CS札幌選抜、勝利と悔しさを胸に次のステージへ
岡山県で初開催となった「第1回 作州宮本武蔵旗争奪 全日本小学生野球選手権岡山大会」。
北海道代表として乗り込んだCS札幌選抜は、初戦で鮮烈な7-0の五回コールド勝ち。続く2回戦では徳島すだちクラブと激闘を繰り広げ、3-5で惜しくも敗れた。
短い時間の中で味わった“全国の勝利と敗北”。そのすべてが選手たちの未来を照らす大きな経験となった。
1回戦・八幡少年野球クラブ（京都府）
全国の舞台で迎えた初戦。北海道の子どもたちにとって、これ以上ないほどの緊張感が漂う中、先発の奥山夕生（札幌オールブラックス／6年）が3人で初回を締めると、チームは一気に波に乗った。継投の本間咲都（富丘ベアーズ／6年）とともに、五回参考ながら無四球ノーヒットピッチングを展開。打線も序盤からテンポよく加点し、理想的な試合運びを見せた。
初回、一死三塁で3番・十河侑生（本郷イーグルス／6年）が内野ゴロの間に先制点を奪取。二回には8番・木村駿太（東海Fイーグルス／6年）、1番・奥山の連打でつくった好機に、2番・川村一晟（前田リトル／6年）がライト前へ2点目のタイムリー。さらに四回には、4番・山口類（富丘ベアーズ／6年）、5番・植田快（幌南ファイターズ／6年）、6番・川村塁翔（札幌オールブラックス／6年）らが次々にタイムリーを放ち、この回一挙4得点。
完全に主導権を握ったCS札幌選抜は、7-0の五回コールド。全国の舞台で見事な白星スタートを切った。
試合後、生野勇輝監督は振り返る。
「全国初戦で緊張していたが、初回に奥山くんが3人で抑えてくれたことで、リズムよく攻撃に入れた。初回の1点でチームの堅さが和らいだし、全選手を出場させることもできた。」
全国の舞台でつかんだ“初勝利”。その意義を、監督自身が深く噛みしめていた。
2回戦・徳島すだちクラブ（徳島県）
初戦からわずか数時間後。疲労の中で挑んだ2回戦は、全国上位常連・徳島すだちクラブとの真っ向勝負となった。
二回、一死から6番・川村塁翔が死球で出塁し、7番・鳴海陽向（札幌南JBC／6年）がセンター前ヒット。続く9番・佐藤琉稀歩（東ハリケーン／6年）のファースト強襲の内野安打で3走、2走が生還し2点を先制する最高の立ち上がりを見せた。
しかしその裏から反撃を受け逆転を許す。1点を追う四回には、7番・鳴海のライト前から足を絡めて二死二塁とすると、1番・奥山が気迫の左前同点タイムリー。
それでも五回、相手の強力上位打線に3連打を浴びて痛恨の2失点を喫する。
六回には二死一、二塁の同点機をつくったものの、あと一本が出ず3-5で試合終了。全国屈指の強豪にあと一歩届かなかった。
生野監督は、選手たちが体感した“全国との差”について語る。
「選手の体格差、パワーの差を感じてくれたと思う。打球が違う。175センチを超えるような選手が2人くらいいた。こういう経験は逆に良かった。ここに来なければ、分からなかったこと。」
悔しさだけでなく、確実に得たものがあった。
さらに総括として、こう続けた。
「短い2ヶ月だったが、出会った頃に比べて選手同士の仲間意識や、他の選抜チームとの交流も含め、全国の舞台から多くを学んだ。この経験を活かし、次のステージへ向かってほしい。」
全国の強豪とぶつかったからこそ見えた課題と可能性。
そのすべてが、間違いなく“未来の糧”となる。
発行人より——1期生たちへ
CS札幌選抜の1期生として、この岡山の地で刻んだ足跡は、何年経っても色褪せません。
勝った喜びも、負けた悔しさも、全国の空気も、相手選手の打球音も、すべてが宝物です。
北海道を出て、仲間とともに全国の強豪と戦った2日間。
その勇姿を間近で見て、胸が熱くなりました。
指導者でも保護者でもなく、“発行人として”皆さんを追い続けてきましたが、試合を終えた選手たちの表情は、どれも誇らしいほど凛々しいものでした。
この先、それぞれが中学生になり、また新しい野球の道を歩みます。
でも——
CS札幌選抜の1期生として、一緒に全国を戦った事実は消えません。
あしたは福井県・岡山県の選抜チームとの交流戦。
そして12月1日は姫路の街を仲間と歩く最高の一日になるはずです。
野球がつないだ縁を、どうか大切に。
また、どこかの球場で会いましょう。
発行人 大川祐市
協力：CS札幌選抜