昨年は全国ベスト8――広田、古村ら投手陣と堅守を軸に「1点ずつ」を積み上げる 小林監督「決勝まで5試合できたら最高」
埼玉県で9月20日に開幕する「第3回年中夢球杯2026全国学童軟式野球大会」に、北海道代表として東川町の東川大雪少年野球クラブが出場する。全国から49チームが集う大舞台。東川大雪は4月から7月まで行われた旭川予選を4戦全勝で突破し、全国への切符をつかんだ。
昨年は高知県で行われた坂本龍馬旗杯で全国ベスト8。「エンジョイ!軟式野球フェスティバル2025」にも北海道代表として出場するなど、全国の舞台を経験してきた。今年のチームも、バッテリーと守備を軸に着実に力をつけてきた。目指す野球は派手な大量得点ではない。「一死三塁」をつくり、一つずつ得点を積み上げ、投手陣が最少失点でしのぐ。小林弘明監督が描く東川大雪の勝ち筋だ。
そして全国大会に求めるものは、勝利だけではない。「全国大会はドラゴンボールでいう『精神と時の部屋』のようなもの」。北海道を飛び出す子どもたちに期待するのは、これまでの自分を超える「急成長」だ。
指導者・選手
指導者
▽監督
㉚小林 弘明(こばやし ひろあき)
▽コーチ
㉙宮山 晃宏(みややま あきひろ)
㉘早川 将海(はやかわ まさみ)
選手
⑩遠藤 功裕(えんどう こうすけ)
6年・右投げ、左打ち
①古村 健(ふるむら たける)
6年・左投げ、左打ち
⑤広田 英汰(ひろた えいた)
6年・右投げ、右打ち
⑥小谷 翔太(こたに しょうた)
6年・右投げ、左打ち
⑦佐々木 葵翔(ささき あおと)
6年・右投げ、右打ち
⑧山本 蒼太(やまもと そうた)
6年・右投げ、右打ち
⑪早川 仁太(はやかわ じんた)
6年・右投げ、右打ち
㉔上島 青空(うえじま あそら)
6年・右投げ、左打ち
⑥堀本 虎大朗(ほりもと こたろう)
6年・右投げ、右打ち
⓪中川 莉杜(なかがわ りと)
5年・右投げ、右打ち
⑰森山 景太(もりやま けいた)
5年・右投げ、右打ち
㉜池田 賢太(いけだ けんた)
5年・右投げ、右打ち
㊵木村 俊太郎(きむら しゅんたろう)
5年・右投げ、左打ち
④佐々木 湊(ささき みなと)
4年・右投げ、右打ち
㊳木村 華絵(きむら はなえ)
3年・右投げ、右打ち
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4月から始まった全国への道
全国への道のりは、春から始まっていた。
4月19日の旭川予選1回戦。深川一已バトルズとの接戦を3-2で制すると、5月17日の2回戦では東聖イーグルスに6-5。いずれも1点差をものにした。
6月14日の準決勝では、そらちJBCベアーズに8-0。そして7月12日の決勝では忠和サンダースを5-1で破り、北海道代表の座をつかんだ。
4試合を勝ち抜いた先に待っていたのが、埼玉での全国大会だった。
小林監督は、代表権を獲得した喜びとともに、予選を通して見えた選手たちの成長をこう振り返る。
「今年のチームも予選を勝ち抜いて道外大会への出場を決めることができたことは、素直に嬉しいです。予選では別の大会で完全試合で敗戦を喫したチームにも勝つことができるなど、大きな成長を感じることができました。特にバッテリーの安定と守備力の向上は努力の賜物なので、よくがんばって練習してきたなと感心させられています」
一度は完璧に封じ込められた相手にも、次は勝つ。
春先には届かなかったものに、練習を重ねながら少しずつ手を伸ばしてきた。
その積み重ねが、今年の東川大雪を全国へ押し上げた。
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広田、古村ら投手陣で「最少失点」を狙う
全国大会で東川大雪が描く勝ち筋は明確だ。
まず、守る。
中心となるのは広田英汰(6年)、古村健(6年)、上島青空(6年)、堀本虎大郎(6年)、森山景太(5年)ら投手陣。それぞれがコースを丁寧につき、大崩れすることなく試合をつくる。
小林監督は、全国の強豪を相手に無失点だけを求めているわけではない。
「まずは投手の広田、古村、上島、堀本、森山らの投手が持ち前のコースをつく投球で相手を最少失点に抑えること。ある程度の失点は想定しています」
全国大会なら、相手も北海道を勝ち抜いてきた東川大雪を倒そうと向かってくる。
点を取られることもある。
だからこそ、失点した後に崩れない。
最少失点で踏みとどまり、攻撃につなげる。それが東川大雪の野球になる。
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5年生捕手・中川が支える扇の要
その投手陣を支えるのが、5年生捕手の中川莉杜だ。
学年は一つ下だが、新チーム結成時からマスクをかぶり続けてきた。
「捕手に関しては、新チーム結成時から中川が5年生ながら扇の要として安定して座っています。最近は配球も素晴らしくなってきました」
全国大会での継投については、その日の状態、そして対戦相手を見ながら判断する。
軸として想定するのは広田と古村だ。
「投手の継投は、その日の調子と相手によってになりますが、広田→古村、もしくはその反対を想定しています」
一人のエースだけに頼らない。
複数の投手と捕手・中川を中心としたバッテリーで試合をつくり、全国の強打者たちに挑む。
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「毎イニング1点」――東川大雪が描く得点の形
守って流れを渡さなければ、次は攻撃だ。
小林監督が掲げるのは、実にシンプルな得点イメージだった。
「1番から9番まで適材適所の活躍で、毎イニング1点を獲得していくことです」
一発に頼る野球ではない。
打順に関係なく出塁し、走者を進め、ホームへ返す。
その中で打撃面のキーマンとして名前が挙がったのが、遠藤功裕(6年)、早川仁太(6年)、小谷翔太(6年)、佐々木葵翔(6年)らだ。
「場面に応じて長打も単打も犠打も可能な選手たちです」
長打が必要なら長打を狙う。
走者を進めるべき場面なら、単打や犠打を選ぶ。
自分が打つことだけではなく、「その場面で何が必要なのか」を考えられる選手たちが打線を支える。
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1、2、3番がつくる初回の流れ
中でも全国大会の攻撃を左右するのが、遠藤、中川、木村の1、2、3番だ。
小林監督は初回の攻撃を一つのポイントに挙げる。
「打線の鍵を握るのは、遠藤、中川、木村俊太郎(5年)の1・2・3番打者が初回の攻撃でどんな内容に持っていけるかどうかです」
そして、東川大雪が目指す攻撃の形をこう表現した。
「東川大雪スタイルとしては打順に関係なく『一死三塁』を時には積極的に、時には消極的に作っていき、1点ずつ得点を積み上げていきたいです」
「一死三塁」。
そこまでどう走者を進めるのか。
打つのか、送るのか、走るのか。
状況を読みながらアウト一つと引き換えに走者を進めることもあれば、積極的に次の塁を奪うこともある。
大量点だけを追わず、目の前の1点を取り切る。
その1点を投手陣と守備陣が守る。
全国大会でも、そのスタイルを貫く。
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幾度もチームを救った広田の守備
守備で小林監督が真っ先に名前を挙げたのが広田だ。
投手としてマウンドに立つだけでなく、三塁手としてもチームを支えてきた。
「チームを支えるのは広田の守備力です。投手としても三塁手としても、これまで幾多の場面でチームを救ってきてくれました」
予選を勝ち抜く中で大きく成長した守備力。
その象徴とも言える存在が広田だ。
全国大会では、一つのアウト、一つの守備が試合の流れを大きく変える。
その局面で広田がどんなプレーを見せるかも注目される。
全国トップクラスの守備範囲へ 佐々木コンビに注目
そして小林監督には、全国の舞台だからこそ見てほしい2人がいる。
佐々木葵翔(あおと/6年)と、佐々木湊(みなと/4年)。
同じ名字だが兄弟ではない。
外野を守る「佐々木コンビ」だ。
「全国大会で注目してほしいのは佐々木あおとと佐々木みなと(兄弟ではありません)の外野手コンビです。判断力に長けていて足も速く、全国トップクラスの守備範囲の広さを持っています」
広い外野を2人の脚力と判断力でカバーする。
投手が打たせた打球を、広田をはじめとする内野陣、そして佐々木コンビら外野陣がアウトにする。
バッテリーの安定と守備力の向上。
小林監督が春から感じてきたチームの成長を、今度は全国のグラウンドで証明する。
昨年は「悔しいベスト8」
東川大雪にとって、全国は未知の場所ではない。
昨年、高知県で行われた坂本龍馬旗杯では全国ベスト8まで勝ち上がった。
だが、その「ベスト8」には今も悔しさが残る。
「昨年はベスト8での抽選負けという、いろんな意味で悔しいベスト8でしたが、4試合も試合をさせていただきました」
全国で4試合。
北海道ではなかなか経験できない相手、球場、空気の中で戦った時間は、チームにとって大きな財産になった。
そして今年も、北海道を飛び出す。
ただ、東川大雪が全国大会に求めているものは、勝敗だけではない。
チームが掲げる目的そのものが、そこにある。
「野球を通して子どもたちの世界を広げる」
小林監督は言う。
「野球を通して子どもたちの世界を広げることをチーム目的においている東川大雪ですので、今年もこうして北海道を飛び出して野球ができることに心から嬉しく思っています」
東川町から旭川予選へ。
旭川から北海道代表へ。
そして今度は埼玉へ。
野球が、子どもたちをまだ見たことのない場所へ連れていく。
そこで出会う全国の選手たち、野球、スピード、技術、空気――。
すべてが子どもたちの世界を広げる材料になる。
だからこそ、1試合でも長く、その場所にいたい。
「今年も1試合でも多く野球ができるように、1試合1試合真剣に楽しみながらやっていきたいと思っています。その結果、5試合、決勝までできたら最高です」
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全国大会は「精神と時の部屋」
そして小林監督が選手たちに最も期待しているもの。
それは「活躍」だけではなかった。
「選手たちに期待するのは、急成長です」
その理由を、小林監督らしい表現で続けた。
「全国大会はドラゴンボールでいう『精神と時の部屋』のようなものですから、これまでになかったくらいの精神的な成長や、技術すらも伸びる場所です。そういった意味では、活躍以上に成長を期待しています」
北海道を出発したときと、帰ってきたとき。
子どもたちは同じではないかもしれない。
全国の強豪を目の前にして、自分たちの力が通用する瞬間もあれば、これまで経験したことのない壁にぶつかる瞬間もあるだろう。
そのすべてを吸収する。
それこそが、東川大雪が全国へ行く意味でもある。
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初戦は9月20日、14時45分
「第3回年中夢球杯2026全国学童軟式野球大会」は9月20、21、22日の3日間、大宮けんぽグラウンドで開催され、全国から49チームが出場する。
北海道代表・東川大雪少年野球クラブは2回戦から登場。
初戦は9月20日14時45分から、大宮けんぽグラウンドSフィールド44面で、いずみスワローズ(東京都)と牧野ジュニアーズ(奈良県)の1回戦勝者と対戦する。
広田、古村ら投手陣が最少失点で踏ん張り、守備陣が支える。
そして攻撃では「一死三塁」をつくり、一つずつ得点を積み重ねる。
東川大雪が北海道で磨いてきた野球を、全国でどこまで貫けるか。
昨年は、悔しさの残る全国ベスト8。
今年もまた、その全国という特別な場所へ向かう。
勝つために。
そして、それ以上に成長するために。
東川大雪の「真剣に楽しむ」全国大会が、9月20日に始まる。
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全国大会までの軌跡
第3回年中夢球杯2026 旭川予選
◆決 勝(7月12日)
〇 5-1 忠和サンダース
◆準決勝(6月14日)
〇 8-0 そらちJBCベアーズ
◆2回戦(5月17日)
〇 6-5 東聖イーグルス
◆1回戦(4月19日)
〇 3-2 深川一已バトルズ
全国トーナメント表


フォトグラフ

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協力:東川大雪少年野球クラブ
