新家スターズを破る価値ある白星 笹谷監督「長曽根と戦いたかった。その悔しさが今も一番残っています」
和歌山県高野町で開催された「第31回高野山旗全国学童軟式野球大会」で7月27日、北海道代表・東16丁目フリッパーズは3回戦で全日本学童マクドナルド・トーナメント大阪府代表・新家スターズを5-3で破る金星を挙げた。全国屈指の強豪を相手に積み重ねてきた準備をぶつけ、攻守がかみ合った価値ある勝利。しかし、続く準々決勝では三重県代表・渡会BEASTに1-4で惜敗。全国制覇への挑戦はベスト8で幕を閉じた。それでも笹谷武志監督の胸に残ったのは、子どもたちの成長への確かな手応えと、あと一歩先へ進めなかった悔しさだった。
イニングスコア
◆3回戦(7月27日)
東16丁目フリッパーズ(北海道)5-3新家スターズ(大阪府)
新家スターズ
000003=3
04010x=5
東16丁目フリッパーズ
(新)長尾ー西村
(東)高野ー中本
▽三塁打:小野寺(東)
▽二塁打:井谷、井上(東)
◆準々決勝(7月27日)
東16丁目フリッパーズ(北海道)1-4渡会BAST(三重県)
渡会BAST
012100=4
000001=1
東16丁目フリッパーズ
(渡)中川兼、玉串ー中川瑛
(東)市橋、小野寺、中本ー中本、小野寺
▽二塁打:中川兼(渡)、中本(東)
「目の色が変わった」 監督が感じた子どもたちの覚悟
2回戦で快勝したにもかかわらず、笹谷武志監督は選手たちを決して褒めなかった。
試合後に伝えたのは「全国制覇を本気で目指すなら、責任と本気の覚悟を持って来い」という厳しいメッセージだった。
その言葉は、選手たちにしっかり届いていた。
3回戦当日、グラウンドに集まった子どもたちを見た瞬間、笹谷監督は違いを感じたという。
「本当に目の色が変わっていました。この試合に懸ける気持ちが表情から伝わってきました」
そして、その変化はプレーにも表れた。
課題としていた守備では、外野陣が長打性の打球を、序盤だけでも流れを引き寄せる好守を連発。内野も好守を見せ落ち着いてアウトを積み重ね、全国トップレベルの相手に一歩も引かなかった。


守備で流れをつくり、攻撃で一気に勝負を決めた
相手は全国屈指の強豪・新家スターズ。
走塁でも全国トップクラスのけん制技術を誇る相手に対し、東16丁目フリッパーズは思い切った戦略を選んだ。
「リードはほとんど取らないと決めました。相手の一番の武器でアウトになるくらいなら、そこは思い切って捨てようと」
リスクを排除し、その分だけ攻撃へ集中する。
狙いは的中した。
二回、小野寺佑亮(6年)、原夢輝太(6年)、池田成(6年)らの適時打で一挙4得点。四回にも小野寺の三塁打を足掛かりに高塚大輝(6年)の適時打で追加点を奪った。
投げては高野恭佑(6年)、池田、市橋桔平(6年)の継投。六回に3点を返されたものの、最後までリードを守り切り5-3で勝利した。
「全国トップレベルの相手に勝てたことで、『自分たちも全国で戦える』『やればできる』という自信を子どもたちは持てたと思います。本当に価値のある試合でした」
一方で、笹谷監督は最後まで新家スターズへの敬意も忘れなかった。
「何点差あっても安心できない。本当に気持ちの強いチームでした。最後の3点を返してきた粘りは、さすがだと思いました」


ダブルヘッダーの壁 渡会BEASTの左腕が立ちはだかる
その勢いのまま迎えた準々決勝。
しかし、東16丁目フリッパーズには大きな試練が待っていた。
ダブルヘッダーにより、エース・高野は球数制限で登板できない。
継投で臨むことは最初から分かっていた。
それでも笹谷監督は敗戦を言い訳にはしなかった。
「条件は条件です。それでも勝たなければいけなかった」
相手・渡会BEASTの先発は5年生左腕・中川兼助。
想像以上だったという。
「5年生なので、どこかで崩れるかなとも思っていました。でも最後まで崩れませんでした」
「制球も素晴らしかったし、ボールの切れも本当に良かった。スリーボールまでいっても、最後はきっちりストライクを取ってくる。明らかなボール球がほとんどありませんでした」
打者は差し込まれ、東16丁目最大の武器だった攻撃力を最後まで発揮できなかった。
唯一の得点は六回、中本の二塁打から1点を返したのみ。
スコア以上に相手左腕の完成度の高さを痛感した一戦だった。


「長曽根ストロングスと戦いたかった」
大会を振り返っても、笹谷監督の胸に残っているのは、新家スターズ戦の勝利より準々決勝の敗戦だった。
「渡会BEASTさんに勝って、準決勝で長曽根ストロングスと戦いたかった」
その言葉に迷いはなかった。
「そこにたどり着きたかったんです。本当に悔しいですね」
全日本学童出場を逃しながらも全国トップレベルの実力を持つ渡会BEAST。
そして、その先に待っていた長曽根ストロングス。
全国制覇を目指していた東16丁目フリッパーズにとって、その舞台へ届かなかった悔しさは何よりも大きかった。

高野山で得た財産 いよいよ全国最高峰の舞台へ
それでも、この夏の高野山での挑戦は決して色あせるものではない。
全日本学童大阪府代表・新家スターズを堂々と破り、全国屈指の強豪と真っ向から渡り合った経験は、選手たちにとって何ものにも代えがたい財産となった。守備を磨き、戦い方を見直し、自分たちの強みを信じ抜いた高野山での戦い。その積み重ねが、チームを確実に一段階成長させた。
笹谷監督が2回戦後に選手たちへ投げ掛けた「気持ちが変われば、プレーも変わる」という言葉は、3回戦・新家スターズ戦で見事に証明された。そして、その成功体験こそが次なる戦いへの大きな武器になる。
高野山で悲願の全国制覇は果たせなかった。しかし、東16丁目フリッパーズの本当の勝負はここからだ。
8月7日、愛媛県・坊っちゃんスタジアムをメーン会場に開幕する「高円宮賜杯第46回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」。南北海道代表として、全国最高峰の舞台へ挑む。
目指すのは、2017年以来9年ぶり2度目の日本一。
高野山で味わった歓喜も悔しさも、すべてを力に変えて――。
次に挑むのは、日本一という、もっとも高い山。東16丁目フリッパーズの本気の挑戦が、いよいよ始まる。

協力:東16丁目フリッパーズ
