悲願の初優勝から新章へ――札幌ブレイブティーンズ、“まだまだ”の先にある頂

悲願の初優勝から新章へ――札幌ブレイブティーンズ、“まだまだ”の先にある頂

悔し涙を力に、10期生がつないだ悲願

先輩たちの涙が、原動力になった

8期生はブロック決勝(準々決勝)で敗退、9期生は準決勝で涙をのんだ。その姿を1年生の頃から見続け、ともに戦ってきたのが現3年生の10期生だ。11期生、12期生の力も結集し、「全員野球」で挑んだ今大会。70チーム以上が参加する中、初戦から全6試合。スコア以上に拮抗した試合が続き、約2か月にわたる緊張感の中で一戦一戦を積み重ねた。

指導者の話に耳を傾ける選手たち
指導者の話に耳を傾ける選手たち

ぶつかり合い、立て直し、つかんだ栄冠

壁にぶつかり、選手同士、指導者とも本気で向き合いながら、崩れては立て直す日々。その過程こそが成長の証だった。素晴らしいライバルとの真剣勝負の中で、仲間と本気になれたこと――それが優勝の瞬間、涙となってあふれた理由だろう。

支えてくれた卒団生や保護者、関係者の想いも背負い、チームはまた新たな舞台へ進む。次は北海道大会。ここはゴールではない。野球を通じてさらに熱く、さらに強く。チームはこれからも成長を追い続ける。

森岡監督は「チームとして一番の目標にしていた全日本少年大会で、札幌支部としても、そしてチームとしても初優勝することができました。非常に大きな成果だったと思います。」3年生14人のなか私学が約10人、残りが公立への進学を希望している。

指導者の話に耳を傾ける選手たち
指導者の話に耳を傾ける選手たち

「この冬が勝負」――森岡監督が描く、新チームの現在地と挑戦

 「新チームはまだまだです。昨年秋は結果を残すことはできませんでした。このオフでしっかり土台を作り、チーム力を上げた上で、春からまたチャレンジしていくというイメージでいます」

 静かに、しかし確かな覚悟をにじませながら語ったのは森岡監督だ。
 秋の大会を終え、見えたものは“可能性”と“課題”。その両方を受け止めたうえで、チームは次のステージへ向かっている。

バッティング練習に励む札幌ブレイブティーンズ
バッティング練習に励む札幌ブレイブティーンズ

想定内の技術、想定外の“精神面”

 新チーム発足当初、一定の手応えはあったという。

 「野球の技術面でいえば、ある程度の結果は残してくれるかなという印象はありました。経験のある2年生もいましたので」

 実際、秋の大会では個々に光る選手も現れた。しかし、トーナメントで勝ち切るには“技術”だけでは足りなかった。

 「精神的な弱さは、チームとしても一選手としてもまだまだ感じています。結果を残すには経験も練習も足りない」

 勝敗の分かれ目で問われるのは、技術以上に心の強さ。
 だが森岡監督は悲観していない。

 「それぞれの選手が確実に成長はしています。やはりこの冬が勝負かな、と」

 冬は試合がない。だからこそ、最も“差”がつく時間でもある。

技術よりも先に――“チームとして戦う”覚悟

 この冬、最も力を入れているのは何か。
 監督は即答した。

 「やはり“チームとして”という部分ですね。技術を高めることも大切ですが、それ以上に、チームとしてどう戦うかという姿勢を重視しています」

 団体競技である野球。
 自分のためだけでなく、仲間のために走り、声を出し、支える。
 その積み重ねが、接戦の一球を引き寄せる。

 練習メニューの中にも、仲間を意識させる工夫を織り交ぜる。

 「毎回ではありませんが、チーム力を高めるような内容を取り入れています。仲間のことを考えられるように」

 子どもたちの変化は確実に現れている。

 「意識的に考えるようになってきています。そこは期待しているところです」

 森岡監督が求めているのは、単なる勝利ではない。
 「人間的な成長をもっともっと成長してもらいたい」
 その言葉に、このチームの核がある。

バッティング練習に励む札幌ブレイブティーンズ
バッティング練習に励む札幌ブレイブティーンズ

投打の中心・八鍬結以という存在

 春季大会は4月末。戦力面も徐々に整ってきた。

 中心となる投手は4~5人。新2年生も含め、ポジション争いは激しい。

 投打で軸となるのは、八鍬結以(緑苑台ファイターズJr.出身/2年)。
 昨秋は4番、あるいは5番を任されることが多く、全日本少年軟式野球・全道大会の経験も持つ。打席では勝負強さを発揮し、投げては力強い直球で押す右腕だ。

 試合を左右する局面で、彼の存在感は大きい。

守備の要は“二枚看板”の捕手陣

 新チームは捕手2人体制で挑む。

  • 町村奏多(東16丁目フリッパーズ出身/2年)
    中学から本格的に捕手に取り組む努力家。ひたむきな姿勢はチーム全体に良い影響を与えている。
  • 小林楽(ポルテ札幌西出身/2年)
    捕手だけでなく、外野レフトも守れる万能型。打撃でも4~6番を任される。

 2人がマスクを被らないときは外野へ。攻守両面でチームを支える存在だ。

内野と外野を束ねるキーマンたち

 内野の軸は、松山駿佑(光陽ヤンキース出身/2年)。
 遊撃手兼二塁手としてチームを引っ張る。

 「守備力アップと安定感、存在感を求めています」と監督。
 期待の裏には、大きな信頼がある。

 外野の要は、寺前浩希(ポルテ札幌西出身/2年)。
 中堅、あるいは左翼として外野を統率し、打順は3番など中軸を担う。

 投打の軸、守備の要――役割は明確になりつつある。

113試合の経験と、今年の目標

 3月末には函館遠征を予定。本通中学校などと交流を重ね、4月上旬には苫小牧方面へ。雪国ならではの“土のグラウンド”を求め、実戦感覚を磨く。

 現在の団員数は2年生9人、1年生24人。6年生は引き続き募集中だ。

 昨年の公式戦は113試合。
 豊富な実戦経験は、このチームの財産である。

 目標は明確だ。

 「今年は自分たちの力で、全日本少年軟式野球大会の全道大会へ出場したい」

 昨年は先輩たちに連れていってもらった舞台。
 今度は、自分たちの足で立つ。

バッティング練習に励む選手たち
バッティング練習に励む選手たち

“まだまだ”から始まる物語

 森岡監督は繰り返す。

 「まだまだです」

 だが、その言葉は否定ではない。
 伸びしろへの確信だ。

 技術はある。経験も積んできた。
 足りないのは、心と結束。

 この冬を越えたとき、彼らはどんなチームになっているのか。
 春のグラウンドに立つその姿が、今から楽しみだ。

指導者の話に耳を傾ける札幌ブレイブティーンズナイン
指導者の話に耳を傾ける札幌ブレイブティーンズナイン

比較を力に変えて――新キャプテンが描く“精神的に強い”チーム像

比較の中で芽生えた自覚と変化

「昨年の3年生は本当に活躍していたので、どうしても比べられることは多かったと思います」と振り返る。

それでも、チームは着実に前進している。
「選手みんなが自分のやるべきことを理解してきましたし、以前より声も出るようになってきました。徐々にですが、チームの雰囲気は良くなってきていると思います」

受け身ではなく、自分たちで空気をつくろうとする姿勢。その変化こそが、新チームの現在地だ。

打撃練習に励む天羽主将(札幌ブレイブティーンズ)
打撃練習に励む天羽主将(札幌ブレイブティーンズ)

IBAでつかんだ自信と、乗り越えるべき課題

一方で、課題も明確だ。
「試合中に相手にリードされると、どうしても雰囲気が下がってしまうところがあります」

流れを失ったときに、どう立て直すか。しかしIBAの大会での経験が、その壁を打ち破るきっかけになった。

帯広第八合同チームとの一戦。相手は人数も多く、勢いもあった。それでも――
「焦ることなく、守備のミスも少なく、自分たちの流れで試合ができました」

さらに次の試合では、代打で出場し二塁打を放つ活躍。
「自分自身にとっても収穫になりました」

チームとしても、個人としても、“できた”という実感が確かな自信へと変わりつつある。

キャプテンが描く理想と、横浜への決意

キャプテンが思い描く理想の姿は明確だ。

「全員の目標が同じで、その目標に向かって全力で頑張れるチームにしたいです。雰囲気が良くて、精神的に強いチーム。負けていても余裕を持って、みんなで励まし合いながら勝ちにつなげられるチームが理想です」

目指す舞台は、横浜スタジアムで行われる全日本少年大会。
「ピッチャーとしては自分の持ち味であるコントロールを生かして試合をつくりたい。打撃では、チームを救える一本を打てる選手になりたいです」

比較を恐れず、課題から目をそらさず、理想を言葉にする。その覚悟が、チームを次のステージへ導いていく。

天羽主将(札幌ブレイブティーンズ)
天羽主将(札幌ブレイブティーンズ)

天羽泰仁(あもうたいと)
札幌ブレイブティーンズ/2年
右投げ、右打ち
159センチ、48キロ家族は
両親と兄の4人。
家族は両親と兄の4人家族。
野球を始めたのは小学4年生のときで、きっかけは友人の松山駿佑君(現在もチームメイト)に誘われたこと。光陽ヤンキースで競技をスタートさせた。

三番の覚悟、エースの責任――流れをつくる男の現在地

三番打者の覚悟――流れを変える一本

「自分に何が求められているのかは、常に考えています」

新チーム発足後、三番を任された。
役割は単なる強打者ではない。1・2番が出られなかった場面では四球を選び、細かい作戦を確実に遂行する。チャンスではランナーを返す。

「状況に応じたバッティングができる選手だと思われたい」

打席に立つたび、試合の流れを読む。
自分の一打で空気を変える――その自覚が、言葉の端々ににじむ。

打撃練習に励む八鍬選手(札幌ブレイブティーンズ)
打撃練習に励む八鍬選手(札幌ブレイブティーンズ)

仲間を安心させる投球――背中で示す存在へ

守備では投手と一塁手を務める。
とりわけマウンドでは、技術以上に意識していることがある。

「周りを不安にさせない投球を心がけています」

テンポを大切にし、ミスがあっても声をかける。
感情に流されず、淡々と腕を振る。その姿勢が、守る仲間に落ち着きを与える。

“絶対的エース”と呼ばれるために必要なのは、球威や制球力だけではない。
信頼という目に見えない力を、いま築こうとしている。

学びと課題――試合の入り方を越えて

新人戦で得た最大の収穫は、「試合の入り方」と「流れの作り方」を学べたこと。
一方で、課題も明確だ。

「試合に入ってからでないと雰囲気をつかめないところがあります」

だからこそ、今季は練習から試合を想定した高い意識で取り組むという。
5月開幕の全日本少年へピークを合わせるため、春季クラブリーグから流れをつくる。そのための土台を、この冬に築く覚悟だ。

「投げては絶対的エース、打ってはチャンスで確実に返す打者に」

攻守で流れを握る存在へ。
三番の覚悟とエースの責任が交差するシーズンが、まもなく始まる。

八鍬選手(札幌ブレイブティーンズ)
投打の柱ともいえる八鍬選手(札幌ブレイブティーンズ)

八鍬 結以(やくわ ゆう)
札幌ブレイブティーンズ/2年
右投げ、右打ち
174センチ、78キロ
野球を始めたキッカケはお父さんの影響で小学2年生から緑苑台ファイターズJr.で競技をスタートさせた。投打でチームの中心選手として支えている。

秋の悔しさを越えて――勝ち切るチームへ、新たな挑戦

秋の悔しさが生んだ意識の変化

「2年生は秋の大会で悔しい思いをしているので、やる気は確実に増していると思います」

敗戦の記憶は、決して後ろ向きなものではない。その悔しさが、日々の練習への姿勢を変えた。さらに、上級生の姿に刺激を受けるように、1年生もその思いに少しずつ重なり始めているという。

「1年生もその気持ちに乗ってきてくれているので、春がとても楽しみです」

学年を越えた一体感が芽生えつつあることが、新チーム最大の前向きな変化だ。

バッティング練習に励む寺前選手(札幌ブレイブティーンズ)
バッティング練習に励む寺前選手(札幌ブレイブティーンズ)

噛み合うか、噛み合わないか――打撃の安定が鍵

チームの課題は明確だ。

「バッティングが噛み合うときはいいのですが、噛み合わないと本当に点が取れないところが課題です」

好不調の波をいかに小さくするか。そのために意識しているのが、低いライナー性の打球だ。

「低いライナーを意識した打撃を増やしていくことが必要だと思っています」

確率を高める打撃への意識改革。それが、安定して得点を重ねるチームへの第一歩となる。

守備力向上と“勝ち切る力”を求めて

個人としての課題は守備力の向上だ。

「守備がまだまだなので、そこをもっと磨いていきたいです」

さらに、開幕に向けては準備の質にもこだわる。

「しっかりバットを振れる状態まで準備したい。守備でも足を少しでも速くして、追いつける打球を増やしたいです」

そして見据えるのは、チームとしての理想像。

「しっかり勝ち切れるチームになりたいです。課題から目をそらさず、ダメなところも認めながら強化していきたい」

悔しさを経験したからこそ語れる言葉。春、ベストな状態で開幕を迎えるために――新チームの挑戦は、すでに始まっている。

寺前選手(札幌ブレイブティーンズ)
寺前選手(札幌ブレイブティーンズ)

寺前 浩希(てらまえ ひろき)
札幌ブレイブティーンズ/2年
右投げ、右打ち
170センチ、67キロ
野球を始めたキッカケは年中のとき、近所のお祭りで友だちに誘われてポルテで野球を始めました。

フォトグラフ

投手(札幌ブレイブティーンズ)
投手(札幌ブレイブティーンズ)
捕手(札幌ブレイブティーンズ)
捕手(札幌ブレイブティーンズ)
内野手(札幌ブレイブティーンズ)
内野手(札幌ブレイブティーンズ)
外野手(札幌ブレイブティーンズ)
外野手(札幌ブレイブティーンズ)
札幌ブレイブティーンズ
札幌ブレイブティーンズ

協力:札幌ブレイブティーンズ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA