
イニングスコア
◆決 勝(5月24日、美香保C球場)
東16丁目フリッパーズ6-3札幌オールブラックス
東16丁目フリッパーズ
10221=6
00003=3
札幌オールブラックス
(五回時間切れ)
(東)西山、徳田、川口―徳田、丹場、徳田
(札)奥山、三好、米田―川村
▽三塁打:丹場(東)
▽二塁打:徳田、丹場(東)
◆準決勝(5月24日、美香保C球場)
札幌オールブラックス(3)8-8(2)東札幌ジャイアンツ
東札幌ジャイアンツ
4000402=10
2000063=11
札幌オールブラックス
(七回タイブレーク)
(東)近藤、尾崎、近藤、尾崎、黒瀬―久保
(札)今田、畠山、奥山―川村
東16丁目フリッパーズ21-1前田リトル
前田リトル
0010=1
45⑪x=21
東16丁目フリッパーズ
(四回コールドゲーム)
(前)藤谷、川村、高間、近藤―宮下
(東)西山、田村、川口―徳田
~強敵オールブラックスとの激戦を制し、南北海道大会へ~
5月24日、札幌市・美香保公園野球場で高円宮賜杯第45回全日本学童軟式野球大会・札幌支部予選の準決勝・決勝が行われ、東16丁目フリッパーズが決勝で札幌オールブラックスを6-3で破り、11年連続14度目の優勝を飾った。序盤から着実にリードを広げ、終盤の反撃を凌いでの勝利。同チームは6月の南北海道大会、そして7月の高野山旗全国大会へ弾みをつけた。
「全国に行きます!」
試合後、笹谷武志監督の目は力強かった。勝利の安堵と、次なる舞台への決意がそこにはにじんでいた。
初回、1番・丹場泰生主将(6年)のバットが試合に火をつけた。センターオーバーの三塁打。ベンチが湧いた。直後、相手バッテリーのミスを突いてホームを駆け抜け、早くも1点を奪う。丹場の一振りがチーム全体に勢いを与えた。
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三回には3番・西山宗汰郎(6年)がセンター前、盗塁で二塁へ進み、4番・徳田隆之介(6年)がライト線を破るタイムリー。さらに片桐叡太郎(6年)の内野ゴロでも1点を加え、この回2得点。四回、五回と着実に加点し、スコアは6-0。完全にフリッパーズのペースだった。
先発の西山投手は二回までを無失点で切り抜け、三回からは捕手との二刀流でチームを支える徳田がマウンドへ。パワーピッチで押し込んだが、六回裏には疲れが見え始め、制球が乱れてピンチが拡大。ここで登板したのが川口琉輝(6年)。多少のバタつきはあったが、流れが相手に傾きかけた中で3点に食い止め、五回時間切れによる6-3での勝利をつかみ取った。
「まずは強敵に勝てて安心しました」と笹谷監督は開口一番。
「ポイントは丹場の一振り。三回以降も小刻みに得点できて理想的な展開だった。徳田は捕手もやっているので、投手としては投げすぎないよう配慮していたが、完全に疲れが出ていた。川口も少しバタついたが、最後は締めた」
攻撃面では「練習の成果が出てきた」と手応えを感じていた。「昨秋から春にかけて、打てるチームではなかった。だからこそ、打線に結果が出てきた今はうれしい」と語る表情には、育成の手応えと選手たちへの信頼がにじんでいた。
それでも課題はある。「試合終盤、相手に流れが傾いた時に、スパッと断ち切るバッテリーと守備力。これからもっと磨いていく」
相手の札幌オールブラックスについても、惜しみない賛辞を贈った。
「能力があって、一気に追い上げる力のあるチーム。それがもう、チームカラーとして定着している。安心していられない相手。だからこそ強い」
準決勝を21-1とワンサイドで制した東16丁目に対し、オールブラックスは2-8から最終回に同点へ持ち込み、延長タイブレークを制して決勝へ勝ち上がってきた。その流れに警戒していた笹谷監督は、「後攻めは絶対に有利。何か嫌な雰囲気があった」と、細かな空気の変化を感じ取っていたという。勝負師としてのしたたかさが垣間見える。
「ぼくらも、はっきりと全国大会出場を決めに日高に乗り込みます」と語る笹谷監督の決意は揺るがない。
マウンドに立った西山投手は「ストライク先行で投げられたのが良かった。南大会でも慌てずに投げたい」と冷静に振り返り、丹場主将は「どんな形でもいいから塁に出ることを意識していた。四回の打席では、次につなげようと心がけた」と静かに、しかし誇らしげに語った。
南北海道大会を勝ち抜き、7月の高野山旗全国大会、そして全国マクドナルド・トーナメントとビクトリーロードを思い描く。
試合後のグラウンドには、歓喜と同時に、全国への挑戦を前にした静かな闘志が漂っていた。11年連続の常勝・東16丁目フリッパーズ。彼らの物語はまだまだ続く。

準優勝。その先に続く挑戦──札幌オールブラックス、全国の舞台へ再出発
札幌オールブラックスが、またひとつ大きな壁に挑んだ。
高円宮賜杯・第45回全日本学童軟式野球大会札幌支部予選の決勝戦。相手は常勝・東16丁目フリッパーズ。準決勝を七回タイブレークの死闘で勝ち上がり、選手たちは心身を尽くして決戦に臨んだ。
しかし、勝利の女神は簡単には微笑まなかった。投手陣は球数制限の壁に直面しながらも、奥山、三好、米田の3人で継投を繋ぎ、強打の東16丁目に「ビッグイニングを与えない」ことを最優先に、粘り強く守り抜いた。
0-6と大きなビハインドを背負って迎えた五回。四球と内安打で無死一、三塁のチャンスを作ると、内野ゴロが敵失を誘い、まずは1点。さらに奥田夕生(6年)のレフトへの犠牲フライで2点目、相手のボークで3点目を奪った。再び準決勝の再現かと思わせる二死満塁の場面まで攻め立てたが、あと一歩及ばず。力尽きた選手たちの目からは光るものもあった。
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試合後、生野勇輝監督は「東16丁目はさすがでした。特に外野の守備範囲、中継の正確さは驚きました。最後にミスは出たが、全体として安定した戦いぶり。完敗です」と、肩を落としながらも相手の強さを素直に讃えた。
それでも、札幌オールブラックスの挑戦は、ここで終わらない。7月には徳島県阿南市で開催される「野球のまち阿南第13回少年野球全国大会」への北海道代表としての出場が決まっている。さらに、FBC U12全道大会には特別枠からの挑戦も控えるほか、全道少年軟式野球大会など、まだまだ次の頂が彼らを待っている。
悔しさを糧に、次こそ頂点へ。
能力の高い選手が揃い、勝負どころでの粘りも身につけた。あの日の涙は、きっと未来の笑顔につながる。札幌オールブラックスは再び、前を向いて歩き出している。
