
徳島県で開催中の「阿波おどり全国学童軟式野球大会2025」で、北海道代表・留萌JBCが劇的な逆転サヨナラ勝ちを収め、初出場ながら堂々の全国4強入りを果たした。準々決勝では、全日本学童・兵庫県予選準優勝の強豪・尼崎スピリットクラブを相手に、最終回の土壇場で2点差をひっくり返す粘り強い戦いを披露。明日9日には、全日本学童・大阪府予選準優勝の浪速ナカマーズと準決勝で激突する。
沈黙を破った執念の一打、サヨナラで掴んだ勝利
留萌JBCは、準々決勝で兵庫県代表・尼崎スピリットクラブと対戦。強豪を前に四回まで無安打と苦しみ、0-2とリードを許す展開。それでも五回、一死から6番・荒井桜介(6年)の左中間二塁打で反撃開始。2死後、8番・長谷川遥稀(5年)が右前打を放ち、荒井がホームインして1点を返した。
続く六回、2番・川崎駿太(6年)が中前安打で出塁し、4番・伊藤陸翔(6年)のレフトオーバー三塁打で同点に。なおも続く好機に、申告敬遠を挟んで満塁の場面を作ると、再び長谷川が打席に。ここで長谷川が押し出し死球を受け、劇的なサヨナラ勝利となった。

強豪・尼崎の“エース級”を攻略
尼崎スピリットクラブは、全日本学童マクドナルド・トーナメント兵庫県予選で決勝まで勝ち進んだ、県内屈指の実力チームだ。先発の右腕・橋本康永投手は、103~105キロのストレートを操る完成度の高い投手だったが、さらに驚異的だったのが三回途中から登板した左腕エース・中武風雅投手。最速112キロの直球に加え、安定した投球術を持ち、北海道ではなかなかお目にかかれないほどの逸材だった。
この強力な二枚看板の前に、留萌JBC打線は四回までノーヒットと沈黙を強いられた。しかし、そんな相手にも臆することなく真っ向勝負を挑み、土壇場で試合をひっくり返した留萌JBCの“勝負強さ”と“粘り”は、全国の舞台でも十分に通用することを証明した一戦となった。

永田監督「チームが変わった」 一体感が生んだミラクル
試合後、永田勇監督は「良く勝ったなぁというのが正直な感想。相手はレベルが1つも2つも上だった」と相手の力を認めつつ、選手たちの奮闘を称賛した。
さらに「こっちに来てから、まるで別のチームのように見える。一つの目標に対して、全員が同じ方向を向いて戦っている」と語り、全国の舞台が子どもたちを大きく成長させていることを実感。試合を重ねるごとに、点でバラバラだったものが線となり、チームとしての一体感が増してきたという。
「今日の勝利でチームの雰囲気はメチャクチャ良い」と笑顔で語った指揮官の言葉に、子どもたちの結束と成長がにじんだ。

次戦は大阪準Vの浪速ナカマーズ 全国の強豪に挑み続けるどさん子たち
留萌JBCの次なる相手は、大阪府代表の浪速ナカマーズ。全日本学童マクドナルドトーナメント大阪府予選決勝では、名門・長曽根ストロングスに敗れたが、大阪準優勝の実績を持つ強豪チームだ。
永田監督は「北海道にいたらできないようなレベルの相手と戦えるのは、全国大会ならでは。この舞台を通じて、子どもたちがどこまで通用するのか、それを楽しみに見守っていきたい」と期待を寄せる。
快進撃を続ける初出場の留萌JBC。明日の準決勝は朝8時プレーボール。どさん子たちの熱い夏は、まだまだ終わらない。
イニングスコア
◆準々決勝(8日、むつみスタジアム)
留萌JBC(北海道)3-2尼崎スピリットクラブ(兵庫県)
尼崎スピリットクラブ
000110=2
000012=3
留萌JBC
(尼)橋本、中武ー武内
(留)長谷川悠、永田、川崎ー伊藤
▽三塁打:伊藤(留)
▽二塁打:荒井(留)
全国大会トーナメント表

協力:留萌JBC