プレーで引っ張れなくても、声はみんなに届くようにしたい。
声と行動でチームを引っ張っていきます」

準優勝の悔しさと手応え――「当たり前」の重み

昨年のドリスポカップ・秋季北海道大会。
札幌豊平ボーイズは決勝まで勝ち進み、準優勝という結果を残した。

高橋主将は、その結果をこう振り返る。

「優勝できなかった悔しさが一番大きいです」

一方で、確かな手応えも感じていた。

「初戦と2回戦では守備が堅くて、エラーがほとんどなく、締まった試合ができた。そこは良かったと思います」

しかし、全国予選を見据えたとき、はっきりとした課題も見えた。

「技術力はもちろんですが、取れるアウトが取れていなかった。
いつもなら当たり前にできているプレーができていなかったです」

シートノックまでは問題ない。
だが、試合に入ると普段通りのプレーができなくなる――。

「普段の練習の中で、いかに試合をイメージできているか。
そこが一番大事になってくると思います」

“当たり前のプレー”を、試合でも当たり前にやり切る。
準優勝という経験は、その重要性をチームに突きつけた。

守備からリズムをつくる――高橋 禅が描く理想のチーム像

高橋主将が目指すチーム像は明確だ。

「自分たちは、飛び抜けて長打力のあるチームではない」

だからこそ、勝ち筋ははっきりしている。

「守備でゼロに抑えて、その裏の攻撃で確実に点を取る。
まずはアウトを3つ取ってベンチに帰ってきて、いい雰囲気で攻撃につなげたいです」

初回から最終回まで、取れるアウトを確実に取る。
守備から試合のリズムを作ることが、チームの生命線だ。

また、高橋主将は試合だけでなく、日常の姿勢も重視している。

整備、挨拶、準備――。
そうした一つ一つの積み重ねが、試合につながると考えている。

「今年こそ頂点を取るために、
自分たちがやるべきこと、基本を忘れないことが一番大切だと思います」

声と行動で仲間を導き、当たり前を徹底する。
主将・高橋 禅の背中を追い、札幌豊平ボーイズは頂点を目指す。

写真中央の高橋禅主将と札幌豊平ナイン
写真中央の高橋禅主将と札幌豊平ナイン

高橋 禅(たかはし ぜん)
札幌豊平ボーイズ/2年
右投げ・左打ち
165cm/55kg
学童野球:緑ヶ丘パワーズ 出身
<野球を始めたきっかけ>
5歳のとき、祖母の家で見た北海道日本ハムファイターズの日本シリーズ。
テレビ越しに伝わってきた緊張感と熱気に心を打たれ、「野球ってこんなに人をワクワクさせるんだ」と強く感じたことが、野球に興味を持つ原点となった。
<家族構成>
家族は両親と姉・弟2人の6人。
家族に支えられながら、日々野球に打ち込んでいる。
<チーム入団の理由>
中学1年生の7月に札幌豊平ボーイズへ入団。
部活動の良さも理解したうえで、練習時間や指導体制、そして競争環境を考え、自分により合っていると感じたのがボーイズリーグだった。
広い地域から集まった同じ志を持つ仲間たちと、より厳しい環境の中で挑戦することで、新しい自分を発見し、成長したい――その思いが決断を後押しした。
<現在地>
実際にチームに身を置くと、想像以上の刺激と発見の連続。
高いレベルの中で日々自分と向き合いながら、充実した毎日を過ごしている。

開幕のカギを握る存在――
札幌豊平ボーイズ・上口翔平、勝負強さへの挑戦

高橋主将よりチームのカギを握る選手と名前が挙がった、上口捕手(札幌豊平ボーイズ)
高橋主将よりチームのカギを握る選手と名前が挙がった、上口捕手(札幌豊平ボーイズ)

野球との出会いと、打撃で担う役割

上口が野球を始めたのは小学2年生のときだった。

「友達に誘われて体験に行ったのがきっかけです。やってみたら楽しくて、野球を始めました」

競技をスタートしたのは円山リトルジャイアンツ。
両親と3つ下の弟の4人家族の中で育ち、野球に打ち込んできた。

現在、自身の持ち味についてははっきりとした自覚がある。

「守備というよりも、打撃が持ち味だと思っています。
特にチャンスの場面で一本打ったり、流れを引き寄せるバッティングを大事にしたいです」

主将が期待を寄せる理由も、まさにそこにある。

忘れられない一打と、見えてきた課題

強く印象に残っている試合がある。
昨年の「ゼット旗春季北海道大会」初戦。
札幌豊平ボーイズ対旭川大雪ボーイズB戦だ。

タイブレーク、3点差で負けている満塁の場面。
代打として打席に立った上口は、ライトオーバーのスリーベースヒットを放った。

3人が一気に生還し、サヨナラ勝ち。

「代打で出してもらって、ライトオーバーを打って逆転できた。あの試合は本当に印象に残っています」

一方で、ドリスポカップ、全国一次予選と経験を重ねる中で、課題も明確になった。

「大事な場面で攻撃ではあと一本、守備ではエラーが出てしまって、そこから流れが悪くなって負ける試合がありました」

勝負どころでの一打、そしてミスをしない守備。
その重要性を、上口は痛感している。

「大事な場面で一本打てたり、ミスをしなければ、試合の流れは変えられると思います。そこはもっと強化していかなければいけないです」

勝負強さを求めて――走り込みの冬、その先へ

新人戦を終え、上口は主軸を任される立場となった。

「チャンスで回ってくることが多かったんですが、凡退することが多かった。
チャンスで打って、チームに勢いを与えられる選手になりたい。あらゆる場面で勝負強くなりたいです」

その思いを胸に、冬の練習では走り込みを重ねてきた。

「ずっと走ってきました。走り続けたことで、体力だけじゃなくて、メンタルも強くなってきたと感じています」

チームにも変化が見えている。

「周りを見られる選手が増えてきて、声を出したり、盛り上げたりできるようになってきました。そこはチームとして成長したところだと思います」

迎える開幕。
上口が描く理想像は明確だ。

「個人としては、ここぞという場面で一本を打てるバッターになること。
チームとしては、守備でも打撃でも、どこのチームよりも一番うまいチームになりたいです」

主将の信頼を背に、勝負強さを武器に――。
上口翔平は、開幕からチームの流れを左右する存在として、その打席に立つ。

上口捕手(札幌豊平ボーイズ)
上口捕手(札幌豊平ボーイズ)

上口 翔平(かみぐち しょうへい)
札幌豊平ボーイズ/2年
右投げ、右打ち
175センチ、65キロ
野球を始めたのは小学2年生の時。友達に誘われて競技をスタートし、円山リトルジャイアンツで野球人生を歩み始めた。
家族構成は両親と弟の4人家族。

北海道からただ一人――札幌豊平ボーイズ・菊地健斗、台湾・巨人盃で存在感

ボーイズ東北選抜に選出された菊地健斗投手(札幌豊平ボーイズ)
ボーイズ東北選抜に選出された菊地健斗投手(札幌豊平ボーイズ)

鶴岡一人記念大会での投球が評価、福島でのセレクションを突破

 選出のきっかけとなったのは、鶴岡一人記念大会でのピッチングだった。北海道から唯一出場した大会での投球を、東北選抜を率いる仙台仙北ボーイズの田中監督が高く評価。
「左投手としてぜひ欲しい」
そう声をかけられた菊地投手だが、推薦だけでなく正式な手続きを踏み、11月上旬に福島県で行われたセレクションに参加。見事合格を勝ち取り、東北地方の精鋭21人の一員に名を連ねた。

日本2チーム、全48チームが集結した国際大会

大会には、日本から
ボーイズ東北選抜
・関西ヤング選抜

の2チームが出場。台湾、韓国などからも強豪が集まり、全48チームが参加した。
予選リーグは三つ巴戦で行われ、上位2チームが決勝トーナメントへ進出。ボーイズ東北選抜は勝ち上がり、台湾・韓国勢と対戦しながらベスト4進出を果たした。

ボーイズ東北選抜チーム
ボーイズ東北選抜チーム

3試合に登板、先発勝利でチームに貢献

菊地投手は大会中、以下の3試合に登板した。
・リーグ戦初戦で中継ぎ登板
・決勝トーナメント2回戦の関西ヤング選抜戦で先発し、勝利に貢献
・続く準決勝でも2番手として登板

国際大会という緊張感の中でも、役割を全うし、確かな爪痕を残した。

北海道から世界へ――札幌豊平ボーイズ・菊地健斗が台湾で得た確かな手応えと成長

「ワクワクした気持ちで臨めた」

――選抜に選ばれたときの気持ちは。
「鶴岡一人杯に一緒に出場した選手もいたので、あまり緊張はなかったです。レベルが高いと思ったので、ワクワクした気持ちの方が大きかったです」

収穫と課題「ストレートの大切さを再確認」

――台湾での登板を振り返って。
「変化球に頼りすぎた部分がありました。もっとストレート中心で組み立てていけば、変化球ももっと生きたと思います。
ただ、台湾の選手相手でもインコースのストレートで詰まらせたり、ストレートの後の変化球でタイミングを外せたりと、通用する部分も分かりました。けん制で刺せたのも収穫です。この経験は今後の財産になります」

札幌豊平ボーイズ3年間、そして後輩へ

――3年間を振り返って。
「最初は自分一人で野球をしている感覚でした。でもこの3年間で、一人では野球はできないと気づかされました。周りへの声掛けの大切さを学び、チーム力も高まったと思います。体力と忍耐力もつきましたし、本当に充実した3年間でした」

後輩たちへは、力強いメッセージを残した。
「冬練をさぼらず頑張ってください。頑張った分だけ、夏の選手権で結果が出ると思います」

北海道から世界へ。
菊地健斗投手が台湾で得た経験は、札幌豊平ボーイズで積み重ねてきた3年間の集大成であり、次のステージへ向かう確かな一歩となった。

後輩たちと菊地健斗(札幌豊平ボーイズ)
後輩たちと菊地健斗(札幌豊平ボーイズ)

菊地 健斗(きくち けんと)
札幌豊平ボーイズ/3年
左投げ、左打ち
170センチ、55キロ
家族構成:両親、兄の4人家族
野球歴:小学1年生で野球を始める。2つ上の兄・琉斗(現・小樽双葉高2年)影響で当時、西琴似パンダーズに入団。その後、札幌オールブラックスに移籍し、学童時代の6年時には北海道日本ハムファイターズJr.にも選出されるなど活躍した。

フォトグラフ

冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
冬季練習に励む札幌豊平ボーイズナイン
投手(札幌豊平ボーイズ)
投手(札幌豊平ボーイズ)
捕手(札幌豊平ボーイズ)
捕手(札幌豊平ボーイズ)
内野手(札幌豊平ボーイズ)
内野手(札幌豊平ボーイズ)
外野手(札幌豊平ボーイズ)
外野手(札幌豊平ボーイズ)
札幌豊平ボーイズ
札幌豊平ボーイズ

協力:札幌豊平ボーイズ

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