
強豪IBCレイカーズを五回時間切れで下す/勝利を“奇跡”と語る笹谷監督
高円宮賜杯第45回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは13日、新潟県阿賀野市水原野球場で1回戦が行われ、南北海道代表・東16丁目フリッパーズが熊本県代表・IBCレイカーズに5-4でサヨナラ勝利。全国屈指の強豪を相手に、五回時間切れの熱戦を制して鮮やかな白星発進を飾った。2回戦は14日、第2試合で東京都第2代表・越中島ブレーブスと対戦する。
初回ゼロ封から一気の4点先制
ポイントは立ち上がりだった。先攻IBCレイカーズの攻撃を0点に抑えたことが、その後の展開を大きく左右した。
先頭打者をライトライナー、続く2番にライト前安打を許すも、牽制で挟みタッチアウト。3番はショート強襲のライナーに仕留め、笹谷武志監督は「少し間違っていれば2~3点取られても不思議ではない打線だった」と振り返る。
直後の攻撃で、東16丁目フリッパーズは相手の浮き足立った隙を突いた。4番・徳田隆之介(6年)が押し出し四球で先制。さらに6番・佐藤秀哉(6年)の2点タイムリー、8番・藤野廉(6年)のタイムリーで一挙4点を奪取。試合は理想的な立ち上がりとなった。
三回には下位打線に3連打を浴びるも最少失点の1点で切り抜け、流れを維持した。

五回裏、二死からのサヨナラ劇
先発の川口琉輝(6年)は、緩急を生かしつつも配球を大胆に変えて五回1/3を5安打1失点、無四球の好投。しかし五回一死から2番手・西山宗汰郎(6年)が登板すると、3四球と3安打で4-4の同点に追いつかれた。
それでも五回裏、二死から佐藤がこの日3本目となる二塁打を放ち、敵失で三塁へ。7番・片岡叡大郎(6年)がレフト前へ値千金の一打を放つと、大会規定により時間切れでゲームセット。両軍とも五回は二死から試合が動くという熱戦となった。



強豪を前に感じた“空気の差”と次戦への覚悟
IBCレイカーズは、東海大熊本星翔や熊本工業OBらが指導陣を務め、創部7年目で成熟期を迎えた強豪。笹谷監督は「勝てたから言うのではなく、チームの成熟度も能力も相手の方が上。勝てたのは奇跡」と率直に語った。
東16丁目フリッパーズも、普段はシートノックから他を圧倒する雰囲気を持つが、この日は相手の“空気の違い”を感じたという。試合前には選手たちに「試合になったらわからんぞ!」と声をかけていた。
「この展開じゃなかったら勝てない。特別延長になっていたら分が悪かった」とも話し、人間味あふれる言葉の裏には、強敵撃破の喜びとともに、次戦への冷静な覚悟がにじんでいた。

イニングスコア
◆1回戦(13日、阿賀野市水原野球場)
東16丁目フリッパーズ(北海道南)5-4IBCレイカーズ(熊本県)
IBCレイカーズ
00103=4
40001=5
東16丁目フリッパーズ
(五回時間切れ)
(レ)鈴木、野崎ー濱口
(東)川口、西山ー徳田
▽二塁打:横田(レ)、佐藤3(東)
フォトグラフ




全日本学童トーナメント表


協力:東16丁目フリッパーズ