新チームの秋、札幌麻生から始まる 35チームが全道の頂点、そして来春の全国舞台へ

新チームの秋、札幌麻生から始まる 35チームが全道の頂点、そして来春の全国舞台へ

室蘭・板垣主将が感謝を胸に堂々の選手宣誓 日本代表2選手も世界での経験を後輩へ 指揮官たちが語る新チームの現在地

35チームが札幌麻生に集結 新チームの秋が開幕

夏までチームをけん引した3年生からバトンを受け継ぎ、1、2年生が主役となる新たなシーズンが始まった。

9月5日、札幌麻生球場で行われた第53回秋季全道大会新人戦の開会式。各チームの選手たちが一堂に会し、これから始まる秋の戦いへ気持ちを新たにした。

今大会はまずブロックごとのリーグ戦を実施。リーグ戦終了後、各ブロック上位3チームの計15チームに、各ブロック4位チームの中から成績最上位となる1チームを加えた計16チームが決勝トーナメントへ進出する。

10月3日からは一発勝負の決勝トーナメントへ。秋の全道王者を懸けた戦いが繰り広げられる。

さらに今大会は、秋のタイトルだけを争う大会ではない。

上位4チームには「2027年度第35回春季全道大会」のブロックシードが与えられ、上位3チームは「2027年度第33回全国選抜野球大会」への出場推薦が予定されている。

新チームの現在地を知ると同時に、来春の北海道、そして全国へつながる重要な大会となる。

「大好きな野球ができることに感謝」室蘭・板垣主将が堂々の宣誓

 開会式で大役を務めたのは、室蘭リトルシニアの主将・板垣盛太(あかつき少年野球部出身・2年)。

選手たちが見守る中、板垣主将は堂々と前へ進み、力強い声を球場に響かせた。

「宣誓。我々選手一同は、今ともに野球ができる仲間、日々私たちを支えてくださるすべての人やもの、そして大好きな野球ができること、そのすべてに感謝し、常に向上心を持ち、最後の一球、最後の一歩まで全力で戦い抜くことを誓います」

仲間への感謝、支えてくれる人たちへの感謝、そして野球ができることへの感謝――。

宣誓を終えた板垣主将に、最も思いを込めた言葉を尋ねると、迷うことなく答えた。

「大好きな野球ができることに感謝する、というところです」

宣誓文を考え始めたのは約10日前。誰かに作ってもらった言葉ではない。

「自分一人で考えました」

自ら考え、自らの言葉で伝えた選手宣誓。新チームとして挑む選手たちの思いを代表するような言葉が、秋の札幌麻生球場に響いた。

選手宣誓の大役を担った板垣君(室蘭)
選手宣誓の大役を担った板垣君(室蘭)
板垣君(室蘭)
板垣君(室蘭)

世界でつかんだ頂点 日本代表2選手が後輩たちへ報告

 開会式では、今夏、日本代表として海外大会に出場した北海道連盟所属の2選手も紹介され、大会での活躍を後輩たちの前で報告した。

一人は北空知リトルシニアの川音希心(深川一已バトルズ出身・3年)。

川音は7月13日から22日まで、アメリカ・イリノイ州クリスタルレイク市で行われた「MCSA全米選手権大会」に出場した。

大会にはアメリカ各州の代表をはじめ、プエルトリコ、ブラジル、カナダなどの代表チームが集結。4日間で7試合という厳しい日程に加え、連覇を背負うプレッシャーの中、日本代表は勝ち抜き、見事優勝。大会11連覇を成し遂げた。

もう一人は千歳リトルシニアの中村陽希(千歳ガッツ出身・3年)。

中村は7月19日から29日にフランスで行われた「INTERNATIONAL YOUTH CLASSIC ヨーロッパ大会」に出場した。

日本、フランス、ドイツ、オランダ、チェコの5カ国が参加した国際大会で、日本代表は記念すべき第1回大会を制し、初代王者に輝いた。

北海道から世界へ――。

日の丸を背負い、異なる環境、異なる文化の中で野球に挑んだ2人。その経験と結果は、これから北海道の頂点、さらに全国を目指す後輩たちにとって大きな刺激となったはずだ。

日本代表、写真左から中村君、川音君
日本代表、写真左から中村君、川音君

千歳・山木監督「予選リーグでどれくらいできるのか楽しみ」

 開会式では、新チームで大会に挑む指揮官たちにも現在のチーム状況を聞いた。

千歳リトルシニア・山木大輔監督は、夏休み期間を通じて新チームの実戦経験を積み重ねてきた。

「夏休み期間はずっと一緒にやっていました。ただ、ほとんど試合が中心でしたね」

実戦を重ねる中で感じている手応えについては、

「ある程度、自分たちから崩れることなく戦っていけるのかなとは思っています。まずは予選リーグでどれくらいできるのか、楽しみにしています」

と期待を寄せる。

投手陣では、3年生が在籍していた時からマウンドを経験してきた髙橋颯介(千歳ガッツ出身・2年)が軸となる。

「髙橋という選手がいるので、その選手が中心となって投げていくのかなと思います」

捕手には主将を務める2年生・佐藤巧都(北陽レッドイーグルス出身)と、1年生・青木瑛祐(千歳みどり台シャークス出身)が控える。

「2人ともしっかりしているので、どちらを使ってもいいかなというところですね」

新チームが実戦の中でどのような成長を見せるのか。山木監督も楽しみにしている。

日高・高城監督 1年生も加わる競争でチーム力アップへ

日高リトルシニア・高城幸司監督は、昨年のチームが一冬を越えて大きく伸びた経験を、新チームの成長にもつなげていく。

前チームが選手権で見せた戦いについて、

「選手権であそこまでできるとは思っていなかったので、良かったと思います」

と振り返った。

新チームで期待を寄せるのは2年生のバッテリーだ。

「2年生のピッチャーとキャッチャーですね。力もありますし、バッティングも期待しています。これからさらに成長してくれれば、中心選手になれると思います」

一方で、1年生にもチャンスは十分にある。

「1年生も絡めながらチームをつくっていきたいと思っています。1年生にもいい選手がいますからね」

内野、外野を問わず、1年生がレギュラー争いへ加わる可能性があるという。

2年生は9人。そこへ勢いのある1年生が加わることで、チーム内の競争はさらに激しくなる。

「2年生は9人いますが、1年生も入ってくるので競争になります」

その競争が練習の空気を変え、チームを押し上げていく。

「練習もピリッとした雰囲気になると思います」

余市・橋本監督「個々の力はある」実戦でチーム力を磨く

 余市リトルシニア・橋本正一監督は、新チームの個々の能力に手応えを感じている。

「新チームは、個々の力はあるんじゃないかなと思っています。周りからもそう言われています。ただ、まだチームとしてのまとまりが十分ではないので、そこはこれからですね」

現段階でポジションを固定するのではなく、実戦の中でさまざまな可能性を探っていく考えだ。

「1年生も食い込んできます。そこは実戦の中で鍛えながら、いろいろ試していきたいと思っています。まだポジションが固定されているわけではないので、内野も外野も含めて、1年生が入ってくる可能性はあります」

投手陣では越後壱星(古平野球スポーツ少年団出身・2年)、小川寛斗(余市強い子野球スポーツ少年団出身・2年)、細川直暉(古平野球スポーツ少年団出身・2年)、笹山陽久(余市強い子野球スポーツ少年団出身・2年)の4人を候補に挙げる。

さらに山根碧人(余市強い子野球スポーツ少年団出身/1年)にも期待する。

「山根はコントロールがいいので、まだこれからの部分はありますが、そこも期待しながら見ていきたいと思っています」

下級生の台頭が上級生を刺激し、上級生の存在が下級生を引き上げる。

「1年生も使いながら、2年生にも刺激を与えていきたいですね。お互いに競争することで相乗効果が生まれて、チーム全体が良くなっていけばと思っています」

個の力を、チームの力へ――。リーグ戦を通じて余市がどこまでまとまりを高められるか注目される。

札幌羊ヶ丘・藤橋監督「全員使う」公式戦で経験を積ませる

 札幌羊ヶ丘リトルシニア・藤橋和男監督は、新チームが少しずつ形になりつつあると見る。

「だんだん形にはなってきたかなと思います。予選リーグは3位まで決勝トーナメントに進めるので、選手たちには『全員使う』と約束しています。いろいろな選手を試しながら戦っていきたいですね」

勝つことだけを求めるのではなく、公式戦という緊張感の中で一人でも多くの選手に経験を積ませる。

そこには新人戦だからこその狙いもある。

「練習試合では自分の力を出せても、公式戦になるとなかなか普段通りの力を発揮できない選手もいます。緊張して、いっぱいいっぱいになってしまうこともありますから。そういう経験もさせながら、選手たちがどれだけ力を出せるのか見ていきたいと思っています」

公式戦でしか味わえない緊張、重圧、そして成功と失敗。

そのすべてを新チームの成長につなげていく。

秋の経験が、来春の北海道、全国へつながる

3年生が中心だった夏から、1、2年生が主役となる秋へ。

現時点ですでに形が見えているチームもあれば、リーグ戦を戦いながらポジションを探り、競争を促し、チームをつくり上げようとしているチームもある。

共通しているのは、この秋が「完成形」ではないということだ。

室蘭・板垣主将が宣誓した「常に向上心を持ち、最後の一球、最後の一歩まで全力で戦い抜く」という言葉。

そして「大好きな野球ができることに感謝する」という思い。

その言葉を胸に、北海道のリトルシニア球児たちが新たな一歩を踏み出した。

リーグ戦を勝ち抜いた16チームが10月3日から決勝トーナメントへ進み、その先には秋の全道王者、さらに来春の全国選抜へと続く道が待っている。

新チームの秋――。

札幌麻生球場から始まった戦いの中で、どのチームが成長を遂げ、北海道の頂点へ駆け上がるのか。若き中学球児たちの挑戦が始まった。

協力:日本リトルシニア中学硬式野球協会 北海道連盟

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