悲願の日本一奪還へ 北海道王者が“天空の聖地”で挑む
和歌山県高野町で7月24日に開幕する「第31回高野山旗全国学童軟式野球大会」に、北海道代表として札幌支部の東16丁目フリッパーズが3年連続11度目の出場を果たす。昨秋の全道秋の選抜ファイナルを制して代表権を獲得した北海道王者は、昨年、一昨年と2年連続で全国ベスト8入り。2018年には全国制覇を成し遂げ、2012年、2016年、2021年には準優勝と、高野山旗の歴史にその名を刻んできた。今年は再び頂点を見据え、“天空の聖地”高野山へ乗り込む。
初戦は石川・大分代表の勝者と激突
東16丁目フリッパーズは1回戦がシードとなり、大会2日目の7月26日に登場する。
対戦相手は、石川県代表・天神クラブと大分県代表・駅館スポーツ少年団の勝者。
全国制覇へ向けた初戦は、一戦必勝の大きな意味を持つ戦いとなる。

開幕前から全国最強クラスとの実戦
チームは7月23日に北海道を出発。
現地入り初日には、友好関係を築く前年度優勝・大阪府代表の長曾根ストロングスとの練習試合を予定している。
長曾根ストロングスは、“小学生の甲子園”とも称される全日本学童マクドナルド・トーナメントで史上最多8度の全国制覇を誇る、日本屈指の名門だ。
さらに開幕日の24日は試合がないため、大阪府の強豪・山田西リトルウルフとの実戦も予定。全国最高レベルの相手との真剣勝負を重ね、本番へ向けてチームを仕上げていく。

「考える野球」が東16丁目の強さ
今年の東16丁目フリッパーズは、攻撃で試合序盤から一気に流れをつかむ集中打が大きな武器となっている。
札幌支部予選、そして南北海道大会でも、その爆発力で勝ち上がってきた。
その背景には、笹谷武志監督が徹底している「理解してプレーする野球」がある。
練習では技術だけを教えるのではなく、
「なぜ、そのプレーをするのか」
「何を意図しているのか」
を一つひとつ選手へ問い掛けながら指導する。
ウォーミングアップを兼ねたキャッチボールでも、
「投手のストライクと外野手のストライクは違う」
「外野手は捕手を動かさない送球が求められる」
と、状況に応じた送球の質を細かく説く。
さらに四方向からの捕球・送球を繰り返し、多様な体勢で正確に投げる能力を養成。選手自身が課題を見つけ、改善する力も高めている。

「ギリギリセーフ」を「ギリギリアウト」へ
守備でチームが掲げるテーマは明快だ。
「ギリギリセーフを、ギリギリアウトにする。」
一歩目の反応、送球の速さ、中継プレー、判断力――。
紙一重の差を勝敗へつなげるため、日々の練習から細部へのこだわりを積み重ねている。
グラウンドでは監督と選手の対話が絶えず、一つのプレーごとに考えを共有しながら成長を続ける姿が印象的だ。

“天空の聖地”高野山が待つ全国舞台
大会が開催される高野山は、標高約850~900メートルに位置する全国でも珍しい高地球場。
気温は平地より4~6度ほど低く、朝夕は20度前後まで下がることも多いため、北海道勢にとっては比較的プレーしやすい環境となる。
選手たちは宿坊に宿泊し、全国各地の代表チームと交流を深めながら精神修養も行う。
野球だけではなく、人としても成長できることが高野山旗の大きな魅力だ。

「全国制覇」と胸を張って言える自分たちへ――高野山旗まで1ケ月を切る
南北海道大会を制し、高野山旗全国学童軟式野球大会への切符を手にしたチーム。しかし、指揮官・笹谷監督の視線は、すでにその先へ向いている。
「今の完成度で言えば、まだ7合目か8合目くらいでしょうか」
全国大会まで残された時間は約1か月弱。この期間を、単なる技術向上ではなく、「全国制覇」を本気で口にできるチームへと成長するための時間にしたいという。
「南北海道大会が終わって最後のミーティングで、選手たちに『これからどうする?』と聞いたんです。これまでは南北海道大会優勝を目標に頑張ってきた。でも、その次の目標は何なんだ、と」
選手たちから返ってきたのは、「全国制覇します」「優勝します」という言葉だった。しかし、その声には迷いや遠慮が感じられたという。
「まだ自信を持って言えていないんですよ。南北海道大会を勝つことに必死だったので、その先まで気持ちが届いていなかったんです」
だからこそ、この1か月弱で求めるものは明確だ。
「高野山へ出発する前、千歳空港で改めて選手一人ひとりに聞こうと思っています。その時には、『全国制覇します』『絶対に勝ちます』と、全員が自信を持って力強く言える状態で送り出したいですね」
結果は誰にも分からない。
全国の壁に跳ね返されるかもしれないし、大きな自信を手にして勝ち上がる可能性もある。
「結果はやってみないと分かりません。でも、まずは全国制覇を本気で目指す覚悟を持つこと。その気持ちを胸を張って口にできるチームになってほしい。そのための1か月弱にしたいと思っています」
また、高野山旗では多くの関係者や北海道のファンがチームの戦いを見守ることになる。
「応援してくださる方が本当に多いので、一つでも多く勝ち上がることが一番の恩返しになると思っています。勝てば、また翌日も楽しみに応援してもらえる。そういう戦いをしたいですね」
大会は6日間にわたる長丁場。さらに開催地・高野山は標高約800メートルに位置し、独特の環境も待ち受ける。
「空気が違います。打球の伸びも違いますし、フライもなかなか落ちてこない。ボールもよく跳ねます。外野手は普段以上に打球判断が重要になります。いつもの野球とは少し感覚が変わりますね」
技術だけではなく、自信、覚悟、そして全国の舞台で戦う心構え――。
高野山までの残りあと2週間。笹谷監督は、選手たちが「全国制覇」を堂々と口にできる集団へと成長することを何よりも期待している。

小野寺主将「高野山でも、マクドナルドでも日本一を」
マクドナルド・トーナメント南北海道大会を制し、全国大会出場を決めた東16丁目フリッパーズ。チームをけん引する小野寺佑亮主将は、全国切符をつかんだことで「チーム全員の大きな自信になった」と手応えを口にした。
チームはこの夏、高野山旗全国学童軟式野球大会と高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会(マクドナルド・トーナメント)の2つの全国大会へ挑む。
小野寺主将は、高野山旗について「まずは高野山で日本一を取り、その勢いでマクドナルド・トーナメントでも日本一を目指したい」と力強く宣言。全国の強豪との対戦を「力試しの場」と捉えながらも、その先には頂点しか見据えていない。
また、全国大会出場が決まってからは、チーム全体の意識にも変化が生まれているという。
「みんなの『全国で勝つ』という気持ちが強く伝わってきます」
日々の練習でも成長を実感しており、「監督から教わる戦術やテーマをみんなが理解し、一日一日成長していると感じます」と話すなど、チームへの信頼も厚い。
自身はショートを本職としながら、投手、三塁手、捕手までこなすユーティリティープレーヤー。状況に応じて複数のポジションを任されることにも、「チームのために」という思いで臨んでいる。
投手陣についても、「高野、市橋、池田、中野ら、それぞれが仕上がってきていて、状況に応じて使い分けられるくらい力がついてきています」と自信をのぞかせた。
最後に北海道の野球ファンへ向けて、小野寺主将は力強く誓った。
「北海道から全国へ行き、みんなでいっぱい打って、いっぱい守って、日本一を勝ち取ります!」
頼もしい主将の言葉どおり、東16丁目フリッパーズは北海道代表として、全国の舞台へ挑戦する。

プロフィール
〇小野寺 佑亮(おのでら ゆうすけ)
東16丁目フリッパーズ/6年
⑩主将
ポジション:遊撃手(本職)、投手、三塁手、捕手
右投げ、右打ち 145センチ、40キロ
主将としての思い
南北海道大会優勝で得た自信を胸に、高野山旗、マクドナルド・トーナメントの両全国大会で日本一を目指す。チームの結束を何より大切にし、「みんなで打って、みんなで守る野球」を体現するキャプテン。
注目ポイント
本職はショートながら、投手・三塁・捕手まで守れる高いユーティリティー性が魅力。状況に応じてどこでも役割を果たせる、東16丁目フリッパーズの中心選手である。
キャプテン推薦の注目選手は、3番・池田
小野寺佑亮主将に今大会の注目選手を尋ねると、迷わず名前を挙げたのが3番を務める池田選手だった。
今年すでにチーム最多となる14本塁打を放つ長距離砲。打席では余計なことを考えすぎず、自分のスイングを貫くことを心掛けているという。
「ランナーがいなければ長打を狙いますが、走者がいる場面では、とにかく返すことを意識しています」
3番打者としての役割をしっかり理解しながらも、気負い過ぎることなく打席に立つ姿勢が印象的だった。
一方で、投手も務めるが「好きなのはバッティング」と即答。豪快な打撃に魅力を感じている。
高野山旗全国学童軟式野球大会では、「昨年のキャプテンが記録したホームラン数を超えたい」と、新たな目標も掲げた。
憧れの選手には、東京ヤクルトスワローズの村上宗隆を挙げる。力強いスイングを目標に、幼い頃からバットを振り続けてきた。
最後に高野山旗へ向けての意気込みを尋ねると、「頑張ります!」と力強く答え、全国の舞台での活躍を誓った。

プロフィール
〇池田 成(いけだ なる)
東16丁目フリッパーズ/6年
右投げ、左打ち 151センチ、60キロ
本塁打:14本(今季)
野球を始めたきっかけ:兄の影響で幼少期から野球を始める
前所属:美園若葉
家族は両親と兄2人と妹の7人
憧れのプロ野球選手:村上宗隆
目標:高野山旗で昨年の主将の本塁打数を超える活躍を見せること。
ベンチ入りメンバー
指導者
▽監督
㉚笹谷武志(46)
▽コーチ
㉙菊池剛史(46)
㉘伊藤拓海(27)
選手
★主将
⑩小野寺 佑亮(おのでら ゆうすけ)
6年・右投げ、右打ち
①高野 恭佑(たかの きょうすけ)
6年・右投げ、右打ち
②中本 准太郎(なかもと じゅんたろう)
6年・右投げ、右打ち
③池田 成(いけだ なる)
6年・右投げ、左打ち
④橋本 昊(はしもと こう)
6年・右投げ、右打ち
⑤市橋 桔平(いちはし きっぺい)
6年・右投げ、左打ち
⑥岡田 旭陽(おかだ あさひ)
6年・右投げ、右打ち
⑦原 夢輝太(はら ゆきた)
6年・右投げ、左打ち
⑧佐藤 忠將(さとう ただまさ)
6年・右投げ、右打ち
⑨高塚 大輝(たかつか だいき)
6年・右投げ、右打ち
⑭江端 隼(えばた じゅん)
6年・右投げ、左打ち
⑮山内 奏人(やまうち かなと)
4年・右投げ、左打ち
⑰伊藤 舶翔(いとう はくと)
5年・右投げ、右打ち

全国大会までの軌跡
第15回全道秋の選抜ファイナル
◆決勝
〇 4-1 岩見沢学童野球クラブ
◆準決勝
〇 6-0 柏ホエールズ
◆準々決勝
〇 7-0 北見ビクトリー
◆3回戦
〇 17-0 士別サムライブレイズ
◆2回戦
〇 20-0 扇山レッドペッカーズ
◆1回戦
〇 12-1 朝里ブレイブス


高野山旗全国トーナメント表


協力:東16丁目フリッパーズ
