11月16日、札幌東リトルシニアをチーム訪問した。石狩郡当別町獅子内にある室内練習場では、冬季練習に励む選手たちが、来春に向けた土台づくりに取り組んでいた。夏に日本選手権大会を経験した3年生は、長い助走期間を経て高校野球への挑戦へ踏み出し、新チームは秋季全道大会で決勝トーナメント進出を果たすなど着実な成長を見せている。“高校3年でピーク”という揺るがない指導方針のもと、札幌東がどのように育成と強化を進めているのか、その一端を紹介する。
“高校3年ピーク”を見据えた育成と新チームの現在地
中学硬式野球の札幌東リトルシニアを11月16日に訪問した。
同チームは石狩郡当別町獅子内の室内練習場を拠点に冬季練習へ入り、基礎の底上げと次年度に向けた準備を進めていた。
夏の日本選手権を戦い抜いた3年生は、シーズン終了後も練習を継続しながら高校野球への道を歩み始めている。
指導の大前提は、髙谷監督が常に掲げる 「高校3年でピークを迎える」 という長期育成のビジョンだ。
「今この瞬間の結果よりも、もっと先を見据えた育成をしたい。だから短期的な勝敗に必要以上にこだわることはありません」
と監督は語る。
その方針のもと、新チームも成長を重ねてきた。
秋季全道大会の前哨戦となった6月下旬のKOKAJI CUPでは2回戦を突破したが、3回戦で恵庭に6–7と惜敗。
迎えた本番の秋季全道大会では、Dブロック(札幌東、北広島、苫小牧、とかち帯広、苫小牧西、千歳)に属し、2勝3敗で3位の成績を収め決勝トーナメントへ進出した。
決勝トーナメント1回戦では、KOKAJI CUPでも対戦した恵庭と再び相まみえた。秋同様に接戦となったが、1–2で惜しくも敗れた。
結果としては悔しさの残る大会となったものの、世代交代期にある新チームが強豪相手に接戦を演じ、確かな力を示した秋となった。
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新チームの現状評価
エースの佐々木脩真(山の手ベアーズ出身/2年)は、この秋にかけて仕上がりが順調に進み、試合をしっかりと作れる段階まで到達してきた。リーグ戦のとかち帯広戦では敗戦こそ喫したものの、強豪相手に堂々と渡り合い、恵庭戦でも好投を見せた。
一方、新チームの特徴は、スターティングの5〜6人を1年生が占めている点にある。2年生はピッチャー、キャッチャー、セカンドを中心に守り、その他の多くのポジションは1年生が担って秋季全道大会に挑んだ。
1年生ながら背番号1桁を託された選手も多く、
滝花充望(東16丁目フリッパーズ出身)、
北清颯馬(上江別ブルードリームズ出身)、
林倖成(屯田ベアーズ出身)、
須藤寧大(上江別ブルードリームズ出身)、
鳴海陽太(上江別ブルードリームズ出身)
といった面々がスタメンとして名を連ねた。
一方で、2年生にはまだ本来の力が出し切れていない選手も多い。
しかし、この冬に2年生がしっかり取り組み、1年生もその競争に加わっていけば、春には“良い位置”を狙えるチームへと成長する可能性が大いにあると期待されている。
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秋の敗因と冬の課題
札幌東は、「ランナー三塁でスクイズ」といった小技のサインを、あえて出さない方針を貫いている。
育成を最優先とするため、選手には徹底して “打って勝つ野球” を求めているからだ。
髙谷監督はこう語る。
「スクイズを出していれば、勝てた試合もあったと思いますが……」
「札幌東にはスクイズのサイン自体がありません。
サインを作れば僕も出したくなる。
自分への戒めも込めて作っていないんです」
実際、ノーアウト満塁、ワンアウト満塁といった絶好機で得点できずに敗れた試合もあった。
しかし、投手の四球や守備の大きなミスはほとんどなく、課題は明確である。
・チャンスで強く振れない
・点の取り方の理解不足
この2点を、髙谷監督は今冬の重要テーマとして掲げている。
「冬場にしっかり振り込んで、強く振れるようになれば上位も狙えると思っています。こういう場面でしっかり打てるようになることが成長につながるんです」
短期的な勝敗よりも、選手の将来と長期的な伸びを見据えた“育成の東”らしい姿勢が、ここにも表れている。

チームカラーと技術強化
今年のチームは脚力に優れた選手が多く、機動力を生かした攻撃も可能だ。また、力強いスイングを持つ打者も揃っており、打撃面でのポテンシャルは高い。一方で左打者が多いため、左投手攻略やバッティング技術全体の底上げが重要なポイントとなる。
札幌東では、1年生の頃から徹底してフォームづくりに取り組んでおり、髙谷監督は常に
「フォームで投げる。フォームで打つ」
と伝えている。
特に強化したいのは次の2点だ。
・タイミングの取り方
・本番でどれだけ強く振れるか
監督はこう振り返る。
「秋季全道大会では、本番で強く振れなくて負けた」
この反省を踏まえ、春までにこの2点を“モデルチェンジ”できるほど仕上げたいという。
日本選手権で優勝した年も、秋はギリギリの通過だった。
「当時も勝負所で打てなかった」が、ひと冬越えることでチームは大きく変わり、ツーアウト二塁から得点できる場面が飛躍的に増えた。
髙谷監督は、今年のチームにも同じ可能性を感じている。
「この冬にしっかり準備できれば、ツーアウトからタイムリーを打てるチームに必ず変われると思っています」
“育成の冬”を経て、春にどれだけモデルチェンジできるか。
札幌東の打撃陣の進化に注目したい。

投手陣について
佐々木に続く“次の柱”を誰が担うのか――これが新チームの大きなテーマとなっている。
今秋のマウンドは、佐々木と1年生の滝花がほぼ投げ切った形で終えた。
背番号4の千葉大駕(西琴似パンダーズ出身/2年)は、髙谷監督が
「高校で投手として勝負させたい」
と期待を寄せる1人だ。身体こそ大きくないが、野球感に優れた選手で、今年だけで身長が約10センチ伸びてきている。冬場に体重を増やすことができれば、高校でもピッチャーとして十分に通用する可能性があるという。
1年生ながら試合を作れる力を見せている鳴海陽太(上江別ブルードリームズ出身/1年)も台頭しており、滝花充望(東16丁目フリッパーズ出身/1年)とともに将来のローテ候補として期待が高まっている。
【期待の投手候補】
- 滝花充望(1年)/東16丁目フリッパーズ出身
- 千葉大駕(2年)/西琴似パンダーズ出身
- 鳴海陽太(1年)/上江別ブルードリームズ出身
この3名に加え、球の速い1年生が1〜2人おり、制球力が整えば楽しみな存在だ。
さらに、センターを守る須藤寧大(上江別ブルードリームズ出身/1年)は、
「球の速さだけなら佐々木レベル」
と監督が評する1年生。投手経験は全くないが、素材としては魅力十分で、1から作り上げていくプランも視野に入っている。近い特徴を持つ選手もおり、あと2年間でしっかり育成していくことで、非常に面白い投手陣になる可能性が高い。
若い投手が多く、伸びしろにあふれた札幌東の投手陣。
「誰が佐々木の次を担うのか」――その競争が、チームの成長をさらに加速させていく。

キャプテン制について
現在のキャプテンは濱谷伊織(西琴似パンダーズ出身/2年)。真面目で責任感が強く、選手たちの信頼も厚いタイプだ。今回は選手間の投票によって選ばれたキャプテンで、年明けには新たなキャプテンへと引き継がれる予定である。
札幌東の特徴的な取り組みとして、3年間で約4人のキャプテンを経験させる制度がある。
- 1年生で1人
- 2年生の春で1人
- 2年生の秋で1人
- 3年生のどこかで1人
この仕組みにより、常に10人前後の“キャプテン経験者”がチーム内に存在する。
その結果、キャプテン1人に依存するのではなく、学年ごとに小さなリーダーが育つ構造が自然と作られている。
自立が早いチームとして知られる札幌東では、練習前にキャプテンが自ら選手を集めて目標を共有し、監督へノック本数を伝達する。練習後には「今日はどうだったか」を選手同士で振り返るなど、自分たちで動く文化が根づいている。
こうした環境で育った選手たちは、高校へ進んだ後もリーダーシップを発揮し、実際にキャプテンを務める選手も多い。
札幌東のキャプテン制は、選手の自立心を育み、将来につながる力を身につけるうえでも大きな役割を果たしている。
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苦労が育んだ主体性
3年生の卒団式では、キャプテンが後輩に向けてこうメッセージを残した。
「俺たちが負けたのは、言われたことしかやらなかったから。後輩にはそうならないでほしい」
この言葉には、苦労しながら成長してきた世代ならではの重みがある。
札幌東では、卒団式はあくまで一区切りにすぎず、卒団後も練習に参加できる環境がある。
公立高校の受験を控える選手たちも「野球を続けながら受験する」と口を揃え、全員が練習に顔を出しているという。
今の3年生は、この時期になって一段と上手くなってきている。
進路が明確になり、「どの高校で野球をしたいか」「どの監督のもとで学びたいか」といった話を本人としながら、高校でのポジションをイメージして準備を進めている。
そのため、体重を1キロ増やすといった小さな目標にも本気で取り組む。
体づくり、柔軟性、技術向上、パワープレートを使ったトレーニングなど、それぞれに与えられた“テーマ”を理解し、日々の積み上げを欠かさない。
目標が定まっているからこそ、そこへ向けての歩みが力強い。
選手同士のディスカッションも活発で、試合を想定した意見が次々飛び交う。
ただし、髙谷監督はチームとして大切にしている 「チームオーダー」 は絶対にブレさせない。
「僕がチームとして大事にしているところは変えない。そのうえで上級生たちが本当にいいことを言うんですよね」
例えば、
「今日はセンターから風が吹いていると思って打ってみよう」
「外は追い風だから、こういう打ち方をしてみよう」
といった、状況を読み取った“野球的な発想”も自然と生まれるようになった。
今年の3年生は勝てずに苦労した世代だが、そのぶん語る言葉の一つひとつに深みがある。
「僕はこの学年が大好きです」
と髙谷監督は微笑む。
札幌東は塾ではなく、誰か一部の選手だけが発言するようなチームにしないという考え方を貫く。
だからこそ、苦労を乗り越えてきた世代がチームに残り、後輩へ言葉を伝えていくことは、何よりの財産となっている。
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選手受け入れとチームの方針
うちは、何か特別なセレクションをして選手を取っているわけではありません。
単純に「順番」で入ってきてもらっています。
たとえば、どこかのチームの大きなキャッチャーだけが優先的に入れて、小さなキャッチャーは入れない、といったような“特別扱い”は一度もしていません。これからもするつもりはありません。
親御さんを含め、みんなが納得できる形でやりたいですし、「このチームだからこそ」という変な特別扱いはしない。
そういう意味で、今年の3年生は本当に“等身大で苦労してきた代”なので、なおさら良いものを残してくれていると感じます。
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“見返りを求めない”野球への恩返し
札幌東が拠点として使用しているこの室内練習場は、年間を通してほぼフルに利用できる環境が整っている。チームが使わない日は、地域行事や企業イベントで年に1回程度使われるのみで、野球に集中できる恵まれた環境が維持されている。水道代や電気代は別途必要だが、施設利用に関しては破格の好意を受けており、髙谷監督も「本当に良くしていただいている」と感謝を口にする。
髙谷監督は、野球を通した“恩返し”の考え方についてこう語る。
「恩返しは、うちのチームのためだけにやるものではありません。
野球をしている子どもたちすべてに対して、自分ができることをしたい。
選手や保護者に見返りを求めるつもりもありません」
施設を借りる際には社長と何度も意見を交わしたという。
その中で、社長が語った言葉に強く共感した。
「子どもたちのために、見返り抜きでやろう」
その想いが一致し、信頼関係が築かれていった。
そして今では、
「高谷さん(監督)がやっている間は、ずっと使ってくれていいよ」
とまで言われるほどの厚い支援を受けている。
髙谷監督は「本当にありがたい環境です」と語り、この恩恵を野球に打ち込むすべての子どもたちに広く還元していきたいと考えている。
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濱谷伊織 ― 秋の総括と見えた課題
新チームとして挑んだ秋の大会。その中で主将としてチームを引っ張った濱谷伊織に、秋の総括と冬へ向けた取り組みについて話を聞いた。
キャプテンとしての気づきと手応え
キャプテンを務める中で、先輩や監督から特に印象に残った言葉があるという。
「もっと声を出してチームを引っ張れ、と言われました。周りを鼓舞したり、試合中の指示をはっきり出す大切さを学びました」
声によってチームを動かす――その役割の重さを自覚した。
そして厳しい試合が続く中でも、確かな手応えを感じた場面もあった。
「自分たちで声を掛け合って、一つの打球にみんなで反応できたところは良かったと思います」
小さな積み重ねが、チームとしての“まとまり”へと結びついていった。
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冬への取り組みと主将としての成長軸
冬季練習を前に、強化したいポイントを尋ねると、濱谷主将はこう語った。
「守備の一つひとつを丁寧にやること。玉際の強さや、チームとして一つのプレーをしっかり組織立ててできるようにしたいです」
さらに、チームづくりにおいて大切にしたいことを問うと、迷わず答えが返ってきた。
「“ミスをミスのままにしない”ことです。『オッケーオッケー』で流すんじゃなくて、どうすれば良くなるかを声に出して前向きなアドバイスに変える。そうすることでチームが良くなると思っています」
最後に、主将として今後さらに伸ばしたい部分を聞いた。
「周りをもっと見られるようになりたい。プレーだけじゃなく、仲間の表情や雰囲気も見ながらチーム全体を良くするために動けるようになりたいです。頭を止めず、常に考えてプレーしたいと思います」
濱谷伊織――
キャプテンとしての視野を広げ、仲間とともに成長するための冬が始まる。
〇濱谷 伊織(はまや いおり)
左投げ、左打ち
155センチ、48キロ
西琴似パンダーズ出身
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北海道選抜選手・佐々木脩真 秋季大会の手応えと現在地
北海道選抜にも選出された佐々木脩真選手。
今季のリーグ戦・秋季大会について振り返ると、良い部分と課題の両方がありました。
手応えとしては、自分のコントロールが安定し、投球内容として“光った部分”はあったと感じています。バッティング面では、みんなが塁に出る場面が多く、これまで積み重ねてきた打撃練習の成果を実感しました。
ただ、チャンスであと一本を出せなかった悔しさは残っています。
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【恵庭戦の惜敗】勝つために必要だと感じた3つの要素
決勝トーナメント1回戦について ──初戦は強豪・恵庭との一戦。惜敗だったけれど、チームとしての評価は? 取って追いつかれ…という展開で、同点・逆転の流れをつくれなかったのが大きいと思います。 6回、7回の最後の場面でも、あと一歩届かなかった。 勝つためには、 ・センターラインを中心にした守備での声掛け ・守りから流れをつくること ・ミスを未然に防ぐ準備 この3つがもっと必要だと感じました。
【135km/hへの挑戦】冬の課題と来季への意気込み
冬に向けての個人課題 ──個人として、この冬に伸ばしたい部分は? 下半身の安定と柔軟性を高めたいです。 そこが強化できれば、球威も球速も制球力も上がると思っています。 夏の終わり頃に一度計測した時は128km/hでしたが、 来年の春までに “安定して135km/h以上” を投げたいです。 速い球を1球だけ出すのではなく、「常にそこにある」ことを目指しています。 来シーズンへの意気込み チームとしては連戦の場面も多く、1人では回らない試合もあります。 今は投手陣も揃ってきているので、互いに高め合いながら、 自分自身も“チームの中心としてゲームを作れる投手”になりたいです。
〇佐々木 脩真(ささき しゅうま)
右投げ、左打ち
176センチ、69キロ
山の手ベアーズ出身
家族は両親と兄の4人。
学童時代の小学6年時には札幌選抜に選出。
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成長を求めた秋の収穫と課題——札幌東リトルシニア・北嶋捕手
札幌東リトルシニアの北嶋捕手は、この秋を振り返りながら、投手陣と自身の課題、そして春へ向けた意気込みを語ってくれた。
強豪ひしめくリーグの中で勝ち切るために何が必要なのか——キャッチャーとしての視点から見えたものとは。
【秋の手応えと課題】緊張の場面で見えた自身の弱さ
試合を振り返り、北嶋捕手はまず“投手陣の安定”を評価した。
「ピッチャーの調子は良く、リードもしやすかったです。特にコントロールが良いので、とても組みやすいと感じました。」
一方で、キャッチャーとしての自身の課題も明確だ。
- 緊張感のある場面で焦ってしまう
- もっと冷静に判断すべき場面があった
試合を支える捕手として、精神面の強化が必要だと痛感したという。
【勝ち切るために】東シニアが乗り越えるポイント
秋のリーグ戦では敗戦も経験し、チームとしての課題も浮き彫りになった。
「全員がもっと思い切ってフルスイングすること。当てにいくスイングから脱却し、内野フライや弱いゴロを減らすことが必要だと思います。」
そのためには、普段からの練習量と振り込みが不可欠。
チャンスで強く振れる選手になることが、“勝ち切るチーム”への第一歩と語る。
さらに冬に向け、キャッチャーとして磨きたい点も明確だ。
- 投げ方(フォーム)の改善
- ワンバウンド処理の精度向上
- ブロッキングの安定
- 体調管理を徹底し、継続的に練習できる身体づくり
「来年は、投手にもっと信頼されるキャッチャーになりたいです。」
【バッテリーの信頼関係と春への決意】北嶋捕手が語る投手陣と自身の強み
キャッチャーとしての持ち味
「投手との相性が良く、気持ちよく投げてもらえるようにリードできることが強みです。どうやったらその投手が一番輝くかを考えて配球しています。」
投手の長所を最大限に引き出すことこそ、北嶋捕手が最もこだわるポイントだ。
バッテリーを組む投手たち
— エース佐々木投手について
「構えたところにしっかり投げてくれるので、配球していて本当に楽しい投手です。」
— 千葉投手について
「変化球とストレートを上手く混ぜてバッターを崩せる投手。こちらのリードにしっかり応えてくれるので、組んでいて楽しいです。」
信頼関係が強さの源であることがよく伝わる。
春への意気込み
来春に向けて強化したいのは——
- ブロッキングの安定
- 思い切りのあるバッティング
- 投手を支えるキャッチング力
「チーム全体でももっとレベルアップして、春の大会でしっかり勝てるチームになりたいです。」
キャッチャーとしての責任を胸に、北嶋捕手はすでに次のステージへ目を向けている。
〇北嶋 あとむ(きたじま あとむ)
右投げ、右打ち
170センチ、67キロ
手稲ヤングスターズ出身
家族は両親と弟の4人。
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“1年前の自分”に何を伝える?——3年生が語る後悔と学び、そして後輩たちへ残す言葉
中学野球の3年間は決して長くない。だからこそ、3年生が残す言葉には重みがある。
今回、3年生たちに聞いたのは「もし1年前の自分に戻れるとしたら、何を伝えたいか」。
そして、その言葉を「今の後輩たちに向けるなら?」という問いで締めくくった。
迷い、後悔、ケガ、準備不足。彼らがこの1年間で味わった現実は、後輩たちがこれから迎える道そのものでもある。
“経験した者にしか語れない言葉”が、次の世代の財産になる。今日はその声を紹介する。
内山悠大——「冬を甘く見るな。油断するなよ、自分」
冬にもっと向き合っていれば —— 1年前の自分へ
「去年の冬の時点で、まさか日本選手権で1回戦負けするなんて思っていませんでした。だから1年前の自分には『油断するなよ』と伝えたいです。冬をもっとしっかりやっておけば、と今は本当に思っています。」
春・夏・秋よりも、最も差が生まれるのが“冬”。
その重要性を深く知ったのは、悔しい敗戦を経験したからこそだ。
「もっと走り込んでおけばよかった。雪の上でも。
それからフルスイングの積み重ね。特別なことじゃないのに、冬にやり切れませんでした。」
淡々と続ける基礎練習は地味だ。だが、試合の場面で最後に響くのは、その積み重ねだと痛感した。
後輩たちへ —— 「悔いのない冬を過ごしてほしい」
「2年生は最後の1年に入ります。絶対に悔いが残らないように、この冬を“やり切った”と言えるくらい練習してほしいです。全員で春に向かっていってほしい。」
内山が語る言葉は、経験から絞り出された真剣なメッセージだ。
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心に残る敗戦と、高校野球で目指す姿
印象に残る試合は「北ガス杯2回戦・とかち帯広戦」。
「何度もチャンスで打席が回ってきたのに、1本もヒットを打てませんでした。フライを上げてしまって、チームプレーができなくて…。本当に申し訳なかった。」
得意のストレートを捉えることができず、自分自身に悔しさが残った。
次のステージとなる高校野球では「自分の結果よりも、チームの勝利を優先できる選手になりたい。」
内山の表情には、すでに次のステージを見据える決意があった。
〇内山 悠大(うちやま ゆうだい)
左投げ、左打ち
175センチ、75キロ
日新ベアーズ出身
野球を始めたのは小学2年生の時に、現在も同じチームメイトの畠山侑大(ニュースターズ出身/3年)に当時、誘われて野球を始めた。
家族は両親と兄の4人
竹井 空——「“まだ大丈夫”は危険だった。冬の価値を知った1年」
焦らなかった1年前が残した痛みと、印象に残る敗戦
「“あと1年あるから大丈夫”と思っていたんです。でも、そのまま冬を過ごしてしまい、春に全然調整ができなくて…。本当に苦しい結果になりました。」
1年前の自分に伝えたい言葉ははっきりしている。
「冬をなめるな。危機感を持て。」
印象に残る試合は「日本選手権・北空知深川戦で途中まで良い試合をしていたが、中盤で先頭打者の打球を自分がエラーしてしまい走者を出してしまい、それが失点につながってしまいました。悔しかった試合です。」
投手としての責任、試合の流れを変えたプレー。その全てが竹井の胸に残った。
“指示待ち”からの脱却と、仲間と戦うための気づき
「監督に言われたことだけをそのままやってきて、自分の考えがありませんでした。だから壁の先へ行けなかったんだと思います。」
気づいたのは、チームのために自分がどう動くかを“自分で考える”ことの必要性だった。
「監督やコーチの言葉をヒントに、自分の考えを持って行動できるようになってほしいです。」
また、仲間と支え合う姿勢にも触れる。
「練習では声が出るのに、試合では助け合えていなかった。もっと試合をイメージして練習すべきでした。」
後輩への想いと、野球を始めた原点
「同じ思いをしてほしくないので、自分たちで考え行動してこの冬、自分に厳しく頑張ってほしい」と述べた。
〇竹井 空(たけい そら)
右投げ、右打ち
174センチ、64キロ
金山ファイターズ出身
野球を始めたのは小学1年生。
家族は両親と弟と妹の5人。
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協力:札幌東リトルシニア
