最少18人の覚悟――挑戦者・とかち帯広、全国へ出発

最少18人の覚悟――挑戦者・とかち帯広、全国へ出発

菊池春馬主将が誓う“弱者の野球” 北海道代表として頂点を狙う

「スタートラインに立てた」――悔しさから掴んだ全国切符

 昨秋の新人戦決勝――あと一歩届かなかった悔しさ。その経験が、チームを次のステージへと押し上げた。

 菊池春馬主将は振り返る。
「悔しい結果で終わりましたが、全国大会の切符を掴み、スタートラインに立つことができました」

 敗戦の中で得たものは小さくない。
 その悔しさこそが、今のとかち帯広の原動力となっている。

「弱者が強者に勝つ野球」――18人で挑む理由

 登録選手は18人。出場チームの中でも最少人数だ。

 だが、その事実を彼らはハンデとは捉えていない。
 むしろ、“戦い方”を磨く理由としてきた。

「自分たちは最も登録選手が少ないチームですが、弱者が強者に勝てる野球を追求してきました」

 数ではなく質、個ではなく結束。
 限られた戦力だからこそ、全員が役割を理解し、一体となって戦う。

「挑戦者という気持ちで、どんどん挑んでいきたいと思います」

 その言葉に、チームの哲学が凝縮されている。

初戦は千葉西シニア “挑戦者”としてぶつかる全国の壁

 初戦は3月26日、関東の強豪・千葉西リトルシニア(千葉県)との対戦。
全国という大舞台で、真正面からぶつかる一戦となる。

 「目標は優勝のみ。一戦一戦を大切に、北海道代表として良い報告ができるよう頑張ります」

 菊池主将の言葉に迷いはない。見据える先は、あくまで頂点だ。

 少数精鋭18人の挑戦。全国の強豪を相手に、どこまで食らいつけるのか――。
 その戦いは、単なる勝敗を超え、北海道の誇りを背負った戦いでもある。

 “最少”は、決して弱さではない。

 それを証明する舞台が、いま幕を開ける。

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

冬の十勝が育てたもの――技術以上に積み上げた土台

 森徹監督は「とかち帯広が掲げる“負けない野球”が、秋季全道大会で何となく形になったかな」と、確かな手ごたえを口にする。KOKAJI CUP第1回大会での初優勝、北ガス杯準優勝、そして秋季全道大会準優勝――結果だけを見ても、その歩みは着実に前進している。

 KOKAJI CUPと秋季全道大会はいずれも新チームで臨んだ大会だった。さらに北ガス杯では、3年生の出場が約3人程の中、2年生以下の選手たちが主体となり、上級生を相手に互角以上の戦いを演じた。この経験が、チーム全体の底上げにつながっている。

 だが、とかち帯広の強さは、こうした戦績や数値だけでは語りきれない。

 十勝の冬は長く、そして厳しい。
 屋外での実戦機会がほとんど得られない環境の中で、選手たちは“できないこと”を嘆くのではなく、“できること”に向き合い続けてきた。

 限られた空間、限られた時間。
 その中で彼らが選んだのは、基礎の徹底だった。

 日高遠征で久しぶりに踏んだ土の感触。
 そこで行われた練習試合は、単なる解放感を味わう場ではなかった。
 冬の間に積み重ねてきたものが、どこまで通用するのか――その“答え合わせ”の時間でもあった。

 森徹監督は静かに振り返る。

 「秋に見えた課題から逃げなかった」

 その言葉の裏には、明確な変化への覚悟があった。

 打撃ではフォームを一から見直し、抜本的な改造に着手。
 単なるスイング強化ではなく、体の使い方から再構築し、再現性と強さを追い求めた。

 フィジカル面でも、この冬は徹底的に鍛え上げた。
 走る、鍛える、積み上げる――地道なトレーニングの繰り返しが、試合終盤でも崩れない土台を作り上げていった。

 守備では、派手さを排し、基本の反復に特化。
 一つ一つのプレーの精度を高め、“ミスをしない野球”を徹底的に追求した。

 トレーニング、アップ、日々の準備。
 すべてを見直し、細部にまでこだわり抜いた。

 彼らが目指したのは、“勝つための変化”ではない。
 “負けないための土台”を築くことだった。

 この発想の違いこそが、チームの本質を形づくっている。

 派手なスターはいない。
 しかし、誰一人として欠けてはならない存在として機能する集団。

 冬の十勝で積み上げたものは、技術だけではない。
 耐え、考え、やり抜く力――そのすべてが、今のとかち帯広を支えている。

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

行動が変われば、意識が変わる――竹腰瞬の覚醒

今大会のキーマンに挙がるのが、竹腰瞬(新3年・ウエストマリナーズ出身)だ。

 秋は目立たなかった。
 だが冬を越え、確実に変わった。

 「ウチは意識よりも行動」

 森監督が繰り返すこの言葉は、チーム全体に浸透している。

 考える前に動く。
 やるべきことをやり切る。

 その積み重ねが、竹腰の中に“変化”を生んだ。

 声、姿勢、プレー。
 すべてにおいて、チームを引っ張る兆しが見えている。

 成長とは、技術だけではない。
 人としての変化が、チームの空気を変える。

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

最弱の中にある強さ――とかち帯広の現在地

 「出場チームで最弱だと思います」

 森監督は迷いなく言い切った。

 だが、その言葉の裏にあるのは悲観ではない。

 現実を正しく認識する力。
 そして、その上で戦う覚悟。

初戦は3月26日、GOSANDO南港野球場で行われ、関東連盟の千葉西リトルシニア(千葉県)と対戦する。
勝利すれば、翌27日の2回戦で関西連盟の守山リトルシニア(滋賀県)と対戦する。

 全国の強豪と比べれば、実績も経験も劣るかもしれない。
 だが、“負けない野球”を積み上げてきたチームには、簡単には崩れない芯がある。

 派手さはない。
 だが、崩れない。

 それこそが、このチームの本質だ。

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

問いは一つ――通用するかではない、証明できるかだ

 全国大会は、比較の場ではない。

 証明の場だ。

 どこまで通用するか――ではない。
 何を残せるか。

 18人の挑戦は、まだ始まっていない。
 だが、このチームにはすでに一つの答えがある。

 逃げなかった冬。
 変えた行動。
 積み上げた土台。

 それらすべてを持って、彼らはグラウンドに立つ。

 そして最後に、森監督はこう言った。

 「優勝したい」

 最弱を自覚したチームが、頂点を口にする。

 そこにあるのは矛盾ではない。
 本気の証明である。

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

指導者・選手

指導者

▽監督
㉚森 徹

▽コーチ
㊵藤原 潤

㊿大崎 勝也

選手

①山田 朔太郎
新3年・若葉野球少年団出身

★主将
②菊池 春馬
新3年・柳町イーグルス出身

③竹腰 瞬
新3年・ウエストマリナーズ出身

④中村 倖音
新2年・ウエストマリナーズ出身

⑤杉本 朔弥
新3年・新得町野球少年団出身

⑥山田 岳
新3年・柳町イーグルス出身

⑦眞野 優
新2年・豊成ファイターズ出身

⑧浦城 尚
新3年・ウエストマリナーズ出身

⑨栩内 巧太
新3年・士幌ファイターズ出身

⑩小瀬 朔
新2年・Nexus BBC出身

⑪藤山 将吾
新2年・豊成ファイターズ出身

⑫堂山 瑚虎
新3年・大空ジャイアンツ出身

⑬甲山 大雅
新2年・ウエストマリナーズ出身

⑭髙松 伶丞
新3年・明和ブルーサンダース出身

⑮中村 柚葵
新2年・Nexus BBC出身

⑯清水 琉碧
新2年・士幌ファイターズ出身

⑰田中 慶都
新3年・上士幌アローズ出身

⑱新岡 陽希
新2年・幕別野球少年団出身

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

全国大会までの足跡

決勝トーナメント・秋季全道大会

◆決 勝(10月12日)
● 2-6 札幌北

◆準決勝(10月11日)
〇 6-4 恵庭

◆2回戦(10月5日)
〇 2-0 札幌大谷

◆1回戦(10月4日)
〇 2-1 札幌栄

予選リーグ・秋季全道大会

〇 2-0 札幌東

● 2-7 北広島

〇 13-10 苫小牧

〇 8-0 苫小牧西

〇 7-2 千歳

5戦4勝1敗の予選2位通過で決勝トーナメント進出を果たした。

全国大会・トーナメント表

全国選抜大会・とかち帯広
全国選抜野球大会

フォトグラフ

(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)
(写真・とかち帯広リトルシニア提供)

協力:とかち帯広リトルシニア

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA