【今週の出没】北海の春・北海学園大学の初夏――根を張った才能が、いま花開く

【今週の出没】北海の春・北海学園大学の初夏――根を張った才能が、いま花開く

北海の春、北海学園大学の夏


 今年の春季全道大会、決勝戦で北海高校が見せた野球は「北海らしさ」の体現だった。堅実な守備と、勝負どころを逃さない集中力。名門と呼ばれて久しいが、その実、継続することの難しさを誰よりも知るのが北海の選手たちだ。
そして初夏を迎える今日この頃、東京の神宮では北海学園大学が快進撃を続けていた。第74回全日本大学野球選手権、初戦突破、二戦目突破――気づけばベスト8に名を連ねていた。道産子球児たちが、堂々たる姿で全国の強豪と渡り合っている。まさに「北の大地から届いた朗報」である。


そんな中で注目を集めたのが、最速159キロを誇る右腕・工藤泰己投手と、キレのある直球が光る左腕・木村駿太投手。実はこの二人、少年野球の時代に少し縁があった選手たちである。
工藤投手は、今の「芸術の森Rising」の前身にあたる、常盤ハリケーンで白球を追いかけていた。当時から強いボールを投げる、強い打球を放つ際立つ存在。少年期から非凡な片鱗はあったが、それを貫くには環境と努力が要る。中学ではTTBCという軟式クラブ、高校では北海。彼の真価は、常に“次の舞台”で一歩成長するその姿勢にあったのかもしれない。
一方の木村投手は、札幌市手稲区の稲穂ホークス出身。穏やかな笑顔とは似つかない負けず嫌いな心をあわせ持つ投手で当時は小柄ながらしなやかなフォームからキレのあるボールを投げる投手だった。中学では札幌西リトルシニア、高校は文武両道を誇る国際情報高校。球速よりも球質で勝負する左腕は、大学で着実に成長を遂げ、今や風格すら漂う。

指導者との出会いがもたらす“進化”


 少年野球の監督、クラブチームの監督・コーチ、高校・大学の指導者たち。いずれも一人ひとりが真剣に選手と向き合い、その才能を信じて育てた。
技術指導だけではない。礼儀、立ち居振る舞い、試合への向き合い方。すべてがその選手の“土台”となって、いま彼らを支えているはずだ。
北海道の野球は、冬の長さや移動の大変さといった厳しい環境にある一方で、「人が育てる野球」が生きている。


少年野球に携わる一人として、彼らの“出発点”を知る者として願うのは、彼らの活躍が「夢の連鎖」になることだ。
「常盤ハリケーンで投げてた子がプロ注目の投手になったらしいよ」「稲穂ホークスの子、今や大学野球の左のエースだって」。
そんな噂話が、どこかのグラウンドで、誰かの耳に届く。それが、新たな少年の“夢のはじまり”となる。

北の大地は広い。けれど、その広さの分だけ、才能の種はあちこちに芽吹いている。
その芽を見つけ、水を与え、日を当てる――それが私たち大人の役目。と勝手に少し生意気にも語ってしまいました。
今日もどこかで、未来のスターが白球を追っている。
あの工藤くんや木村くんのように、いつか大舞台で輝く日を夢見て。

今週の予定

だいぶ長くなりましたが、今週の予定について少しだけ。

14日(土)はまだ調整中ですが、15日(日)は全日本少年札幌支部大会を一部観戦したあと、星置西公園で行われるC-1トーナメントの後半戦に間に合えば、そちらも観戦したいと考えております。

暑すぎず、寒すぎず――北海道が一年で最も心地よい季節を迎えるこの時期。そんな空気を全身で感じながら、今週末も野球に夢中になる予定です。

皆さんも、どうか良い週末をお過ごしください。

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