「ONE TEAM」で“戦う集団”への進化を目指す
11月16日、中学硬式野球ボーイズリーグで活動する札幌手稲ボーイズをチーム訪問した。今年の3年生は、宮城県で開催された第23回日本少年野球東北大会に出場し、道内大会ラストとなるHISカップで優勝。有終の美を飾った。
新チームは北海道支部秋季リーグ戦4位、秋季選手権大会5位と悔しさを味わいながらも、明確な課題を胸に冬季トレーニングへ突入している。
越中 築監督(35)が掲げるテーマは「ONE TEAM」。春までに“技術 × 精神力”を磨き、戦えるチームへの変貌を目指す。
越中監督が貫く指導方針
監督就任7年目を迎える越中 築監督が最も大切にしているのは、
「監督らしさを持ちながらも、子どもの目線に合わせる指導」。
選手の目線に寄り添いながらも、必要な場面では厳しい姿勢を貫く。
叱りっぱなしにせず、昼食時には普段通りの声かけで雰囲気を戻すなど、
“つぶす指導ではなく、成長のための指導”にこだわっている。
チームテーマは 「ONE TEAM」。
その下に
■ 感謝=「ありがとう」
■ 謙虚=「おかげさま」
を掲げ、前任監督から続く“仲間を大切にする文化”を受け継いでいる。



3年生の総括――“最下位からの下剋上”
3年生の代は突出した個の力が少なく、指導側も「どう仕上げるか」を模索したという。
掲げたのは「選手権大会で勝つ」という明確な目標。
選手間の会話が増え、“負けない自信”が芽生えたことで東北大会を経験。
最終的にHISカップで優勝し、有言実行の形で卒団式を迎える見込みだ。
2年生大会で最下位の屈辱を味わったことが原動力となり、
親子で横断幕を製作 → 全国大会に持参 → “最下位からの下剋上”を実現。

新チームの現在地――表に出てしまった心の揺らぎ
秋季リーグ戦は4位。
全国2次予選では2年生の“心の弱さ”が露呈した。
・緊張で体が動かない
・思考が止まる
・指示が通らない
・キャプテンすらゲームに飲まれる
一方、1年生はチャンスへの意欲が強く準備も万全。
予選敗退後のミーティングで「2年生同士で自分たちの在り方を見直す時間」を設けたことで、意識に変化が生まれ始めている。
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越中監督が「核」に指名した3選手
この冬、越中監督が育成の最優先に掲げるのは
チームを引っ張る“核となる3人”の育成。
| ポジション | 氏名 |
|---|---|
| キャプテン・投手/ショート | 長出 有芯(銭函ボーイズ出身/2年) |
| 扇の要・キャッチャー | 中村 昊雅(東16丁目フリッパーズ出身/2年) |
| 外野の中心・センター | 日村 陽(北発寒ファイヤーズ出身/2年) |
「この3人がピッと締まれば、周囲は必ずついてくる」――越中監督

強みと弱み
●弱み
・2年生を中心とした気持ちの弱さ
・緊張で思考・動きが止まる場面がある
●強み
・落ち込んでもすぐに立ち直る回復力
・本気でぶつかれる集団
→ 冬で大きく伸びる可能性を秘めている
投手陣は“7枚”の布陣
2年生4名+1年生3名の 先発可能な7投手体制。
<2年生>
・長出/試合を作れるバランス型
・金子蒼輝(右/パワーピッチャー・屯田ブルースターズ出身)
・樋口旺太(右/スリークォーター・WESTジャガーズ出身)
・篠森祐之介(左/伸び代大・上手稲コンドル出身)
<1年生>
・服部芯羽(右/余市強い子野球スポーツ少年団出身)
・五十川瑞翔(左/発寒第一ハンターズ出身)
・伊藤虎太郎(右/篠路ビッグファイヤーズ出身)
精神面が整えば一気に飛躍するチームと監督は評価している。
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キャプテン・長出有芯の言葉
秋の成績について
「リーグで“技術の高いチーム”とは言えない。伸ばさなければいけない部分は多い。
だけど、来年に向けて戦い抜く土台はでき始めている。 全員で高め合っていけば必ず成長できる。」
課題
・守備力
・状況判断
・投手陣の安定感
理想のチーム像
「やる時は本気。切り替える時はしっかり切り替える。
オフは楽しく和気あいあい。メリハリのあるチームにしたい。」
個人の冬のテーマ
「エースとして長いイニングを投げ切る体づくり。
体力と体幹を鍛えていきたい。」
最終目標
「全国・道外大会に行き、頂点を狙う」
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扇の要・中村昊雅の視点
・仲の良さとコミュニケーションの多さが強み
・弱みは終盤の失点で気持ちが下がること
→「一人ひとりの野球への姿勢が変われば乗り越えられる」
投手陣について
「層が広い。冬を頑張ればすごく良い投手陣になる」
リードのこだわり
「自分のリードを押しつけず、投手の良さを引き出す」
キャッチャーとしての将来像
“相手が最も警戒する打者であり、走られないキャッチャー”

外野の中心・日村 陽の視点
秋の成績について
「もっと上を目指さないといけない。満足してはいけない結果。」
課題
守備力の向上
送球
「胸に投げることを意識して精度が上がってきた」
打撃
・伸ばしたい → 選球眼/低め変化球の見極め
・強み → チャンスに一本が打てる
春への意気込み
「2年生はパワーが足りないので体づくりをしていきたい。
春には“秋とはまったく違う手稲ボーイズ”と言われたい。」
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越中監督は最後にこう語った。
「技術は練習で上がる。勝負を決めるのは“心”。
春までに“戦う集団”に仕上げたい。」
札幌手稲ボーイズの“変革の冬”が始まっている。


協力:札幌手稲ボーイズ
