一昨年のU-14北海道大会初制覇、そして全日本少年軟式野球大会札幌支部予選での悲願の初優勝。先輩たちの悔し涙を力に変え、歴史を塗り替えてきた札幌ブレイブティーンズが、いま新たなステージに立っている。森岡監督のもと、「この冬が勝負」と位置づけた新チームは、技術だけでなく“精神的な強さ”と“チームとしての結束”を磨きながら、再び頂点を見据える。過去の栄光に甘えることなく、“まだまだ”から始まる物語が、いま動き出している。
悔し涙を力に、10期生がつないだ悲願
全日本少年軟式野球大会札幌支部予選で、ついに悲願の初優勝を果たした。第42回大会は2025年5月10日に開幕。立ち上げ1年目から挑み続けてきた大舞台で、先輩たちの悔しさを受け継いだ10期生が頂点に立った。
先輩たちの涙が、原動力になった
8期生はブロック決勝(準々決勝)で敗退、9期生は準決勝で涙をのんだ。その姿を1年生の頃から見続け、ともに戦ってきたのが現3年生の10期生だ。11期生、12期生の力も結集し、「全員野球」で挑んだ今大会。70チーム以上が参加する中、初戦から全6試合。スコア以上に拮抗した試合が続き、約2か月にわたる緊張感の中で一戦一戦を積み重ねた。

ぶつかり合い、立て直し、つかんだ栄冠
壁にぶつかり、選手同士、指導者とも本気で向き合いながら、崩れては立て直す日々。その過程こそが成長の証だった。素晴らしいライバルとの真剣勝負の中で、仲間と本気になれたこと――それが優勝の瞬間、涙となってあふれた理由だろう。
支えてくれた卒団生や保護者、関係者の想いも背負い、チームはまた新たな舞台へ進む。次は北海道大会。ここはゴールではない。野球を通じてさらに熱く、さらに強く。チームはこれからも成長を追い続ける。
森岡監督は「チームとして一番の目標にしていた全日本少年大会で、札幌支部としても、そしてチームとしても初優勝することができました。非常に大きな成果だったと思います。」3年生14人のなか私学が約10人、残りが公立への進学を希望している。

「この冬が勝負」――森岡監督が描く、新チームの現在地と挑戦
「新チームはまだまだです。昨年秋は結果を残すことはできませんでした。このオフでしっかり土台を作り、チーム力を上げた上で、春からまたチャレンジしていくというイメージでいます」
静かに、しかし確かな覚悟をにじませながら語ったのは森岡監督だ。
秋の大会を終え、見えたものは“可能性”と“課題”。その両方を受け止めたうえで、チームは次のステージへ向かっている。

想定内の技術、想定外の“精神面”
新チーム発足当初、一定の手応えはあったという。
「野球の技術面でいえば、ある程度の結果は残してくれるかなという印象はありました。経験のある2年生もいましたので」
実際、秋の大会では個々に光る選手も現れた。しかし、トーナメントで勝ち切るには“技術”だけでは足りなかった。
「精神的な弱さは、チームとしても一選手としてもまだまだ感じています。結果を残すには経験も練習も足りない」
勝敗の分かれ目で問われるのは、技術以上に心の強さ。
だが森岡監督は悲観していない。
「それぞれの選手が確実に成長はしています。やはりこの冬が勝負かな、と」
冬は試合がない。だからこそ、最も“差”がつく時間でもある。
技術よりも先に――“チームとして戦う”覚悟
この冬、最も力を入れているのは何か。
監督は即答した。
「やはり“チームとして”という部分ですね。技術を高めることも大切ですが、それ以上に、チームとしてどう戦うかという姿勢を重視しています」
団体競技である野球。
自分のためだけでなく、仲間のために走り、声を出し、支える。
その積み重ねが、接戦の一球を引き寄せる。
練習メニューの中にも、仲間を意識させる工夫を織り交ぜる。
「毎回ではありませんが、チーム力を高めるような内容を取り入れています。仲間のことを考えられるように」
子どもたちの変化は確実に現れている。
「意識的に考えるようになってきています。そこは期待しているところです」
森岡監督が求めているのは、単なる勝利ではない。
「人間的な成長をもっともっと成長してもらいたい」
その言葉に、このチームの核がある。

投打の中心・八鍬結以という存在
春季大会は4月末。戦力面も徐々に整ってきた。
中心となる投手は4~5人。新2年生も含め、ポジション争いは激しい。
投打で軸となるのは、八鍬結以(緑苑台ファイターズJr.出身/2年)。
昨秋は4番、あるいは5番を任されることが多く、全日本少年軟式野球・全道大会の経験も持つ。打席では勝負強さを発揮し、投げては力強い直球で押す右腕だ。
試合を左右する局面で、彼の存在感は大きい。
守備の要は“二枚看板”の捕手陣
新チームは捕手2人体制で挑む。
- 町村奏多(東16丁目フリッパーズ出身/2年)
中学から本格的に捕手に取り組む努力家。ひたむきな姿勢はチーム全体に良い影響を与えている。 - 小林楽(ポルテ札幌西出身/2年)
捕手だけでなく、外野レフトも守れる万能型。打撃でも4~6番を任される。
2人がマスクを被らないときは外野へ。攻守両面でチームを支える存在だ。
内野と外野を束ねるキーマンたち
内野の軸は、松山駿佑(光陽ヤンキース出身/2年)。
遊撃手兼二塁手としてチームを引っ張る。
「守備力アップと安定感、存在感を求めています」と監督。
期待の裏には、大きな信頼がある。
外野の要は、寺前浩希(ポルテ札幌西出身/2年)。
中堅、あるいは左翼として外野を統率し、打順は3番など中軸を担う。
投打の軸、守備の要――役割は明確になりつつある。
113試合の経験と、今年の目標
3月末には函館遠征を予定。本通中学校などと交流を重ね、4月上旬には苫小牧方面へ。雪国ならではの“土のグラウンド”を求め、実戦感覚を磨く。
現在の団員数は2年生9人、1年生24人。6年生は引き続き募集中だ。
昨年の公式戦は113試合。
豊富な実戦経験は、このチームの財産である。
目標は明確だ。
「今年は自分たちの力で、全日本少年軟式野球大会の全道大会へ出場したい」
昨年は先輩たちに連れていってもらった舞台。
今度は、自分たちの足で立つ。

“まだまだ”から始まる物語
森岡監督は繰り返す。
「まだまだです」
だが、その言葉は否定ではない。
伸びしろへの確信だ。
技術はある。経験も積んできた。
足りないのは、心と結束。
この冬を越えたとき、彼らはどんなチームになっているのか。
春のグラウンドに立つその姿が、今から楽しみだ。

比較を力に変えて――新キャプテンが描く“精神的に強い”チーム像
昨年の3年生が結果を残したチームを引き継ぎ、新たなスタートを切った新チーム。周囲からの期待と比較というプレッシャーの中で、選手たちは何を感じ、どう変わってきたのか。キャプテンは、少しずつ芽生えてきた自覚と手応え、そして全国への決意を静かに語った。
比較の中で芽生えた自覚と変化
「昨年の3年生は本当に活躍していたので、どうしても比べられることは多かったと思います」と振り返る。
それでも、チームは着実に前進している。
「選手みんなが自分のやるべきことを理解してきましたし、以前より声も出るようになってきました。徐々にですが、チームの雰囲気は良くなってきていると思います」
受け身ではなく、自分たちで空気をつくろうとする姿勢。その変化こそが、新チームの現在地だ。
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IBAでつかんだ自信と、乗り越えるべき課題
一方で、課題も明確だ。
「試合中に相手にリードされると、どうしても雰囲気が下がってしまうところがあります」
流れを失ったときに、どう立て直すか。しかしIBAの大会での経験が、その壁を打ち破るきっかけになった。
帯広第八合同チームとの一戦。相手は人数も多く、勢いもあった。それでも――
「焦ることなく、守備のミスも少なく、自分たちの流れで試合ができました」
さらに次の試合では、代打で出場し二塁打を放つ活躍。
「自分自身にとっても収穫になりました」
チームとしても、個人としても、“できた”という実感が確かな自信へと変わりつつある。
キャプテンが描く理想と、横浜への決意
キャプテンが思い描く理想の姿は明確だ。
「全員の目標が同じで、その目標に向かって全力で頑張れるチームにしたいです。雰囲気が良くて、精神的に強いチーム。負けていても余裕を持って、みんなで励まし合いながら勝ちにつなげられるチームが理想です」
目指す舞台は、横浜スタジアムで行われる全日本少年大会。
「ピッチャーとしては自分の持ち味であるコントロールを生かして試合をつくりたい。打撃では、チームを救える一本を打てる選手になりたいです」
比較を恐れず、課題から目をそらさず、理想を言葉にする。その覚悟が、チームを次のステージへ導いていく。
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天羽泰仁(あもうたいと)
札幌ブレイブティーンズ/2年
右投げ、右打ち
159センチ、48キロ家族は
両親と兄の4人。
家族は両親と兄の4人家族。
野球を始めたのは小学4年生のときで、きっかけは友人の松山駿佑君(現在もチームメイト)に誘われたこと。光陽ヤンキースで競技をスタートさせた。
三番の覚悟、エースの責任――流れをつくる男の現在地
新チームで三番を任され、マウンドにも立つ。
攻守の両面で「流れをつくる存在」へ――。
新人戦で得た確かな手応えと、まだ埋めきれていない課題。その両方を胸に、5月の開幕へ向けて静かに、しかし着実に歩みを進めている。
三番打者の覚悟――流れを変える一本
「自分に何が求められているのかは、常に考えています」
新チーム発足後、三番を任された。
役割は単なる強打者ではない。1・2番が出られなかった場面では四球を選び、細かい作戦を確実に遂行する。チャンスではランナーを返す。
「状況に応じたバッティングができる選手だと思われたい」
打席に立つたび、試合の流れを読む。
自分の一打で空気を変える――その自覚が、言葉の端々ににじむ。
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仲間を安心させる投球――背中で示す存在へ
守備では投手と一塁手を務める。
とりわけマウンドでは、技術以上に意識していることがある。
「周りを不安にさせない投球を心がけています」
テンポを大切にし、ミスがあっても声をかける。
感情に流されず、淡々と腕を振る。その姿勢が、守る仲間に落ち着きを与える。
“絶対的エース”と呼ばれるために必要なのは、球威や制球力だけではない。
信頼という目に見えない力を、いま築こうとしている。
学びと課題――試合の入り方を越えて
新人戦で得た最大の収穫は、「試合の入り方」と「流れの作り方」を学べたこと。
一方で、課題も明確だ。
「試合に入ってからでないと雰囲気をつかめないところがあります」
だからこそ、今季は練習から試合を想定した高い意識で取り組むという。
5月開幕の全日本少年へピークを合わせるため、春季クラブリーグから流れをつくる。そのための土台を、この冬に築く覚悟だ。
「投げては絶対的エース、打ってはチャンスで確実に返す打者に」
攻守で流れを握る存在へ。
三番の覚悟とエースの責任が交差するシーズンが、まもなく始まる。
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八鍬 結以(やくわ ゆう)
札幌ブレイブティーンズ/2年
右投げ、右打ち
174センチ、78キロ
野球を始めたキッカケはお父さんの影響で小学2年生から緑苑台ファイターズJr.で競技をスタートさせた。投打でチームの中心選手として支えている。
秋の悔しさを越えて――勝ち切るチームへ、新たな挑戦
秋の大会で味わった悔しさは、選手たちの心に確かな火を灯した。上級生の反省と奮起、そしてそれに呼応する下級生の成長。新チームは今、春へ向けて静かに、しかし確実に歩みを進めている。課題と向き合いながら、勝ち切る集団へ――その現在地を聞いた。
秋の悔しさが生んだ意識の変化
「2年生は秋の大会で悔しい思いをしているので、やる気は確実に増していると思います」
敗戦の記憶は、決して後ろ向きなものではない。その悔しさが、日々の練習への姿勢を変えた。さらに、上級生の姿に刺激を受けるように、1年生もその思いに少しずつ重なり始めているという。
「1年生もその気持ちに乗ってきてくれているので、春がとても楽しみです」
学年を越えた一体感が芽生えつつあることが、新チーム最大の前向きな変化だ。
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噛み合うか、噛み合わないか――打撃の安定が鍵
チームの課題は明確だ。
「バッティングが噛み合うときはいいのですが、噛み合わないと本当に点が取れないところが課題です」
好不調の波をいかに小さくするか。そのために意識しているのが、低いライナー性の打球だ。
「低いライナーを意識した打撃を増やしていくことが必要だと思っています」
確率を高める打撃への意識改革。それが、安定して得点を重ねるチームへの第一歩となる。
守備力向上と“勝ち切る力”を求めて
個人としての課題は守備力の向上だ。
「守備がまだまだなので、そこをもっと磨いていきたいです」
さらに、開幕に向けては準備の質にもこだわる。
「しっかりバットを振れる状態まで準備したい。守備でも足を少しでも速くして、追いつける打球を増やしたいです」
そして見据えるのは、チームとしての理想像。
「しっかり勝ち切れるチームになりたいです。課題から目をそらさず、ダメなところも認めながら強化していきたい」
悔しさを経験したからこそ語れる言葉。春、ベストな状態で開幕を迎えるために――新チームの挑戦は、すでに始まっている。
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寺前 浩希(てらまえ ひろき)
札幌ブレイブティーンズ/2年
右投げ、右打ち
170センチ、67キロ
野球を始めたキッカケは年中のとき、近所のお祭りで友だちに誘われてポルテで野球を始めました。
フォトグラフ
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協力:札幌ブレイブティーンズ
